詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

シューベルトの未完成

2004年09月30日 | 90.1.8~95.7.17

シューベルトの未完成は全き完成
音楽の森
どんどんどんどん豊かな緑が生い茂る広がる
湖も木々も葉も空気もいっしょになって時空を満たしてゆく
その真ん中でわたしは驚異と歓喜の鼓舞の大きな息をする
緑の空気が体中入って来て
やがてどうしようもなく溢れてしまう
感動が
自分のキャバを超え次から次へと湧き上がる
産み続ける森のパノラマ
成長する森の成分は激しい風を巻き起こし
いつしかわたしも空中を泳いでいる
湖と木々と葉と空気の中に加わっている
産み続ける森の成分になるわたし
なんとうれしいことだろう

94.1.18 am5:20

mayakusさんの、リズムの「リ」 に TB!


ヴィヴァルディの海の嵐

2004年09月30日 | 90.1.8~95.7.17

わたしは海の嵐が好きだ
それを聞いている数分間
心が躍っている
子供のようにピョンピョン飛び跳ねて
冒険のようにドキドキして
宝物見つけた時みたいにワクワクして
わたしはその中にどんどん入っていって
音楽とわたしが溶け合って
ひとつになる
自身が音符になったみたいな気がして
流れに乗って
体が動く
その数分間
自分が生きてる気がする
全身
神経がパッとクリアになって
世界の一員
人としての自分
活動と躍動のわたしが
一瞬蘇る
音が消えて
流れが止まると
わたしも止まる
わたしは
音楽に巻かれるゼンマイじかけのブルー
心は音楽に呼応するゼンマイじかけのトケイ
まだ
音楽に反応するセンサーが
残ってはいる

94.1.17


カザルスのやさしいてのひら

2004年09月30日 | 90.1.8~95.7.17

カザルスのチェロを静かに聴いたことがありますか
カザルスのチェロには愛と祈りがある
カザルスのチェロは温かい
カザルスのチェロは抱擁する
なんだか涙が出てきます
カザルスのチェロは心です
心そのもの
温かく柔らかな土の匂いがする
カザルスのチェロは母であり父であり天の子供です
何もない
見栄も体裁もエゴも奇麗事も欺瞞も押し付けがましさも高慢さも
カザルスのチェロは謙虚が貫いており
真実が貫いている
何も要求しない
ただ受容する
ただ愛する
地球の内部をその懐に全て包み込み
地球上の全ての生きるものに微笑みかける
ただ愛がある
愛が流れている
真摯に
謙虚に
カザルスの心はうたっている

病に疲れた心が
撫でられてゆく

93.12.22


レクイエム

2004年09月30日 | 90.1.8~95.7.17
BACHのアリアに抱かれて
永遠の眠りにつきたい
その祈りの中で
永遠の眠りにつきたい

何者をも拒絶する心が
BACHのアリアに溶けてゆく
BACHのアリアを母の乳房を吸う乳飲み子のように飲む
胸に
吸う
体中にその愛と祈りの心を満たす
そして現実の時間がわたしの心に忍び込んでしまわないうちに
身も心もBACHのアリアに浸透し埋没しているうちに
目を閉じ
ゆっくり海の底に落ちてゆくように
死んでゆきたい

人は狂気を知らない
わたしの中の狂気が
あのアリアに吸い寄せられてゆく
水が水に溶け合うように
混じり合う
同化する

BACHのアリアに抱かれて死にたい
まだpureが死を選べるうちに

93.12.3


投げやりでなおざりでいいかげんな不安神経症者のうた

2004年09月30日 | 90.1.8~95.7.17
わたしはやる気がない
神経症のままで終わればいい
わたしは嫌だ
わたしの言葉は全て無駄
ぬるま湯の卑怯な快感の中でだらだら卑屈に生き永らえる
もぐらと化して
惰性で
ズルズル
無意味に生き永らえる
殺せるだけ殺す
要求したくない
何も願いたくない
期待を持ちたくない
理想も描きたくない追いたくない
自分を美化しない
誇張をしない
みんな死ね
死んで消えろくそったれ
密かにそう思いつつ
わたしも死ねばいいのだ
ハッ!

93.11.25


合理化のうた

2004年09月30日 | 90.1.8~95.7.17
思うことは全て合理化
わたしに真実はない
むろん愛などあろうはずなく
この存在そのものが合理化の証し
わたしを観れば不安神経症者が良く解かる
わたしを観れば合理化が良く解かる
経験少ない学生たち
わたしを研究するといい
そしてわたしに提出できる研究素材はもう一つ
それはわたしの死の親和でしょう
わたしは合理化
一生合理化
何も可も全てのことはもう遅いと思っているので
わたしの心の内には誰も入ることは出来ない
だって入れる気無いから
わたしは合理化の子供合理化子
わたしの名前は合理化子
これから先のわたしの生は
無駄な合理化増やしていくだけ
わたしは心を閉じます
もう誰も信用はしません
そこへはもう行けませんさよならです
さようなら

