超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">血の婚礼、観劇</span>

2011-06-25 00:02:29 | 無題

昼食を取り、ネッスルのボトルコーヒーを飲み、バレンボイムのベートーヴェン交響曲全集を聞き、オセロをする。早く家を出て中古CD店に行くがお目当てのオルフェオのバイロイトの第九がないので、ノイマンの第九やフルトヴェングラーとウィーンフィルの第九にも惹かれたが、CD店を出る。
新宿のカレー店でポークカレー400円を食べて神保町経由で都営三田線の西巣鴨に行く。
駅のすぐそばにある中学校の廃校の体育館を使った劇場に行く。
大規模修繕劇団旗揚げ公演、蜷川幸雄演出、清水邦夫脚本の血の婚礼を見る。
窪塚洋介、中嶋朋子他豪華な俳優陣が勢揃い。
コインランドリーとレンタルビデオ屋の荒れた町並み。
ネオンがちらほら付く町の吹き溜まり。2時間降り続く雨は圧巻。
そのなかで隙のないダンディな窪塚くんと美しい中嶋朋子さんを中心とした結婚直前の駆け落ちの顛末が、時に絶望的に、時に鼓笛隊のマーチとともに陽気に尖った詩的な表現で演じられる。
絶望的なのに陽気さを演出する鼓笛隊の行進は映画アンダーグラウンドに通じるものがある。
またレンタルビデオ屋のテレビの画面の暴力的な映像が、話の進行に絡むところも見逃せない。
蜷川幸雄氏は難しい言葉を操る劇でも判り易く共感できる現代的な演出をする。
窪塚洋介くんの立ち居振る舞いが凛々しく、絶望的な中にも救いがある、ちょっと照れたような笑いを交えていて面白い。
昔の原作なのに古さを全く感じさせない。体育館という状況、停電や蝋燭の明かり、波のように突然押し寄せてくる電車の通過。全てが今を感じさせる詩的な現実感がある。
芸術的なものに触れた喜びで一杯になる充実した演劇だった。
台詞に表面上の一貫性はないが、行き場のない生の情熱の息吹が面白く語られる。
何度もこの芝居に出ている俳優も多く、歴史とともに今の感覚を味わえる名作である。
清水邦夫の饒舌な詩的表現はどこまでも尖っていて、それなのに一行一行が鎮魂歌のようだ。
社会全体が喪失感と喪の気持ちで覆われている現在、清水邦夫の鎮魂歌が心に届かないはずがない。
帰りに新宿ルミネでショートケーキを買って豊かな気持ちで家路についた。
血の婚礼はガルシア・ロルカの同名の戯曲に触発された作品である。



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