詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

その人

2005年06月25日 | 個室より
その老齢な女性は
人生の半ばで足を悪くした
それ以降
好きな男から遠ざかった
足の悪い自分の姿なんて
惚れた男に見られたくないと笑う
すでに老人の域に当に達している彼女に
ローティーンの少女心を見た
けな気というより
可愛らしいというより
バカを越して一途過ぎる哀れにも純粋な乙女心
自分が一方的に惚れただけ
男は何も知らないそれなのに
彼女は以来一度も男に会っていない一度も
男を知らない少女の想いそのまま
あっぱれ!
と思われている彼女は本当は
臆病で弱くて
惚れた男の前でだけ心は震える小鳥になる
こんな自分なんか
あの人にふさわしくない
こんな姿
あの人に見られたくない
会えない
こんなわたし
恥ずかしくて
こんなわたし
耐えられない
あの人の前で・・・





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