粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

泉田知事への試験問題

2013-02-18 12:07:41 | ガレキ広域処理問題

「既に(放射能が)出ているからいいではないですか」、「みんなで放射能を浴びましょう」、「子どものことは知りません」と言うのですか。考えられないです。

例の泉田裕彦新潟県知事が14日がれきの広域処理に対して記者会見最後に語った言葉である。泉田知事はそれ以前に県内の柏崎市と三条市が岩手県のがれきを焼却し埋め立てる事を「殺人行為に近い」と非難したが、ここでも再度持論を展開していた。

まあ、こういう人を世間では「放射脳」というのだろう。被災地のものは放射能で汚染されているからとにかく危険で持ち込みなどもっての他だ、子供の命を守れと、これまで反原発市民活動家が何かとうんざりするほどに騒ぎたててきた主張だ。少しは為政者らしく、広域処理のどこが問題なのか、具体的な数値を示して説明してほしいのだが、知事からいまだそうした発言を聞いたことはない。

つい最近辞任した福島県内の井戸川双葉町長と通じるところがある。すべての責任は東電と政府にあり、政府は原発対策が緩すぎてその方針には応じられないと頑なだ。しかし、結局は放射能汚染を過剰に主張する側を一般市民と考えてそれに歩調を合わせる。そうすることで自分の政治には波風が立たないで済むという計算も働いている。

どこか自分は世論を代表する正義の味方だとも勘違いしている。先に市民団体から提出された原発の是非を問う住民投票も議会では条例案が否決されたが、知事は内心結構色気を見せていたようだ。しかし、この知事の「正義感」に振り回される県関係者、ひいては県民はたまったものではない。もちろん、がれきの広域処理を依頼する被災地の人々にとってもやりきれないことだろう。

記者団の質問も広域処理の核心に迫るものがなく、残念であった。一番肝心なのは焼却灰の放射性セシウム濃度に関してだ。日常ゴミのなかにほんの一部だけを混ぜるだけであり、日常ゴミと比較しても全く差がない事をどうしてもっと追求しないのだろう。あるいは東京都を始めとして既に焼却を実施している自治体に対して、感想を求めてもよかった。知事にとっては、もしかしたら京大の入学試験や国家公務員採用試験より難しい設問かもしれないのに。


算数のわからない?泉田新潟県知事

2013-02-16 00:14:43 | ガレキ広域処理問題

これまで色々な人を見てきたが、こんなに酷いと思った政治家は初めてかもしれない。いやしくも230万県民を代表する首長がこの有様なのか。いや、敢えて言えばこの知事は人間としての資質にさえ疑問に思ってしまう。

岩手県の震災がれきの広域処理を受け入れた新潟県内の柏崎市、三条市の試みを泉田裕彦知事「健康被害を受ける人が出ると傷害。それによって亡くなれば傷害致死と言いたいが、分かっていてやったら殺人に近い」と強い表現で批判した。

正直言ってこの知事、本当に「頭が悪い」と思う。柏崎、三条両市の試験焼却で分かる通り、日常ゴミによる焼却灰のセシウム濃度は20~80ベクレル/キロに対して試験焼却による灰の濃度が34ベクレルと24ベクレルで全く日常ゴミと変化がない。

それがどうして「犯罪行為」になるのか、泉田知事の「頭の構造」が理解出来ない。京都大学で何を勉強したのか。いやこれは算数のレベルかもしれない。焼却灰100ベクレル/キロ以下はあの武田邦彦中部大学教授さえも指摘するように日常的に扱ってなんら問題のないレベルと言っているのだ。

それなのに県内の日常ゴミが良くて被災地のものを含んでいるものが駄目というのは全く理屈に合わない。はっきり言ってこれは被災地差別だと思う。「こんな焼却灰を埋めるなんて被災地では日常的に犯罪行為が行われている」と言っているようなものだ。失礼きわまりない話だ。

