鳩山元首相の突然のイラン訪問が問題になっている。なにしろ党や外務省にもほとんど知れされずにいたというから、これが異常な訪問であることは間違いない。評論家の佐藤優氏はイラン側の工作に嵌められたのではないかと懸念しているが、確かにいえると思う。
鳩山元首相はイラン核開発問題で大統領とも会談して解決に促したいと、意気込みこそ高い。しかし彼のこれまでの外交実績を見たら、とてもそれはおぼつかない。例の普天間基地移転問題では、自民党の橋本政権以来の外交努力を台無しにしてしまった。今日の沖縄基地問題の混迷は、大部分彼の不始末からきているといってよいだろう。
ましてイラン核開発問題ならなおさら無理だ。イランを含めた中東諸国、米中ロシアといった大国、日欧を始めとした原油輸入国の利害が複雑に絡み合っているからだ。
逆に鳩山元首相は、イラン側によって、日米やEUの先進諸国の結束を乱すための格好のピエロ役になってしまいそうだ。それも彼の持論である「友愛外交」の虚構性による。これは政治の理想、理念として掲げるのはよいが、現実の政治ではとてもではないがつとまらない。北朝鮮の核問題ひとつみてもそれがわかるはずだ。鳩山元首相が今行くべき所は、イランではなく「ユウアイ星」という宇宙である。賑やかな奥さんと有り余る財産のもと悠々自適の生活を送ってほしい。