熱い男はいつも、
そでの近くでセリフを復唱。
ところが、あるとき、熱心に復唱しすぎて、
出トチリ寸前で、あわてて舞台へ。
ところが・・・、
あわてたおかげで、
せっかく、復唱してたセリフが、
ぶっ飛んじゃった(笑)
「え? 今、何喋った??」
楽屋では、
またしても全員、モニターに釘付け。
でも、さすがに慣れている人ですから、
相手役の協力ももらいながら、
そこからなんとか、力技ですり抜けました。
「あっぶなかったなぁ」
と我々が話しているうちに、彼が楽屋に戻ってきました。
「危なかったですね~」
と誰かが、笑いながら話しかけると、
「もう、オレ、役者引退です・・・」
「またまたぁ、誰でもあることじゃないですか」
「いや、あんなこと、やるなんて・・・」
もう失意のどん底。
頭を抱えたまま、動きません。
「あ、でも、次の出番もありますし」
「・・・あ、そうですね」
力なく、着替え始める彼に、
我々もかける言葉もなく・・・。
というか、いや、悪いなとは思うんですが、
みんな、
吹き出しそうになるのをこらえてたんです。
あまりにも一生懸命で、あまりにも熱くて、
そして、
あまりにも、わかりやすくて(笑)
彼は最後まで、そのノリで、
熱く熱く、突っ走りました。
不思議なもので、
彼に対して第一印象で感じた、
「ちょい不良オヤジ」や「遊び人」のイメージが、
どう頑張っても浮かんでこなくなり、
いつの頃からか、その代わりに、
割烹着にハタキをもった、
彼の姿が浮かんでくるようになりました、とさ
(おしまい)
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