さらに既に1年以上広域処理を実施している東京都に「喧嘩」を売っていることになる。泉田知事が陳情にどんな顔で上京するのだろうか。石原慎太郎日本維新の会代表(前東京都知事)に出くわさないようにした方がいいだろう。「黙れ」といわれかねない。

考えて見れば泉田知事の基準では新潟の日常のゴミも危険で焼却灰を埋めるのは「殺人行為に近い」と言っているようなものだ。230万人新潟県民はどう思うだろうか。少なくとも知事の側近は、呆然としているのではないか。殿ご乱心。江戸時代、無軌道な主君からお家を存続させるために家臣たちが「押し込め」という手段を用いた。主君を座敷牢に閉じ込める、いわばクーデターだ。そんな強硬手段も今必要なのかと思ってしまうのだが。


東京新聞の記事

2013-02-12 14:58:17 | ガレキ広域処理問題

11日東京新聞で、震災がれきの広域処理が早期終了することを報道していた。「結局は税金の無駄遣い」「ゼネコン利権に群がる」記事の見出しを見れば広域処理=悪というこの新聞特有の偏った見解がみてとれる。内容を読んでみても、広域処理に反対する議員や市民団体あるいは学者の意見しか載せていない。さらに相変わらずこの問題を放射能汚染と短絡的に結びつけている。

確かに、環境省の震災がれきに対する当初の見積もりが甘かったことは大いに問題があった。しかし、当初、広域処理の是非はともかく膨大ながれきを見て国民の多くが異常事態だから早期に処理しなければ、東北の復興は果たせないと感じただろう。そこから広域処理という政府の発想がでるのも自然なことだ。おそらく、原発事故がなければ、たとえ見積もり量が大きく下がっても、東京新聞の記事のようにトップ記事で大騒ぎするようなこともなかっただろう。

やはり、これが放射能汚染と完全に結びついて論じられたことが問題だった。がれきの広域処理=放射能の拡散=健康被害という図式で完全に考えられた。この問題の不幸はそこに集約されている。そして、さらに本質的には反原発という思想的意図が強く背景にあることだ。これが世論を二分する政治的社会的問題になってしまった。

特に酷いのは、反対派が受け入れを表明した自治体ばかりか、お願いする立場の被災地の自治体まであからさまに抗議行動をしたことだ。東京新聞によれば、被災地の議員たち自身が広域処理に反対しているような書き方をしているが、これは一面的な見方である。おそらく被災地の人々の多くの心には「ここまで他地域から曲解されて、冷淡な目で見られるならば自分たちでやるしかない」という失望と諦めの気持ちが本音にあるものと思う。

広域処理そのものは、たとえ6分の1に減ったとしてその意義はあったと今でも考えている。何より、最大の自治体東京都が東北以外では最初に名乗りを上げて、震災年の年内に実施したのは大きい。これは東北人には大きな励みになったと思う。これまでの一連の自治体の参加が震災がれき問題解決のスピードを速めたことは評価できる。

ただ、被災地と他の地域の間でわざわざ見えないわだかまりを残してしまったことも確かだ。非常に残念な話だ。政府の対応にも今思えば大いに問題があったが、やはり社会問題化した反原発派のグループやメディアも断罪されるべきだろう。


がれき焼却は濡れ衣?

2013-02-09 11:52:31 | ガレキ広域処理問題

大阪市で震災がれきの焼却が2月から始まり、相も変わらず反対派がその「健康被害」を喧伝している。喉の異常、咳が152件、目の痛み、かゆみ109件、花の異常、鼻血73件など合計294件が「報告」されている。

それもわずか1週間なのに近畿5府県に及んでいる。大阪市のゴミに岩手のがれきを20%を加えただけなのに。試験焼却では大阪だけのゴミと被災地のものを加えたゴミによる焼却灰から検出されるセシウムの濃度にほとんど差がなかったという。

「健康被害」はどう考えても別のところにあるものと思うが、ネットである興味深いブログを見つけた。記事のタイトルがずばり結論を言い表している。「震災瓦礫の放射能より、中国からの有害黄砂を心配しなさい」

