グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

ナラ枯れ被害を防ぐために。

2021-12-07 23:05:39 | Weblog
キクイムシに対抗するには。ナラ枯れ被害を防ぐために。

12月06日の神奈川県発のナラ枯れに関するニュース。そんなナラ枯れ
が、ここ宮崎県で大発生したときの当ブログの2015年の記事の2回目
です[一回目はこちら]。よろしかったら ご参考に。

 ↓

つけられている名前からその姿を推察すると、カシの木につく長い体躯
をしたキクイムシとなる カシノナガキクイムシ。

その姿は、 こちら となります。

この虫がカビの一種であるラファエレア菌をはこんでしまう がために、
この虫に侵入された広葉樹のシイやナラ、カシなどでは 枯死してしま
う個体が頻発するというわけです。

そんな カシノナガキクイムシ。

成虫の姿を 実際に森でみたとき、「名前につけられるほど[体躯は]
長くないじゃん・・・」と、しようじき思ってしまいました。

「まてよ、幼虫の体が長い?のかな」とも思いましたが、そうともいえ
ず → こちら
「この程度ならカシノナガキクイムシではなくカシノキクイムシでいい
よな、じつに名前倒れな虫だな」なんて、かんがえてしまいましたよ。

そのときです。一緒にいた森に詳しい同行者から『長い身体の昆虫なら
こんなものもいるよ』といって、 教えてもらった甲虫が こちら ↓。

 ホソカタムシ これは細長っ!

ルイスホソカタムシという名前の昆虫。このスリムな細ーい身体を持つ
ルイスホソカタムシこそは、なんとシノナガキイムシなどのキクイムシ
類を捕食してくれる、いわゆる天敵 なのだそうです。
樹にあけた穴の奥にいるキクイムシ類を捕食するために、こんな細長い
身体に進化したらしいと聞いて、その形状には合点がいきました。こちら

 うーむ、キクイムシにもこんな天敵がいたんだ

と自然界のもつ奥深さにおもわず唸らされてしまいましたよ。

そして感心しつつも・・・「このルイスホソカタムシを 増殖させて、
森のナラ枯れ被害を軽減する天敵昆虫/生物農薬として日本で販売し、
あわよくば米国やカナダで森枯れ・山火事の原因のひとつとなっている
といわれるパインビートル用に輸出できないものかな」なんて思ってし
まったのは、
わたくしが最近の農業の六次産業化の話に染まった農業関係者だからな
のかもしれませんね/笑。

ということで今回は、いまのところ効果的な対策がないのが現状とされ
ているカシノナガキクイムシには、じつはルイスホソカタムシという天
敵昆虫がいたというおはなしでした。


晴れ 細くて堅いという体躯の形状道理の名前が付けられたホソカタ
  ムシ。そして今回のルイスホソカタムシの最初の部分のルイス
  とは、20世紀以前に来日した英国の昆虫学者ジョージ・ルイス
  さんの名前なのだそうですよ。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