詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

自由

2014年10月09日 | 白い小石-M君の。

               そうよね
               わたしの羽根なんて無いも同然ヨレヨレの
               何の元気もない穴だらけの、薄過ぎる羽根
               そんなこと考えたこともなかった

               あなたを守り、包み、保護したいなんて
               身の程忘れた独りよがり

               あなたの羽根は
               飛べた
               わたしはとても追いつけない

               そうよね
               わたしを遥かに凌駕したあなたの俯瞰の眼

               わたしこそが
               あなたに、守られていた

               あなたはわたしを落さず
               わたしを留め
               わたしが決して其処へは入れないように
               した

               あなたは
               自由

               あの日も
               今も。

               2014.10.9 am1:10






君の声

2014年08月09日 | 白い小石-M君の。

君は本当は
待っているの?

わたしは
留めているの?

君を本当に
抱きしめてあげたいのに
わたしは永遠に
離れなきゃいけない?

わたしこそが
戻らなきゃいけない?

わたしは君を
縛っていますか。

轢かれた仔猫の骸は悲し過ぎて
わたしは思わずブレーキに足が掛かる
センターラインの上に横たわった小さな体は
痛みと苦しみと恐怖と不安と心細さと
親猫を求める恋しさと
親猫を呼ぶ声にならないか細い泣き声と
どうしてあんなところであんな風に死ななきゃならない
わたしはごめんねって言うことしか出来ずに通過するだけ

あの子の上に重なったのは
わたしですか?

「僕が代わりになればよかった」

わたしが駅に行けばよかった
その日のうちに行けたのに
朝の続きができたのに
君の声を
聞けたのに
傍に
居てあげられたのに

誰の死より
君の死だけが

痛い。

2014.8.8 am5:10

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ギターの弦のキーホルダー

2014年01月28日 | 白い小石-M君の。

わたしが何気なく作った
張替えで余ったギターの弦のキーホルダー

おむすび、
って冗談交じりの名前を付けて、君に見せた

思いがけずに君は、欲しい、って
驚いた、嬉しかった

数ヶ月後に会った時
君はそれを携帯に付けていた

頼りなさげに一つそれだけが
小さく揺れていた

こんなんでいいの?
うん。aoさんが作ったものだから・・・

君は
嬉しそうに、はにかむように

笑って言った

M君わたしは
今も今までもこれからも

君が
大好きだよ

そして
その時の君の無垢な心に間断なく同化するのを躊躇させた

自分に対する過度な過小評価が
君に関わる全てを失う結果に繋がったって

今思い知らされているよ
取り返しのつかない

無の中
虚の中で。

2014.1.27 am4:34


コンバス。

2013年11月18日 | 白い小石-M君の。

何で青い猫がコンバス弾いてるんだろう
自分はもう弾かないのに

弾きたくなったって
二度と弾けないじゃない

君のあのコンバスはどうなったの?
わたしには何も解らない

解らないまま
君が冷たい石の中にいる

わたしはまた其処へ行けるかしら
いつ?

m君わたしね
コンバス弾いているんだよ

君が離してしまったコンバス
今わたしは弾いている

そしてそこに何よりもの
幸せを感じている

君に見てもらいたかったよ
毎日毎日下手な音でコンバス練習しているわたしの姿

わたしコンバス弾いているんだよ?
君と一緒に買いに行ったあのコンバス

コンバスはわたしを
掛け値なく笑顔にする

m君、
わたし、幸せだよ

君無しで
コンバスに触っている

君は必ず
喜んでくれるね

笑ってくれるね
笑ってほしかった

君に
笑ってほしかった

ありがとう
m君

そして
ごめんね。

2013.11.18 am9:16

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ごめんね。って

2013年11月18日 | 白い小石-M君の。

君に謝りたい
会って
ごめんねって言いたい

君に謝りたい
会って
ごめんねって言いたい

君に謝りたい
会って
ごめんねって
言いたい

君に謝りたい
会って
ごめんねって
ごめんねって
ごめんねって。

2013.11.18 am7:42


m君ごめんね。

2013年11月18日 | 白い小石-M君の。

m君ごめんね
君の本質をわたしは一番底の底最奥の深くまで見てあげることができなかったんだね
m君ごめんね
あの頃わたしは自分の辛さにかまけて、いたんだね
m君ごめんね
君の心はまるで叩きのめされた子猫のように
不安で
頼りなくて
傷だらけで血だらけで
すでに倒れていた
他のもののケアを
もっともっと確実に
真実必要としていたんだよね
m君ごめんね
わたしはあまりにも遅い
遅い
気づくのも
解るのも
君の心に
届くのも
あまりに
遅い
遅い
遅すぎて
君を独りで
死なせてしまった
君は決してわたしを責めない
あの頃も
今だって
君は何があったってわたしを責めたりはしない
解っている
解っているよ
君はわたしの全てを許しているね
あの頃も
今だって
m君本当に
ごめんね
ごめんね
謝ることしか
できないよ。

