時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

経済界が消費税増税、法人税減税を要求

2007年04月24日 | 経済問題
経済同友会は、国の税制見直し論議が今秋から本格化するのを前に、消費税率を現行の5%から16%に引き上げることなどを盛り込んだ税制改革提言を発表した。その一方で、現在約40%の法人実効税率については、法人事業税の廃止により35%程度に引き下げるよう求めた。いずれも2010年代半ばまでの実施を要望している。
この提言では、16%の消費税率のうち9%は新設する年金目的税とし、年金保険料はなくす。残りの配分先は国税分が2%、地方税分が5%。法人事業税を廃止し、税源を地方消費税に置き換えることで、「地方自治体はより安定的な財源を確保できる」としている。
低所得者層ほど負担感が重くなる消費税の「逆進性」に対しては、基礎的な食料品を購入した場合には消費税相当額を所得に応じて還付する制度の導入を求めている。
同友会はまた、低所得者には、税額控除での対応で「所得税の再分配機能を実質的に発揮できる」としているそうだ。低所得者の控除額が所得税額を上回る場合、その超過分を現金で給付するという案だ。経済学者フリードマンが提唱した「負の所得税」の考え方に基づく制度で、勤労意欲を高める効果があると主張している。
しかし、そもそも低所得者に負担が重い税金ということがわかっているのなら、そういう税金は、所得の再配分機構を担うべき税金の性格からして不適切ではないか。
税率を上げると、低所得者の生活に影響があるので、さまざまな対応策を取るというのならば、そんな面倒なことをせず、高額所得者に応分の負担を求めれば済む話ではないか。所得税に対する累進課税、特に、3000万円以上の所得(額面ではない)を有するほんの一部の富裕層にこそ、所得にふさわしい税金を納めてもらい、所得の再配分を行うことがもっとも理にかなっている。
しかも、勤労者の所得の伸び悩み、国民消費の減退が報道されているなかで、自分たちの企業にかかる税金だけは安くしろという主張は到底認めがたい。
企業の業績が回復すれば、そのおこぼれが勤労者に回ってきて、国民生活が豊かになるというのが、政府、与党の経済運営の基本であり、現実に企業を応援する数々の政策が採られてきた。しかし、この数年間の実態は、企業は請負や派遣の活用で人件費を大幅に削減し、空前のもうけを上げる一方で、賃金は抑制され、国民消費は低迷している。
日本経団連も30%程度への引き下げを求めているが、国民生活の実態を見ない主張と言わざるを得ない。
消費税の廃止、庶民への減税と大企業、資産家への増税こそ、最も健全な税収を保証する道であろう。