グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

食料を自給できない国なんて想像できない・・と語った男。

2022-06-16 19:04:25 | Weblog
食料を自給できない国なんて想像できない・・と語った男。
世界の食料や資源の高騰による食料不足が心配されはじめているという
現在の時節がら・・・ということで2009年の回の再掲載ですが、よろ
しかったら ご参考に。


『食料を自給できない国なんて想像できない・・と語った男。』

1968年から1972年にかけて、家畜や鶏から熱帯植物などまでを
扱っていたヒューストンの農業会社に勤務し、米国各地や中米諸国に出
かけて、買収対象となる苗木畑を探す仕事を経験していた米国大統領経
験者がいます。それが米国内の輸出型の大型企業農業に肩入れし、日本
に米国産牛肉の再輸出を迫った前米国大統領・・・ジョージ・ブッシュ
氏です。

離任間際では評判が良いとは言えない大統領でしたが、彼の農業に関す
る演説のなかで、実にみごとだと思ったものがあります。曰く、「食料
を自給できない国を想像できるか。そうなった国は、国際的な圧力と危
険にさらされている国だ。食料自給は国家安全保障の問題である。アメ
リカ国民の健康を守るために輸入食品に頼らなくて良いのは、何とあり
がたいことか」というものです。

この演説は、これから日本国民が考えねばならないであろう大切なこと
を訴えています。その背景には、2008年の穀物暴騰時に世界の農産
物輸出国で『農産物の輸出規制や禁輸といった措置がとられた』という
大きな事実があります。

ちなみにそのときに主な農産物輸出国によるの、各国国内供給確保のた
め輸出規制例は

 ウクライナ  小麦、コーン、大麦、ライ麦に輸出枠設定
 セルビア   過剰輸出回避のため小麦、大豆等の輸出規制
 カザフスタン 輸出業者に国内販売義務付け発表
 インド    インフレ抑制でコメ、小麦、乳製品の輸出禁止
 ベトナム   コメの新規輸出等禁止
 アルゼンチン コーンや小麦の輸出規制、06年牛肉の輸出枠設定
 ロシア    国内の穀物需給緩和でも 小麦、大麦の輸出税導入
 中国     穀物とその加工品に輸出関税の導入
        穀物等の輸出促進のための輸出還付金の廃止

といったものがあります。

そうなんです、お金があっても穀物が買えなくなる事態が、このとき
現実に起こっていたのです。そして心配しておかねばならないのは、
そう次の穀物の高騰が起きたとき、さらにはその次の次に穀物の高騰
が起きたときなのです。

農産物輸出国が輸出規制や禁輸をしないという保証はないのですから。

さきのジョージ・ブッシュ前大統領の演説は、米国国民よりも、むし
ろ自給率が低い国こそが、より真剣に考えるべき課題であるはずなの
です。

さて、そんな自給率の低い国の代表といってもよい国であるわが日本。
わが国の政治家の目指す国の進路の行先は 何処へ。


晴れ↑は2009年分ですが、ちなみに日本の農業政策の典型が
  こちら。種子の国内生産にかんする、いわゆる農政改革と
  いう名の農政改悪とも思われる事例です。・・・新電力を
  推し進めた結果が表れ始めている今、つぎは種が悩みの種
  となるかもですね。
 
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜」