時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

大企業誘致への補助金ばらまき

2007年04月29日 | 政治問題
統一地方選挙の前にこの記事を書いておくべきだったと後悔しつつも、まぁ今からでも書いておくことにしよう。
全国で多くの都道府県が、企業誘致のために多額の税金を補助金としてばらまいているという話である。
まず、三重県。
ここでは「12000人の雇用創出効果」があるという触れ込みで亀山市にシャープの工場を誘致した。これに投じた税金は何と90億円である。しかし、ここで働く従業員のうち4分の3以上が非正規雇用者である。地元雇用者や新規雇用は4年間でわずか225人で、当初の「雇用創出効果」のわずか2%足らずである。外国人労働者や青年労働者が派遣、請負として低賃金で働かされているのが現状である。

兵庫県では、今年の夏に尼崎市に松下電器の第二工場を稼動させ、その隣接地に第三工場の建設も予定している。3つの工場に県が投じた税金は175億円。これが松下1社に投じられる計画である。第一工場の正社員は何と6人のみで、236人はすべて派遣労働者である。派遣社員は、その後、直接雇用義務が生じない請負に切り替えられている。ちなみに、兵庫県の中小企業対策予算は80億円であり、この2倍の予算が松下電器1社に投じられたことになる。異常な姿ではないか。

神奈川県では、企業誘致のために「インベスト神奈川」という制度が創設され、県内に大企業が本社や工場を建設すると50億円、研究所の建設には80億円の補助金が支払われる。目的は、「県内の雇用確保」と位置づけている。
今までに支払われた補助金額は18社658億円にのぼっており、全国で群を抜いている。日産自動車:116億円、武田薬品:80億円、富士フィルム93億円、富士ゼロックス60億円、リコー45億円、ソニー43億円などである。
さて、「雇用確保」を見るとリコーや富士フィルムの研究所では、県内の新規雇用はゼロで、雇用創出には結びついておらず、他の企業でも似たり寄ったりの状況である。

こういう事例は、千葉、大阪、愛知など全国各地に腐るほどの事例がある。
こういう動きに対して、内閣府も「補助金が大きいからと言って、工場立地件数が多くなるという明確な関係はない」と、税金の投入効果に疑問を呈している。しかも、途中で企業が撤退しても補助金の返還を求めない県が多く、政府ですら、この点を問題視している。
多くの都道府県では、自民、公明とともに民主党も与党を形成している。神奈川などは、民主党出身知事である。
県民が知らないうちに、こういう無駄な税金投入が行われており、その多くが掲げる「雇用創出」、「雇用確保」も絵に描いた餅になっているのが実情である。
それどころか、非正規雇用や偽装請負の温床になっており、働くルールそのものが乱暴に破壊されているのが実情である。
多くの県民の子弟が働く場所を求めているわけであるが、その県民の貴重な税金が健全な雇用を破壊するために用いられているのは、何とも不幸な現実である。

たった7人に200億円の実質減税

2007年04月28日 | 経済問題
「貯蓄から投資へ」ということが言われ始めたのは、小泉内閣の時代だった。株価が低迷し、これを何とか吊り上げて、見かけ上の景気回復を演出しなければならなかった小泉内閣が掲げたスローガンの一つである。
そのために、株式の譲渡益には通常は国税と地方税がそれぞれ10%、合計20%かかるところを、現在は特例として10%に軽減されている。
わずかばかりの預金利息にも20%の税金がかかるが、株式投資でのもうけならな10%の税金で済みますよということで、国民を投資に駆り立てたわけである。そのおかげで、一時7000円台までになった株価も上昇に転じた。
さて、国税庁の平成2005年度分申告所得税標本調査によると、2005年に100億円超の所得を申告した7人の株式等譲渡益の合計は、約2000億円である。
本来なら、この7人は400億円の税金を納めなければならないのだが、この特例のおかげで、なんと200億円が減税され、200億円の納税で済んだことになる。
この調査を見ると、7人の大金持ちだけでなく、一部の資産家に多大な恩恵をもたらしていることが読み取れる。
たとえば、株式等譲渡益の申告をした31万4163人のうち、1億円以上の申告所得があった人はこのうちわずか1.6%、5024人である。そしてこの5024人の株式等譲渡益は、総額2兆6519億円のうち、1兆5005億円と実に56.6%を占めている。31万4163人のうちのたった1.6%の資産家が56.6%の譲渡益を手にしているわけだ。
そして、この5024人の実質的な減税額は、1500億円にのぼるのである。
アメリカ、イギリスでは、株式の譲渡益も他の所得と合算されて、総合課税がなされており、分離課税を採用しているフランスでも、株式譲渡益には27%の課税が行われている。
日本の現在の特例税率10%という税率がいかに異常な税率であり、一部の資産家のみを優遇する制度であるかは明瞭ではないか。
「貯蓄から投資へ」を合言葉に、庶民も含めて株式などへの投資を煽ってきたが、結果は、ライブドア事件に見るとおり、犠牲になったのは庶民である。
また、トヨタなどの優良株なら1万円くらいには、と思って購入した庶民も、今では年初来の最安値を伺うような展開に呆然としているところではあるまいか。
投資というのは、所詮はギャンブルであり、資金力のある投資会社、ファンドなどの思惑によって動くものである。素人が手を出してそれほどもうかるものではないのである。
いずれにせよ、一部の資産家を優遇するだけのこの制度、早々に改めるべきであろう。

