今日、書店で立ち読みした雑誌(熊本地震特集)に、川内原発西側海底に2本の川内原発に向かう(ただしとぎれている)活断層が描いてありました。
海と陸と地質が違うので、そこで本当に途切れているという判断はできない。単に、そこから川内原発までは「観測できなかった」と言うだけなのでは?
福島原発事故と米軍「トモダチ作戦」による米軍兵士放射線被曝
トモダチ作戦は「核戦争想定下の米軍実働演習ではなかったか」 雨宮智彦 20150203
アメリカ軍は2011年3月11日に発生した東北沖大地震・東日本大震災に最大人員1万6000人、原子力空母ロナルド・レーガンや強襲揚陸艦エセックスなど艦艇15隻、航空機140機を投入する「トモダチ作戦」をおこなったことはマスコミや防衛省も大宣伝し、そのことはよく知られています。
しかし、米軍兵士が放射能で被爆したことは、ネットなどで報道されましたが、みんなが知る周知のこととなっていません。
とくに問題になっているのは原子力空母ロナルド・レーガンで、3月13日から乗員5500人とともに仙台沖・福島沖に展開しました。空母レーガンは80日間、海岸からわずか数km~十数km付近にいてヘリなどで救援作業を続けました。福島第1原発事故の放射能はその8割が海に向かったことはよく知られている通りです。被爆するのが当然の地点に艦艇を派遣したのは米軍司令部の「放射能被爆を想定した」作戦だったと推定できます。原子力空母は、内部に原子炉を抱えてつねに放射能漏れの危険に直面している艦船ですから、放射線測定器は艦内各所に常備していなくてはなりません。
2012年12月に、トモダチ作戦に従事したレーガン乗組員だった元アメリカ軍兵士8人が東電を被告に放射能障害を訴えて、1億1千万ドルの損害賠償をサンディエゴ連邦地裁に提訴しました。2013年には43人が追加提訴して51人の原告団となり、2014年には原告団は200人を超えました。
元操舵手モーリス・エニスさんは、作戦終了後、タイへの寄港前に「医学的に健康で疾患なし。政府に訴訟を起こさない」という文書に署名させられました。
エニスさんは、空母に掲げられていた星条旗を下ろす仕事をしましたが、放射能汚染のうわさが艦内に広がったので気まぐれに同僚と放射能検査を受けた(いつかは不明)ら、同僚はゼロだったがエニスさんの手が放射能汚染されていることがわかりました。何度も手を水で洗い流したそうです。
ワッサーマンさんは「金属の味のする物質が甲板に雪のように降り積もった」と証言しています。空母が作戦を終え日本を離れる頃になって、ようやく(!)飛行甲板を洗い流す作業をおこなったが、幹部の将校やパイロットにだけヨウ素剤が配布されていたことを原告の兵士は後になって知らされました。
原子力空母レーガンは、水を海水から塩分を取りのぞいて使っています【飲み水は不明です】。もちろん、レーガンの周囲の海は高濃度の放射能で汚染されていました。
NRC文書によれば、3月13日、レーガン上空の放射線量(ガンマ線測定値)は、6μシーベルト/毎時(つまり現在の浜松市内0.03μSv/hの200倍)でした。もちろん、これはガンマ線による外部被曝の数値で内部被曝とα線・β線は含みませんから危険はさらに大きかったわけです。
原告となった乗員は疾病が多発していますが、国防総省は「全身及び甲状腺に取りこまれた可能性のある汚染物質の最大評価量は、今後の調査をおこなう根拠のあるほど深刻なものではない」とし、乗員はじめ在日アメリカ軍人の連邦政府「医療記録」を中止決定しました。
アメリカ政府のABCCと日本政府が広島市・長崎市の原爆被爆者の治療をおこなわず、検査だけをしていたのと同じです。
他の米軍艦船や、同海域で活動していた自衛隊員の健康が心配です
なお、3月17日、福島第1原発上空300フィート(約90m)は87.7mSv/hでした。(『朝雲縮刷版 2011』p99「3月24日」による)
注1)「アメリカ合衆国連邦政府は4月6日、アメリカ軍が展開中の「トモダチ作戦」の予算が最大8000万ドル(約68億円)であることを、日本政府に伝えた[7]。」
普通「トモダチ」に「救援費用総額」を送りつけるでしょうか。
注2)「「トモダチ作戦は恐らく、放射性環境下では最も有名な作戦になるだろう」、また「この経験は戦略的な価値がある」と作戦に参加した第265海兵中型ヘリコプター飛行隊指揮官は述べている[52]。」
原発を考える 2 「除染」はできない、これは「移染」だ
だれが「除染」という適当な言葉を最初に考え出したのでしょうか。思考停止ですね。
放射線・放射性物質・放射能は、「移動する」ことができるだけで、「無くす」「除く」ことは、できません。
Aという地点で、放射能を少なくすれば、それは近くのBという地点で、放射能を多くすることです。
(参考、小出裕章『図解 原発のウソ』扶桑社、2012年3月11日)
帰還では無く、地域まるごと集団移住に踏み切るべきと思いますが、それができないなら、個々の家族・個人に「移住の権利」を認めて、移住希望者に、新しい土地であたらいい生活を始めるための資金を供給すべきです。
原発を考える 1 原発労働者の「防護服」は「防護」しているのですか?
