ということで、長い前置きの後、
昔のウラ話を再掲載してみたいと思います。
もう10年以上前、
『将門』というお芝居の、初演のときでした。
自分の役者人生の中でも、
ここまで本気で青ざめたポカはなかった、
という恐怖の思い出がありました。
正確に言えば、ポカ寸前、なんですけど。
どうして、あんなことになったのか。
魔が差した、としか言えません。
タイトルでもおわかりの通り、
時代は平安中期。
地方の大豪族に過ぎなかった将門が、
八幡大菩薩のお告げを聞いて、
関東一円をまとめた独立国を作ろうとして滅ぼされる。
・・・と、
それまでのドラマを描いた作品だったのですが、
将門といえば、巫女か狂女かわからぬ者から、
「お前は王になる」
と八幡大菩薩のお告げを伝えられて、
その気になっちゃう、というのが有名な話。
『マクベス』の魔女ともつながるような、この巫女役を、
私がやってたんです。
そういう役だけに、衣裳も特殊で、
着物をもっとシンプルにしたような衣裳(平安ですから)の上に、
長くてうすーい「打掛け」をまとい、
隈取りのようなメイクをして、
頭には藁で編んだかぶり物をかぶり、
かなり怖い(つもりで)、
魔女のような「巫女」をやっておりました。
能のような舞を舞って、人々を操る、なんて役を、
ノリノリでやっていたんですが、
そのときに必要だったのが、
羽衣のように、ふんわりと身にまとう「打掛け」。
これが「妖しさ」を演出する、大切なアイテムでした。
慣れない舞を舞うのと、
慣れない怖い役のプレッシャーで、
(結局、やっぱり、合わないんでしょうね)
毎回、いつも以上に張りつめて、
本番に臨んで・・・いたはずでした。
言い訳をすれば、
そのときの履物が足に合わず、
巻爪になって皮膚科で切開してもらった、
その日だったんですね。
で、足の指の痛みは確かにあったんですが、
まっ、所詮、これも言い訳ですね。
(だから、言い訳するなっ!)
いや~~、
ホントに「魔が差した」としか表現しようがありません。
(つづく)
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