最近の朴槿恵政権や韓国マスコミの安部叩きは、目に余るものがある。特に慰安婦問題を始めとした歴史認識に関して、日本政府閣僚の言動や橋下市長発言にはその一言一句も見逃さないほどの過剰な反応ぶりだ。
その度に、「安部首相は過去の歴史を反省していない」というお決まりの日本批判が始まる。そして安部政権が極めて民族主義的な性格があるとしてその「右傾化」に警戒心を露にする。
それを当初、韓国の反日世論を意識して自己防衛的に朴槿恵政権が対日批判をしているためと想像していた。しかし、どうも別の問題があるのではないかと思うようになった。それは安部政権の目玉ともいえるアベノミクスという経済政策が韓国をいら立たせているということだ。
それに関して興味深い記事をネットで見つけた。「経済の死角」『いいがかりが始まった』。記事では、アベノミクスの影響を受けた国として中国と韓国を挙げている。中国に関しては別の機会に取り上げたいが、韓国の場合はこうだ。
3月に入って、アベノミクスを"円安空襲"と呼んでいます。3月1日に知識経済部が発表した2月の貿易統計で、輸出は前年同月比マイナス8・6%という信じられない数値が出ました。1月はプラス10・9%だったので、まさに晴天の霹靂です。
2月25日に就任したばかりの朴槿恵大統領は、出だしから安部政権にカウンターパンチを受けた。韓国はGNPの43.4%が輸出に依存している。日本は11.4%だからなんと韓国のその約4倍の比重だ。それが8.6%の下落だから韓国経済にとっては一大事だ。その後の韓国の経済指標もマイナスの内容ばかりだ。
続いて2日には韓国観光公社が、円安ウォン高の影響で、2月の日本人の訪韓観光客が、前年同月比でマイナス20%だったと発表。翌3日には、現代自動車と起亜自動車の2月のアメリカ市場での販売台数が、前年同月比マイナス2・5%という統計が発表されました。韓国は2月25日に朴槿恵政権が発足したばかりだというのに、アベノミクスは祝賀ムードに水を差す許せない政策だという評価なのです」
「安部政権憎し」の怨念が就任早々大統領の心にインプットされてしまった。その後日本閣僚の靖国参拝が火に油を注いでしまった。日本はこれまで通り、首相、外務大臣、官房長官の参拝を遠慮したし、終戦記念日でもないのにこの過剰な反発は安部政権に取っては予想外でなかったのか。
一時は1円13~14ウォンのウォン安をバネに強力に輸出で経済牽引してきた昨年までの活況が嘘のような状況、現在は1円11.1ウォンと高止まりだ。だが、最近行われたG20でも日本の円安を批判する空気はなく、世界では是認されている状態だ。
したがって、韓国はこの恨みを別の形で晴らすしかない。それが朴槿恵大統領による日本の歴史認識非難や安部政権右傾化批判である。これに韓国のマスコミも加わって国をあげての日本批判が展開されているといえる。
朴槿恵政権は、就任早々経済でのマイナス要素を抱え、なかなか抜け出せない。韓国は大財閥が経済を牛耳っているといわれる。特にサムソングループはこんな韓国でも一人勝ちといえるくらいの業績を拡大している。なんと韓国GNPの20%をサムソンが稼ぎだしているという。しかし、グループ全体の従業員は38万人ほどだ。これは、韓国労働者数の1%に過ぎない。崩落が懸念される韓国経済にとってこうした国民の格差はより深刻になっていくに違いない。野党は、経済失策に対して追求を強めている。最近の政権種キャンダルもこれに拍車を掛ける。
「こうした国内政局の混乱も、アベノミクスのせいだという責任転嫁論が、今後起こってくる懸念があります。朴槿恵大統領は親日派として知られていますが、内政の失態を日本に転嫁するというのは、昨年8月に独島(竹島)に上陸した李明博大統領を見ても分かる通りで、歴代の韓国指導者の常套手段です」(韓国のジャーナリスト・金哲氏)
昨年経験した大統領のあから様な責任転嫁、再びそれが繰り返されるとしたら、本当に日本にとってはいい迷惑でしかない。隣国の声を聞いて日本は冷静な対応をとるべきだという、一部メディアのもっともらしいしたり顔の韓国擁護もほどほどにしてほしいものだ。