「偉い人」はこの結果をどう思う?

2007年04月26日 | 社会問題
日米中韓の高校生、千数百人ずつに対して、昨年10~12月に調査が行われたという。日本では10都道県の12校1461人に聞いた。
この調査で、日本の高校生の特徴がもっとも表れたのが、「偉くなること」についての質問だったそうだ。
他国では「能力を発揮できる」「尊敬される」といった肯定的なイメージを持つ生徒が多いのに対し、日本では「責任が重くなる」が79%と2位以下を大きく引き離した。「自分の時間がなくなる」「偉くなるためには人に頭を下げねばならない」も他国より多かったという。
「偉くなりたい」と思っている割合は他国の3分の1程度の8%。むしろ「のんびりと暮らしていきたい」と考えている子が多い。日本の高校生は、米中韓国に比べそんな傾向があることが、今回の調査でわかった。
「偉くなること」に負のイメージが強く、責任の重い仕事を避ける傾向も目立った。
このため「偉くなりたいと強く思う」は8%。他国では22~34%。日本の高校生は、他国よりも安定志向が強い。「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたいと、とても思う」は43%と、14~22%の他国より抜きんでている。
将来の展望も控えめ。「大きな組織の中で自分の力を発揮したい」や「自分の会社や店を作りたい」が他国より少ないのに対し、「多少退屈でも平穏な生涯を送りたい」の多さが目立った。
読者諸兄はこの調査結果をどのように感じられただろうか?
社会的に「偉い」といわれている人たちが、必ずしもその人格や人間性において尊敬に値しない日本の社会状況の反映とみることもできよう。政治家や高級官僚、企業経営者などを見ていると、そう感じるのが普通かもしれない。
また、偉くなって責任が重くなることを避け、のんびりとした人生を送りたいと思う気持ちを強く持っているということについては、現代高校生の無気力な一面を表わしているとみることもできよう。自分の父親などが、休みも取れずに働いているのをみて、そういう人生は送りたくないと感じているのかもしれない。
あるいは、「偉く」なりたいと思っても、実際に「偉く」なれる人は少ないから、理想ばかり高くても仕方がないというのが、この8%という数字に表われているのかもしれない。
人々の意識は、常にその時代の社会状況、置かれた環境を反映する。
高校生が(偉くならなくても)夢を持って、自らの人生を有意義に過ごし、他人や社会のために貢献したいと願い、そのような希望が実現できるような社会を構築することが、大人の責任ではなかろうか。