93.11.19


圧殺

2004年09月30日 | 90.1.8~95.7.17
わたしは何も言わない
言えない
本当に苦しい時
誰にも何にも
言えない
だから
誰も知らない
誰も気付けない
わたしの本当に苦しい心
誰も見ることも無い

ひとりで
自分を呑む
それだけ

爆発できる人はいい
そんなの分かりやすくていいじゃない
爆発を凌駕する心を持っていても
それを圧殺してしまう人だっている

言葉も声も影もなく

ただひたすら我慢する
ただひたすら押し殺す

93.9.22


心のゆくえ

2004年09月30日 | 90.1.8~95.7.17
あまりに遠すぎて
こんなに近くにいるのに距離が縮まらない
たとえ隣に座ったって
それは海の向こう側

わたしは俯瞰でそれを眺める
長いクレーンの一番上で
両手を広げる様のそれを眺める
クレーンの首は断絶の深い海
わたしは自分の居場所から決して離れることはできない
対角線の一番向こうのそれを見るだけ

ああ!
それは本当に活き活きと活動的で
一生懸命正しくいきて・・・

風吹く荒野の点と点
向かい合ってはいるけどそれは遠い
一次元の距離はすぐに空間になって
わたしは成長する空間の圧力に考える間もなく押しやられ
崖の縁から海へと落ちる

息ができない
何も見えない
聞こえない

ただ波に飲まれ翻弄されて
溺れて
回って
わたしは誰
ここは何処

それはどうしているのだろう
わたしはどこへ行くのだろう

93.9.18 am3:00


OUT

2004年09月29日 | こころ寄り
来いよ。もっと来いよ。
出ろよ。出てみろよ。

オマエの中からだよ。
そっから、出ろよ。

行けよ。とっとと行けよ。
行っちまえよ。
もたもたしてると、

置いてくぜ?

04.9.29 pm2:03
M氏作のフォトに



さめく 雨の 雫

2004年09月29日 | うたかた 2004 宇宙よりの
いずこ知らねどこの時の最中
この雨を
しばし聞こう遥かの君

我が琴線に響くあまたの寒らさめく雨の雫よ
願わくば
君の琴線をさらに優しく包みさらに優しく撫でてほしいと

しばし聞こう
外に出る前に
刺すことのない幽玄の天体の様を聞こう

時の間
そうやって眺めていよう
何にも関わらず何をも見ずに

          04.9.27 pm3:26



海にて

2004年09月29日 | こころ寄り
時の間の憩いを思う
この海のこの舟のゆかしき灯りよ

営みの漏れ出でた数々の疲労も
内緒内緒の秘密裏も

暗闇の鎮座するその異空の夢に
しばし我を忘れよう

これを臨む彼の人の思いも
しばし我を忘れて憩えよ

   09.9.27 pm4:14
   M氏作のフォトに


彼岸華

2004年09月29日 | こころ寄り
これは女の雫だわ
aisite sinitai
情念の燃える漆黒から
nanimoiranai
敢えて自らを曝す
弄ばれても泣かされても
ahonaonnano
惚れた男に心が狂う
hitorigurui
貴方が好き
それだけでいい、と。

    04.9.27 am4:31
    M氏作のフォトに





たばこ

2004年09月28日 | 90.1.8~95.7.17
たばこは溜息のかわり
からだは心の身代わり

命を縮めるたばこ
やめられないわたし
やめる気なしと豪語する誰か

わたしたちのどんな言葉も
愚かさの誤魔化し
命を損なうものに
正当な理由などあろうはずもなく
一服の溜息のために
我々は
自らの身を削りながら
刹那内心からの渇望を満たす
繰り返される愚か

せめてその中で
自分の意志から出たエゴを自覚し
頂いた命を蔑ろにすることに
恐れぐらいは抱かないと・・・

自らの思いが
心の中をも
煙で染めてゆく

いつの日にか真っ黒な心になってしまってからでは
遅いというのに

93.2.8


ここに、こうして

2004年09月28日 | 90.1.8~95.7.17
まるで
親に会いたい子供のようです

こんなところに朝から車を止めて
こんなところに朝から腰を落ち着けて
何があるわけでもなく
何が満たされるでもなく
ただ
そちらの方角を窓からぼんやり
そして
明るい陽射しの中に
時計の刻みのように次から次へと流れてくる理解不能の世間の人々を
何の個人的興味があるわけでもなく見送って
町並みを眺めて
何が楽しいわけでもなく
電話できるわけでもなく
会って会話が成り立つわけでもなく
近くまで行ってみる勇気など
とてもなく

ただ
彼の人のイメージを思い浮かべて
ここに、こうして、ぼんやり
まるで
親に会いたい子供のようです
そばにいて
安心していたい
それだけで
ここに、こうして朝からぼんやり
ああ、あそこにいるんだなって
ここに、こうして、朝からぼんやり
そして今、少し気持ちが落ち着いて
あとはただ帰るしかない

ここに、こうして
いたいのだけれど

90.6.23 am10:40