時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

北海道拓殖銀行の旧経営陣に61億円の賠償命令

2008年01月31日 | 経済問題
久々に北海道拓殖銀行の名前をニュースで見た。同行が事実上の経営破たんをしたのは1997年だから、もう10年以上前になる。
同行の融資をめぐり、整理回収機構が旧経営陣に損害賠償を求めた3件の訴訟の上告審判決が、最高裁第二小法廷であった。
二審・札幌高裁判決で請求通り認められなかった2件を破棄し、請求通り認めた1件については支持して、元頭取ら6人に計61億円余を連帯して賠償するよう命じた。
これで、拓銀の不良債権を引き継いだ機構側が経営責任を追及した全5件の訴訟が確定した。機構は、総額1281億円余に及ぶ「損害金」の一部として114億円余を旧経営陣に求めて提訴した。裁判の結果、すでに和解したり確定したりした人を含めて13人が連帯して負うことになった賠償義務は、計101億円余にのぼる。
この日に判決があったのは、不動産建設業「カブトデコム」(札幌市)▽「栄木不動産」(東京都)▽内装会社「ミヤシタ」(北海道帯広市)の三つの融資先に関する訴訟。
「破綻の最大要因」とも言われたカブトルートについて、二審判決は50億円の請求のうち20億円の賠償しか認めなかった。しかし、今回の第二小法廷は、「企業育成路線」の一環として実施された融資やカブト社の倒産を避け数カ月間延命させる融資についても責任を認定。山内、河谷の両元頭取ら最後まで争いのあった4人に50億円の賠償を命じた。
栄木ルートでも第二小法廷は、賠償を認めなかった二審判決を変更。担保とした不動産の評価がずさんだったとして、機構の請求通りに山内元頭取ら4人に10億円の支払いを命じた。
ミヤシタルートでは、鈴木茂元頭取だけが「商法上の時効(5年)により賠償責任は消滅した」と争っていた。第二小法廷は「取締役の賠償責任は、商法でなく民法の時効(10年)が適用される」と初めて判断し、1億5000万円余の支払いを命じた。
元経営者の責任が明らかにされたことは当然である。
高給を取り、やりたい放題のことをやっておきながら、いざ、会社に損害を与えた時には責任を負わないというのでは、経営者の存在意義がないではないか。
そもそも、裁判で決着をつけるような事案ではなく、自らの責任を認め、和解などで解決すべき事案である。ところが、元経営者たちがその責任を素直に認めなかったため、10年にも渡って裁判が続けられてきたわけである。まったく無駄な時間を費やしたものである。
裁判を行って明らかになったことは、これらの元経営者たちは、素直に責任を認めず、10年もの間、自らの責任を回避するために無駄な裁判を続け、人間としてのモラルや責任感もない人物だったということである。

次々明るみになる銀行などの損失拡大

2008年01月31日 | 経済問題
以前に書いた記事の中で、銀行や証券などが発表しているサブプライム関連の損失はまだまだ隠されており、これから徐々に小出しされて、最終的にはもっと損失が広がると書いておいたが、その通りの展開になってきた。
報道によれば、
「三井住友フィナンシャルグループは、2007年4~12月期連結決算で米低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」関連の投融資の損失として、約990億円計上したと発表した。2007年9月末時点の約320億円から約670億円拡大しており、2008年3月期のサブプライム関連損失の見込み額(約870億円)をすでに上回った。今後の追加損失は、最大で150億円程度に収まると予想している。」
「みずほフィナンシャルグループ(FG)が抱える米低所得者向け(サブプライム)住宅ローン関連の損失額が、2008年3月期で3000億円規模に達する見通しとなった。傘下のみずほ証券が保有する証券化商品の価格下落が続き、損失額は国内金融機関で最大となる。みずほFGはみずほ証券を支援するため、2000億円規模の追加増資を実施する方向で調整している。
みずほ証券は、昨年9月末時点で約4000億円のサブプライム関連商品を保有。昨年11月時点では通期で1350億円の損失を見込んでいたが、サブプライム関連商品の価格下落は止まらず、追加損失計上を迫られた。」
ということである。
今さら、サブプライム関連の証券を一体誰が買うだろうか?
現時点では、額面のたとえば30%を損失として計算しているわけであるが、残りが回収できる保証はまったくない。
したがって、銀行や証券会社は、これからその評価損を40%、50%とどんどん拡大させていくことになる。
これらの損失を一気に明るみにすれば、株価は暴落し、金融不安を招きかねない。また、経営陣にすれば、当然のことながら経営責任を迫られることになる。そんなことになっては堪らない。自分たちの退職金だけはきっちりと確保して退職しなければならないのだ。
結局は、損失を少しずつ小出しにして公表し、責任逃れをしようというのが、銀行などの経営者の浅知恵であり、同時に、金融庁や財務省の希望でもあるわけである。
これからの損失額の拡大に引き続き注目したい。