「真珠」投資の果てに

2007年04月25日 | 社会問題
真珠販売会社「キュート」(愛媛県)の投資トラブルで、愛媛、宮城、福島、山形、山梨、長野の6県警合同捜査本部は、出資法違反などの疑いで、同社本店や幹部宅などを一斉に家宅捜索した。捜査本部は同社が39都道府県の約2500人から数10億円を違法に集めたとみて、詐欺容疑での立件も視野に、同社の資金集めの実態解明を急ぐという。
同社は真珠養殖事業への投資名目で、不特定多数から1口100万-105万円の出資を募ることを計画し、2003年11月-2005年7月、甲府市の男性ら計12人に元本保証と利息の支払いを約束した上で、1人当たり100万-500万円、計約2300万円を集めた疑い。
捜査本部によると、東北6県の被害者は約800人。うち宮城県内の被害者は全国で最多の約500人、被害額は計10億円近くに上るという。
真珠のほか「マダイ養殖に投資すれば資金が倍になる」と、全国で出資を募っていたことも判明している。
宮城県内では50代の主婦が昨年3月、同社と同社幹部ら2人に約6700万円の損害賠償を求めて提訴。仙台地裁は今年1月、「詐欺商法に当たる」として、約6700万円の支払いを命じる判決を言い渡しているという。
さて、この種の詐欺商法は絶えることがない。
景気が回復したとはいえ、銀行利息はスズメの涙ほどであり、株式なども相場は相変わらず不安定となると、せめてもう少し有利に運用できるものはないかと考えるのは庶民の素直な気持ちの表われである。
そこにつけ込むのが詐欺集団である。
こういう事件の場合は、間違いなくだますほうが悪い。しかし、被害者の側にも、「必ずもうかる」、「2倍になる」などと言葉巧みに勧誘されると、当初の警戒心も薄れて、ついつい投資してしまうという弱点がある。
そもそも、投資額が2倍になるのが確実なら、銀行も積極的にお金を貸すだろう。銀行から借りずに、個人からお金を借り集めること自体がおかしなことだと気づくべきである。
一部では、既に裁判も終了し、損害賠償の判決が出されてそうだが、これが判決通り支払われる保証は何もない。加害者の側に、差し押さえ可能な財産が残っているかどうかも疑わしい。結局泣き寝入りになるのではなかろうか。
ライブドア事件と同様に、昨今の拝金主義がもたらした典型的な事件の一つであろう。
この機会に、読者諸兄も、人として何が一番大切なのかをもう一度考えてみてはいかがだろうか。

経済界が消費税増税、法人税減税を要求

2007年04月24日 | 経済問題
経済同友会は、国の税制見直し論議が今秋から本格化するのを前に、消費税率を現行の5%から16%に引き上げることなどを盛り込んだ税制改革提言を発表した。その一方で、現在約40%の法人実効税率については、法人事業税の廃止により35%程度に引き下げるよう求めた。いずれも2010年代半ばまでの実施を要望している。
この提言では、16%の消費税率のうち9%は新設する年金目的税とし、年金保険料はなくす。残りの配分先は国税分が2%、地方税分が5%。法人事業税を廃止し、税源を地方消費税に置き換えることで、「地方自治体はより安定的な財源を確保できる」としている。
低所得者層ほど負担感が重くなる消費税の「逆進性」に対しては、基礎的な食料品を購入した場合には消費税相当額を所得に応じて還付する制度の導入を求めている。
同友会はまた、低所得者には、税額控除での対応で「所得税の再分配機能を実質的に発揮できる」としているそうだ。低所得者の控除額が所得税額を上回る場合、その超過分を現金で給付するという案だ。経済学者フリードマンが提唱した「負の所得税」の考え方に基づく制度で、勤労意欲を高める効果があると主張している。
しかし、そもそも低所得者に負担が重い税金ということがわかっているのなら、そういう税金は、所得の再配分機構を担うべき税金の性格からして不適切ではないか。
税率を上げると、低所得者の生活に影響があるので、さまざまな対応策を取るというのならば、そんな面倒なことをせず、高額所得者に応分の負担を求めれば済む話ではないか。所得税に対する累進課税、特に、3000万円以上の所得(額面ではない)を有するほんの一部の富裕層にこそ、所得にふさわしい税金を納めてもらい、所得の再配分を行うことがもっとも理にかなっている。
しかも、勤労者の所得の伸び悩み、国民消費の減退が報道されているなかで、自分たちの企業にかかる税金だけは安くしろという主張は到底認めがたい。
企業の業績が回復すれば、そのおこぼれが勤労者に回ってきて、国民生活が豊かになるというのが、政府、与党の経済運営の基本であり、現実に企業を応援する数々の政策が採られてきた。しかし、この数年間の実態は、企業は請負や派遣の活用で人件費を大幅に削減し、空前のもうけを上げる一方で、賃金は抑制され、国民消費は低迷している。
日本経団連も30%程度への引き下げを求めているが、国民生活の実態を見ない主張と言わざるを得ない。
消費税の廃止、庶民への減税と大企業、資産家への増税こそ、最も健全な税収を保証する道であろう。

