グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

輸出するつもりが、輸入量拡大になったり。

2011-10-12 10:54:33 | Weblog
輸出するつもりが、輸入量拡大になったり。

原発事故前の記事ですが、韓国の食問題の関連として再掲載です。
よろしかったら。

 ↓

『輸出するつもりが、輸入量拡大になったり。』

優秀な日本産のコメであれば中国で飛ぶように売れるといったような、希
望的観測に満ち満ちた説があります。はたして、本当にそうなのでしょう
か。そんな農産物に関する輸出入についての話を、その高品質さゆえに、
昔から 海外に輸出されていることで有名な干し椎茸 を例にとって
おはなししてみます。

さて、干し椎茸です。

椎茸は、生のものよりも乾燥したほうが風味や香り・旨みが増すために、
日に干して、干し椎茸に加工されます。高品質の日本産の干し椎茸は、
本場ものとして人気があり、日本各地の干し椎茸業者が主として香港や
台湾に、昔から輸出をしている
ことで知られています。
なんといっても『道元が南宋に渡った際に現地の僧から干し椎茸を持って
いないかと何度も問われた』という逸話がある
ほどのものであったといい
ますから、いかに当時から日本産の干し椎茸の価値が高かったのががわ
かる話ではありませんか。

そんな干し椎茸の本場である日本に、外国産の椎茸が輸入されることなど
可能なのだろうか・・・と、前述の逸話を読まれた方は思われるかもしれ
ません。

が、現実は厳しいものです。

全国でも有数の干し椎茸の名産地である宮崎県の干しシイタケの生産量
1984年と2008年の数字を使ってご紹介しますと・・・

1984年度 2237トン

2008年度  646トン


と、いう具合に、四半世紀の間に生産量が 1/3 になってしまいました。
名産地の宮崎県でさえこれです。ちなみに全国の生産量でみれば

1984年度 16000トン

2008年度  3867トン


と、こちらは 1/4 になっています。

この生産量の減少の原因がじつは、それは 安価な中国産シイタケが大量
に日本市場に流入した
ことによるのです・・・・。

そして、コメです。
干しシイタケとちがって、本当に喧伝されているように“優秀であるから外国産
に勝てる
”のでしょうか。

わたくしは、この説をはなはだ疑問に感じます。

関税が自由化された場合、コメもまたシイタケと同じ道をたどるのではない
のか、と、思ってしまうからです。お伝えした 農産物の輸出入の現状
〔 こちら 〕から考えても、まあそう考えるのが、妥当でしょう。

たしかに

 高品質の日本のコメは外国に輸出される。

しかし、同時に

 低価格の外国産米も、同時に日本の国内市場に大量に輸入される。

結果として、日本産のコメの生産量は、

 コメの名産地で 1/3、日本全体では1/4以下

となる。それが、輸出のために関税を撤廃した場合の真実となるの
ではないでしょうか。

日本は山国であり耕地がせますぎること。水資源にも陰りがみえてきてい
ること。農業と農村は、土地利用型農業農業ばかりでなりたっているわけ
ではない
ことから考えると、そう思えてならないのです。

▼ “経費は大目に、利益は最低値で考えて経営にあたる” これが
  まっとうな農家さん的ものの考え方かと。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染






総産出額は8兆円強しかない日本農業。

2011-10-12 10:46:02 | Weblog
総産出額は8兆円強しかない日本農業。すみ

経団連の米倉会長が、「日本の農業の総産出額は8兆円強もあるのに、
なぜ日本の農業界は、TPPへの参加を恐れるのか
」とおっしゃって
います。今回は、その件についての現場からの事情説明となります。
よろしかったら。

 

『総産出額は8兆円強しかない日本農業。』

農業総産出額というものがあります。これは

農業生産活動による最終生産物の総産出額であり、農産物の品目
 別生産量から、二重計上を避けるために、種子、飼料等の中間生
 産物を控除した数量に、当該品目別農家庭先価格を乗じて得た額
 を合計したもの


というもの。

その農業総産出額をグラフで表すと、つぎのようになるのですが・・

農業総産出額 H20年.gif

昭和50年代後半には、12兆円を越していたはずの農業総産出額は、
平成20年には 8兆円強にまで低下
していることが わかります。

ちなみに8月30日に衆参両院で行われた首班指名選挙で次期首相に
指名された野田佳彦氏は、松下政経塾のご出身ですが、2006年度
の新聞記事にもとりあげられた〔農業者の間で話題となった〕有名な
フレーズで

 日本の農業総産出額の8兆円強という数字は、
 9兆円超のパナソニック1社にも及ばない


というものがありました〔通常はトヨタと比較されることが多い〕。ちなみに、
この数字には農業補助金も含まれたものとなっています。


▼  ほめ殺しというものがあります。“日本農業はじつは強い”という
  意見を聞くたびに連想するのはこの言葉です。
  “ねっ、日本農業ってじつは強いんですよ。だから参加してもなん
  ら心配いらない”といった、形を変えたTPP推進論にしかおもえ
  ないんですよね、それって。 労働問題編は こちら 。
  それにしても・・・TPPを推進する人たちは、〔TPPは農業だけ
  の問題ではないのに〕あいかわらずの「悪者を作る(TPPの場合は農
  業)」手法での一点突破を狙われているのですねぇ。


51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染