マクドナルド店長に、残業代支払い命令

2008年01月30日 | 社会問題
日本マクドナルドの直営店の店長(46歳)が、店長を「管理監督者」(管理職)とみなして残業代を払わないのは違法だとして、未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の判決が、東京地裁であった。斎藤巌裁判官は原告の主張を認め、同社に過去2年分の残業代500万円など合計約750万円の支払いを命じたと報じられている。
それにしても、たった2年間の残業代が500万円というのはすごい。あまりにもメチャクチャな働かせ方だ。この店長の勇気ある訴えに賞賛と拍手を送りたい。
飲食・小売業界では、直営店長を管理監督者とみなすことで、人件費を抑えながら異常な長時間労働を強いてきた企業も多く、今回の判決を契機に労務管理の見直しを迫られる可能性もある。
裁判では、原告のような店長が、労働基準法で残業代や休日手当の支払いを免除される管理監督者かどうかが争われた。
判決は、管理監督者には重要な職務と権限があり、賃金などの待遇も一般の労働者より優遇されていることが必要だとした。そのうえで、店長は社員の採用ができないこと、営業時間やメニュー、商品価格の設定も自由に行えないことなどから、そうした権限はないと認定。待遇面でも、評価によっては部下が店長の平均年収を上回ることなどから「不十分」とし、「管理監督者に当たらない」と結論づけたという。
待遇面で、店長の給与が部下の平均年収を下回るとは、いったいどういうことだろう。
店長には店長なりの待遇を保証することが当然である。
こういうことが許されるのなら、社員全員に、課長とか、主任とか適当な役職を付けて残業代を不払いにするという芸当も可能になる。
先日も、コナカの元店長に残業代を支払う命令が下ったが、それに続く画期的な判決であろう。
マクドナルドは、大規模なチェーン店だけあって、1700名もの直営店長を抱えており、今回の判決を不服として控訴して争う意向を示しているそうだが、そんなことに無駄な時間を使わずに、直ちに店長の処遇を改善し、管理職としてふさわしい給料を支払うとともに、今までの未払いの残業代を直ちに支払うべきであろう。
マクドナルドの1700名の店長も、会社の顔色を伺うのではなく、団結して、堂々と残業代を要求して欲しいと思っている。

