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詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

その人

2005年06月25日 | 個室より
その老齢な女性は
人生の半ばで足を悪くした
それ以降
好きな男から遠ざかった
足の悪い自分の姿なんて
惚れた男に見られたくないと笑う
すでに老人の域に当に達している彼女に
ローティーンの少女心を見た
けな気というより
可愛らしいというより
バカを越して一途過ぎる哀れにも純粋な乙女心
自分が一方的に惚れただけ
男は何も知らないそれなのに
彼女は以来一度も男に会っていない一度も
男を知らない少女の想いそのまま
あっぱれ!
と思われている彼女は本当は
臆病で弱くて
惚れた男の前でだけ心は震える小鳥になる
こんな自分なんか
あの人にふさわしくない
こんな姿
あの人に見られたくない
会えない
こんなわたし
恥ずかしくて
こんなわたし
耐えられない
あの人の前で・・・




一つ

2005年06月21日 | 個室より

誰にも言わない
穢されたくないから

何も言わない
踏まれたくないから

求めない
空が青いから

教えない
必要がないから

共感はいらない
想い一つ

わたし一人
それでいい。


自死

2005年06月21日 | 個室より
自死への自由が途絶えるなんて
地獄だ

選択の自由があるから
明日もわたしは在るだろう

本当に
地獄だ

そうなる前に
どれほど逝きたいことだろう



触ること

2005年06月21日 | 個室より
誰だって抱きしめてほしいんだ
いくつになったって

男だって女だって
子供だって大人だって

触れられないなんて
死んでいるようなものだ

人が人になる最も安堵の瞬間は
触れている時だよ

―――
―――

わたしは今
触れてほしくない

いらない
気休めは

求めない
馴れ合いは

もう充分折り返したし
いずれ死ぬことに

変わりはないよ
遅かれ、早かれ。




2005年06月21日 | 個室より
わたし
今でもチェロやりたいと思っています
保育園の頃
本当はピアノが欲しいって
どうしても言えなかった
小学生の頃
作曲して遊んでいました
本ばかり読んでいました
せっせと詩を書いて遊んでいました
たまらなく
フルートがやりたかった
中学生の頃
書いてばかりいました
描いて遊んだことがあります
たまに
作曲して遊んでいました
楽しかった
まだ
フルートがやりたかった
高校に入った時
高校を止めようと思いました
そして
書いてばかりいました
まだ
フルートやりたいと思っていました
たまに絵を描いて
遊びました
10代も終わった頃
もう
フルートのことは忘れていました
書くことだけが残り
でも一貫して
歌を忘れたことは
ありません
一ヶ月経とうとしています
それに触れなくなってから

こんな時間に
わたしのオモチャの
パソコンと
遊んでいます

am3:00過ぎ



なぞなぞ

2005年06月19日 | 個室より
わたしの分離能力は日を追うごとに巧みを増し
何を見ているの
あなた方は
本当に見えないの

根幹はどんどん遠のき
上へも
下へも
距離が見えない

自分が箱であることさえも
あまりに現実に根付いて
わたしはあれから何年
過ぎた気がしている

なのにあなた方は時を同じくして
そんなことを

足が痛いです
おこた入ります
蒲団になんか
寝ませんから。



伝達

2005年06月19日 | 個室より
何故
二人期を同じくしてそう言うの

何故

この時に

二人無関係なのに
その同じことを
思ったの

必然
偶然
思いつき

言語
非言語
わたしから発せられた全てのコミュニケーションが
それを言わせた

わたしはどうしよう

この時に

こんなことになってしまっている
この
時に

頭を
抱えてしまいます


あの世の羽根

2005年06月14日 | 個室より
分離したわたしはあちこちに飛んで
それぞれのわたしが一時顕在化する

飛ぶだけ飛んで数時間
カラの箱に返る

箱は相変わらずカラのまま
わたしはイナイ

上手くなったよ
自己の分離

乖離を根幹にわたしは在るのだから
分離にも動じなくなった

何も
感じなくなった

自己に由来する情動が
あっさり消えてゆく

なのにわたしは巧みに分離をして
それぞれのわたしの言葉は決してウソじゃない

尋常ならざる潜在の穴はどんどん深くなって
乖離したままの芯は

顕在との関係を切って
どこを浮いているのだろう

重力からも乖離して
あの世の羽根のようだ



100パーセント

2005年06月14日 | 個室より
ごめんなさい
100パーセントわたしが悪い

わたし今どうしていいかわからない
あれっきり触ってない

触れない
わたしがわたしから消えちゃって

触れない
わたしとわたしが一致しなくて

触れない
ごめんなさい

100パーセント
わたしが悪い。


失踪

2005年06月09日 | 個室より
驚愕の程に自身への興味が失せた
失せた

カラの箱はわたし不在のまま箱の姿を晒す
晒す

わたしの芯はわたしを出たまま帰らない
帰らない

あの瞬間独り勝手にどこかへ行ってしまった
しまった

もうニ度と戻らないのかもね
かもね

切れて
天空のどこかに浮いているのだろう
ふわり

わたしとわたしが一致しない限りわたしはわたしにならない
ならない

何の興味もない
我。


無限の曇天

2005年06月09日 | 個室より
夕べ飲んだ眠剤いつ効いてくれちゃうわけ
もう10時になるよ
脳みそが壊死を起こしたような紋様をして
その真ん中の一点だけが生々しいピンク色の皮膚を持たない肉の僅か
その点で外気と共に時間を呼吸してかろうじてわたしは人間です

ホントにそうなのねわたし死んじゃうのねただの箱ね

わたしどこまで
どんな遠くまで逝っちゃったの
あの空経由黄泉行きの電車に乗った覚えないよ

どれ程の終点のない永遠の穴に潜り込んでしまったの
pureの功罪には情けも容赦も効かないから

わたしは子供も行けない大人も行けない神経病みの堆積所へ一瞬に放り出されて

そこは孤独の中の孤独
無機の中の無機
わたしの好きな無限の曇天
冬枯れの天体

緩慢な
死の星



運営

2005年06月09日 | 個室より
何も可もが一遍に来てこっぴどい目にあった2週間
やっとこさ薬を投入して
パソコン前で早や倒れそうな体

しんどい

心不在のまま体を運営
心不在でも体何とか運ばなきゃ

止めるわけにはいかないでしょ
生きていかなきゃいけないでしょ

そうでしょ

カラでも何でも知っちゃいないからお方がた
カラならカラでOKなわけでしょ世の人

喋ればいいんでしょ
笑えばいいんでしょ
役をやってれば
オールOK
でしょ

わたし
イナイのに


カラの箱

2005年06月05日 | 個室より
エウロパの氷の下に居るにちがいない
わたし

エウロパの氷の下で眠っている
わたし

とても届かない遠すぎて


とても迎えに行けない離れすぎて
想い

知覚が希薄になって
何を触っているのか


それは現実か
必要か


わたしがイナイわたしの箱は相変わらず時を運んで
営みにかろうじて浮いている

だってそうしなきゃ
死んじゃうでしょ

生きる為にわたしはわたし不在のわたしの箱を運ぶ
わたしは存在をしなければならないので

わたしはカラのままのわたしの箱を運ぶ
薬が
頼り