大田弘子経済財政担当相は、26日に発足した福田内閣の初閣議後の会見で「改革路線はしっかり引き継いでいく」と述べ、小泉・安倍内閣で進めてきた構造改革の後退を否定したと伝えられている。また、財政健全化についても「このままでは市場の信認も得られない」と強い危機感を示したという。
大田氏は「決して改革路線を後退させてはいけない。高齢化とグローバル化を乗り切る日本経済を作るためには改革の停滞は許されない。改革路線はしっかり引き継いでいく」と述べ、「基本路線は変わらない」と繰り返した。
そして、痛みへの配慮と財政再建の両立でも「これまでは歳出削減をしようとすると、誰かの痛みだということで実現しない。では、増税するのかというと、歳出削減が先だという議論をずっとしてきた。その結果が累増した国債残高になった。こういう状態は許されない。既に人口は減少し始め、債務残高は積み上がってきている。このままでは、市場の信認も得られない」と、強い危機感を示したという。
「改革」は推し進めていかなければならない。しかし、問題はその中身だ。
「歳出削減をしようとすると、誰かの痛みということで実現しない」と言うが、痛みを押し付ける相手を間違えているからだ。
いま、財界、大企業はバブル期にもなし得なかったような空前の儲けを上げている。財務省が27日に発表した2006年度の法人企業統計調査でも、全産業(金融・保険業除く)の売上高は前年度比3.9%増の1566兆4329億円、経常利益は同5.2%増の54兆3786億円だった。売上高は4年連続、経常利益は5年連続の増加で前年度に続いて過去最高を更新している。日にもかかわらず、法人税の定率減税は、未だに継続しているのである。
その一方で、国民所得は低下し続け、景気回復などは到底実感できないにもかかわらず、たとえば、来年4月からは、後期高齢者医療制度の新設で、70-74歳では自己負担が現行の1割から2割に、75歳以上で現行の1.6倍もの保険料負担が生じる。母子家庭への自動不要手当ての削減、障害者への施設利用料の負担増大、サラリーマン世帯でもこの2年間で所得税、住民税の定率減税が完全廃止され、手取り額は減少している。
大田氏は、この現実をどのように見ているのだろうか。
大田氏が述べているように、財政再建は焦眉の急である。国家破綻さえ、話題になるような状態だ。
しかし、これも原因は明らかである。ボロもうけをしている財界、大企業が応分の負担をしていないために、税収不足が生じているのは明らかだ。
現在の政府の経済、財政政策の最大の問題は、財界、大企業の顔色を伺い、その利益を確保することを最大の目標にしながら運営されていることである。企業が潤えば、その利益が巡り巡って国民のふところを潤すという、実に空想的な発想で経済運営が行われているわけだ。もうけた利益は労働者にどんどん還元しましょう、などと言われて実行する経営者がどれほど存在するのか、ちょっと考えればわかるはずである。労働者には「生かさぬよう殺さぬよう」に分配されるだけである。
企業のボロもうけに対しては、政府の徴税権を駆使して、応分の税金を掛ければ済むことである。
今の日本の財政逼迫の根本は、財界、大企業と富裕層に対する徴税能力を完全に失っていることである。このような政府に、一体どのような「改革」が期待できるだろうか。
主権者である国民の負担を減らし、ふところを暖めることによって、消費が拡大し、景気回復が実現できるのである。その財源は、大企業が(時には、偽装請負、残業代の不払いなども行って、不法に)溜め込んだ利益を召し上げることである。
庶民の生活を支えることを最大の目標にした「改革」にこそ未来はある。そういう真の「改革」を切に望むものである。
大田氏は「決して改革路線を後退させてはいけない。高齢化とグローバル化を乗り切る日本経済を作るためには改革の停滞は許されない。改革路線はしっかり引き継いでいく」と述べ、「基本路線は変わらない」と繰り返した。
そして、痛みへの配慮と財政再建の両立でも「これまでは歳出削減をしようとすると、誰かの痛みだということで実現しない。では、増税するのかというと、歳出削減が先だという議論をずっとしてきた。その結果が累増した国債残高になった。こういう状態は許されない。既に人口は減少し始め、債務残高は積み上がってきている。このままでは、市場の信認も得られない」と、強い危機感を示したという。
「改革」は推し進めていかなければならない。しかし、問題はその中身だ。
「歳出削減をしようとすると、誰かの痛みということで実現しない」と言うが、痛みを押し付ける相手を間違えているからだ。
いま、財界、大企業はバブル期にもなし得なかったような空前の儲けを上げている。財務省が27日に発表した2006年度の法人企業統計調査でも、全産業(金融・保険業除く)の売上高は前年度比3.9%増の1566兆4329億円、経常利益は同5.2%増の54兆3786億円だった。売上高は4年連続、経常利益は5年連続の増加で前年度に続いて過去最高を更新している。日にもかかわらず、法人税の定率減税は、未だに継続しているのである。
その一方で、国民所得は低下し続け、景気回復などは到底実感できないにもかかわらず、たとえば、来年4月からは、後期高齢者医療制度の新設で、70-74歳では自己負担が現行の1割から2割に、75歳以上で現行の1.6倍もの保険料負担が生じる。母子家庭への自動不要手当ての削減、障害者への施設利用料の負担増大、サラリーマン世帯でもこの2年間で所得税、住民税の定率減税が完全廃止され、手取り額は減少している。
大田氏は、この現実をどのように見ているのだろうか。
大田氏が述べているように、財政再建は焦眉の急である。国家破綻さえ、話題になるような状態だ。
しかし、これも原因は明らかである。ボロもうけをしている財界、大企業が応分の負担をしていないために、税収不足が生じているのは明らかだ。
現在の政府の経済、財政政策の最大の問題は、財界、大企業の顔色を伺い、その利益を確保することを最大の目標にしながら運営されていることである。企業が潤えば、その利益が巡り巡って国民のふところを潤すという、実に空想的な発想で経済運営が行われているわけだ。もうけた利益は労働者にどんどん還元しましょう、などと言われて実行する経営者がどれほど存在するのか、ちょっと考えればわかるはずである。労働者には「生かさぬよう殺さぬよう」に分配されるだけである。
企業のボロもうけに対しては、政府の徴税権を駆使して、応分の税金を掛ければ済むことである。
今の日本の財政逼迫の根本は、財界、大企業と富裕層に対する徴税能力を完全に失っていることである。このような政府に、一体どのような「改革」が期待できるだろうか。
主権者である国民の負担を減らし、ふところを暖めることによって、消費が拡大し、景気回復が実現できるのである。その財源は、大企業が(時には、偽装請負、残業代の不払いなども行って、不法に)溜め込んだ利益を召し上げることである。
庶民の生活を支えることを最大の目標にした「改革」にこそ未来はある。そういう真の「改革」を切に望むものである。