コナカが元店長に残業代支払い

2008年01月25日 | 政治問題
一般社員と仕事内容が同じなのに、管理職という理由で店長に残業代を払わないのは不当だとして、元店長(36歳)が紳士服大手「コナカ」(横浜市)に対し、約690万円の支払いを求めて労働審判を申し立てていた問題で、店長らでつくる労働組合「全国一般東京東部労働組合コナカ支部」と同社は団体交渉を行い、この元店長に解決金600万円を支払うことで合意したという。
元店長の残業代については、ファストフードやコンビニエンスストアなどでも問題となっており、高橋さんは「この合意を問題解決の前例にしてほしい」と話している。
労働基準法では、管理職や監督職にあたる「管理監督者」には、同法の休日や労働時間などの規定が適用されないと定めている。何時間働いても残業にはならないため、残業代が支払われないケースが多い。
同労組によると、コナカでは採用や契約などの権限が、店長にはほとんどなく、管理職とは名ばかりの状態だったという。
昨年6月、横浜西労働基準監督署が是正を指導し、コナカは10月から店長に残業代を支払っているが、過去の未払い分は支払っていない。
そのため、この店長は昨年10月、残業代の支払いを求めて横浜地裁に労働審判を申し立て、コナカ側が今月の審判の席で、団体交渉による解決を提案していた。高橋さんは解決金が支払われ次第、審判を取り下げることにしている。
同労組では今回の合意を受け、約300人の全店長に対しても過去の残業代を支払うようコナカ側に求める方針という。一方、コナカは「10月以前の店長が管理監督者であるとの見解は変わっていない」と、他の店長に対しては支払いを拒否しているらしい。
こういう事例は、社会に蔓延しているだろう。
一般に、管理職には相応の手当てが支給されるとともに、さまざまな権限が与えられている。こういう場合は、残業代を支払わなくても良いというのが法律上の解釈であろう。
しかし、その手当てがスズメの涙程度で、異常なほどの残業を強いられたり、管理職とは名ばかりで、大した権限もなく、社員と同じ業務を行っているような場合は、残業代が認められるということである。
今回の元店長の勇気ある告発のケースが他の企業における管理職への残業大支払いの起爆剤になれば幸いである。
同時に、企業に法律の遵守や労働者の権利の擁護などを期待しても無駄だということも、この事例の教訓であろう。黙っていても、会社は労働条件を改善してはくれない。その証拠に、昨年10月以前の残業代の支払いについては、ダンマリを決め込もうというのが、コナカのやり方である。勇気を持ってそれを告発し、法律や社会通念を味方にして交渉することだ。
こういう活動を進めている労働組合にも敬意を表したいと思っている。

マンション暮らし

2008年01月24日 | 社会問題
編集長は、都内のマンションに暮らしている。
150戸程度の中規模マンションであるが、このくらいの戸数があると、各階に1軒や2軒はおかしな家族が入居している。
駐輪場の申し込みをせず、規定の代金も支払わずに、好き勝手な場所に自転車を止めるとか、粗大ゴミを平気でゴミ集積所の前に放置するとか、ゴミの分別ができないなどというのは、しばしば見かける光景である。
2割近い家庭に、管理費や修繕積立金の滞納もある。
お金がなくて、数年分滞納しているというのは、まだ理由もはっきりしているが、1ヵ月分の管理費だけを何年もの間ずっと滞納しているというようなわけのわからない家庭もある。払えないわけではないのに、払わないという意味不明の家庭である。
また、騒音に対する苦情や近隣の道路への迷惑駐車、ペットの鳴き声など、管理組合への苦情は絶えない。
以前、ある階のベランダで鳩にエサをやる家庭があり、そのベランダに鳩が住みつくようになり、子供まで生まれたことがある。隣接するお宅のベランダにもフンが落ちて迷惑この上もない。
管理人の話によると、どうもこの部屋に住む少し頭のおかしな爺さんが、たまに遊びに来る孫たちを喜ばそうとして始めたらしいのだが、同居する婆さんにすれば、ベランダが鳩のフンだらけになり、布団やせんたくも干せない。とうとう夫婦喧嘩にまでなって、夏にドアを開け放したまま大喧嘩をしたらしい。それ以来、自分のベランダには鳩よけのネットを張ったのだが、一旦味をしめた鳩がその後も頻繁にやって来て、近隣のベランダには今も鳩のフン害が続いている。
一般に、マンション居住者は、近隣の居住者との交流を嫌い、隣の住民とも挨拶さえしないような居住者も多い。
しかし、前述のように、居住者の1-2割は、モラルを守らず、近隣住民に迷惑をかけてはばからないような居住者であり、たとえ自分は他人に迷惑をかけず、あまり交流もせずに平穏に暮らしていても、こういう迷惑な居住者の被害を受けるのが、マンションという居住空間なのである。
オートロックのマンションで、不審者の侵入がないなどと安心できるものではない。不審者や異常者は、マンションの中にいることをよく認識すべきであろう。
これからマンション暮らしをしようと思っている読者諸兄は、こういう居住者はどこのマンションにも存在することをよく念頭において、住居探しをしていただきたいと思っている。

