能登半島の突端、禄剛崎灯台(ろっこうざき)の近くに葭ガ浦温泉というのがあり、いまから56年ほどの大昔、そこにランプの宿というのがあるのをなにかで知って(いまのようにネットなどない)、能登半島を一周する途中に宿泊したことがあります。
当時は国鉄バスの乗り放題切符を使って輪島の總持寺祖院(宿坊泊)、千枚田、禄剛崎灯台などを観光したあと、バスを途中下車してランプの宿へ行きました。
降りたところからは歩いてすぐだったように記憶しています。
電気が通っていない辺鄙な宿、と宣伝しているとおり、入江にあるごつごつした岩場の上に古い木造建築の民宿風な質素な宿があって、部屋は全部和室、風呂もふつうの大きさ、食事はほとんど宿の主人が釣ってきた魚がおもなもの、老朽化した建物で今の若い人にはとても泊まれるようなものではなかった。
ランプの宿なので電灯はなく、ほんとにランプだけです。
宿の主人ともうひとりくらいしか働いている人はいなかったような。
客は数人のみ。
あの宿は今度の大地震でどうなっているんだろう、と思って検索してみると、
ギョギョッと驚くリゾートホテルに変身していて、地震以前にそれでびっくり。
溶岩の固い岩盤の上に建っているので被害はなかったらしい。
地中海の青い海と白い建物を模した豪華な観光地を目指しているのでしょうが、どちらかというと昔のあの素朴な宿のほうが希少価値があっていいと思うのですが。
いまは二人で10万円とか、特別100万円プランとかが目について、とてもとても。
同じ能登半島でも地盤の状態により被害の大きさが違うようです。
かつて宿泊した總持寺祖院の本堂は無事でしょうか。
朝の勤行体験はそこが人生で初めてで、内陣の大きさに圧倒されました。
中の須弥壇というか、それが二階建て!
宿坊の精進料理は野菜が美味しくて絶品でした。
あの本堂が無事であることを祈っています。