原発について、最近、いろいろ調べたこと、考えたことを書いていきます。
まず「防護服」です。
原発労働者の「白い服と防護マスク」ですが、あれはアメリカの化学大企業デュポンのつくった「タイベックス」という「高密度ポリエチレン(家庭用ラップなどに使われる)の極細繊維で出来た不織布を特殊な圧力処理したものです。大気中の微細な塵、粉塵を通さず、通気性、通水蒸気性が」があるといいますが、マンガ「いちえふ」でも汗だらだらになる状態が描かれているので「通気性」「通水蒸気性」良好では亡いようです。
ネットで調べたら、1着1000円台から2000円台の安さ。それはそうでしょう。鉛を組み込めば、ある程度ガンマ線をしゃだんできるでしょうが、重すぎて動けません。
つまり、アルファー線やベータ線を出している塵を防護する機能しかないということです。
このタイベックを2枚着込んで、現場で作業が終わったら外側の1枚を脱いで現場を去るということになっているので、意味はあるかもしれないと思いますが。
ガンマ線とアルファ線・ベータ線の現場での比率がどれくらいになっているかデータが無いので、もしアルファ線・ベータ線の数値が決定的に少なければ、意味ないということになります。
いままで原発内でのアルファ線・ベータ線・ガンマ線の比較測定データを見たことがありません。見た方はご一報ください。
ここで疑問が出て来ました。
そもそも現場労働者のもたさせれる線量計は何を測っているのでしょうか?ガンマ線だけ?
ぼくの持っている12万円の線量計はガンマ線しか測れません。高いのでないと無理でしょうね。
マンガ 「いちえふ」によれば、現場作業員の休憩所内は、3.0~5.5μSV/h だそうです。
そして1日に低いところの作業だと、たとえば0.01~0.03mSV、原子炉建屋内の高いところだと0.8mSVとか1.8mSVとかの被曝量だそうです。
1日ですよ。
恐ろしい話です。絶対、あとで確率的影響、白血病・ガンが多く出てくると思います。
原発を考える 『静岡新聞4月16日』「論壇」の「科学力」
◎あまりにも馬鹿馬鹿しいので、きちんと「1市民」の意見を言うべきだと、書きました。明日、静岡新聞社に電話してから、ファックスで送信します。
『静岡新聞』にとっても、屈辱の「論壇」ではないかと思います。
『静岡新聞』「論壇」執筆者・屋山太郎氏の「科学力」
2014年4月20日
雨宮智彦
『静岡新聞 2014年4月16日』(2)面「論壇」で屋山太郎氏(政治評論家)が「政府のエネルギー基本計画」と題して書いている。いくつか、屋山氏の論点を見ていこう。
① 「広島で亡くなったのは原爆の火で焼死した人たちであって、行き残った人たちが特に高い比率でガンなどにかかっているわけではない」のだそうだ。「資料あり」なのだそうだ。
新説である。いや珍説か。
広島や長崎のことを少し勉強すれば周知のことだが、原爆のエネルギーは熱線と爆風と放射能に分かれる。もちろん爆風で死んだ人もいる。放射能で死んだ人も多い。広島で被爆治療にあたった肥田俊太郎氏によれば、被爆直後の急性放射能症で亡くなった人は広島で2万7千人、その後の晩発性の白血病やがんで亡くなった人も多い。