現物資産ということ

2008年01月23日 | 経済問題
以前に、お金(カネ)とは何かについて論じたことがある。
編集長は、お金というものをあまり信用していない。日々、生活していくうえでは絶対に欠かせないものであるが、必要以上に持っていても仕方がないものである。
しかも、お金そのものに価値があるわけではなく、お金それ自体は、国家による保証によって成り立っているだけの「モノ」にすぎず、それ自体が普遍的な価値を有しているわけではない。
これに対して、現物資産はそのものが価値を有するため、国家の混乱などとは無縁であり、現物資産への信奉者も多い。
現物資産というと、読者諸兄はどのような資産を想像するだろうか。
一般的には、土地、建物、貴金属や宝石、絵画、骨董品などの美術品などであろうか。
しかし、経済学的に言えば、すべての「労働生産物」が「価値」を有することから、労働生産物であれば、何でも投資対象になるはずだ。衣食住や文化に関するものなどがすべて該当する。その証拠に、ありとあらゆる物が商品として売買され、必要な人たちの手に渡っていく。
サブプライム問題を受けて、ドルが急落し、株式市場も混乱しているが、要するに、ドルという貨幣の信用が下落し、財産の一部を現物資産に換えておこうという動きが出てくる。世界的に、原油やGoldが買われているのはそのためである。
もし、食料難の時代であれば、食料が買い漁られることになろう。水資源や森林資源が投資あるいは投機の対象になりつつある。
少し話がそれるが、テレビ東京系列の「開運!なんでも鑑定団」という番組があるが、ここには、実に多種多様な「現物資産」が登場し、安値で購入した物にとんでもない高値が付いたり、大金をはたいて買った物が二束三文だったりと、他人事なので結構面白い。
しかし、よく勉強し、調査したうえで、専門家のアドバイスも受け、信用のできる店で購入すれば、ひどい偽物をつかまされることもないだろう。また、購入して楽しんだ後に、それなりの価格で売却できるかもしれない。値下がりすることもあるだろうが、あわよくば、値上がりするかもしれない。
現物資産を保有することの善悪、好き嫌いはともかくとして、「金は天下の回りもの」と言われる。お金というのは、使ってこそ意味のあるものであろう。限られた人生である。読者諸兄にも、衣食住に必要なさまざまな現物資産を購入するために、有意義のお金を使って人生を楽しんでいただきたいと思っている。

日本はこれからも経済一流国をめざす?

2008年01月22日 | 経済問題
大田経済財政相が、通常国会の経済演説で、「もはや日本は『経済は一流』と呼ばれるような状況ではなくなってしまった」と述べ、日本の経済力の国際的な地位低下を指摘した。その上で、「もう一度、世界に向けて挑戦していく気概を取り戻す」と、成長力の強化に力を入れる考えを強調した。
大田経財相が根拠としたのは、2006年の1人当たりの名目国内総生産(GDP)が、経済協力開発機構(OECD)加盟国(30カ国)中18位に低下したことだ。比較可能な80年以降で最低の水準だ。
演説では、日本がバブル崩壊後、不良債権など負の遺産の解消に追われている間に、中国やインドなど新興国が急成長したことも指摘。「我が国は、世界経済のダイナミックな変化に取り残され、今後も成長を続けていく枠組みはいまだに出来上がってない」と訴えた。
大田経財相は演説後の会見で、「日本の10年後を考えると、しっかりと成長力をつけるための改革をしていかなければならない時期にきている。危機感からスタートしたい」と述べている。
中国、インド、東南アジアなどの途上国も徐々に、あるいは急速に経済発展をしてきたし、今後も成長を続けていくから、世界経済における先進国の相対的な経済力が低下するのは当たり前である。アメリカもヨーロッパの先進諸国も相対的な位置は低下している。取り立てて騒ぐことでもない。
また、少子高齢化によって、人口が減り、高齢人口が増えてくる。結果として労働人口が減るので日本の生産力は低下する方向にあるだろう。
しかし、日本は世界経済の中でどうして主たる位置を占めなければならないのだろうか?
なぜ、経済一流国である必要があるのだろうか?
経済が発展しないと、現在の暮らしが維持できない、新しい技術や文化の恩恵を享受できない。お金がなければどんどん貧しくなって、ジリ貧になってしまう。そういうことを懸念しているのだろうか?
しかし、私たちの生活を振り返ってみよう。あまりにも無駄の多い暮らしをしていないだろうか?不要な物に囲まれて暮らしていないだろうか?
だからこそ、省エネや「もったいない」という言葉が流行するのではないだろうか。
食料の60%を輸入に頼る一方で、大量の食品を廃棄する「一流経済国」でよいのだろうか。
一流の経済大国でなく、日本の豊かな自然や文化を生かした国づくりでは何か問題があるのだろうか。
政府は相変わらず、日本を世界有数の経済大国として復活させたいと思っているようだが、これは、エネルギーを大量消費し、引き続きボロもうけをしたいと願う財界の意向以外の何物でもない。
バブル後の不況、高齢化の進展、地球環境保護など、今は歴史の転換点に立っていると思われるが、日本という国が今後どういう方向をめざして生きていくべきなのか、国民的な討論が必要と思われる。

