カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

幻の五新鉄道を行く  その2

2006年09月26日 | ☆ ふるさと・大和



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スタッフの立っているガード下をくぐる。
上がこれから歩く、幻の五新鉄道である。
すぐに短いトンネルに入る。
昭和14年に着工された最初のトンネルが、これなのだろうかと、トンネルの壁を見ながら思う。
トンネルを出ると地元の生活が両脇に広がり、現実に引き戻される。
彼岸花が咲き、栗が実り、トランペットエンゼルの花の咲く普通の道路である。

やがて、大日川の自動車停留所の標識が見えた。
ただ標識だけである。
鉄道が敷かれていたら、おそらく駅舎が建ったであろうと、標識を見てふと思う。
その先が木の繁る深い山になって、こんもりとした木の被さるトンネルの入口が目に入る。




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この日に歩く道路の中でもっとも長い大日川トンネルに入る。
「綺麗!」
思わず声が出た。
トンネルの中がカーブをしているのか、出口の見えない暗闇の両側に並んだ燈火
が、ずっと先まで続いている。
普通の道路のようにとトンネル内に明かりがない。
ただあるのは、ゆらゆらゆれるローソクの明かりのみである。
見事な燈火会の世界を創り出している。
三脚なしで、トンネルの壁に体を固定して撮ったが、手ぶれはどうしようもない。
千燈の火に導かれるように歩く。
前後に人がいるのかいないのか、静かだ。
やっと出口の明かりが見え、その先はかなり高い場所にいることが分かる。
遥か下に道路と丹生川が見える。

暫く行くと衣笠トンネルだ。全くの無燈で、懐中電灯のみが頼りだった。
不気味な感じだが、長くないのでほっとする。
ここを出ると、この鉄道路線の歴史などの資料の展示パネルがあった。




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最後に短い黒渕トンネルを過ぎ丹生川を見下ろすように沿って歩くと折り返し地点の城戸に到着した。
奈良交通バスもここまでである。
五條市役所西吉野支所の茶色い建物を見下ろして、ここで昼食をとる。
ドリンクのサービスもありありがたかった。

さらに山奥へと湯づくトンネルが見えたが、閉鎖されていた。

1996年カンヌ映画祭でカメラ・ドール(新人賞)を受賞した、河瀬直美 監督の「萌の朱雀」は、幻となってしまった五新鉄道とその当時の村の人の暮らしや思いを映画にしたものである。
俳優は一人しか使わず全てこの地に住む人の出演であった。

現に自動車道に使われているとはいえ、本来の目的の実現に至らなかった「無残なトンネル」をこの日歩くことによって、映画の中のシーンと重なったし、平和を考える歩きにもなった。




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幻の五新鉄道を歩く  その1

2006年09月25日 | ☆ ふるさと・大和



24日、市のイベントに娘と孫とウォーキング友達と一緒に参加した。
「テーマは「まぼろしの五新鉄道ウォーキング」である。
受付で貰ったコースをスキャンした。
赤いところは、この日のコースで、JRから引き継いで奈良交通がバス路線専用道路として山間部と市内を結んでいる。
普段人の通行は禁止されている道路である。
もし太平洋戦争がなかったら、ここには鉄道が通っていたはずだが、多くの人の夢の実現を見なかった路線である。







10画像を時間の推移にUP

賀名生歴史民族資料館の前の元小学校に駐車したら、そこにはこの日のイベントの幟が、秋風にはためいていた。
絶好のウォーキング日和である。
受付を済ませて参加賞や、コースの地図、ゴミ袋など貰う。
参加賞は、温泉の入浴券が入っている。

資料館前の壷に活けられた彼岸花が、鮮やかだ。
奈良テレビからカメラマンが撮影に見えていた。
30日午後10時から地方テレビの番組「生き生きタウン」で放映するとの事であった。

開会式の頃には、多くの人が参集。
ベビーカーの小さい赤ちゃんも出発を待っている。
家族連れもかなりいるのは、町の、まだ見ぬ部分への興味の深さを感じる。
私も同じである。

南朝歴史所縁の皇居前に架かる皇居橋を渡って、グループごとに出発する。(明日に続く)