もちろん、受けた放射線量に比例してガンや白血病などの症状が増加することを否定する人は専門家でも政府でも誰もいない。論争になっているのは低線量の場合だけだ。屋山氏を除いては。屋山氏がどんな「資料」を持っているのか、公開して欲しいものだ。
② 「「歴史通」3月号で渡部昇一氏は「この広島の原爆に比べると福島の原発事故による放射線量は1700万分の1」にすぎない」と語っている」のだそうだ。
最初、この数字を読んで「あまりにもひどい誤植だ」と思った。あるいは渡部昇一氏が勘違いして誤植の数字なのか。広島原爆と福島原発事故の放射能量を科学的に計算過程を明らかにして比較した方はたくさんいますが、すべての数字が福島原発事故の放射能量は広島原爆の放射能量の数十倍から百数十倍だ。
渡部さんはどこから「1700万分の1」などという無知にして無恥な数字を書き、屋山さんも、それをそのまま自分の「無科学」「非科学」を証明するように引用してしまいました。
たぶん、屋山さんは、100万キロワットの原発は,1年間運転すると、広島原爆の100個分以上の放射能を蓄積することなど知らなかったのだろう。
知らないことは書かない方がいいと思う。。
それにしても『静岡新聞』を読んで、こんなに大笑いしたのは初めてで、こんな「論壇」では、静岡新聞の記者さんたちも極めて恥ずかしいだろうと思う。
③ 日本では放射能業務に従事しない一般市民の年間「被ばく線量」は「1ミリシーベルト」である。屋山氏が誤解なのか,意識的にか書いている「安全基準」ではない。放射線には「安全基準」ではなく、その線量を浴びることがたとえばX線照射のように医学上の利点があるから照射をするのだ。
④ 「強制移住で亡くなった人高齢者は40人以上に達した。」と書いてあるが「強制移住」ではなく「原発事故による避難」です。亡くなったのは「原発事故関連死」です。
住民は「移住」した覚えはありません。「避難」しているのです。ただ「避難」してそのまま「帰らない」選択もあるというだけです。「強制」という言葉は「強制収容所」を連想させる否定語で、そのときにどうしても必要だった住民の健康を守るための「避難」を否定するのは、放射能軽視派の無駄なあがきにすぎません。言葉は正確に使おう。
⑤ 「米経済誌フォーブスによるとエネルギー関連の死者は、原子力で90人」とあるが、明らかに少なすぎるように思う。いつからいつまでと銘記してないのも科学の数値としては論評しようがない。日本の原発労働者の労災死、今回の福島原発事故による死者、チェルノブイリ事故の従業員死者、チェルノブイリの放射能による住民死者は明らかに極めて過少に見積もられている。
⑥ 「エネルギーで比べると原子力は化石燃料の100万倍」だけは正しいかな。でも、「当然、廃棄物は少ない」という「当然」という言葉は、前後で意味がつながっていない。何の数値が「少ない」のかも意味不明だ。体積?重量?その「廃棄物」の中に猛毒の「放射性廃棄物」は入らないのか?別なのか?