インサイダー取引で、NHKに苦情殺到

2008年01月20日 | 社会問題
NHKの記者ら3人によるインサイダー取引疑惑が明らかになったことから、NHKに多くの苦情電話が寄せられているという。
編集長は、企業による犯罪、たとえば、さまざまな偽装、情報の隠蔽、粉飾決算、脱税など、経営側がそれを指示したり、それを知りながら隠蔽していたようなケースでは、経営者にもっと厳しい処罰を与えるべきであると考えているが、今回のように、個々の社員の不正になると、企業としてどこまで対応できるのかは甚だ疑問である。
確かに、企業業績や合併情報のような株価に影響を与える情報がNHKや新聞社などの報道機関には集まるだろう。したがって、集まったそれらの情報の扱いやそれを扱う社員への教育などは徹底しなければならない。この点でNHKの対応がどうだったのか、社内体制の不備が問われなければならない。しかし、個々の社員の行動まで責任を持たされたのでは、企業も完全には対応ができないのではなかろうか。
このような、個人の犯罪を企業としてどこまで責任を負わなければならないのかはなかなか難しい問題である。
今回のケースでは、勤務中に職場を抜け出して、自宅で株取引を行ったというから、NHKとしての管理責任は当然であり、その点については責任を問われて当然であろう。しかし、個々の社員について管理することは容易ではない。
末端の新聞販売店の店員の不始末で、新聞にお詫び記事が掲載されることがあるが、不祥事を起こした店員の素行が普段から異常であったような場合は、これを未然に防げなかった責任が販売店や新聞社に課せられるだろうが、そうでなければ、新聞社や販売所も被害者ではなかろうか。個々の事例を詳細に検討する必要はあるが、一概に企業に雇用責任を問うのも難しい点もある。
特に、このインサイダー取引については、その規定そのものが甚だアイマイである。
今回、インサイダー取引に関わったと言われている3名の社員が、もし友人などを通じて売買し、何らかの形で利益が還元されるような方法を取れば、真相は闇の中になっていたのではなかろうか。
インサイダー取引などは、社会に蔓延していることだろう。うまく立ち回った連中が濡れ手に粟で巨額の儲けを手にする一方で、一般投資家が泣きを見るのが株の世界の通例である。
3人の社員は、その違法行為に対して当然罰を受けねばならないが、本人たちにすれば、「今回は運悪く見つかった」くらいの思いしか抱いていないのではなかろうか。
NHKの管理責任を問うと同時に、個々の社員については厳重な処罰が下されることを期待している。

