詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

うたかた

2023年12月18日 | 星へ、2021~


本当に、
うたかただ
過ぎて久しく顧みれば
うたかた
良いも悪いも
永永しければ
人生は、
うたかた

漂い
移ろい
浮き
沈み
流れて
うたかた

痛みも
喜びも
愛も
憎しみも
悲しみも
絶望も
最早うたかた

たった一つの
星の中で
世界の
時の中で
一瞬蠢く
単にうたかた。


シシリエンヌ〜青い光り

2021年12月04日 | 星へ、2021~

 

詞 yayoi
曲 Foure


失くした石のような 青い光りには
誰も届かないわ 水の底でさえ
風の歌う声と 共に空の外
わたしも連れてって 青く光る(から)

憧れ 慕い 歌うわ
星に届く弓の音(ね)
いつしか宇宙(そら)の虚空(こくう)
安らかと 無垢な 場所で

そうよ 青い光り 満ちて 溢れて
許し 笑顔で見守る

在りし日の命の 証しとなるよう
青い石をそっと 水に落としたの

  泣かないで わたしは います
  あなたのそばに そう
  病む時はなお
  必ず あなたを支える 必ず

わたし 自由になる 凛と 祈る(わ)
ずっと あなた守る ずっと

この星を照らすわ 宇宙(そら)の彼方から
夢に見たメロディー 口ずさみながら

  わたし いつでも どこでも いる
  あなたの 呼ぶ 声に

 

 

 


娘の面会

2021年11月24日 | 星へ、2021~

遠くの木漏れ日こんなに離れてさらにこぼれて
病室の窓をカーテン越しに踊る
今日も風が強いからね

僅か十分の面接に一時間半かけて
娘が面会に来てくれる

今日は
シュークリーム1
まるごとアップルパイ1
ジャスミンティー1
強炭酸水1

今から本日三回目のリハビリ
それが終わったら
食べよかな





ホームシック

2021年11月19日 | 星へ、2021~


正に還暦だけど
ホームシックになるらしい
何しろ一年間濃く深く密に関わってきた病院だから
何よりも濃く
誰よりも深く

余命出す方と貰う方と
究極の命の言及
その限られた余命の中
抗癌剤と放射線の影響を丸ごと受けた身体の両足の手術をする方と
してもらう方と
患者的に個人の一方通行的にこれ以上の密度の濃さは無いほどに
その合間になんとか希望へとバトンを渡すべくリハビリで繋いでくれた人たち

今日の朝向こうの病院のベッドで目覚め
今こっちの病院のベッドで消灯を迎えた

久しぶりにフォーレのシシリエンヌ聴いてる
コンバスで
いいね
とっても
弾いてみたい
先生が伴奏ですよ
デュオですよ
コンバスの

戻りたいって思ってしまう
向こうの病院へ
これはもう明らかなホームシックでしょ
皆さんの顔が浮かんでしまう
もう会わない人の方が圧倒的に多いでしょ

何だか涙腺が?
胸が?

心細くて、

 

 

 


我慢

2021年11月16日 | 星へ、2021~

 

我慢強いは美徳じゃない
いろいろ我慢してたら
命を持ってかれることになった

何でも我慢して
死ぬことになった

我慢ばっかりしていると
死ぬかもよ

 

 

 


窓の平らか

2021年11月12日 | 星へ、2021~


風が吹いた
山の木々が揺れた
葉っぱが大きな塊になって右へ左へ
枯れ葉は舞い上がり
地上数十メートルの辺りをくるくる回転しながら踊る
鳥が山の稜線に沿って疾走する思う存分自由に
ヘリが真上を行き交う
飛行機は
音も届かない遥か上空を点になって走ってゆく

わたしは病室のここへ座り
眺める
どこを見ても必ず
緑色と青色
ただ眺める

命の重さも含め
木の葉の軽さも含め

天然の理の
平らかに縋る

 

 

 


幸せな光景

2021年11月10日 | 星へ、2021~

 

わたしがもうすぐ行く空がすぐそこにある
目の前にはわたしに良く似た山がある
空と山の間を鳥が大きくカーブしながら
旋回しながら
飛んでいる

雲間の青空なんて
空が遠いのか
近いのか
跳ね返しているのか
呼んでいるのか

木々の葉が風に揺らいで動いているのを眺めるだけで
嬉しい

そこへ
また鳥が
山際を舐めるように移動していたり
空が
やっぱり青かったり
雲が
白かったり更には
飛行機雲が
濃いブルーの地に真っ直ぐな白い線を描いて突き進んでいたり
同時に
何十キロか先の山の連なりも淡いブルーの水彩画のように見えて

ああなんて
幸せな光景か

病室の窓枠の
座ってるだけでわたしに与えられた恩恵

心の中が真っさらになる
気になる

 

 

 

 


命のコンバス

2021年10月10日 | 星へ、2021~

 