⑦ 「全世界で450基が稼働をやめない」と言い「稼働をやめた原発」は一切無視している。だから、屋山氏は、A 原子炉より他にいいエネルギーはある B 科学の発展で原発の危険はしのげない、と確信している原発廃止の具体的動きを語れない。世界の原発の動きを語るなら、原発を推進する動きと原発をなくしていく動きの両方その相克を語らずに、世界の原発の動向はわからないのではないか。
⑥ 「函館市の住民はそれほど科学に強いのか」と皮肉ったつもりの屋山氏の実際の「科学力」は、①や②に代表されるように、かなり低レベルだったようだ。いや「科学」のレベルではなかった。
どう見ても屋山氏は「政治」の知識は少しはあっても、「科学」「原発」「放射能」の知識はなく、どうみても「科学に強」くはないようである。こういう人を、「大衆は愚」だと下に見る目線の、エリートの「イデオロー愚」というのである。
なお『静岡新聞』さんは、自らの名誉を守るため、事実だけでも「訂正」記事を出した方がいいのではと思う。
放射能を考える 6月26日 浜松市内の放射線量の評価について
6月26日(水)に、ぼくも所属する「浜岡原発はいらない会」が浜松市と、浜松城公園芝生広場の放射線量実測値が異常に高い問題で、申し入れと懇談をおこないました。
懇談のあと、記者会見もしましたので、明日の朝刊各紙で報道されると思います。鈍感な新聞社は掲載されない可能性もありますが。
実は、打ち合わせたのではないのですが、ちょうど26日の朝日新聞に、他の市民団体が実測した大きな記事が掲載され、当日の懇談でも話題になりました。
この懇談の準備で、自分で事実に基づいた考えをまとめました。以下、掲載します。まだ、充分とは思いませんが、お読みください。
「放射能の危険性・安全性の評価について
1、放射能について、「この数値より高レベルなら危険」とか「この数値より 低レベルなら安全」という「閾(しきい)値」の存在は今まで証明されてい ません。現在のところ、累積すれば、どんな低レベルでも確率的に病気にな る危険性があるということです。
累積値が2倍のレベルなら2倍の危険性、1割のレベルなら1割(10%) の危険性ということです。
なお確率的というのは、たとえば人口の1%であれば、100人に1人だ けが発症するという意味です。
2、浜松市の放射線量の通常のレベルは実測値で 0.03~0,06μSv (マイクロシーベルト)/h(毎時)程度です。
1時間の放射線量を計算で 24時間×365日= 8760倍、年間放 射線量に換算して、単位をミリシーベルトにします。つまり、1時間あたり のμSvの数値を 8.76倍すれば、1年間の累積ミリシーベルトの値に なります。
3、浜松の平均的な値 0.04μSv/h×8.76=0.35mSv/y
たとえば 0.1μSv/h×8,76=0.876mSv/y
4、松崎道幸「ガンリスクは10ミリシーベルトでも有意に増加」(『日本の 科学者 2013年1月号=№540』p37~43)によれば、大規模な 統計調査によって、原発で被曝した労働者のがん死亡率は一般国民より10 mSvで4%、医療X線による被爆者の死亡率は10mSvで3%、有意に 増加していることがわかった。
原発労働者は20万人の疫学的調査です。
ガン死亡のリスクが3%増加すると言うことは、日本人男性では100人
に35人がガン死亡しているので、これが 35×1.03=36.05
つまり、日本人男性では100人に1人ガン死が増加します。
この推計は、国際組織ICRPの放射線リスク推定を10倍上回ります。
5、浜松の平均的な値、0.04μSv/h(0.35mSv/y)では、
10年で3.5mSv、30年で10.5mSvとなります。
つまり、30年で浜松市民100人について1人のガン死亡が有意に増加 することになります。
この推定は、あくまでも大人の原発労働者(松崎論文、p37によれば平均年齢57才)であって、より若い青年・子ども・幼児では、ガン発生率が より高くなることは、よく知られています。
6,通常の放射線測定値は、外部被曝のγ線しか計っていません。これ以外に、 宇宙線による被曝、呼吸と飲食による内部被曝を足さないと、個人が浴びる 年間放射線量にはなりません。
7、大事なのは、基礎数値と結論を導き出すプロセス・考え方を公開し、議論 を事実に基づいて科学的におこなうことであると思います。 」
