詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

・・・雨・・・

2016年06月05日 | 深い海 2016

雨の音が聞こえてくる
心にいっ時の安堵をもたらす天然の蠢き
通年閉め切りの溶けたゴムで塞がったままの胸の蓋を開け
雨に濡れそぼつ冷えきった清涼な空気を胸から直に吸いたくなる

世の音も
人の念も
万遍なく容積を満たし途切れることなく地面にまで押しやり
有無を言わさず個々人を箱の中に閉じ込める雨の条痕

錆びた脳も
斃る胸も
萎れた体も
役立たずの足も

鈍くくぐもった薄いグレーの生々しい霞に充てられて
賑わいを寄せ付けない凛然たる暗さに孤独を開放し
クスッと微笑み
わたしは雨と仲良し

雨は優しい
毒々しく銀色めいた鋭利な晴れのフィールドより
押し付けがましく見え見えの露骨に逞しい晴れの青空より
雨は優しい

月の仄かほどではないけれど。

2016.6.4 am10:55






2 コメント

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凄いね~~ (KQ)
2016-06-08 03:17:33
表現が凄いね~~それに私の知らない漢字ばかり(´Д` )凄くたくさんの本を読んでるんだね~~
私の言葉のボキャブラリーは
本当に貧困だわ~~(´Д` )
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んーどうでしょう~ (ao)
2016-06-08 05:37:48
漢字なんてろくに覚えてやしないのよ。
だからキッチリ調べて確認はするけどね。
本も夢中になって読んでたのは遥か昔・・・
今は読んでいることを忘れてしまう有様です。
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