一生懸命は
哀しい

黙ってたってもうすぐ死ぬんだし
更なる軋轢を生み
周りを巻き込んで
お金使って
やること

今更切らなくったって大人しく寝ていれば大事にされて
終わっていけるものを
今更切らなくったって

痛くて痛くて痛くて
悲鳴上げて痛くて
泣いて苦しんで痛くて
余命宣告出た後の
末期癌には何ら関係のない足の手術

右も
左も

そうまでしてやること
こんな
只の
素人の
還暦おばさんの
趣味の
コンバス

一生懸命には
命なんて見えない

ただの
変人だ。

 

 


朝毎の崩壊

2021年10月08日 | 星へ、2021~

毎日朝外が明るくなる頃

一瞬で

わたしの何もかもが

崩壊する

 

アイデンティティ

理由

理屈

屁理屈

言い訳

忘れていること

無視していること

見ている方向

やっていること

やらないでいること

やりたいこと

憧れ

絶望

 

陽が昇るのと同時に

全てが

瓦礫になって足元に崩れ落ちる

ただの紙切れに

成り下がる

 

だからまた

一から

構築し直さなければならない

 

全てを思い出しながら

愕然としつつも

一つ一つを拾い直し

組み立て直す

糊で貼り付けるように

 

わたしは

何ですか

 

聞いて

いいですか

 

そして泣いて

いいですか。

 

2021-10-8


チャイコフスキーの6の心

2021年10月07日 | 星へ、2021~

やっぱり

チャイコフスキーのシンフォニー6がいい

最高でしょ

実に相応しい

描ききってる

特に最後のあの表現は

そうよね。

としか言えない

そして

ありがとう。

て言いたい

チャイコフスキーに

よく言ってくれました

よく、描ききってくれまして、溜飲の下がる思いです、って

礼を言いたい

だって

もうすぐ逝くんだから

必ず

そうなるんだから

チャイコフスキーは正に

多くの人等の

代弁者

そしてわたしの

代弁者。

 

 


Bar ber の Adagio for Strings

2021年10月07日 | 星へ、2021~

Bar ber のAdagio for Strings

コンバスだけの編成で聴きたい

出来ればわたしも混ぜてほしい

あの不退転な往くだけのロングトーンを

少しだけでも体感したい

 

あのロングトーンに乗りたい

決して手を

離さないでね

 

一緒に一緒に

滑らかな弓の流れになって

摩擦の無い空間上をどこまでもいつまでも

滑って行きたい

 

決して手を

離さないでね

 

涙は流していいよね

涙は流していい

感情だからね

感情って

そういうもんだからね

涙って

そういうものだから

涙は

流していい。

 

 


タキオンに乗りたい

2021年10月06日 | 星へ、2021~

死ぬ直前にタキオンに乗りたい

わたしは素粒子になって

素粒子の振る舞いに同行したい

そして量子もつれの片割れとして宇宙にまで飛ばされてしまえばいい

どうせ逝ってしまうのだから

 

あるいは一瞬だけでも四次元対応の身体になって

四次元的意識になるのか三次元意識のままなのか知らないが

確かに四次元の空間に入り

四次元の事の理を体感したい

その後身体の内と外が入れ替わってひっくり返ろうと風が吹いて臓器が吹き飛ばされようと

知ったこっちゃないどうせ

逝くのだから

 

それかあるか無いかも存在が揺らいできた事象の地平線で一服しながら

宇宙最強の重力による空間の歪みを俯瞰で見学したあと

ブラックホールの中に入って

果たしてアカシックレコードはあるのか無いのか

確かめたい

解ったところでインターステラーじゃあるまいし最早誰に報告することもできないけど

そして最後にホワイトホールがそもそもあるのか無いのか見極めて

あったら自らその出口に吸い込まれ吐き出されどこへ行くのか

見たい

仮にも、ワープ、するのか

 

タキオンに乗って素粒子の旅をしたら一瞬で済むかも

後は

どうせ逝くのだから

何がどうなったって

ねぇ。

 

2021.10.6

 


幸せ

2021年10月01日 | 星へ、2021~

音楽があって幸せ

素晴らしい音楽が聴けて触れることができて

 

聴くだけで

その中にどんどん浸透していって

浸って

溢れる 喜び

 

たとえ病床の中にあっても

遠くない日の

死の床にあっても

聴くことさえ出来れば。

 

2021.10.1

 


生きた気がする

2021年10月01日 | 星へ、2021~

わたし

この曲好きこの演奏が

好き

ああいいなぁなんていいんだろう

そう思えることが

生きている証明になる

 

それだけのことなのに

今日そこに

命が見えた

 

好きな曲を聞くというそれだけの行為に

大きな大きな生きる力を感じる

 

そんなこと

思ってもみなかった

余命宣告貰う前は

 

昨日も今日もわたし病院のベッドの上で

凄く生きた気がする

好きな演奏を

好きな曲を

いっぱい聞いたから

 

ありがとう

音楽と

音楽の人。

 

2021.10.1

 

 


これが結

2021年10月01日 | 星へ、2021~

画像を結べればいい

その

点と点が生活の中

それぞれ動いて

最短になった一瞬があれば

充分だ

 

写真を証拠として

わたしが生きていける

 

この短い今生も

すぐ後の死後の永遠も。

 

2021.9.30