時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

大企業誘致への補助金ばらまき

2007年04月29日 | 政治問題
統一地方選挙の前にこの記事を書いておくべきだったと後悔しつつも、まぁ今からでも書いておくことにしよう。
全国で多くの都道府県が、企業誘致のために多額の税金を補助金としてばらまいているという話である。
まず、三重県。
ここでは「12000人の雇用創出効果」があるという触れ込みで亀山市にシャープの工場を誘致した。これに投じた税金は何と90億円である。しかし、ここで働く従業員のうち4分の3以上が非正規雇用者である。地元雇用者や新規雇用は4年間でわずか225人で、当初の「雇用創出効果」のわずか2%足らずである。外国人労働者や青年労働者が派遣、請負として低賃金で働かされているのが現状である。

兵庫県では、今年の夏に尼崎市に松下電器の第二工場を稼動させ、その隣接地に第三工場の建設も予定している。3つの工場に県が投じた税金は175億円。これが松下1社に投じられる計画である。第一工場の正社員は何と6人のみで、236人はすべて派遣労働者である。派遣社員は、その後、直接雇用義務が生じない請負に切り替えられている。ちなみに、兵庫県の中小企業対策予算は80億円であり、この2倍の予算が松下電器1社に投じられたことになる。異常な姿ではないか。

神奈川県では、企業誘致のために「インベスト神奈川」という制度が創設され、県内に大企業が本社や工場を建設すると50億円、研究所の建設には80億円の補助金が支払われる。目的は、「県内の雇用確保」と位置づけている。
今までに支払われた補助金額は18社658億円にのぼっており、全国で群を抜いている。日産自動車:116億円、武田薬品:80億円、富士フィルム93億円、富士ゼロックス60億円、リコー45億円、ソニー43億円などである。
さて、「雇用確保」を見るとリコーや富士フィルムの研究所では、県内の新規雇用はゼロで、雇用創出には結びついておらず、他の企業でも似たり寄ったりの状況である。

こういう事例は、千葉、大阪、愛知など全国各地に腐るほどの事例がある。
こういう動きに対して、内閣府も「補助金が大きいからと言って、工場立地件数が多くなるという明確な関係はない」と、税金の投入効果に疑問を呈している。しかも、途中で企業が撤退しても補助金の返還を求めない県が多く、政府ですら、この点を問題視している。
多くの都道府県では、自民、公明とともに民主党も与党を形成している。神奈川などは、民主党出身知事である。
県民が知らないうちに、こういう無駄な税金投入が行われており、その多くが掲げる「雇用創出」、「雇用確保」も絵に描いた餅になっているのが実情である。
それどころか、非正規雇用や偽装請負の温床になっており、働くルールそのものが乱暴に破壊されているのが実情である。
多くの県民の子弟が働く場所を求めているわけであるが、その県民の貴重な税金が健全な雇用を破壊するために用いられているのは、何とも不幸な現実である。


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