宮内庁が「神功皇后」陵の調査を認める

2008年01月19日 | 社会問題
宮内庁は、古墳時代のものとされる奈良市の「神功皇后」陵と伝えられている五社神(ごさし)古墳の立ち入り調査を許可することを決め、日本考古学協会に通達したという。
陵墓への立ち入り調査は、宮内庁が補修工事を行う際の見学は認めてきたが、学会側要望を受けた許可は初めてであり、画期的なことである。今後、他の陵墓の立ち入り調査についても申請があれば検討し認めていく方針だという。
「神功皇后」陵は、第14代仲哀(ちゅうあい)天皇の妻が葬られたとされ、全長約275メートルの前方後円墳である。4世紀後半から5世紀初めに造られたと考えられている。
歴代天皇や皇族を埋葬したと言われている陵墓について、宮内庁は「御霊(みたま)の安寧と静謐(せいひつ)を守るため」などとして学術調査を認めてこなかった。
しかし、1979年から年1回ペースで、宮内庁が補修時に行う発掘調査を学会などに見学させてきたことや過去のこうした調査で安全性から立ち入りを認めたことがあることなどから、昨年1月に陵墓管理に関する内規を変え、研究テーマを問わず申請があれば審査の上、調査を受け入れるよう方針転換した。
まずは、大きな一歩というべきであろう。
しかし、今回認められる調査の内容は、1段目の平らな部分までの立ち入りを認め、撮影は可能だが、発掘は不可という制約がある。これでは、副葬品の有無や内容がわからず、あまり多くの成果は得られないであろう。
一般に天皇陵と呼ばれている古墳も、実は、日本書紀などの記載を基に当てはめただけのもので、本当は誰が埋葬されているのかわからないという意見もある。その当時の地方の豪族の墓かもしれないし、真実は未だに闇の中である。
周辺部分にも埴輪などが埋められている可能性が高いので、周辺部を発掘するだけでも相当な成果が期待できる。また、石室の調査を行い、副葬品のみならず、遺骨のDNA鑑定なども可能であれば、天皇家のルーツを探ることも可能になる。
今後は、調査範囲を拡大し、「天皇陵」と言われている古墳の詳細な調査が行われることを期待するものである。

三菱自動車の元社長らに有罪判決

2008年01月18日 | 社会問題
2002年10月に、鹿児島県の運転手の男性(当時39歳)が、三菱自動車製の9トン冷蔵車で山口県内を走っていた際、クラッチ系統の欠陥が原因で車を制御できなくなり、事故死した。
この死亡事故をめぐり、業務上過失致死罪に問われた同社の元社長河添克彦被告(71歳)ら元役員4人の判決公判が横浜地裁であった。裁判所は、元社長を禁固3年執行猶予5年(求刑禁固3年)とするなど、全員に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。被告側は全員が無罪を主張していた。
元社長ら4人は2000年7月に三菱自動車で大量のクレーム隠しが発覚した際、旧運輸省からリコールなどの措置が必要な不具合情報を全部報告するよう求められたのに、1998年3月以前の不具合情報が残っていないとウソを報告。クラッチ系統の欠陥をリコールなどの措置を取らずに放置し、2002年に死亡事故を引き起こしたなどとして起訴された。
公判で弁護側は、元社長は「オープンにやれ」と指示したのに、リコール対象の選別を担当していた部下が、元社長の方針に背いて不具合を隠したと反論。元社長は事故原因となったクラッチ系統の欠陥さえ知らず、事故を予測するのは不可能だったと主張していた。
ともかく、有罪判決が出たことで、企業のトップの責任が明らかにされたことは喜ばしいことである。
しかし、一審の判決が出るまで事故から7年以上も経っていることは残念である。しかも、被害を受けているのは、この運転手だけではない。外れたダンプカーのタイヤの直撃を受けて、母子が亡くなった事件なども記憶に新しい。
被告らは、執行猶予付きの判決で、結局、社会的な制裁を受けるだけで、刑務所に入ることもなく、余生を送れるということである。
企業犯罪に対する刑罰の軽さを改めて思い起こさせてくれた事件だった。

