休日出勤というのは誰にとっても嫌なものです。週休二日制が一般になっていますから土曜日に出勤している僕にとっては土曜に道がガラガラに空いているのがしゃくでたまりません。
ですからごくたまに休日に出勤しなくちゃならないときなどは随分酷い顔をして仕事をしてるんだろうと思います。
その医師のシフトを確かめた訳ではありませんから何とも言えないのですが、もしも夜勤明けの休日を僕の父親ともう一人の患者さんのために呼び出されたとしたら僕らは疫病神のごとくに思えたかもしれません。
しかし僕たち家族にとっては、まさに救いの神だったのです。
彼が入ってくると処置室の空気が変わった気がしたくらいです。すぐにエコーが運ばれ父の胸部に当てながら、周りの医師も含んで説明し始めました。
映像には父の心臓が映っていました。
そして彼の「ほらっ。ここんところの動きが鈍いでしょ。」と指でその部分を指さします。
そうやって言われるとまさしくそういう風に見えてきます。僕はすこし体を硬くしました。
彼は看護師にいくつかの指示を出した後、「長男の方ですね。」といって僕をレントゲン写真の前のところまで誘導しました。
そしてA4サイズのメモ用紙に絵を描いて説明し始めました。それまでの医師と違っていましたので少し違和感を覚えました。
そしてそれが彼自身の癖や流儀ではなく、ある病院勤務の経験がそうさせてると言うことにもう少し後になって気付くのです。
僕の父が呼吸困難に陥った主たる原因は動脈硬化でした。もちろん長年患ってきた糖尿病が関係していることは間違いないと思われました。
動脈硬化というのは血管内部に細かな傷が出来てそこに付着物が着いて血管を狭めてしまう状態を言うそうで、触診でも硬くなっているのが分かるそうです。
父の場合、それが心臓付近で起こっているそうで、しかもそれが何カ所かで発生してること。そのために血管が詰まる「血栓」が起こっていること、その血栓のために心臓の筋肉が必要としている栄養素が届かないため、心臓の筋肉が働かない「心筋梗塞」を引き起こしていること、そして心臓が充分に働かない状態である「心不全」の状態が、肺での酸素取り入れに影響し、肺の酸素が水分になって肺自体に影響を与える「肺水腫」を引き起こしているという説明を受けました。
僕は思いきって「父はダメなのですか?」と気候とタイミングを狙っていました。
しかしその医師は次のように話を続けました。
「一番問題なのは血液中の酸素濃度が低いことです。これさえ回復すれば安定した状態になると思います。モニターの一番下の数字がでてますでしょ。あの数字が80を超えてくるようでしたら大丈夫だと思います。」
僕はこの場所に来て「大丈夫」という言葉を何度もはっした覚えがあります。でもこの「大丈夫」には何の根拠もありません。ただむなしく父の頭上を通り過ぎていくだけでした。そして医師からこの言葉を聞いたのはこのときが初めてでした。
でもモニターは警告音を発し続けていました。
ですからごくたまに休日に出勤しなくちゃならないときなどは随分酷い顔をして仕事をしてるんだろうと思います。
その医師のシフトを確かめた訳ではありませんから何とも言えないのですが、もしも夜勤明けの休日を僕の父親ともう一人の患者さんのために呼び出されたとしたら僕らは疫病神のごとくに思えたかもしれません。
しかし僕たち家族にとっては、まさに救いの神だったのです。
彼が入ってくると処置室の空気が変わった気がしたくらいです。すぐにエコーが運ばれ父の胸部に当てながら、周りの医師も含んで説明し始めました。
映像には父の心臓が映っていました。
そして彼の「ほらっ。ここんところの動きが鈍いでしょ。」と指でその部分を指さします。
そうやって言われるとまさしくそういう風に見えてきます。僕はすこし体を硬くしました。
彼は看護師にいくつかの指示を出した後、「長男の方ですね。」といって僕をレントゲン写真の前のところまで誘導しました。
そしてA4サイズのメモ用紙に絵を描いて説明し始めました。それまでの医師と違っていましたので少し違和感を覚えました。
そしてそれが彼自身の癖や流儀ではなく、ある病院勤務の経験がそうさせてると言うことにもう少し後になって気付くのです。
僕の父が呼吸困難に陥った主たる原因は動脈硬化でした。もちろん長年患ってきた糖尿病が関係していることは間違いないと思われました。
動脈硬化というのは血管内部に細かな傷が出来てそこに付着物が着いて血管を狭めてしまう状態を言うそうで、触診でも硬くなっているのが分かるそうです。
父の場合、それが心臓付近で起こっているそうで、しかもそれが何カ所かで発生してること。そのために血管が詰まる「血栓」が起こっていること、その血栓のために心臓の筋肉が必要としている栄養素が届かないため、心臓の筋肉が働かない「心筋梗塞」を引き起こしていること、そして心臓が充分に働かない状態である「心不全」の状態が、肺での酸素取り入れに影響し、肺の酸素が水分になって肺自体に影響を与える「肺水腫」を引き起こしているという説明を受けました。
僕は思いきって「父はダメなのですか?」と気候とタイミングを狙っていました。
しかしその医師は次のように話を続けました。
「一番問題なのは血液中の酸素濃度が低いことです。これさえ回復すれば安定した状態になると思います。モニターの一番下の数字がでてますでしょ。あの数字が80を超えてくるようでしたら大丈夫だと思います。」
僕はこの場所に来て「大丈夫」という言葉を何度もはっした覚えがあります。でもこの「大丈夫」には何の根拠もありません。ただむなしく父の頭上を通り過ぎていくだけでした。そして医師からこの言葉を聞いたのはこのときが初めてでした。
でもモニターは警告音を発し続けていました。
ご心中察しあげます。心臓ならなお更ですね。良くなるように祈っています。
anikiさんもお体に気をつけて下さいね。