岩手県大槌町の海を見下ろす高台の一画にある 白い電話ボックス。
その中に置かれた 線の切れたダイヤル式の黒電話が、風の電話です。
5年前のあの日に亡くなり、会えなくなった人と会話をするため、多くの人が訪れる電話です。
NHKのテレビ番組を通して、この風の電話の存在と 今なお 亡くなった家族を想い 消える
ことのない悲しみを抱え続ける人々の心を 知ることができました。
5年という月日は、決して悲しみを癒す時間にはなっていないのだということを感じました。
風の電話には、多くの人が訪れ、受話器を手に 今の自分の思いを 会えない人に向かって語りかけます。
両親と妻と一歳の息子を失った男性は、
助けられなくてごめん!…
新しい家ができても、住む家族がいないのでは意味がない。
でも、5年前には 両親や妻や息子が確かに生きていたことを伝えることができるのは自分しか
いない。だからこそ 死ぬまで忘れないで 家族のことを想い続けたい。
痛いほど切ない 男性の心の内が ひしひしと伝わって来ました。
トラックの運転手だった父を亡くした少年は、八戸から一人でやってきて風の電話を手にします。
父が、この地で行方不明になり、少しでも父のそばで 思いを伝えたかったのだと思います。
父さん、なんで死んだんだよ。…
どんなに大切な父の存在だったのか、その死を悼む思い。
同時に 父のいない自分に対する 周りの友達の気遣いを負担に感じる 辛い心境も語ります。
三人の子を抱えて 苦労を一心に背負う母が 誰よりも一番辛い思いでいることも。
やがて、この少年の発案で 家族がそろって大槌町にやってきて 風の電話をかける場面がありました。
亡くなって以来 父のことを少しも話さなかった妹は、抱えてきた思いを押し出すように父に語りかけます。
無口な弟は 父への思いを言葉ではなく涙で伝えていました。
母は、何から話せばいいかと戸惑いながら、一緒にやりたかったことがいっぱいあったと語りはじめます。
心が壊れそうになった時はまたここにくるからと告げ、それでもこの子どもたちのためにも死ねないという心境も伝えます。
亡くなった父の存在の大きさと 失った喪失感は、この家族にとって決して消えることのない重い痛みとなっているのだと思いました。
それでも、前に向かって進もうとする家族の強い絆に、深い感動を覚えました。
消えることのない悲しみや喪失感を抱えながら 風の電話を手に 語りかける人々。
そこが会うことのできない家族と向き合える 心の出会いの場となっているのだと思いました。
語りかけることで 向き合うことで、抱え込む辛さが 背負える辛さに 少しでも変わっていくようにと 祈らずにはいられません。
風の電話の向こうから聞こえてくる声は きっと 風のように
かけ手の方の背中を 柔らかに後押しし、心の内を 穏やかに通り抜けていってくれているのだと思います。
震災による 死者は 15,894人。
行方不明者は 2,561人。
震災後の体調悪化や自殺による震災関連死は、3,407人。〈昨年9月末時点〉
仮設住宅などで誰にもみとられずに亡くなった「孤独死」は、202人。〈昨年末時点〉
避難者は、今も174,000人に上る とのこと。
行方不明者の息子さんを見つけられずにいる父は、
「骨のひとかけらでも何でもいい。息子が『いた』という証しがほしい。」
「息子が見つかるまで復興はないんだ」
と語ったそうです。
被害の甚大さと 残された人々が心に負った痛みの深さを 感じます。
改めて 亡くなった方々のご冥福をお祈りすると共に
被災された方々のご健康と幸せ、一日も早い心の復興を 祈りたいと思います。
その中に置かれた 線の切れたダイヤル式の黒電話が、風の電話です。
5年前のあの日に亡くなり、会えなくなった人と会話をするため、多くの人が訪れる電話です。
NHKのテレビ番組を通して、この風の電話の存在と 今なお 亡くなった家族を想い 消える
ことのない悲しみを抱え続ける人々の心を 知ることができました。
5年という月日は、決して悲しみを癒す時間にはなっていないのだということを感じました。
風の電話には、多くの人が訪れ、受話器を手に 今の自分の思いを 会えない人に向かって語りかけます。
両親と妻と一歳の息子を失った男性は、
助けられなくてごめん!…
新しい家ができても、住む家族がいないのでは意味がない。
でも、5年前には 両親や妻や息子が確かに生きていたことを伝えることができるのは自分しか
いない。だからこそ 死ぬまで忘れないで 家族のことを想い続けたい。
痛いほど切ない 男性の心の内が ひしひしと伝わって来ました。
トラックの運転手だった父を亡くした少年は、八戸から一人でやってきて風の電話を手にします。
父が、この地で行方不明になり、少しでも父のそばで 思いを伝えたかったのだと思います。
父さん、なんで死んだんだよ。…
どんなに大切な父の存在だったのか、その死を悼む思い。
同時に 父のいない自分に対する 周りの友達の気遣いを負担に感じる 辛い心境も語ります。
三人の子を抱えて 苦労を一心に背負う母が 誰よりも一番辛い思いでいることも。
やがて、この少年の発案で 家族がそろって大槌町にやってきて 風の電話をかける場面がありました。
亡くなって以来 父のことを少しも話さなかった妹は、抱えてきた思いを押し出すように父に語りかけます。
無口な弟は 父への思いを言葉ではなく涙で伝えていました。
母は、何から話せばいいかと戸惑いながら、一緒にやりたかったことがいっぱいあったと語りはじめます。
心が壊れそうになった時はまたここにくるからと告げ、それでもこの子どもたちのためにも死ねないという心境も伝えます。
亡くなった父の存在の大きさと 失った喪失感は、この家族にとって決して消えることのない重い痛みとなっているのだと思いました。
それでも、前に向かって進もうとする家族の強い絆に、深い感動を覚えました。
消えることのない悲しみや喪失感を抱えながら 風の電話を手に 語りかける人々。
そこが会うことのできない家族と向き合える 心の出会いの場となっているのだと思いました。
語りかけることで 向き合うことで、抱え込む辛さが 背負える辛さに 少しでも変わっていくようにと 祈らずにはいられません。
風の電話の向こうから聞こえてくる声は きっと 風のように
かけ手の方の背中を 柔らかに後押しし、心の内を 穏やかに通り抜けていってくれているのだと思います。
震災による 死者は 15,894人。
行方不明者は 2,561人。
震災後の体調悪化や自殺による震災関連死は、3,407人。〈昨年9月末時点〉
仮設住宅などで誰にもみとられずに亡くなった「孤独死」は、202人。〈昨年末時点〉
避難者は、今も174,000人に上る とのこと。
行方不明者の息子さんを見つけられずにいる父は、
「骨のひとかけらでも何でもいい。息子が『いた』という証しがほしい。」
「息子が見つかるまで復興はないんだ」
と語ったそうです。
被害の甚大さと 残された人々が心に負った痛みの深さを 感じます。
改めて 亡くなった方々のご冥福をお祈りすると共に
被災された方々のご健康と幸せ、一日も早い心の復興を 祈りたいと思います。