雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森 119 宮沢賢治さん著「水仙月の四日」

2011年01月04日 05時04分06秒 | 本と映像の森
本と映像の森 119 宮沢賢治さん著「水仙月(すゐせんづき)の四日(よっか)」

 宮沢賢治さんが童話集『注文の多い料理店』に収録した作品です。
 タイトルの「水仙月」は何月なのか、問題ですが、雪が積もった季節なので、例えば1月か2月かどちらかでしょう。

 もうハイノキア(灰ノ木川)の里山には、もう水仙の花がいっぱい咲いているし、
 今日は1月4日なので、これを読んでみました。
 
 初版本の目次に、「水仙月の四日………(一九二二・ 一・一九)」と銘記してあるで、賢治さんは1922年(大正11年)の1月19日に、この作品を完成したことは確かだと思います。
 とすると「水仙月」は「1月」という推定も、成り立たないことはないと思います。

 自然を代表する「雪婆(ゆきば)んご」と、その召使いの3人の「雪童子(ゆきわらす)」と9匹の「雪狼(ゆきおいの)」、そして人間界を代表する「ひとりの子供」の物語です。

 ひとりの子供が、雪嵐にまかれて…雪の中に埋もれていくのですが、ひとりの「雪童子」が、その子供をわざと雪の中に埋もれさせて助けようとします。

 何か、その人間の子供と「雪童子」=自然の子供のあいだには、交流し、通じ合う何かがあるんでしょうね。

 雪童子の歌ううたが、とても素敵です。

 「カシオピイア、
  もう水仙が咲き出すぞ
  おまへのガラスの水車(みずぐるま)
  きっきとまはせ。」
 
 「アンドロメダ、
  あざみの花がもう咲くぞ、
  おまへのラムプのアルコホル、
  しゆうしゅとふかせ。」

 ここまで書いて、ふっと思い出しました。

 宮崎駿さんなどが参加したアニメ映画「太陽の王子ホルスの大冒険」のラスト近いシーンで、ホルスと相思相愛なのに自分は悪魔の妹でホルスとは結ばれないと思い込んでいる女性主人公ヒルダが、雪の中で、悪魔の兄から決別して自分は死ぬことを決意するシーンで、同じような雪狼が、ヒルダを攻撃して雪の中に埋もれさせていきます。

 「ホルス」のクライマックスの、切ない、泣きたいような場面です。
 ネタバレはしませんので、ホルスとヒルダの運命は、アニメを見てください。

 このシーンを描いたアニメーターは、この「水仙月の四日」を読んでいたことは間違いないと思います。
 それでなければ、ああいうラストシーンには……。

 岩手県の「イーハトーボ」は雪だらけですが、わが「ハイノキア」は、ほとんど雪が降りません。
 残念なんて言うと、雪で1000台の車が立ち往生した出雲人の皆さんにどなられますね。