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33年ぶりの彼岸会

2006年09月24日 | ☆ ふるさと・大和

彼岸会5画像


孫は写真の課題を「田舎の暮らし」というのを持って、23~24日とこちらに来ている。
夏休みに続いて2度目である。

私が嫁いで10年間過ごした山の知人にお願いして、その家を訪れることにしていたのが、秋分の日だった。

丁度その日の午後からお寺の彼岸会のお参りの日だからと、一緒にお寺にお参りしようと誘ってくれた。
このお寺が私の嫁いだ寺である。
今住む町が一望の下に見える場所にある。
彼岸会の幟が立っていた。
山門を入ると本堂が開かれ、村の人達がもう何人か見えている。
懐かしい顔、顔、顔。
ご住職はにこやかに、ご先祖様を大切にすることなど、お勤めの後に、優しくお話された。
赤ちゃんから83歳の方まで信心深いお参りの人に混じって、娘夫婦と孫二人も、思いがけなくご本尊のお参りが出来た。
ここで過ごした年月が走馬灯のように懐かしく思い出す時間であった。

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お彼岸・お墓参りを済ませて

2006年09月23日 | ☆季節

市内4箇所のお墓参りをするのがお彼岸中のもっとも大きな仕事である。
前日から用意した花を車に積んで、お墓の駐車場が込まないうちにと早朝から出かけた。
3箇所は近くの町の中だが、1箇所は智辯学園を見下ろす小高い場所にある。

最後はこのお墓になるコースを取って順次おまいりを済ませた。



田園風景3画像
お墓参りを済ませると気分がすっとするのはいつもの事である。
そのすっとした気持ちで、少し遠回りをして、現役最後の校区に車を走らせた。
彼岸花とコスモスと実りや刈り取りの稲田を、時々車を停めながら、田園風景を楽しんだことは、お墓参りの後のすっとした気持ちを増幅させていった。



トロロアオイ5画像


昨年コスモスが綺麗に咲いていた天神さんに立ち寄った。
ところがコスモスはまだ咲いていない。
その代わりのように大きな黄色い花が咲いている。
綿の花に似ているが葉が違う。

帰ってから天神さんのお世話をしている人のお宅に電話で尋ねた。
「トロロアオイ」という名で中国が原産地であること、根が和紙を作る時糊に使われるなど話してくださった後、何かで調べてくださいよと、付け加えられた。

名前が分かれば「季節の花300」で調べることが出来る。


・葵(あおい)科。
・学名 Abelmoschus manihot
Abelmoschus : トロロアオイ属
Abelmoschus(アベルモスカス)は、
アラビア語の「abul-mosk
(じゃこう(香り)の父)」が語源。

・黄色い大型の花。晩夏に咲く。
一日花で、夕方早い時間に閉じる。
・根の部分が粘っこいらしい。
・和紙に使う糊にはトロロアオイの根が
よく使われる
・「おうしょっき」とも読む。
・別名 「通和散」(つうわさん)。

花の写真と見比べて、教えてもらったことが確かであることを確認した。
朝夕はかなり涼しくなってきている。
晩夏に咲くというこの花だが、今年の気候が異常で秋の訪れが遅かったので今頃見ることが出来たのだろう。


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秋満載の和菓子屋さん

2006年09月22日 | ★ 日々の呟き

お彼岸の間に実家のお仏壇に、両親に供えようとおはぎを買い行った。
店内の彼岸花が、花瓶いっぱいに活けてあるのが、四季の移り変わりへの店主の思いが行届いているのがいい。

ショーケースの上にも、秋が並んでいる。



一つずつ包まれているので写真に撮ってみたら少しぼやけたが、可愛い松茸だ。




こちらには、ススキと満月とウサギの影、が白い薄皮の上の描かれているようだが、もっと丁寧に撮ればよかったなぁ。




あっ!
これはお饅頭じゃなかった。
秋を演出するショーケースの中のお飾り。
うまく作られていると感心する。




あま~~い香りが、写真を撮っている私を包むように漂ってきた。
味覚を刺激するいい香りだ。

「今焼きあがるところ、ちょっと見ますか」
大きいオーブンを開けてくれると、栗の載ったお饅頭がずらりとならんでいる。
それが目に飛び込んでくると同時に、甘い香りがさらに広がる。

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