詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

お墓

2009年12月02日 | 白い小石-M君の。

君のお墓の前で帰り際また白い石を拾った今度は一個だけ
秋も終わりというのに初夏のような暑い陽が降り注いでいた

君の居るお墓はとても立派で
抱きしめてもあげられないほどに立派で
わたしは泣きじゃくっていたけど
同胞となった多くの人達と共に君の名前が、
ほっとしたよ

君が望んでいた結果になって
君の望んでいた終の棲み処に確かに君は居た
あんな大きな立派な石の中に白い骨になった君が
居る
その骨を取り出して抱きしめてあげたかったけど
問題になってしまうよね

君亡き後君の住んでた部屋へは一度も行ってないけど
それが正解だね
まだあの部屋がそこにあるような気がして
わたしは時々君の部屋の情景を思い出す
記憶の中で君の部屋は君の部屋のままそこにある
いつもドアの前に置いてあるお隣さんの大きなバイクもそこにある
玄関も台所もお部屋もそのまま
そこにある
そして君の姿が
そこに在る
座って
おひざしたまま大きなカップでコーヒー飲みながら
やんわり笑顔浮かべてテレビ見ている君が
居る

君を失くしたわたしの悔いは一生消えないけど
君が居るあの部屋の情景がわたしにあるのは
きっとわたしに与えられた慈悲かもしれないね

君が買ってくれたドライフラワーの甘い香りは
まだ瓶の中で甘く香ってるよ

死の間際に君が送ってくれた青い猫も
この間やっと宝物の箱の中から取り出して机の上に置くことができた

やっと
行けた

君の
愛しい其処に。

09.12.2 am2:59

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