詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

ゴキビビ

2004年10月29日 | 娘-ちいさなM
こおろぎの鳴く声を聞いてM は
「ゴキビビが鳴いている」
と言うので
「あれはこおろぎの声だよ」
と言っても
「ち・が・う!ゴ・キ・ビ・ビ!」
と言い
わたしが行ってからもずっとそこにいて
「ゴキビビ、早く、おうちへかえんなさーい!」
「早く、ネンネしなさーい!」
「いい子だからネ」

話しかけていた

82.12.21



ひとりの人間

2004年10月29日 | 娘-ちいさなM
触ると暖かく
抱きしめるとマシュマロのように柔らかな
わがままで
天真爛漫で
喜怒哀楽の激しい
繊細な心の
ひとりの人間がいる

歩くことの上手な
しゃべることの好きな
1才7ヶ月の子供がいる

それはわたしが生んだ子供
わたしのお中の中に
10ヶ月も入っていた子供

わたしの腕の中に眠る
その子の顔が
とても知的で人間らしい

M はわたしの所有物じゃない
孤独な個人
ひとつの人格

82.2.26


Mが風邪をひいた

2004年10月28日 | 娘-ちいさなM
Mが風邪をひいた
医者は風邪という病気は無く
病名は咽頭炎で症状が風邪でしょ
というがそんな理屈には関係なく
Mは苦しんでいる

大人よりも頑固な咳で
息も出来ないくらい苦しむ
目はとろんとうつろ
元気もない
ひどく無理を言ってぐずって甘えて泣く
わたしの側から離れない
鼻も詰まって苦しそう
のども気管支も真っ赤に腫れているという
ご飯もお菓子も食べれない
戻してしまうこともある
熱もあるし眠っている時間も長い
薬も飲んでくれない

なのに
Mはおどけてみせる
ふざける
得意のポーズで愛嬌振りまく
一生懸命の目をして
わたしたちと一緒に生きようとする

それもこれも全てが
風邪の上に成り立っているのかと思うと
目頭が熱くなる

突然抱きしめて
頬寄せて
強く強く抱きしめて
ずっとそうしていたい
そんな思いでMを見ていた

82.1.12


大人は忙しくなると

2004年10月28日 | 娘-ちいさなM
大人は忙しくなると
怒りっぽくなる
わたしはその代表

そのたびに迷惑を被るのは
娘のM

いつもなら
笑えることでも叱られたり
お説教で済むはずがこずかれたり
五秒で終わることでも
二分かかったり
母親の気持ちが急いでいたり
虫の居所が悪かったりすると
子供におはちが回るのでたまらない

Mが物心つくまでに
もう少し柔らかい母親になる必要がある
と思っているのです

82.1.3



未練

2004年10月06日 | 娘-ちいさなM
このまま冷たい

の中に居たいけど

海と空が交わる世界で
出来るならずっと
ここに安堵を感じていたい

けど 
帰らなければ

わたしひとりをすがって生きる
Mが待っている

81.12.30


わびしさ

2004年10月06日 | 娘-ちいさなM
慣れない部屋へ
Mと帰る

ガスレンジ無く
使えない風呂
目に沁みる汲み取りトイレ
大昔の窓
カーテンの余裕はない
寒々しい
食器棚
余裕ない
点在する皿
ナメクジが出た
見るのも嫌な台所

精神が及ぼす
違和感
釈然としない思いがつのる

でもわたしは負けない
淋しさに
貧しさに
みじめさに、負けない
こんなことには負けられない

わたしとMの
しあわせのために。

81.9.27 am3:00


Mの心

2004年10月05日 | 娘-ちいさなM
大地に小さなふたつの足ふんばって
風が吹くたび
「ワアー!!」
と大きく腕いっぱい広げる

はるかな はるかな空に向かって
手のひらいっぱい広げる

それがMの心

小さな胸
ふくらませ
おどろきと
よろこびの瞳向けて

81.5.30