詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

ただの音こそ

2013年12月13日 | 音の前 contrablue
気がつくと引きづられている
油を塗った激しい傾斜
蓋の出来ない穴の底へ

脆弱の変わらない皮一枚の薄い薄いキャパシティは
一瞬にして蒸発する
抗う行為も瞬時に無に落ちて
心臓が苦しい

いつもそこに立っているコンバスが
かろうじてわたしを支えている

自分を昼に繋ぎ止めようとする識は
コンバスに思いを馳せることにより
小さく小さく
発生する

劣化の身体、欠損な心
思うように練習が出来ないと思い知る
それでもコンバスが
ただ、居てくれている

人ではなく
心ではなく

こんなわたしの
ただの
音こそ。

2013.12.11 am8:04

歩く奇跡 (公園 5)

2013年12月05日 | 空の森 2013

初めて
正味1時間を歩く

それは確かな
奇跡

過去20年近くに及ぶ隠遁厭世引篭り生活の
足も身体も心も何も可も寝たきりの老人のようになってしまったわたしの
まごうことなく
奇跡

黙々と
視線は下に
亀のごとく
誰よりも遅い

不安定な身体
もっと不安定な

攣りそうな

痛い痛い、足

汗ばむ額
汗ばむ上体
暖まっていく
左手

冷たい空気の
絵のような気持ち良さ

吸い込まれるような
夜の公園の
冷たい
快感

初めて帰りに買った缶ビールの350ml
美味しい
心に染み渡る
快感

歩くことで得ることのできた
わたしの、快感

20年越しの
快感

動くということの
奇跡

心が動いた
もらった
勇気
気づかされた
わたしにも自信というものが
有るということ

歩く
奇跡

わたしの
奇跡

感謝
しています。

2013.12.5 pm10:04


公園4

2013年12月03日 | 空の森 2013

初めて
外周だけを歩く

テニスの人等の声や
サッカーの人等の声や
わたしを追い越す人の靴音や
車の行き交う音や
その
音だけをただ聞きながら

黙々とうつ向いて
歩く

本当に、ゆっくりと
一歩一歩噛み締めるように
歩く

そのベンチの一点を目指して
歩く

休んでいる間
吐く息の白く
眼鏡の曇ることに
気付く

汗は冷たい空気に紛れ
なんて心地のいい

攻撃の西日もとっくに終わり
外灯に薄ぼんやり浮き上がった夜の公園

次に休んでいる時
ああ此処にコンバスを置いた絵を描きたい
と思う
構図をイメージしてみる
色をイメージしてみる
いらないものはカットして・・・

何回目かの外周の後は
ベンチに座らずそのまま帰る

その人に
貰った自信をお守りとして胸に固く握り締め
わたしは今日も
歩くことを
しています。

2013.12.3 pm7:31


公園3

2013年12月01日 | 空の森 2013

夕以降
夜に押し潰されつつも地平ギリギリの猛々しく露わな西空の緋色

星一つ大いに輝く
黒が覆う木々の傘々

無風の芝の上の
こんな季節でも草いきれの匂う

ウォーキングの男
子犬の散歩の女

頭の中のピアソラの
コントラバヒシモ

刺す光戦の皆無
わたしの安堵

好んで歩く
芝の上土の上

くねくねとよろよろと
のろのろと

何回目かの
草いきれ

匂い立つ
こんな季節なのに

毎日毎日多くの人等に踏まれ疲れているだろうに
カサカサと鳴る枯れ草の

わたしの胸に楽しい


それは
歩くわたしの足が敢えてさせている


カサカサ カサカサ

何回も
何回も

そして最後の草いきれの匂う
健気

夜の
公園。

2013.11.30 pm11:09