ジェネリック医薬品の使用を歓迎する

2007年04月23日 | 医療・社会保障
厚生労働省は、新薬と有効成分は同じだが価格が安いジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及を促進するため、医師が患者に薬を処方する際、これまでは新薬の使用が「標準」だったのを、後発医薬品を「標準」に転換する方針を固めたという。
さて、ここで後発医薬品について少し説明が必要だろう。
新薬は、発売後の一定期間は特許によって守られている。この間は、極めて高い薬価が付き、独占的に販売できるわけだ。特許が切れると、ジェネリック医薬品と呼ばれる後発品が承認される。後発品は、厚生労働省での審査を経て承認され、成分や含有量などが先発品と同じで、効果や安全性についても先発品と変わらないと言われている。後発品が出ると、先発品(新薬)の価格(薬価)は、値下げされるが、それでも後発品よりも高く決められるので、病院への納入の際の値引率などを考えると先発品が圧倒的に有利になっているのが日本の薬価制度の問題点である。
薬価は、たとえば先発品が100円の場合、後発品は50円というように決められている。医療機関は、これらの薬を患者に処方すると、この薬価の金額を保険請求するわけだ。もし、病院が先発品と後発品のそれぞれを薬価の2割引で購入すると、先発品は80円で購入でき、100円を保険請求できるので20円の薬価差益が得られる。これに対して、後発品は40円で購入し50円を保険請求するので、10円の薬価差益しか得られない。したがって、病院は高い薬価の先発品を使いたがり、後発品の使用が進まないのだ。最近は、医薬分業でこの差益は薬局の儲けになってきているが、未だに、院内処方などで薬価差益に頼る病院も存在している。
後発品は、品質に問題があるとか、効果が悪いと言う医者がいるが、欧米では先発品の特許が切れるとあっという間に、高い先発品は市場から駆逐され、後発品ばかりになってしまう。それでも、効果や安全性に問題が生じたという話は伝わってこない。
そういう屁理屈を言って、先発品を使いたがる医者の頭の中には、やはりもうけ第一の姿勢があるためではなかろうか。
安価な後発医薬品を処方することによって、患者の負担はもちろん、保険財政にとっても負担が少なくなることは言うまでもない。
現行の処方せんは新薬の処方を基本にしているが、2006年度の診療報酬改定で、「後発品への変更可」という欄が追加された。この欄に医師の署名があれば、薬局などで後発医薬品の処方が増えると期待されていた。しかし、なかなか後発品の使用が増えないのだ。
今回の措置は、この処方せんの様式を更に改め、医師があえて新薬を選ぶ場合は、処方せんに理由を明記することを求めるという。
後発品の使用が一層進むことを期待したい。

心配事の多い社会

2007年04月22日 | 国家破綻
相変わらずホームページやブログ上で、国家破綻、財政破綻ネタはにぎやかである。
以前から書いていることだが、大変残念なことにそのほとんどが投資話、儲け話や資産の海外移転話などである。国家破綻に至らないために何をすべきなのかもっと考えるべきではないかと思っている。
戦後60年のほとんどの期間にわたって、自民党がこの国の政権を担ってきた。その政権による財政運営の結果、今日のような破綻寸前の財政になってしまった。国民の税金で開発を続け、企業に莫大な恩恵をもたらし、このお金の一部が賄賂あるいは政治献金として自民党に還流されてきた。これは単純な歴史の真実である。
しかし、多くの国民は、未だに自民党を含む連立政権を支持し、相変わらずの借金財政が続けられている。こういう政権が続く限り、国家破綻の可能性はますます高まるだろう。
国家破綻ネタで盛り上がっている人たちは、そういうことも十分に理解しているが、他の多くの国民が腐り切った自公政権を支持していることに愛想をつかして、それならせめて自分だけは国家破綻に備えて準備しておこうと思って金儲けに走るようになったのだろうか。もしそうなら、やむを得ない事情というべきかもしれない。
一方、未だに自公政権を支持しながら国家破綻を心配している方は、その思考回路を分解して点検されることを強くお勧めする。
現在のような財政運営が続けば、国家破綻というのはあり得ない話ではない。あるかもしれない話だ。そのために何か準備できることはないか、と考えることは一般庶民の素直な感情である。
しかし、国家破綻のためにお金を貯めておこうというのは、もし泥棒に財産を盗まれたら、もし災害で財産を失ったら、もし家族が大病にかかったら、もし交通事故に遭って半身不随になったら、もし万一・・・と心配するのと同じことである。
お金はないよりあったほうがよい。さまざまな「もしも」の時のために、せっせとお金を貯めておこうという気持ちはよく理解できるが、やはりそれらの原因を1つ1つ断ち切らなければ不安のタネはいつまで経っても消えないのではなかろうか。
ところで、国家破綻ネタのホームページやブログで盛り上がっている人たちは、国家破綻に備えて一体いくらお金を貯めようと思っているのだろうか。
まさか1億円程度ではあるまい。
こういう記事によると、ハイパーインフレで物価は年に10倍、20倍にまでなるそうなので、現在の1億円は500-1000万円程度の値打ちしかなくなる。これでは1-2年も暮らせるかどうかという程度のはした金だ。
もちろん、1億円を外貨で、あるいは海外に移転しておけば、全額保全できるかもしれないが、外貨をタンス預金していてもし盗難に遭ったら、外貨が暴落したら、混乱期に引き出せなかったら、海外の銀行が倒産したら、自分が死んで引き出せなくなったら、・・・と次々と心配事が増えることだろう。
もし、本気でハイパーインフレを心配し、国家破綻に打ち勝つような資産を作るのなら、せめて10億円くらいのお金は必要だろう。これなら、少々のことではビクともしない。破綻ネタで盛り上がっている皆さん方には、是非とも頑張っていただきたいと思っている。
もっとも、あまりに貯め込むと、ほとんど使い切らないうちに死んでしまうかもしれないという重大かつ新たな心配事が増えるに違いない。