原発を考える 原発・浜岡原発・放射能についての情勢
3月17日(日)に浜松労政会館で開かれた「浜岡原発裁判・県西部の会」「第2回定期総会」の議案の「情勢」部分を以下に掲載します。
Ⅰ 原発と浜岡原発をめぐる情勢(参考資料)
1、原発をめぐる政治・社会情勢
2011年3月11日の東日本大地震・福島原発「破局事故」から2年が過ぎました。浜岡原発をはじめ全国の原発で、日本の社会全体で、そして中央の政界で、原発の廃止と再稼働をめぐるたたかいが激しい「綱引き」「つばぜり合い」になっています。
今年2月の『朝日新聞』全国定例世論調査では、「すぐにやめる」13%、「2030年より前にやめる」24%、「2030年代にやめる」22%、「2030年代より後にやめる」12%、「やめない」18%、「その他・答えない」が11%と、原発「やめる」が71%と7割を超えていて、原発をゼロにの世論は今も多数派が続いています。
原発反対の世論に逆らって、安倍首相は「原発ゼロ見直し」「安全と確認された原発から再稼働」を実行しようとしています。
さらに日本メーカーによる日本国外での原発建設を加速させ、国外から「国際原子力帝国」の力も借りて、日本国内での原発再稼働・建設を推進しようとしています。
2、福島第1原発事故の現状
福島第1原発の1号機から3号機まで、2年経っても放射能の漏れは今だに続いていて、致死量の放射能のため原子炉に近づくことはできず、原子炉の中や溶けた核燃料の状態はまったくわかっていません。
溶けた核燃料を冷やし続けるための高濃度の汚染水は、地下水が1日に約400トンも原子炉建屋の地下へ流入しているために増え続け、すでにタンクへの貯蔵量は26万トンに達しています。東電は貯蔵量を70万トンまで増やすとしていますが、これも2015年夏に満杯となります。(『中日新聞』2013年3月11日付)
福島第1原発事故以来2年、政府による指示で避難した人たちは合計14万6520人に達してます(新「訴状」p9)。これ以外に多数の県民が県内・県外へ自主的に今も避難しています。避難者はほとんど減っていません。
今回の放射能過酷事故で余儀なくされた避難生活の中での病気の悪化や自殺などでの「原発関連死」は『中日新聞』による調査(2013年3月11日付、資料A)で789人以上、震災関連死の少なくとも6割以上を占めています。この数字は南相馬市といわき市は入っていないため、推定では原発関連死者は1千人を超えます。この数字に津波で家に閉じ込められ、救いの手も届かず亡くなった避難区域内の犠牲者が含まれているかは不明です。
原発事故が原因の自殺はわかっただけで 人を数えています(『中日新聞 2013年3月』、資料B)。
3、放射能の生命と人間への影響
福島県は、原発事故時に18才以下だった子どもを対象に甲状腺を調査、昨年9月に発表しましたが、今年2月に甲状腺ガン2人を追加、3人となりました。ほかに甲状腺ガンの疑いが7人いて、合計で10人となります。
10人の内訳は男性3人、女性7人、平均は15才以下で、しこりの大きさは平均15mmです。
福島医大の鈴木真一教授は「チェルノブイリでは4,5年経って増えてきたのだから、もともとあったガンを発見している」と発言していますが、検診受診者は約4万人ですから4万人分の10人で確率は4千分の1となり、子どもの甲状腺ガンの通常の発生率「100万人に1人」(民医連藤末会長の声明)」を何桁も上回っています。
1986年4月26日のチェルノブイリ事故から27年経って、ウクライナ共和国では、子どもの甲状腺ガンが事故前の年間4~5人(ウクライナの子ども人口は1200万人)から10年後に200人前後、20年後に500人を超え、今も多発しています(資料 図C)。
ウクライナ・ベルロシアでは、子どもの甲状腺ガンだけではなく、大人の白内障・心臓血管疾患なども多発しています。
さらにウクライナ政府の報告書『チェルノブイリ事故から25年 未来のための安全』(2011年4月)では、事故後に汚染地域で生まれた第2世代の約32万人について、1992年に「慢性疾患」をもつ子どもが22%、2008年には78%に増加していると報告しています。(資料 図D)
