詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

ループ

2015年09月15日 | 深い海 2015

終わっているのに現状を維持してゆく
終わっているのに

微塵の漏れもなく知り尽くしている
終わっていることを

鉛に同化して
重い
手も、足も、身も、心も

圏内も
外も
時間も
身も
心も
もう
終わっている

ただ経過を重ねて
カレンダーの日かずを消化してゆく
永く先の見えない
消耗

死ぬまでの緩慢な
道行き

その中での
一日の中のほんの少しの時間
コンバスを弾いている
座っているだけのわたしの元へ勝手に寄って来る猫たちとそれぞれに小競り合いをして
触って
一緒に寝る

思い返せば三つの頃には
終わっていた
それからの50年以上でわたしは疲れた
人生ということに

三つの頃に既に
今と変わらないわたしが居た

終わっているのに続けて来た
終わっているけど続けて来た

随分とやってきた
50年以上も
わたしという個においての
浮き草のような
人生
という泡沫を

終わっているということと子供時代が始まる前にしっかりと脳で感受して
そのまま今日のこの時点まで

飽きた
もう
うんざりも百乗だ

悔いなどという立派なものはわたしの辞書には無い
始まる前に終わっている者に
プロセスもピリオドも無い

全てはテレビ画面を横切る走査線上の一点にしか過ぎず
延々と
繰り返す

糞みたいな
果ての無い
ループだ。

2015.9.15. pm6:15

 


 


硬い部屋

2015年09月14日 | 深い海 2015

生き急ぐオンナはたったそれだけのことで嬉しい
人知れず涙ぐむ
風速一センチに満たないフィールドの揺れに独りで落ちて
もう、これでいいかも、とさえ思い
涙ぐむ
誰も知らない
当人でさえも

生き急ぐオンナの生態はヨレヨレで
指一本の刺激で倒れこむ
本来外の世界へなど出られないはずを意識でハッキリ自覚した上で敢えて晒さざるを得ない
充分過ぎ誰よりも解っている
たとえ時速一センチのアテンションでさえ
いっそ殺してくれと言いたくなる程に

笑顔で
耐える

生き急ぐオンナの自意識は一瞬で砂と埃と光源の無い地中深くのコンクリートの箱に変貌するいつまで経っても風雨に剥き出しのテラテラのアンテナ
0.1ミリの風圧で壊れる

求めるのは
孤独
絶望
セルフネグレクト

緘黙沈潜の
面消去

だって
ベテランだもの
筋金
凄いもの

生き急ぐオンナには孤独も絶望も自虐も安堵に過ぎず
人生の営みが終わる時を夢み
人生分の一日を終わらせるため

全てを無視して
横たわる。


2015.9.14 pm11:58