雪の日以来なかなか、暖かい陽射しに恵まれることがない。外に出たい気持ちになったのは・・・
起きた時に東の空に、晴れそうな朝焼けを見たから、明日香方面へ行ってみることに決めた。市内の西吉野の山は、なかなか雪が融けず風は冷たかった。
飛鳥公園館で尋ねたいこともあったので、この日はこのあたり周辺の散策にした。
公園館の右裏手に、鬼の雪隠、鬼の俎板方面への案内標識があったので、人気のない田圃道を歩いた。公園館敷地から出ると、小さな川があり石橋がかかっていた。「扇橋」何か謂れのありそうな橋の名前であるが、何も調べず足の向くままに歩いてきたので、命名については分からない。
この橋を渡ると明日香村の農村風景が広がって、お天気が良いときっと気持ちの良い散歩道となることだろうが、昨日はいささか寒かった。
田圃道の辻とか小さな道への岐路に、ずっと長くそこに、祀られている石仏が幾体かあった。涎掛けをつけてもらって、脇には誰かがお花を供えてあるのを見ていると、この地区の人の素朴な信仰とか、心の温かさがあるように思える。
上の大きい1枚は、かなり古い道標の石標のようなので、読める文字を辿ってみると、「つぼさか」「かうや(高野)」の文字である。右とか左の文字はかなり朽ちて読めなかったが、古の旅人は、道路の岐路に立った時、これを頼りに目的地へと歩いたのだろう。
ため池らしい小さな池に、カモたちが沢山泳いでいる。安全な越冬池なのだろう。池に添った細い道を歩いていくと、私の足音に驚いたのか、みんな急いで池の向こう側に泳いでいってしまった。今までばらついていたのが、池の縁に集まると、かなりの数である。
鬼の雪隠が見えてきたところで、工事中の立て札があった。この石造の巨岩は、別のルートで何度も来ている。雪隠とはトイレのことだが、いかにも大きい鬼のトイレと、昔の人が想像した呼称だと、何度見ても面白い。説明板にあるように、これも古墳の一部が残ったものだとのことだが、石舞台に見られる巨岩と同じように、村の中に何気なくある古代の遺跡の存在がいかにも明日香らしいと思う。
その先は工事中だったので、鬼の俎板のほうへは、昨日行くのをやめにして、公園館の駐車場に戻った。
いつの間にか、風の冷たさなど忘れて、明日香の野辺を楽しんで歩いた。
10日の歩数 8652