2013.11.18 am6:45


ずっと、

2012年11月22日 | 白い小石-M君の。
君が心の中に、
今も居る

何につけても、
君を思う

死者との会話はできないから、
一方的に君に、
話しかけている

世の中の、
良いことも
悪いことも
何だって、
もう知りえない君に、
教えてあげるの

一緒に、
居たかったよ
もっと、
会って、
話して、
どこへだって、
一緒に行って
もっと歩きたかったね
一緒に

此処へ君を、
呼びたかった

もっと早く準備を、
しなきゃいけなかった。

どうして君を、
わたしの胸の中から
手放すことができよう

放す必要が
あろう

そんなものは、
何一つ、ない
どこにも、
ない

わたしは君を、
これからだってずっとずっと
わたしの胸の中
心の奥そのかいなで
抱きしめていくよ

手を繋げばよかった
手を繋いで
繋いだまま
眠ってあげればよかった

わたしは、
そうしたかった、
そうしたかったよ

そう、
手を繋いで、
抱きしめてあげたかった

君がわたしにとって
どんなに大事な人か
愛おしい人か
ちゃんと、
伝えなければいけなかった

君は単体としてどんなに価値ある存在か
鬱陶しがられても鬱陶しがられても
何回も何回も君が呆れ果て改めて珍しい生き物を見る目でわたしを客観的に違う視点で見つめ直すまで、
言わなきゃいけなかった

わたしは自分の人生が終わるまで
君を放したりはしない
もう
決して、
決して、
独りにはしない

君にはわたしがいる
わたしがいる
君の心を抱き続ける
わたしがいる

もう決して手放さい
君の手を

これからも、
ずっと
ずっと

『繋いでいるよ』。

だから、
安心して。

て、
言わなきゃいけなかった
わたし。

2012.11.20 am10:40



初見のバッハ

2011年12月05日 | 白い小石-M君の。
バッハの1007のプレリュードを、
ササッと初見で弾いて聴かせてくれたM君。

過剰なものも足らないものもない
素直で
澄んで
泳ぐような
音楽を自分で作っていくことの出来る人の
確かな
音楽の音だった。

その立ち姿は、
美しかった。

立派だったよ。
M君。

目の前で初めて
本物を目の当たりにすることができたわたしの、感動。
心が
大きく動いたよ。
喜びに、躍った。

感激に
胸が
奮えた。

わたしは演奏を邪魔しないように小声で
凄ーい、凄ーい、って
何度感嘆の声をもらしただろう。

ああ、プロだなぁって
つくづく、仰ぎ見てしまったよ。

爽やかな風を
呼吸した。

君の生徒になるはずだったのに。
たった一回のレッスンで全てが終わってしまったね。

ずうっとずうっとゆっくりといつまでも
わたしは君の生徒でいたかった。

もう、
4年を過ぎた。

この街にもね、コンバスなんていう人口の少ない楽器を教えてくれる場所があるけどね
どうしようも、ないよ、M君。

だって君じゃない。
全て
君じゃない。

君だからこその
わたしという生徒が生まれたのに。

楽器はそのまま埃をかぶってる。
調弦の仕方さえ、知らないままだよ。

どうしたら、いいんだろうね。
わたし。
わからないよ。
まだ、
わからないままだよ。

コンバス、大好き。
弾けるように、なりたいのに。

君がいない。
だから
全てがない。

もう、触ることさえ出来ないよ。
何を、どうしたらいいんだか。
知らないよ。
わたし。

わからないよ。
わたし。

弓の持ち方さえ、
忘れてしまったよ。

2011.12.4 am3:24







お墓

2009年12月02日 | 白い小石-M君の。

君のお墓の前で帰り際また白い石を拾った今度は一個だけ
秋も終わりというのに初夏のような暑い陽が降り注いでいた

君の居るお墓はとても立派で
抱きしめてもあげられないほどに立派で
わたしは泣きじゃくっていたけど
同胞となった多くの人達と共に君の名前が、
ほっとしたよ

君が望んでいた結果になって
君の望んでいた終の棲み処に確かに君は居た
あんな大きな立派な石の中に白い骨になった君が
居る
その骨を取り出して抱きしめてあげたかったけど
問題になってしまうよね