銃撃、立てこもり事件のこと

2007年04月21日 | 社会問題
暴力団員が、相模原市のコンビに前で同じ暴力団組織の組員を銃撃、殺害し、町田市の自宅に閉じこもったという事件が起きた。
暴力団員同士のトラブルとは言え、先日の長崎市長の銃撃と同様、白昼堂々と拳銃が使用され、驚きと共に怒りを禁じえない。
これらの事件の背景には、暴力団が資金源に窮して起こしているとの報道もあったが、本当にそうだろうか。
以前に述べたように、麻薬や覚せい剤、人身売買、売春、ヤミ金をはじめ、盗品の密売や盗難アジア、ロシアなどへ輸出など、公然、非公然のさまざまな資金源が未だに野放しである。
こういう資金源を完全に断ち切るために、警察だけでなく、入国管理局、金融庁など、政府がこぞって、その資金源を断つ努力が求められる。
また、今回の犯人は、都営住宅に入居していたという。言わば、都民の税金で暴力団員に住居を提供していたということではないか。
公営住宅は、本来住宅に困窮している人たちのためにあるものであり、暴力団の構成員の住居を保証するために作ったものではない。
東京都も、これを教訓に、入居者の調査なども行うべきである。
いずれにせよ、拳銃が白昼堂々と使用できるような社会に安全はない。
国、地方自治体は、直ちに暴力団や過激な右翼団体などを徹底的に取り締まるべきである。

<4月22日追記>
この記事を書いた日の夕刊に、都庁へのインタビューの記事が掲載されていた。それによると、都としては、都営住宅への入居者が暴力団員かどうかは調べていないという。もし入居者が暴力団員とわかっても、問題を起こしたわけではないので退去させるわけにもいかないというのが都の見解らしい。
しかし、合法的な職業にもつかずに収入を得ている暴力団員の住居を税金でまかなうことなどあってはならないことである。警察などとも連繋し、直ちに退去させるべきであろう。

消費が堅調でないのは、賃金の伸び悩みのせい

2007年04月19日 | 経済問題
福井日銀総裁は、先日の衆院財務金融委員会における半期報告で、消費が堅調とは言えない背景に「賃金の伸び悩みがある」と指摘したという。
福井総裁と言えば、村上ファンドなどに投資して儲けているので、庶民のわずかばかりの賃金のことなど眼中にないと思っていたが、なかなかどうして卓見ではないか。少し見直したかもしれない。
福井総裁は、個人消費の動向について「底堅いとは言えても堅調だとはなかなか言えない状況は、1人当たりの名目賃金は緩やかな上昇基調にあるものの、ともすれば伸び悩み気味になるということが大きな背景にある」と説明。さらに「団塊世代の退職が昨年後半から増加し始めている。賃金水準の高い世代の退職者が前年対比で増加していることも、賃金の平均的な前年比を押し下げる方向に働いており、これが消費の基調に何がしか影響している」とも付け加えたそうだ。
さらに、総裁は、賃金の上がり方は極めて緩やかなため「個人消費は増えているが、底堅いとはいえない」との認識を示した。それでも「経済が緩やかながらも拡大を続けるなら労働需給はタイト化していくので、賃金についても上向く方向でいい傾向が出るのではないか」と述べた。
要するに、企業の景気はいいが、賃金が上がらないので、消費が伸びていないということだ。
以前から本紙でも指摘しているが、企業はせめてボロもうけの「ボロ」くらいは労働者に吐き出すべきであろう。
また「最近は良質な労働力を求める傾向があり、かつてのように非正規雇用がどんどん増え、正規雇用が減少するという局面は終わった」とし「景気拡大が長期化し、労働需給がタイト化すれば賃金も上がりやすい」との見通しを示したという。
しかし、この見方は正確ではない。雇用環境にも格差が生まれており、全労働者に占める非正規雇用者の割合は決して低下していない。
GDPの約6割を占める個人消費が向上しなければ、真の景気拡大にはつながらないことを肝に命じるべきであろう。

