4年半も経てばいい加減、特定県民への中傷など続ける気力も失せるのだが、この人たちは相変わらず「旺盛」なのには呆れてしまう。
週刊金曜日掲載の「福島、国道6号線清掃活動――抗議無視の安全神話作り」という記事。
東京電力福島第一原発の被災地を南北に走る福島県の国道6号線延べ50キロ・8区間で、10月10日、中高生を含む約1400人がごみ拾いをする清掃活動「みんなでやっぺ!! きれいな6国」があった。事務局はNPO法人ハッピーロードネット(西本由美子理事長、広野町)。
開催前から、全国70を超える市民団体が中止を求める提言書を提出。理由は放射能問題で、活動ルートの放射線測定値も公表されず、参加可否の判断材料に乏しいことや、被曝防護措置の不十分さを挙げた。西本理事長は「多数の抗議の電話やファクスがあった」ことを明らかにし、「親から参加承諾をもらい、強要はしていない。中高生のごみ拾いは高校の通学路で、線量も低い。線量計も持ち、事前に落ちていたごみの線量も測っている」と弁明する。
広島・長崎の原爆降下物と健康影響に詳しい沢田昭二・名古屋大学名誉教授(素粒子物理学)は「最近の原爆の放射性降下物の研究では、原子雲から降った黒い雨よりも、広がった原子雲から降下した放射性微粒子を呼吸などで人体に取り入れた方が大きな影響を与えたことが分かっている。ほこりなどに含まれる放射性微粒子を取り込んで、がんのリスクを高めるのではないかと心配だ」と話す。
国道6号線は昨年、佐藤雄平知事(当時)が東京五輪組織委に聖火リレーを要望した道路。10日は動員された除染関連業者ののぼりが目立った。経済効果を狙う地元の思惑も透ける。これは善意で彩られた無償奉仕と表裏一体で、被曝リスクを個人負担させる足がかりなのか。
西本理事長からは筆者に「対応できない」と取材お断りの電話があった。地元のメディアは抗議について伝えないが、十分な説明が求められる。かつて福島第一、第二原発で働いていた今野寿美雄さんは言う。「新たな安全神話が今、まさに作られようとしている」。(藍原寛子・ジャーナリスト、10月16日号)
中高校生を含む1400人で国道6号線の道路を一斉清掃したという話だが、市民団体から70件以上の抗議があったという。「被曝リスク」をこの筆者は問題にしているようだが、そんなに気にすることなのか。
福島民報の関連記事によれば6号線といっても原発がある双葉町や大熊町は対象外のようだ。また他の帰還困難区域にある道路は高校生ではなく、大人たちが線量を考慮しながら清掃をしている。それも1日数時間の作業で被曝といってもたかがしれている。1度のレントゲンの被曝と比べても低い線量だ。
この筆者の女性ジャーナリストは特に医療が専門のようだが、被曝に対する基礎知識がお世辞にも充分とはいえない。さらに名古屋大学教授の学説の引用も見当違いに思える。原爆雲から短期間に降下した放射性素粒子を吸引したことによる被害をことさら強調しているが、4年半経って既に福島の日常では空気中には浮遊する放射性物質は皆無といってよく吸引の影響はまず考えられない。
それを「特定の原発作業員の言葉を借りて「安全神話が今、まさにつくられようとしている」と大上段にこうした清掃ボランティアの試みを批判している。「安全神話」という言葉は事故当時反原発派が好んで使っていたが、ここに至ってもはや見当違いというよりある種悪意さえ感じる。この筆者は、福島の新聞の記者だったようだが、地元の若者たちの郷土愛に無用な憶測でケチをつけて復興に圧力をかけているとしか思えない。
共同通信によれば、この清掃ボランティアに対しては「殺人行為」とか「狂気の沙汰」といった誹謗中傷の言葉も主催者に寄せられたという。この女性ジャーナリストはさすがにこうした事例もあったことは記事にすることを憚ったが、福島を貶めるという点では大差ないのではないか。