Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ダマスクローズ 217

2021年04月16日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

タイユヴァン(このブログで初めて彼の名が出たのは2020/2/7でした)のヒポクラスのレシピは次のとおりです。

 

タイユヴァンのLe Viandierから、

  1. ヒポクラス(Hippocras;スパイスワイン)。

非常に細かいシナモン4オンス、カシアのつぼみ2オンス、メカジンジャー1オンス、グレインオブパラダイス1オンス、そしてナツメグとガリンゲイルをまぜたもの1/6(オンス)。全てをよく砕く。この粉を1オンス相当の量それに砂糖8オンスを用意してワイン1クォートに混ぜる。

 

クリスマスが近づくと、このスパイスワインを作って(男は)少しずつ口に含ませながらクリスマスの料理作りを手伝います。(今の話です)

日本で言えば、お屠蘇に当たるのでしょうか。お屠蘇は白朮(ビャクジュツ)、山椒、桔梗、肉桂、防風、陳皮、細辛(サイシン)、防風、乾姜(かんきょう)、鳥兜などを使いますが、摂取する目的は同じようなものでしょう。(随分と物騒なものが入っています。ご自分では作らないように)

 

ヒポクラテスは、エーゲ海に面したイオニア地方南端のコス島に生まれ、医学を学びギリシャ各地を遍歴しました。ヒポクラテスの名を冠した『ヒポクラテス全集』は、ライバル関係であったクニドス派の著作や、ヒポクラテスの以後の著作も多く含まれていますが、医学を原始的な迷信や呪術から切り離し、臨床と観察を重んじる経験科学へと発展させました。四体液説を唱えるなど、人間のおかれた環境が健康に及ぼす影響についても著作を残しました。これらのヒポクラテスの功績は今までに何度も取り上げてきたことから記憶にしっかりと残っていることでしょう。古代ローマの医学者ガレノスを経て後の西洋医学に大きな影響を与えたことから、ヒポクラテスは「医学の父」、「医聖」、「疫学の祖」などと呼ばれています。

  

https://www.travel-zentech.jp/world/map/greece/Kos-Island-Map.htm 

 

哲学者ソクラテスよりおよそ10歳年少で、この時代はギリシャの古典期にあたり、ペルシャ戦争に勝利したアテナイは、最盛期を迎え、哲学、建築、彫刻、文学など数多くの分野で今日まで影響を及ぼす程の文化が生まれた時代です。

五編引用しておきます。ヒポクラテスの、病に対する姿勢を汲み取って頂ければと思っています。ただし彼も時代の流れの中で生まれ、その中で育てられた医師です。時代の色に濃く染まっていることは当然のことです。そのつもりでお読み下さい。

 

ヒポクラテス コーパス(Hippocratic Corpus)から、

『城内の兵士たちは、私たちの部下が大いに怒り狂ってやってくるのを見て、自分たちを守るために死にものぐるいで、多くの兵士を槍、火縄銃、石で殺したり負傷させました。このとき私は水兵でした。私は傷口の治療に当たって、銃でできた傷をまだ見たことがありませんでした。私がジョン デ ビーゴ(John de Vigo)の最初の本である第8章の一般的な傷の項を読んではいたが。

銃による傷は、火薬のせいで毒を帯びていた。私は、焼灼治療の際に少しの解毒剤に熱く熱したエルダーオイル※を混ぜ合わせるように命じました。

そして間違いが起きないように、私が言ったオイルが使われる前に、これが患者に大きな痛みをもたらすことを知って、私はそれが使われる前に、他の外科医が最初の手当に何をしたかを尋ねました。それは、綿栓と串線を使って、私が述べたオイルをよく沸騰して傷口に入れたとのことでした。だから私は勇気を出して彼らと同じように施術したのですが。ついに私の油が不足したので、代わりに卵の黄身、ローズオイル、テレビン油で作った消化剤を適用することを余儀なくされました。

焼灼をするというやるべきことをしなかった、又、火薬の毒で傷んだ場所に油を使っていなかった、それらの理由でその夜、私は静かに眠ることができませんでした。傷を見ておくべきだと思いました。私は朝早く起きて彼らを訪ねました。私の予想を超えて、私が消化器系の薬を塗った人は痛みや炎症、腫れがなく、その夜はかなりよく休んだようでした。一方、沸騰した油を使った他の人たちは、傷口の端に大きな痛みと腫れがあり、熱っぽさがありました。

それ以来、私はこれら銃創を持ったむごたらしい貧しい人々に心を痛めることはありませんでした。』

 

※エルダーフラワー Elder flower (Sambucus nigra、セイヨウニワトコ)

ヨーロッパ、北アフリカ、南西アジアの温帯、開花期5~6月、エルダーフラワーは、真っ白な花がハーブティやシロップとして利用されるハーブの1つです。リラックス効果があることで知られ、古代エジプト文明の時代から、民間薬として利用されてきました。

  

https://www.growveg.co.uk/guides/recipe-ideas-for-elderflowers-and-elderberries/ 

 

エルダーフラワーはニワトコ属に分類される落葉性の中~低木です。樹高は2~10mほどに生長し、葉っぱは卵型で、縁にギザギザがあります。初夏には白い花を枝先にたくさん咲かせます。花の大きさは3~4mmで、甘いマスカットのような香りを漂わせます。その後に結実し、黒い実をつけます。この実にも花と同じ薬効があり、シロップやジャムなどに調理されます。

エルダーフラワーに含まれるフラボノイドやクロロゲン酸といったポリフェノール成分によって、発汗や利尿作用が期待できます。また、ケルセチンというフラボノイドには強力な抗酸化作用があり、風邪の初期症状や花粉症などのアレルギー症状を緩和する効果もあります。

欧米では果実が赤いセイヨウアカミニワトコ (European red elder)、果実が黒いアメリカニワトコ (American elder)、セイヨウニワトコ (Black elder) などを利用して、果実を果実酒やジャムにしたり、花を解熱、鎮痛等の薬用にします。花を砂糖といっしょに柑橘類などを入れて煮詰めて作ったコーディアルは、イギリスやオーストラリアでエルダーフラワーコーディアル(Elderflower cordial)と呼ばれ、水で薄めて飲用します。また、薄めずに飲むエルダーフラワー (Elderflower) と呼ばれているレモネードタイプもあります。又、オーストリア、ドイツではホルンダーブルューテン (Holunderblüten) と呼ばれ、水やクラブソーダ、プロセッコ(イタリア ヴェネト州の白のスパークリングワイン)で割っていただきます。

 

 


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