まだまだ隠されている銀行の損失

2008年01月17日 | 経済問題
三菱UFJフィナンシャル・グループは、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に絡み、昨年12月末時点でサブプライムなどの証券化商品の損失が500億円規模に拡大していることがわかった。金融市場の悪化が原因で、今月末に発表する2007年4月~12月期の連結決算で計上する方針という。
三菱UFJは、昨年11月下旬に発表した2007年9月中間連結決算では、サブプライム関連損失は40億円にとどまり、サブプライムに絡む投資残高は10月末時点で約2600億円。含み損は約230億円としていた。
しかし、その後も欧米の金融市場の混乱は収まらず、サブプライムに関連した金融商品に投資している資産運用会社の格付けは低下。三菱UFJは運用会社に計約800億円投資しており、損失の計上が避けられなくなったと報じられている。
昨年、日本の銀行、証券会社などが、サブプライム問題に関連して損失の発生を公にした時に、この程度の損失では済まないことを書いておいたが、その通りの結果になりつつある。
社会に与える影響を考慮し、とりあえず昨年の段階で230億円と発表し、決算期が近づいて隠し切れなくなると、損失額を500億円にまで上積みして発表し、今後、更にローンの焦げ付きが増えてくると、来年度(4月以降)には、さらに上積みするつもりなのだろう。
半ば、公然とした粉飾決済というべきものである。
今後も、みずほや三井住友などのメガバンクだけでなく、地方銀行や証券会社なども今後、損失額を徐々に上積みして発表するに違いない。各行、各社の今後の発表を注視したい。
別の報道によると、サブプライムローンを背景とした昨年からの損失が、日米欧の主要金融機関21社の公表分だけで計1078億ドル(約11兆4000億円)に達したとの報道もある。
一体、どれだけの損失を隠しているのか、多少楽しみではある。
一方で、経営者の無為無策のために銀行などがこういう損失を被ると、頭をもたげてくるのが、利用料の値上げや利用者へのサービスの切捨て、そこで働く労働者の削減、賃金抑制である。各社がこういう行為に走ることがないようにくれぐれも釘を刺しておきたい。

薬害肝炎訴訟、原告と厚労相が基本合意書に調印

2008年01月16日 | 政治問題
先の国会で、薬害C型肝炎の救済法が全会一致で可決されたが、訴訟原告団と弁護団は、国との和解内容について取り決めた基本合意書に調印した。
合意書には、国がその責任を認めて謝罪するとともに、第三者機関を設けて、この問題についての検証を行うほか、肝炎の恒久対策や薬害再発防止策について国と原告側が継続的に協議する場を設けることが盛り込まれた。
調印後、原告らは福田首相と2度目の面会を果たし、改めて謝罪を受けた。
これにより、2002年10月以来、全国5地裁・5高裁で国と製薬会社を相手に係争中の訴訟は順次、国との和解手続きに入る。製薬会社は態度を明確にしていないため、原告側は、謝罪などを求める要求書を提出、回答を求めている。
なによりも、和解が成立し、患者の救済が始まることは大変喜ばしいことである。
世間では「ねじれ国会」などと言われているが、国民がきちんと声を上げれば、政党を問わず、これらの国民の声に応えざるを得ないことを今回の件は示している。
5年間のもの長期にわたり、自民党、公明党は、患者らの要求を無視し続けてきたわけであるが、患者らの訴えや国民の後押しの前に、自らの責任を認めざるを得ないところまで追い詰められたということである。
どんなに国会がねじれていても、まともな主張は全会一致で決められていくというのが、世間の常識である。
5年を経過しての今さらの政府の謝罪という印象は否めないが、何はともあれ患者救済に道が開かれたことは大きな前進である。
これからも、企業の責任を明らかにする仕事が残っているが、当時の科学的、医学的水準などを抜きにして、企業は結果責任を果たすべきであろう。
企業に責任を果たさせるまで、世論を盛り上げて、全面的な解決を願うものである。

