グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

しまちゃん。ではなかったけれど。

2017-06-08 18:57:17 | Weblog
しまちゃん。ではなかったけれど。


両脇がコンクリート塀になっている小径[こみち]。

 のののの道路

10分前ほどに通った小路を、逆から帰ってきたとき。さきほどには
なかったはずのむかって右側の道路わきの溝ふたの上。
写真の “とまれ”の白文字の“れ”の字付近に、ロープ状の物体があ
るのに気づいた。

 んっ!?と一瞬考え、

ひょっとするとと思いながら、おもわず小走りでちかづいてみる。

 やはり。

予感は当たった。 そこにいたのは シマヘビ だった。

 しかし様子がおかしい。

近寄っても動かないのだ。ひょっとしたらと思いつつ、なめらかな
鱗の表面を そっと指で撫で、体躯のなかほどに2つの傷があるの
を確認した。

推測ではあるが・・・この個体は 左のブロック塀を降り右側に渡
ったところで、やってきた道幅いっぱいの大型車のタイヤに轢かれ
てしまったのだろう。

 この先で造成工事がはじまったところだからな

と、工事が始まる前にはこの道を通らなかったはずの、その大型車
のタイヤの突起を思い浮かべた。

もっていたノートを丸めてポトムスのポケットに差し込み、そっと
両手で シマヘビを、ほんのさきほどまで呼吸していたはずのシマ
ヘビを持ち上げる。


 ののしま6  しま4
 ののしま5  しま3


家に帰り、この個体を木製のパレットの上にのせ、身体の色や体長
を調べ・・・うちにいる しまちゃんではなかったことを確認して
安堵しつつ、スコップを準備した。


 ののののしま1


土砂を満載したつぎのダンプが通る前になんとか埋めてやれるのが
せめてもの供養になるかなと思いつつ


 ののへび塚  へび塚1 

 ののののへび塚2

花の終わったばかりのヒラドつつじの根元に穴を掘り、そのなかに
傷口をしたにして そっとおき、土をかけ、墓標の石を置いた。

そのとき

 ゴォー

と、両脇のブロック塀にエンジン音を反響させながら、土を満載し
たダンプが、あのせまい道の道の奥からゆっくり徐行しながらうご
いていくが見えた。

自分がとおりがかった道での、きわめて近い時間内でおこったでき
ごと で あっただけに、なんとかならなかったものかと思いなが
ら去りいくダンプ をじっと見つめた。

6月の宮崎の海岸部地方にしては、ずいぶんと涼しい風の吹いてい
たお昼前のできごと。


◎ ますます住宅街になりつつありますが、昔の名残りの水田
  が南側に1枚だけ残っているおかげで まだまだいろいろ
  な生物が出没します。

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イネには「三黄」がある。

2017-06-05 14:51:28 | Weblog
イネには「三黄」がある。

[生育が急いだ昨年や一昨年とちがって]宮崎県沿岸部における早期
水稲作の穂肥の時期は、例年どおりの 6月7日以降となりそうです。
そんなイナ作の肥料の考え方についての回となります。

 ↓

イネ作りにまつわる昔からの言葉で、 「イネには三黄がある」 と
いう言葉があります。これは、

 イネを栽培するあいだにおいて
 3度、葉の色を薄く〔栄養を落とす〕したほうが良い時期がある


という意味です。また

 この3つの生育時に、葉の色が濃すぎている〔栄養が効きすぎ〕と、
 その後の生育がうまくいかなくなってくる


という イネ栽培の様子をあらわしている言葉 にもなります。

つまりイネの三黄色とは・・・

いつもいつも肥料を効かせておけば良いという考えや、肥料はやらなく
ていいという考え
とは、対極にある〔昔からの〕考え方となります。

実際の栽培においては・・・

元肥/植え付け前の肥料をいっきにドカンとやる方法では、いつまでたっ
ても肝心なときに葉の色が抜けず、低温とか日照不足などの異常気象が
襲ってきたときに思わぬ障害〔病害虫〕に侵されやすいこととなりがち
となります。