ブログ氏によれば、中国での大気汚染の有害物質PM2.5が黄砂に付着して関西にまでやってきたと図解入りで説明している。それも日本海から山地を超えるのではなく北九州の壇ノ浦あたりから瀬戸内海を通って関西にたどり着いたという。その先は生駒山地などで進行を遮られ大阪平野で澱んだ状態になっている。なるほど図解をみれば頷かされる。中国汚染物質を原因とした方が、今度の「健康被害」を語る上で説得力があるように思える。

したがって昨年から北九州市で始められた広域処理もこの汚染が主要因ではないかとブログ氏は推測している。北九州市で焼却が始められたのは昨年秋からだが、黄砂は夏期を除いて1年中日本にやってきているようだ。

ただ、自分はこのブログ氏の主張に総じて賛成だが、若干違う考えをもっている。やはり「震災がれき」焼却が少し原因していると思う。といっても焼却そのものに問題があるのではない。早い話が精神的ストレスだと思う。震災がれきの本格焼却が始まったというアナウンス効果だ。

受け入れまでの反対行動が関西地区でニュースで伝えられ、放射能を多少なりとも気にしている関西人の心にインプットされてしまった。特に呼吸器系などに不安を感じている人が今回黄砂での直接の影響とともに精神的なストレスが複合して症状が表面にでたのではないか。反対派が焼却後に症状が出たというのなら、おそらくこうした点が考えられる。

また別に中国を弁護するわけではないが、汚染物質は黄砂だけではない。日本では相当改善されているが、関西の大都市圏では工場や車での大気汚染は少しは残っている。東京でも数値が高いところが見られるのはそのせいだろう。ただ今後はおそらく中国の汚染物質が圧倒的に増えていくことが懸念される。

ともかく震災がれきを悪人に仕立てるのには無理がある。精神的ストレスがあると言われても困る。文句をいうなら、反対運動を執拗に繰り広げた活動家に言うべきだろう。



大阪市の震災がれき本格焼却

2013-02-01 14:40:00 | ガレキ広域処理問題

大阪市が今日から本格的に岩手県宮古市の災害がれの焼却を始める。これまで反対派の過激な活動は幾人かの逮捕者を出すほどに過激だった。これも東北のがれき=汚染物という不当な決め付けが一人歩きした結果だろう。特に西日本ではその認識が強すぎた。焼却に当たって橋下徹大阪市長の発言が全てを物語っている。

ちょっとした数字でも絶対許さないというのは、西日本では、みんなそういう状況だから、反対運動は強烈なんじゃないんですかねえ。だから大阪市だけ反対運動がきつかったというよりも、反対運動がきつくてみんな手を挙げれなかったという状況なんじゃないんですか。

政府の説明が充分でなく、多少唐突な面はあったろう。しかし橋下市長が言うように、少しでも線量が数字に出ているだけで反対するという住民の姿勢には疑問をもたざるを得ない。震災がれきの空間線量は0.06マイクロシーベルト/毎時、これは西日本の山口市内の空間線量0.094マイクロシーベルト/毎時(平成24年1月)よりもはるかに低い。試験焼却でのセシウム濃度も岩手にものを含まないのが37ベクレル/キロに対し、岩手のがれき20%含む場合は38ベクレル/キロという結果だ。

こういった数字を反対派の活動家は、住民を欺く「まやかし」だと言い張るだろう。早速今日の本格焼却には「不用な外出を避ける。マスクは必須」と活動家が呼びかけている。こんな状態では、どこに自治体も受けいれにビビらざるを得ない。橋下市長や石原元東京都知事のように、ある面強引に自己を主張する首長でしかなかなか進めないということだろう。

橋下市長に対しては最近の市立高校暴力事件での入試の対応には首を傾げるが、このがれき広域処理には全面的に賛成だ。新潟県知事や札幌市長のように一部住民に迎合して理屈をこねる態度はとても承服できない。場合によっては声高に叫ぶ一部の住民を振り切ってでも押し通す意気込みが欲しい。