粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

朝日新聞とNHKの世論調査

2015-11-11 20:36:29 | 反原発反日メディア

昨日発表された朝日新聞とNHKの世論調査だが、その結果が両者でかなり食い違いが出ている。まず、安倍内閣の支持率だが、朝日新聞では40%が「支持する」に対してNHKは47%と7%も多い。「不支持」では朝日41%、NHK39%となっていて2%の差しかない。支持率でこれだけ違いが出るのは一体どういうことだろうか。

朝日もNHKも調査方法は共にRDD方式というのを採用しており、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける」方法で対象は有権者限定だ。ただ、調査に応じてくれる回答率にかなりの違いがある。今回の調査では朝日が有権者3787人のうち有効回答者が1849人で49%だ。一方NHKは1594人の有権者のうち有効回答は1069人でなんと回答率は67%にもなる。

18%も違うというのは、朝日の方が「たずね方がうまくない」ということなのだろうか。電話を掛けてもなかなか有権者が出ない時間帯だったり、電話に出ても拒否されたりするのは、調査員の技量に問題があるのか。

同じRDD方式とはいっても方法的に微妙な違いがあるかもしれない。だから、一概には技量だけを問題にすることはどうかと思うし、必ずしも回答率が高いことがよいとはいえない。しかし、この17%の差を意識しないわけにはいかない。自分の勝手な推量だが、電話に出た有権者にとって調査メディアの好き嫌いが関係しているように思う。「あの朝日の調査では回答したくない」という感情的な動機で回答を拒否することもあるのではないか。

したがって、朝日の調査では逆に朝日の論調に好意的な回答者の度合いが濃くなることは大いにあり得る。いうまでもなく朝日新聞は安倍政権になって政府攻撃を異常なまでに繰り広げている。安保法制、原発問題、沖縄基地問題、慰安婦問題などの歴史認識、中韓関係などでことごとく現政権批判のキャンペーンを繰り広げている。朝日の主張に共鳴しているコアな有権者が朝日の意向にそった回答をすることは充分ありえる。

その証拠に、たとえば先日行われた日韓首脳会談で「開催を評価する」と答えたのは朝日の調査では75%にも上るのも頷ける。巷で言われている会談の中心課題は慰安婦問題だが、日本にとっては既に解決済みの話を韓国が持ち出して日本側に譲歩を迫ることが目的だった。だから、日本はこの問題の議論に渋々応じたのが実情だ。日本の保守派からすればはこうした会談は無意味という声が多かった。しかし、この問題を韓国側にけしかけた過去をもつ朝日とって会談は大歓迎ということだろう。

その反面、この問題で「今後安倍内閣に期待がもてるか」の質問には「期待ができる」がわずかに36%で「期待できない」方が42%と多いのが朝日らしいといえる。慰安婦問題に対しては安倍首相は朝日を内心嫌悪していることを朝日は充分認識している。そんな両者の「怨嗟関係」が垣間見える。

また沖縄基地問題でもそれが窺える。「…安倍内閣が埋立て工事を始めたことを評価しますか」の問いに「評価する」は33%、「評価しない」は49%と圧倒的に多い。反面、「沖縄県の翁長知事は…埋立てを認めていません。翁長知事のこうした姿勢を評価しますか」の問いには「評価する」が53%、「評価しない」は30%と評価が逆転する。

日頃の報道から間違いなくといってよいほど朝日は安倍VS翁長の対決では翁長陣営に加担している。したがって、この調査結果は朝日の意向に沿っていてまさに「してやったり」の心境だろう。しかし、自分にとってはあくまでも「予定調和」でしかない。ちなみにNHKの調査では「政府が辺野古に移すことに賛成か」という質問に賛成が29%反対が25%となっており賛成が多い。

NHKでは政府と沖縄の対立が質問には言及されていないので朝日とは一概に比較できない。逆に朝日をこの対立を前提にして基地問題を問わせているところにこの新聞の特定の意図を感じないわけにはいかない。元々基地問題は国家の安全保障と深く関係している。しかし、朝日はこれを軽視して国内の地域住民の問題に矮小化している。それが世論調査に質問内容にも現れている。

最後にこれは朝日だけでなく、NHKにもいえることだが、RDD方式という調査方法も今や限界に来ているのではないかと思う。固定電話だけを対象にした調査では今後若い世代の意見がなかなか反映されない。既に若い世代は固定電話をもたず携帯電話だけで済ましている人間が多くなっている。まして、すでに選挙年齢も18歳に引き下げられているのでますます既成の調査方法では正確な世論を把握することは困難になってくる。

こうした若い世代は新聞も取らずテレビもあまり見ないでネットで様々な情報を得ている。朝日やNHKといった既成メディアの影響力はますます落ちてきている。こうしたネット世代の動向を正確に把握することがメディアの存亡に大きく関わってくる。まして「予定調査」の世論調査など無意味で有害だとさえ思う。