君亡き後君の住んでた部屋へは一度も行ってないけど
それが正解だね
まだあの部屋がそこにあるような気がして
わたしは時々君の部屋の情景を思い出す
記憶の中で君の部屋は君の部屋のままそこにある
いつもドアの前に置いてあるお隣さんの大きなバイクもそこにある
玄関も台所もお部屋もそのまま
そこにある
そして君の姿が
そこに在る
座って
おひざしたまま大きなカップでコーヒー飲みながら
やんわり笑顔浮かべてテレビ見ている君が
居る

君を失くしたわたしの悔いは一生消えないけど
君が居るあの部屋の情景がわたしにあるのは
きっとわたしに与えられた慈悲かもしれないね

君が買ってくれたドライフラワーの甘い香りは
まだ瓶の中で甘く香ってるよ

死の間際に君が送ってくれた青い猫も
この間やっと宝物の箱の中から取り出して机の上に置くことができた

やっと
行けた

君の
愛しい其処に。

09.12.2 am2:59

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血の色

2008年11月19日 | 白い小石-M君の。
画面に映し出された赤いだけの文字は
きっと君の心の中の
噴き出すことさえ出来なかった
血、
だね

夢の中で誰も君の死を騒いではくれなかったよ
だからわたしは泣くことさえ出来なかった
目覚めたらやっぱり哀しいんじゃないかって気がついたから
もう君の心の赤いだけの血の文字を
怖がることはない

だって哀しみに血はつきものだから
赤くて当たり前なんだ

画面の上で赤い文字は形式ばって
決して乱れて崩れ出したり
どこか一箇所でも穴が開いて溢れて噴き出したり
しないんだろうか

わたしはいつでもかまわないよ
それは確かに血って解かったから

粉雪はキレイ過ぎて
心の傷が塞がらない
暖かい人の心の
昼の景色のようだ

湖のような血溜まりの真ん中で
体中血まみれに濡れて真っ赤に光って
動くことも出来ずに途方に暮れて
叫ぶことも出来ず声を出すことさえ出来ず
助けを求めることは知らず
痛みは
流れる血に他ならない。

だから
安心して。

08.11.19 am6:06












真実の音。

2008年03月18日 | 白い小石-M君の。
わたしの罪は
君を7ヶ月放っておいたこと

その罰は
君の自殺

カラカラ音がしているよ
何も引っかからない空転する音が
聞こえているよ

ただ カラカラ カラカラ 
いつまでも空転する音

誰も居ない部屋で
わたしが死ぬまで空転する、渇いた音

あまりに虚しい
真実の音
空無な音。

karakarakara
karakarakarakarakara・・・

08.3.18 am3:40


わたしは逃げた

2008年03月18日 | 白い小石-M君の。

君を敢えて死なせてしまった
事実でしょう
誰がどう言ったって
事実は事実

君はすでに死んでいるのだから
その事実は二度と変えることはできない

それが事実

わたしが君から逃げないで新幹線に乗ってさえいたら
君はあの日、自殺しに家を出ることは無かったと思うよ

わたしが逃げた
わたしは逃げた

それが事実
君を敢えて死に向かわせた事実

わたしは敢えて君を死に追いやった
それが、事実。

2008.3.16 pm7:13


取り返しのつかない7ヶ月

2008年03月18日 | 白い小石-M君の。

4月に会ったのが最後、11月に死ぬまでの7ヶ月
わたしには文字通りの7ヶ月でも
その間君に流れていた時間は
わたしの2倍、3倍の量だったんだよね

わたしは、
また会いに行くのが自明の理のことと思って高をくくっていた

それじゃあ君には遠すぎた
時間も
事象も
わたしも

遅すぎた

新幹線に乗ればいいだけのことなのに
それを7ヶ月しないで
君を放っといたわたしの、罪と、罰。

2008.3.16 pm6:56