詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

クサクサ

2016年06月28日 | 深い海 2016
何なら老化も進むわたしひとりがよすがの猫三匹を引き連れてオサラバしたいくらい
この世と
此処と
あれと

ほっんとうにクサクサ
クサクサ
腐腐

この継続の恒久に思いを馳せれば
それは鈍臭い嫌悪に満ち満ち溢れた圧縮する悪寒の中の精神と魂の陵辱
その陵辱へのパラサイト

なまじにある種機能し過ぎる脳みそを持っているが故の絶望
孤独に馴染みすぎた人生の退廃

辛うじて切れ切れに持続する本能が好むのはやはり肥えた豚より痩せたソクラテス
痩せた
ソクラテス

飢餓が生むのは
羨望の痩せた
ソクラテス

あなたはとても欲張りだと宣ったかつての専門家
違うよ

飢えているだけ
飢えが発生させる幻

飢えには入れないと
飢えは収まらない

埋めないと
肥大する

肥大した飢餓は
我を持て余し我を飛び出て我を侵食しながら暴走する

そしてテンションマックスのまま張り詰めて
弾力を失い
伸びきって
何年もあるいは何十年も強引に張り詰め続けた糸が
耐え切れず
突如切れた時人は
自らの終わりを夢想する

夢想にも慣れ過ぎて飽き過ぎて逝ってしまって
孤独も絶望も最早犬の糞ほどの意味もなさなくなった時人は
本気になるのだ
終わることに

真面目は残酷だ
生真面目は煉獄だ

自分を終わらせることすら出来ないまま
延々と終わりが続いてゆく。

2016.6.27 am12:36

・・・雨・・・

2016年06月05日 | 深い海 2016

雨の音が聞こえてくる
心にいっ時の安堵をもたらす天然の蠢き
通年閉め切りの溶けたゴムで塞がったままの胸の蓋を開け
雨に濡れそぼつ冷えきった清涼な空気を胸から直に吸いたくなる

世の音も
人の念も
万遍なく容積を満たし途切れることなく地面にまで押しやり
有無を言わさず個々人を箱の中に閉じ込める雨の条痕

錆びた脳も
斃る胸も
萎れた体も
役立たずの足も

鈍くくぐもった薄いグレーの生々しい霞に充てられて
賑わいを寄せ付けない凛然たる暗さに孤独を開放し
クスッと微笑み
わたしは雨と仲良し

雨は優しい
毒々しく銀色めいた鋭利な晴れのフィールドより
押し付けがましく見え見えの露骨に逞しい晴れの青空より
雨は優しい

月の仄かほどではないけれど。

2016.6.4 am10:55





コンタクト

2016年06月02日 | 深い海 2016

夢のような夢を見た

自分ではどうする術も持たず
混乱の渦に翻弄されリピートの中をぐるぐるぐるぐるただ溺れているだけの顕在意識を
寄せ集め、拾い集め、継ぎ接ぎし、掬い上げ
無秩序に切り張りされた真意の断片が
そのストーリーを無理矢理こじつけるように組み立てて
苦し紛れも必死な本能がもがいてもがいて哀しい程懸命に映像を結び
色も形もコトバもニュアンスの芽さえ醸すことも出来ない意識の最下層の
日常の中では感情がほんのちょっと横を見ることも許さずに意識の届かぬ無意識の底に沈みかけている一番端の一角に
ほんの一瞬
浮き上がって

無意識からの
コンタクト

意識はさらにスーパーエゴに塗りつぶされて何一つの動きも無い自身に
毎日毎日本来何の謂われもない罰を止まることなく延々と人生分垂れ流し続けて
わたしはわたしに呪われて
眠りの中でさえ自分を律し戒め
夢に思うことさえ禁止して
抑圧は人の心なんていとも簡単に抹殺します

ありがとう見えないくらいに小さな微々たる無意識のわたし
その夢の尻尾を辛うじて感じた
すかさず切れないように消えないように現実の顕在にまで手繰り寄せ照らし合わせ祈るように分析し
罪の真相と
罰の善し悪しを
危険なく意識に滲ませることが出来ました

わたしはただ自然の範疇に生まれ出て
単に人である事実は万物と同じ

夜見る夢はいつも
あまりにも現実離れした架空のストーリーが幾重にも混ざり合い取り留めのない支離滅裂な混濁だけど

その夢のような夢は
初めて
わたしの無意識がわたしに見せてくれた汗一滴分の優しさ
わたしがわたしから差し出された
綺麗にたたまれた一枚の白いハンカチ

あなたは今までずうっと
わたしに気付かれることなく
わたしを見ていてくれたのですか?

2016.6.2 am2:32



衝動

2016年06月01日 | 深い海 2016

壊したくなるのは子供の頃から
人生折り返した今もその衝動とは常時対峙している

治めることに数え切れない多くの時間を無益にただ眺め
治まったと思う尻からまたぶり返す

そうして詩を書くことが出来るあなたはまだいい
ある時知らない専門家に宣われた

いいですか何十年も人生を無駄にして
肥えた豚より痩せたソクラテスは生き様の魅力

あなたが看ているそのクライアントが羨ましかったよ
そんなに思ってもらえて

死ねる人が羨ましいなんてね
死んだように生きていく重労働をポイッと捨てられて

始まりさえ壊れて無かった
鍵もドアも部屋も人も

愛は人の御話
小さな箱の中のフィクション

荒漠に居て
寂寥だけを見ていたから。

2016.5.31 am11:26