長崎市長への銃撃

2007年04月18日 | 社会問題
テレビ、新聞のニュースでも大きく報じられているが、長崎市長への銃撃には驚いた。
前市長も銃撃されており、これでは安心して市長にもなれないではないか。
意見の違いを暴力によって封殺しようとするこのようなテロ行為は絶対に容認できない。
いかなる場合も、暴力によって問題を解決することは許されない、まずこのことを強く主張しておきたい。
しかも、繁華街で人目もはばからずに銃撃した行為は異常としか言いようがない。一般庶民にすれば、拳銃を入手できるということ自体が信じられないことである。
犯人は、暴力団組員だそうだが、そもそも「暴力団員」などという呼称が許されている社会が異常である。一般社会の中に、「○○組」、「○○会」といった暴力団の看板が公然と掲げられていること自体が極めて異常なことである。
保守系議員の中には、暴力団あるいは暴力団の系列企業から献金を受けていたというような事例もたびたび報告されているが、政府、与党、そして警察も彼らを野放しにしてきた経緯もある。
暴力団の中には、半ば合法的に企業を経営し、それを資金源にしている所もあるので、取り締まりが難しい場合もあるだろう。しかし、その多くは、覚せい剤、麻薬、銃器、盗品などの密売や売春、ヤミ金、恐喝などのいわば非合法な資金源に頼って運営されている。
彼らの活動を規制するためには、その資金源を断つことが重要である。暴力団をやっていても儲からない、ばかばかしくてやっていられない、という状況を作り出すことなく、これらを撲滅することはできない。
今回の事件を契機として、政府として、あらゆる観点から暴力団撲滅の取り組みを強化するよう強く求めたい。

募金について思うこと

2007年04月17日 | 社会問題
世の中では、様々な募金活動が行われている。
ユニセフなどのように世界的な規模で行われているものから、難病の子供を救いたいという家族や友人を中心とした小規模のものまで様々である。
内容も、飢餓や貧困の解決、環境問題、弱者への支援、災害支援など、実に多彩な募金活動が行われており、また受け付ける支援の中身も単に現金だけでなく、種々の物資など多種多様である。
我が家も、ユニセフ募金や災害支援などの募金に協力することがあるが、どうもあちこちから手紙が来たりするので、少し面倒に感じている。
実は以前から考えていることだが、こういう種々の募金をまとめる団体を作り、一括して募金を集め、公平に分配するような仕組みを作れば、もっと効率的にさまざまな支援ができるのではないかということである。
各募金団体は、それぞれに事務所を構え、大きな組織では留守番なども置くので、団体の維持費や人件費だけでも相当な金額に上るだろう。何か「もったいない」と感じるのは、編集長ばかりではあるまい。
そこで、募金の親団体を作り、この加盟団体を募るのである。たとえば、No1~30までの団体が参加したとしよう。
募金者は、No.1~30のいずれかの団体を指定して募金できる。No.6に1万円とNo.15に5千円というように指定できる。もちろん、指定しなくてもよい。使途が指定されなかった募金は、この親団体の運営費用に当て、もし余った場合は、No.1~30のそれぞれの団体への募金額に応じて分配すればよい。
この団体には、監査あるいは外部のチェック委員会も置き、募金が有効かつ適切に使用されているかどうかチェックする。そうすることによって、実態のない怪しげな募金団体は駆逐できるし、各団体は事務所などを構えなくてもよくなる。そして、今までどおり、各団体への募金を訴えればよいのである。
募金する方も、この団体に加盟していれば安心して募金できるだろう
有益な活動をしているのに、募金団体の規模が小さく、全国的に知られていないような団体もあると思われるが、このような団体に加盟すれば、社会的にも存在を知られるようになるだろう。
なかなか有効な方法だと思うのだがいかがだろうか?
しかし、なかなかこういう募金の親団体を作ろうという意見が出ないところをみると、やはり、それぞれの団体ごとの思惑や背景とする考え方などの違いが存在するのかもしれない。
募金する側からみれば、いろいろな募金活動に接して、視野を広げる機会にもなると思うが、なかなか、そうはいかない事情があるのだろう。
しばらくは、募金活動団体が乱立した状態が続くのはやむを得ないのかもしれないが、将来的には、ぜひ募金の親団体を設立して欲しいと思っている。

最近はバブルなの?