国際機関(国際原子力村)は、「被曝との疫学的な因果関係が証明されていない」と、子どもの甲状腺ガンなど限られた病気しか認めていませんが、これは加害者・原子力推進の立場に立つ立場であり、被害者の立場に立って、「被曝との因果関係を疫学的に否定され」ない限り、その病気が被曝の結果であると認め被爆者を救済すべきです。
チェルノブイリ事故で事故から5年後にソ連政府がつくった「チェルノブイリ法」で、年間5mSv以上は「強制移住ゾーン」、年間1~5mSvは「移住の権利ゾーン」(希望者には政府が区域外に住宅と職業を斡旋する)、1mSv以下は「放射線管理ゾーン」と決めています。
ところが、日本では50mSv以上は「帰還困難区域」、20~50mSvは「居住制限区域」となっています。
日本政府は「現在の避難指示の基準である20ミリシーベルトの被ばくによる健康リスクは、他の発がん要因によるリスクと比べても十分に低い水位順である」(「低線量被ばくのリスクに関するワーキンググループ報告書(座長:長瀧重信長崎大名誉教授)」)との立場に立っています。
しかし、人間への低線量放射線の影響について、松崎道幸(まつざきみちゆき)医学博士(北海道深川市立病院内科)は『日本の科学者 2013年1月号』の論文「がんリスクは10ミリシーベルトでも有意に増加」で、原発労働者と医療放射線被曝の2つの調査で10ミリシーベルトの被曝で3%、ガンリスクが有意に増加することをデータから明らかにしました。
さらに、日本政府が原発労働者のガンは喫煙・飲酒によると主張していることを実証データで否定しました。
この10ミリシーベルトで3%の増加は日本人100人(現在は100人のうち35人がガン死亡。これが3%増加すると35×1.03=36.05)に1人ガン死亡が増えることになります。
国際的な機関ICRPは放射線の危険を1ケタ小さく、10分の1に過小評価していることになります。しかも、この数値は大人についての調査結果です。この「10mSv」は、1年間の被曝量ではなく、年々増えていく累積の被曝線量です。
すでに3・11から1年間で福島市や郡山市では10mSvに達している地域があり、いのちと健康を救うための具体的対策が急務であると思われます。
文部科学省の今年3月1日の発表によると、原発から80km圏内で昨年10~12月におこなった放射線量調査(航空機モニタリング、地上と地上1m)で、1年前と比較して約40%減っています。これは半減期と降雨の影響と推定され、セシウム134と137の半減期から推定した減少量は1年間で21%のため、19%は降雨による放射性物質の移動のためと考えられます。
放射線量が少しづつ減っている中で、水生動物や陸上動物への放射線汚染・「生物濃縮」が各地で発見され続けています。
今年3月には、福島第1原発から西へ40kmの福島県二本松市(昨年6月の地上1mの空間線量が1.0~1.9μSv/h)でカエル類から2732~6732ベクレル/乾燥重量1kg、サワガニで2843ベクレル/kg、カマドウマ類で4313ベクレル/kg、オサムシ類で957ベクレル/kgを検出しました。
同じ調査で、群馬県みどり市で、カエル類396~903ベクレル/kg、サワガニで649ベクレル/kg、カマドウマ類で403ベクレル/kg、オサムシ類で15ベクレル/kg8と、距離180kmでも動物に放射能が濃縮されています。
4、浜岡原発の現状
浜岡原発は、2011年5月に管首相の要請を中電が受け入れ、3号機の運転再開の見合わせ、5月13日に4号機運転停止、5月14日に5号機運転停止以来、すでに2年近くが過ぎようとしています。
ところが5月14日に、運転停止直後の5号機で、タービンを回した高温の蒸気を熱湯に戻す「復水器」から海水が流入したことが発見されました。流入した海水は約400トンで、うち5トンが原子炉圧力容器内に入ったと発表されています。海水は原子炉にさびや腐食を起こし、流入から2年近く経った今でも中電の対策が続いています。
これ以後も、2011年7月に、塩化ビニール製のホースの破損で純水40トンが漏れ、この事故をきっかけに放射能を帯びた汚染水が建屋内に漏れる事故が起き、2012年3月に非常用の原子炉冷却水を溜める「復水貯蔵槽」の底の「内張り材」で海水の影響とみられる穴がみつかるなどトラブルが続出しています。
これらの5号機のトラブルは、2009年8月11日の駿河湾地震(マグニチュード(M)6.5、震度6弱)で、1~4号機の揺れ(原子炉建屋地下2階の加速度109~163ガル)の3~4倍の426ガルを記録した5号機の異常な揺れに原因があるのではないかとも推定されています。この426ガルは旧耐震指針で想定された基準地震動=S1を超えています。