反対に肥料が足らなくては、日照りの年では、絶対的な収穫量が不足し
たり、収穫時期がそろわなくなる場合が多くなりがちになります。

その対策として、『イネの三黄』の時期を頭において、作業管理を行う
わけですね。

具体的には、田んぼの水管理を考えたり、 田の中に酸素を入れたり、
あるいは生育を調整するためにカリの多い肥料を与えたり、リンサン
とマグネシウムの割合の多い肥料を与えたりといった管理となります。

そして、その葉の色を落とす時期ですが、具体的に落とす時期となる
のは、

 ● 田植えの時期
 ● 穂がでる25日前くらいの栄養生長期から生殖生長期への転換期  
   そして
 ● 穂が出た後の収穫期

の3回となります。

このように変化する気象や作物の成長に伴う生理にあわせて、あるとき
は適応する栽培管理を行う
、そして またあるときは足らない成分をい
れ多すぎる成分を抜いたりする
・・・・これが作物栽培と収穫の原則で
あり、それこそが『栽培』なのだと思わずにはおられません。

以上、今回は 作物には肥料を控える時期と効かす時期があるという
おはなしを、『イネの三黄』をご紹介することでご説明してみました。


晴れ もちろん肥料を控える時期と効かす時期があるのはイネだけとは
  限りません。ほかのいろいろな作物にも、共通することなん
  ですよ。
  そういった意味で、イネつくりは作物栽培の基本を学ぶのに最適
  であるともいえそうです。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜




ヘビの脱衣所。

2017-06-02 17:10:17 | Weblog
ヘビの脱衣所。

大きくなることこのうえないので、大きくなる前に時間を作って
は剪定しまくって小さくしている 庭のセンダンの樹。

その ゴツゴツ・ざらざら とした感ありありのセンダンの幹。

  

そして 剪定したことによって産み出されたれた、枝のすき間を
うまく活かしているのが 、この庭に棲みついている シマヘビ
のシマちゃん



   
   


うまいこと脱皮の際の脱衣所にしておられます。

センダンを剪定するつもりで幹に近づけば、 スルスルスルっと
いったかんじで脱がれたらしい殻が、風にはためいて ヒラヒラ。

半透明の脱ぎカラから透けて見える青空は、なかなかに よい色。


 
晴れ うまいこと人間を利用しているなぁ・・と、シマちゃんには
   いつも感心させられます。

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生き物にもやさしい『溝切り』。

2017-06-01 18:26:08 | Weblog
生き物にもやさしい『溝切り』。G

早期水稲の 中干し期間の終わり/穂肥施肥前 いうことで、定番の回
の再掲載です。

 ↓


タズリさまにて草をとられ、土中のメタンガスや硫化ガスをだされた田
は大きく育ってきます。そして充分に育ったところで 「中干し 」で、
イネに気合を入れたその後の管理です。

そんな田んぼに関する作業で、最後の仕上げの作業があります。
それが 「溝切り」 です。

これは 田の中に

 5~10m間隔に深さ約10~15センチ・幅約20センチの

を掘ること 、なんですよ。


ののののの 溝切り溝.jpg 


タズリさまと同じで、いまはエンジン付きがありとても楽。 そうです
ね、今年もやってみたのですが、田の中の周囲と、田の中に3本の溝を
掘って、10アール当たりで、だいたい30分というところ。

なあにやってみれば 早いものです。

 機械は こんなかんじ  です。
 最近は トンネルを掘る ようなものもあるんです。

そんな溝を、田の中に掘ることで、なにが変わるのだろう・・・なんて
おもいますでしょう?けれど、これがもうまったく・たいしたものなん
です。

中干しで水を抜きたいときには、この溝を使ってササッと排水できます
し、逆に田が乾いて水を入れたいときは、この溝を伝ってスムーズに水
がはいる。

 それはもう感激もの。すばらしい技術なんです。

そしてこの技術には、もうひとつ、とても感心するところがあるんです。

 なんだとおもわれます?

それは、田の水が干されるときに威力を発揮します。
水の出し入れのために掘ったはずの、その溝が、メダカやオタマジャク
シなどなどの田に生きる水棲生物のための〔用水路への〕避難路に
なる


ののののののののの 溝切り・全体.jpg


ことなんです。

昔から伝えられた農法は、生き物に対するやさしさを持っている』と、
かんじる瞬間ですね。


◎ 『水の管理は、稲つくりの半分を占めるほど大切な作業
  である
』という、 みずみはんさく のお話は こちら 。
  

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