2007年04月15日 | 経済問題
先日テレビを見ていたら、バブルが再燃していると報道されていた。
株価の上昇、地価上昇、高級品の売れ行きなどをもって、そのような判断が下されているらしい。
しかし、テレビでも放映されていたが、街頭でのインタビューでは、異口同音に「バブル、全然感じないね」、「給料は全然上がらないし。」というのがほとんどの庶民の声だ。
解説者は、今のバブルは、富裕層を中心に起きており、超豪華マンションが売れ、再開発地の地価が業者の売り惜しみなどもあって異常な上昇を示し、デパートやブランドショップなどでも高級品が不思議なほど売れているとのことである。
こう言われると、なるほどそうなのかと納得してしまう。
要するに、物の売れ行きに格差、それも歴然とした格差が生じ始めており、1円でも安い物をと奔走する多くの庶民とは裏腹に、超高級品と呼ばれる物を買いあさる富裕層が存在するということだ。
一方では、薄利多売の商売がうけており、他方ではいくらお金を積んでもかまわないといった超高級品が売れている。ずいぶんと歪んだ消費動向という感じがする。
格差社会という言葉が世間に定着し、普通に使われるようになって、もう数年が経つだろう。
この間に、様々な分野で格差の広がりが指摘されてきたが、いよいよそれが消費行動にも現れてきたというのが、この「バブル再燃」なのであろう。
いずれにせよ、編集長にはあまり関係のない話である。
ただ、こういう格差の広がりは、これからの経済や社会に多くのひずみをもたらすに違いない。
あのバブルの時期をも上回る空前の企業収益を上げながら、二言目には国際競争力をつける、グローバルな競争にうち勝つということを理由に、大企業は賃金の引き上げに応じずボロもうけを上げている。今こそ、大企業はその社会的責任を果たし、ボロもうけの「ボロ」くらいは従業員に吐き出すべきである。
このことが結果的には、日本経済と企業の健全な発展に寄与するのではなかろうか。

次々と明るみに出る議員の任期前辞職

2007年04月14日 | 政治問題
地方議員の年金制度改正で、4月以降に辞職すると年金と退職一時金が減額されるため、全国各地でこれを回避するための駆け込み辞職が相次いでいる。
まったくあきれた連中だ。
編集長だけでなく、多くの有権者がこれを知って怒っているだろうが、そういう有権者の投票によって選ばれた議員も含まれているわけだから、今後は、そういう議員が所属する政党や会派の候補者には絶対に投票しないようにすべきであろう。これが教訓である。
さて、西日本新聞の報道によると、統一地方選で行われる市町村議選に出馬せず引退する九州の地方議員の中に、今月末の任期満了を待たず、3月中に辞職した議員が22市町村で65人いることがわかったという。
統一地方選後半戦で、九州の40市(15日告示)と69町村(17日告示)の計109市町村で議員選がある。ほとんどの議会で、現職の任期が満了するのは今月下旬となっている。
109市町村の議会事務局によると、年金制度改正(今月1日施行)直前の3月中に辞職した議員は、福岡県の7市町29人▽佐賀県の2市10人▽熊本県の4市村6人▽大分県の2市7人▽宮崎県の3町村5人▽鹿児島県の4町8人。長崎県はいなかった。なお集計では、県議選や首長選出馬のための辞職は除いた。
任期満了を待たなかった65人は2~11期目で、全員が退職一時金か議員年金のいずれかの受給対象者。多くが辞職理由を「一身上の都合」としているが、佐賀県鹿島市の元市議は「年金受給額が減るのを避けるため」、福岡県朝倉市の元市議は「4月まで議員を続けて年金が年7万円下がるのは痛い。4月は議員の仕事はほとんどなく、早い辞職で市も4月分の報酬を節減できる」と話し、年金減額を避けるための辞職と認めているという。
年金を運営する市議会議員共済会(東京都)によると、制度改正で4月以降に退職する議員への給付水準は12.5%引き下げられた。例えば、市議を20年務めた議員(月額報酬を30万円と仮定)の場合、制度改正前の年間約112万7000円の受給額が、改正後の4月の任期満了まで在職すると、年間約100万2000円に。年間約12万5000円の減額になるという。
本来、議員は有権者の付託を受けてその職責を担っているわけだから、議会が開かれないとか、1ヶ月くらいどうということはない、というような問題ではなく、あくまでも任期満了まで職責をまっとうするのが当然である。
このような問題は、九州だけでなく全国各地に見られる現象である。
こういう議員への批判はもちろんのこと、彼らが所属する政党や会派の議員にも、来たるべきいっせい地方選挙の後半戦で、有権者からの厳しい批判が集中することを期待したい。