中電のその後の調査で5号機の地下200~400mに地震動を増幅する「低速度層」が発見され、5号機の揺れはこの低速度層によると発表されています。
駿河湾地震のM6,5に対してM8.5は1000倍、南海トラフ巨大地震のM9.0は32000倍のエネルギーを持っています。
予測されている巨大地震(M8から9)の震度7、しかも長時間の揺れに3~5号機はさらされることになり、津波以前に原子炉が破壊される危険性が高いと思われます。
中電は、浜岡原発全停止以前の、3・11大震災直後から、津波対策として、浜岡原発前面の砂丘に、砂丘からの地上高10~12m(海面からの高さ18m)、幅2m、総延長1.6kmの「防潮堤」を総額1400億円(当初見積は1000億円、その後補正)で建設し「これで安全だ」と「再稼働」を推進しようとしています。
さらに1・2号機の「リプレース」で6号機を新たに建設しようとしています。
しかし、すでに浜岡原発の3号機から5号機の原子炉に付設された使用済み核燃料プールは3機で総容量1740トンのうち1140トン(66%)が貯蔵されています。各号機の残り容量は、3号機が1年半、4号機が2年、5号機が6.4年で、3機でプールを共用しあっても、わずか3年半で満杯になります。
移送先として予定されていた六ヶ所村の再処理工場の臨時貯蔵用の燃料プールはすでに98%を使っていて、残容量はわずか60トンです。再処理工場自体も稼動予定だった1997年からトラブルが続いていまだに稼動の見通しがまったく立っていません。
1年前の『静岡新聞』の県民アンケート調査(320人)でも「再稼働認めず廃炉」が54,6%、「地震・津波対策が完了すれば再稼働を認める」が36.5%、「ただちに再稼働」は1.2%、「無回答ほか」が7.5%と、県民の過半数が浜岡の再稼働に反対しています。
原発を考える 特殊化と一般化、核戦争と核実験と原発の放射線・放射能
原水爆禁止運動での「広島・長崎」の放射能、戦後の核実験(ビキニ水爆など)の放射能、そして原発の日常的あるいは重大事故での放射能、そういう全ての放射能を一般化して比較して見るような態度あるいは方法が必要であると思いました。
つまり、組織や市民運動の問題であるとすると、それが特殊な、あるいは個別の組織の問題とされる限り、解決はできなくて、一般化して、どんな組織・団体・運動でもありうる問題とすると、具体的に解決の糸口があるように思います。
科学的社会主義者、カール・マルクスさんは、経済学で、個別の「資本家の利潤」「地主の地代」「労働者の給料」という特殊な「形態」ではなくて、一般化した「剰余価値」「剰余生産」の特殊化としてみることを強調しました。
経済学のそういう視点が、放射能の場合でも、組織の場合でも、必要なように思います。
これって、新発見ですが。どうしましょうか。
原発を考える 7 ベントのできなかった福島第1原発2号機のドキュメントを見て
NHKテレビで福島2号機と3号機のドキュメントをやっていたのを録画して見ました。
ベントのための通路を開くのにエアーの圧力がななぜか無いと。つまり、エアーの配管がどこかで壊れたのではないかという推測です。
あとで思いついたのですが、要するにベントをするのは格納容器の放射能に満ちた蒸気をぬいて圧力を下げるのが目的ですから、本来のの排出場所である高い塔まで排気を導かなくても途中でぬいても、応急措置としてはいいはずですね。
つまり、ベントができないという問題の場所までの配管の何処かから排気させてしまえば、いいのではないですか?「そんな場所はない」と言う方がいますか?それは、当然、臨時に作ればいいんです。
ベント箇所の前のどこかの配管に穴をあければいいわけですから。たとえば、精密に計算した少量の火薬で必用な範囲に穴をあけることは、可能ではないでしょうか。解体工事の建築屋なり、自衛隊にでも頼めば、簡単にできると思います。
後でまた蓋ができるように必用な範囲に必用な穴を、何カ所かあければ、いいのでは?
賛否、お待ちしています。根本的な欠陥はないと思いますが。
もっとも、ボクがその場にいれば提案したんですが、最大の欠陥は、ボクがその場に、その時に、いないということですね。