ロートレック・コネクションに行ってきました。
今回の展覧会ではタイトルのとおり、ロートレックの関係する画家の作品と併せての展となっています。
初期は師であるプランストーノ影響で描いてた馬。
この頃はまだ油彩で普段我々が意識するロートレックの作風とはずいぶんと違います。
ですが、馬が青く描かれているあたり、ロートレックなのですよ。
その後、裸婦を描いていたりした時期の作品もありました。
この裸婦画を描いてた師であるフェルナン・コルモンの元に集った中にはゴッホもいたということ。
ゴッホの「モンマルトの丘」は一見まっとうですが、空の塗りが一部ブロック状になってるあたりの違和感が妙でした。
ロートレックが尊敬していたというマネの「イザベル・ルモニエ嬢の肖像」はドレスの城と彼女の背後の黒のトーンのグラデーションがうまく呼応しててその存在がひきたっていました。
テオフィル=アレクサンドル・スランタン「シャ・ノワール巡業公演」
この黒猫、一度見たら忘れられないですよね。
この時代のフランスに行きたいなあと思います。こういった広告を出している実際の演目を目の当たりにしたいのです。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロトレック「ポレール」
実は今回、一番印象に残ったのがこれ。
このシンプルな線と色で人物の雰囲気を伝えようとしてるのは完全に浮世絵の影響ですよね。
刷りはふつうなのですが、そういった技術があったとしたらまた別の進化をとげていたのだと思います。
この表情とポーズ。脳裏に残ります。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロトレック「マルセル」
ロートレックの描くポートレートで多いこの独特のタッチ。
もともとの紙の色であるベージュを多く残して、塗っていくスタイル。
白い線がベージュバックだと調和がいいように思います。
このトーンで全部、塗りつぶしてしまったら雰囲気でないんですよね、きっと。
モーリス・ドニ「ランソン夫人と猫」
これが一番浮世っぽかったなと思います。
日本が誇るフラットにこんなにも影響されていたのですね。
ドニはあまり見てないので他のも見てみたくなりました。
アルフォンス・ミュシャ「煙草巻紙 ジョブ」
最後にミュシャがくるのは納得です。
色数が少なく独特のフォルムで大胆に印象を切り取るロートレックとは対照的なアプローチ。
リトグラフだってのに色気があるんですよね。
あとやはりミュシャは様式美なのだと思います。
ロートレックはもう何度も見ているし、書いているのでダブるようなものはあえて書きませんでしたが、やはりブリュアンは好きですね。あのオレンジのスカーフと黒い帽子はばっちりきまっています。
12/23まで。
今回は視点を変えての展覧会でしたので、面白く見ることができました。
ポスター類は目新しい作品がないのは仕方ないのですが、少ない色と線でどれだけ印象付けるかをそれぞれの画家でアプローチが違うのには目を見張りました。
油絵とか初見の作品もあったので面白かったです。
ただロートレックの作品を並べるのではなく、関係についてスポットを当てた構成は興味深かったですね。
>少ない色と線でどれだけ印象付けるかをそれぞれの画家でアプローチが違うのには目を見張りました。
出来ることは限られているのに個性が際立ってますよね。