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壮絶な格闘『007ユア・アイズ・オンリー』

2009年10月04日 01時38分47秒 | Weblog

          ユア・アイズ・オンリー ロジャー・ムーア トポル キャロル・ブーケ
 007シリーズ第12作目にして、アメリカとソ連の冷戦時代を象徴するかのような映画が『007ユア・アイズ・オンリー』(1981年イギリス制作)である。今回のジェームズ・ボンドは、2代目のロジャー・ムーアが演じている。この映画の見所は、Qの提供する新兵器が全く現れないことである。要するに、ボンドの英知と行動力で任務遂行を行なうところに、人間ボンドを中心にした醍醐味があるのだ。最初のシーンで出現する名車ロータス・エスプリも、ほとんど活躍せずに爆破の憂れき目にあってしまうのである。タイトルの「ユア・アイズ・オンリー」は、007原作の短編「For Your Eyes Only」から取ったもの。意味は「読後焼却すべし」と言うことで、゛あなたの目の中のみです゛との意味からなのである。
 本作は、スパイ映画の原点に戻った作品と評価されているものである。ボンドが「女王陛下の007」の事件で亡くなった妻の墓に詣っている所から始まりそれに続くヘリコプターでのアクションはTVCMにも使われた。一番の見所は垂直に切り立った岩山に登っていくシーン。ギリシャのメテオラ山で撮影されたもだ。この絶壁の岩山には、三位一体修道院(The Monastery of the Holy Trinity)が建っている。よくこんな絶壁の上に修道院が立てられたなあという驚きの場所なのである。シリーズ最強のボンドガールと呼ばれた相手役は殺された父母の復讐を誓うメリナ役のキャロル・ブーケ。精細な顔立ちと、美しい髪の持ち主。ボンドが彼女に、ゴンザレスの隠れ家進入時敵警備に発見された際、洋弓で助けられる等救われるシーンも多いのだ。ブーケは行動する勇敢な女性を見事に演じている。原作はフレミングがジャマイカの別荘(ゴールデンアイ)で書いた短編007シリーズ「For Your Eyes Only」である。このあたりで原作はもう使い果たし気味になってきているが、映画の制作では中々の脚本を作っている
のである。ただ、この次の作品「オクトパシー」も短編からである。この作品に出演したきれいどころの一人テュラ(キャロライン・コーシー)が元男性であったことが後に話題になったりもした。ややセンセーショナルであったため「大人気の」とか「セックスシンボルとまで言われた」などと分過大評価した記事もあったが、実際には彼女は作品の冒頭付近に1~2秒映っているだけで、それほど騒ぐほどのことではない。この作品で「Mは休暇中で留守なので」という文句が出てくるが、実はこれは撮影の直前にM役の名優バーナード・リーが亡くなってしまった為。この時点では代役を立てる時間がなかったのであろうと思う。(映る時間は短くても要の役なのでいい加減な人選はできないものなのだ) M役は結局次の作品でロバート・ブラウンに引き継がれる。彼は「私を愛したスパイ」に艦隊司令官の役で出ていたのだ。主題歌は、シーナ・イーストンが歌うのである。
 東西両陣営のパワー・バランスを突き崩す秘密兵器“ATAC"の行方を追って英国のスーパー・エージェント、ジェームズ・ボンドが活躍するアクション映画で、これはシリーズ第12作目に当たる。製作総指揮はマイケル・G・ウィルソン、製作はアルバート・R・ブロッコリ、監督は編集・アクション監督出身のジョン・グレン。イアン・フレミングの原作を基にリチャード・メイバウムとマイケル・ウィルソンが脚色。撮影はアラン・ヒューム、音楽はビル・コンティ、編集はジョン・グローヴァー、製作デザインはピーター・ラモント、衣装はエリザベス・ウォラー、特殊効果はデレク・メディングスが各々担当。出演はロジャー・ムーア、キャロル・ブーケ、トポル、リン・ホリー・ジョンソン、ジュリアン・グローヴァー、カサンドラ・ハリス、ジル・ベネット、マイケル・ゴザード、ジョン・ワイマン、ステファン・カリファなど。
こうして見ると、ドームは小さいながらもなかな味わい深い壁画で彩られています 

【ストーリー】
 ギリシャ・コルフ島沖イオニア海で、英国電子情報収集船が事故で沈没し、船に積まれていたATAC(超低周発信機)を引き上げる作業を、イギリス海軍情報部は、海軍退役将校で海洋考古学者であるティモシー・ハブロック卿に依頼した。ATACは、原子力潜水艦からのミサイル攻撃を目的地に誘導するトップ・シークレットで、東側に渡れば、軍事バランスが逆転するのは明らかだ。しかし、ハブロックの一人娘で、潜水のベテラン、メリナ(キャロル・ブーケ)が、両親に協力しようと訪れた時、水上機でやってきた何者かによってハブロック夫妻が銃撃された。惨殺された両親の復讐を決意するメリナ。やがて、この事件解決を命じられたジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)が、犯人とみられるパイロット、ゴンザレス(ステファン・カリファ)を調査するためマドリッドヘ飛んだ。しかし、ゴンザレスは、メリナの復讐の矢のもとに絶命し、ボンドは、殺し屋ロック(マイケル・ゴザード)にひきいられた一団に命を狙われる。ゴンザレスもこの一味の一人だったのだ。ロンドンに帰ったボンドは、ロックの身許を調べ、彼が北イタリアのスキー・リゾート、コルチナ・ダンペッツォにいることをつきとめる。現地に向かったボンドは、そこでギリシア人富豪クリスタトス(ジュリアン・グローヴァー)に近づく。彼は、美少女ビビ(リン・ホリー・ジョンソン)のパトロンで、次期冬期オリンピックのフィギュア種目で彼女に金メダルを取らせようと特訓させていた。コルチナヘは、メリナも来ていたが、彼女は、ロックの配下の殺し屋たちに命を狙われボンドに救われた。やがて、ボンドとメリナは、コルフ島に行き、そこでボンドは、クリスタトスのビジネス上のライバル、密輸業者のコロンボ(トポル)に会った。彼から、クリスタトスがATACをソ連に売ろうとしていることを聞いたボンドはメリナと共に海底を探作し、ATACを発見。しかし、浮上した二人をクリスタトス一味が襲いATACは奪われてしまった。二人はコロンボの応援を得て、クリスタトスのアジトのあるギリシャのメテオラ山ヘと向かった。敵の攻撃をくぐり、山頂に辿りついたボンドら一行はクリスタトスを倒すが、途中コロンボが傷つく。ATACを取り戻す寸前に、しかしやって来たソ連側との間で再び奪い合いがおこる。ボンドはやっと取り戻し、それを断崖から投げ落とした。それを見て、ソ連側はひきあげてゆくのだった。

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