夕張の再建:前途多難

2007年04月13日 | 国家破綻
財政再建団体になって初めての市長選が22日にある北海道夕張市で、市長を選ぶ際に「国や道とのパイプ」の役割を一番重視するとした市民が43%もいることが、朝日新聞社の世論調査で明らかになったという。62%が再建計画を「厳しすぎる」ととらえ、財政再建が市の計画に沿って進むかについて、「そうは思わない」とする回答が73%に上ったそうだ。
「市長選の投票で何を一番重視するか」を聞いたところ、「国や道とのパイプ」に次いで「政策やアイデア」が28%、「リーダーシップ」が22%だった。また、地元の人かどうかを重視するかについては、64%が「重視しない」と答え、候補者本位で選ぶ考えを示したという。
「再生に向けて最も重要なもの」についても、約半数の45%が「国や道の支援」と回答。「市の行政努力」は28%、「市民自身の努力」は21%にとどまったという。
この調査結果を見て、率直に夕張の再生は前途多難だなと感じている。
市民そのものにまったく危機感がなく、国や道を頼って、できるだけ援助を引き出そう、そのためには、道や国とパイプの強い人物を市長に据えようという他力本願で無気力な市民像を思い描くのは編集長ばかりではあるまい。
一部の市民は、再生に向けて、必死に取り組み始めているのだろうが、どうも、今回の世論調査結果を見ると、こういう他力本願で無気力な市民が多いことは残念だ。しかし一方で、市民がこういう意識だからこそ、市政がこういう事態に立ち至ったのではないかと妙に納得する側面もある。
こういう事態になっているからこそ、主権者として責任ある行動を取ることが、今まで以上に重要になる。
合併しない宣言で有名になった福島県の矢祭町では、町長のリーダーシップとともに、議会や職員、また町民も一丸となって、様々なアイデアも出して、行政の無駄を省き、財政の再建や町づくりに取り組んでおり、全国的にも注目を集めている。最近の「もったいない図書館」作りも素晴らしいアイデアではないか。
夕張市民自身が、自分たちの夕張を何とか再生しようという気持ち持つことなくして、再生は覚束ないであろう。
また、「これからも夕張に住み続けたいか」については、78%が「住み続けたい」と答える一方で、「夕張が活気を取り戻す期待を持っているか」という質問には49%が「持っていない」と回答。多くの市民が街の将来にも強い不安を感じていることがわかったという。
前途多難だが、財政破綻の道を歩んだ市長や議会を選んだのは、夕張市民自身である。これを教訓に、一つ一つの政策に市民としてのはっきりした意思表示が大切になってくるだろう。
来るべきいっせい地方選挙後半戦では、ぜひとも、そういう視点で市長や議員を選んで欲しいと願っている。

憲法「改正」国民投票法案:わかりにくい野党の態度

2007年04月12日 | 憲法・平和問題
憲法改正の手続きを定める国民投票法案を審議している衆院憲法調査特別委員会が12日午前、民主党が提出した修正案の趣旨説明と質疑に入った。
これに対して、民主、社民、国民新の野党3党は「採決が前提の日程協議には応じられない」などとして、委員会前の理事会を欠席したという。
なぜ今憲法の「改正」が必要なのか、それ自体が編集長にはまったく理解できないが、そのことはとりあえず脇に置いておこう。
憲法改正に賛成し、国民投票法案の修正案まで出している民主党が、なぜこの法案の審議拒否をするのか、さっぱりわからない。自分たちの案が可決されなければイヤだと駄々をこねているらしいのだが、それだけではあるまい。
内心は、自民や公明と一緒になって、憲法を変えたくて仕方がないが、参院選を考えるととりあえず、国民には対決ポーズだけは示しておかなければならないというのが本音だろう。
こういう野党第一党の態度が、国民の政治不信を助長するのだ。
もう一つわからないのは、社民党の態度だ。
なぜ、憲法改正をめざす民主党に擦り寄って行動をともにしているのか、不思議で仕方がない。これでは、「憲法改悪絶対反対」などと言われても、本当に信じていいのかどうか極めて不安だ。
いずれにせよ、国の大本を定める憲法そのものについて、もっと国民的な討論を行うことが先決であろう。