阪神大震災、その後

2008年01月15日 | 社会問題
阪神大震災が起きたのが、1995年1月17日だったので、今年で13年になる。
昨年も同じような記事を書いたような気がするが、阪神大震災の被災者を受け入れた兵庫県内の公営復興住宅(約300ヵ所、約2万5000戸)で、誰にも見取られずに亡くなる「孤独死」が、昨年1年間で60人に上ったことがわかったと報じられている。
死後長期間放置される例は減少したが、入居者の高齢化が進んでおり、被災地自治体は「見守り」を強化しているという。
県警が扱った検視事案などに基づく集計によると、孤独死は前年比6人減で、内訳は男性36人、女性24人。年齢層でみると、80代が19人と最も多かった。死因は病死が42人、自殺が8人などであったそうだ。
震災後13年を経て、人々の脳裏から震災の記憶が途絶えつつあるが、いまなお復興住宅が2万5000戸もあり、震災前の生活に戻れない人たちが大勢いることを考えると、日本の「政治の貧困」を考えないわけにはいかない。
昨年の新潟の中越沖地震の被災者についても、半年以上を経た現在でも、未だに3000人以上の被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされている。政府として、豪雪地帯での仮設住宅暮らしを解消しようという意志はないのだろうか?
インド洋上での米軍への給油活動に異常なまでの執念を燃やす一方で、このような事態が残されていることに、自民党や公明党の議員や支持者たちは、どのように考えているのだろうか。
仮設住宅や復興住宅でなくとも、一人暮らしで心臓発作などに襲われれば、誰にも見取られずに亡くなることはあり得るが、この多さは異常であろう。また、自殺者の多さにも驚いてしまった。
13年という月日が流れたが、この震災の記憶を我々の脳裏にとどめて、最後の1人の被災者までもが、震災前の生活を取り戻せる日が来ることを心から願うものである。

見ごたえがあった1秒の世界

2008年01月13日 | 環境・食料問題
昨夜、TBS系列で「1秒の世界」が放映された。
確か、昨年も2度ほど放映されたが、その続編である。
1秒という短い時間で世界の動きを切り取ることによって、現在の地球環境や人類の抱える問題点が浮き彫りにされており、なかなか見ごたえのある番組となっていた。
さて、この中で編集長がもっとも関心を抱いたのは軍事費の浪費である。
1年間に浪費される軍事費は、123兆円であるという。このうち、日本は世界で第5位の軍事大国であり、年間の予算は約5兆円である。
地球という星は閉鎖系である。
わずか100km、すなわち東京―熱海間の距離とほぼ同じ厚さ(薄さといった方が適切であるが、)の大気に覆われた惑星であり、このわずかな大気の中に、人類と共に多くの生命が共存し、太陽から得られるエネルギーによって、絶妙のバランスを保ちながら、46億年にわたって暮らしてきたわけである。
さて、昨今の環境破壊は、産業革命以来の急激な化石燃料の消費がその元凶であると言われているが、結局のところは、こういう資源を浪費することによって、経済発展を遂げ、それによって得た富を無益な軍事費として浪費し続けているということである。
太陽エネルギーを別の形で取り出すことによってのみ生活していれば、現在のように環境問題で悩むこともないわけであるが、地球が長い間に蓄積してきた化石燃料を短期間に消費することによって現在のような環境破壊を生み出してきたわけである。
したがって、環境破壊を食い止めて、復元するためには、人類は今までに蓄積した富を、環境復元のために使わざるを得ないことは自明のことである。
日本でも年間5兆円の軍事費が浪費されている。
毎年、毎年これだけの軍事費が浪費されてきたわけだが、これだけの予算が国民医療や福祉、教育、農業や林業などの保護、育成に使用されていれば、日本という国はどれほど素晴らしい国になっていたことだろう。
番組でも、教育や医療が十分に受けられない、安全な水が飲めない、日々の食事に事欠く人たちの存在にも触れられていたが、世界ではその24倍もの軍事費が浪費されてきたのだから、これが人類の発展や環境保護のために使われていれば、と考えるのは編集だけではあるまい。
地球という閉鎖された空間の中で生存していくためには、太陽エネルギーを基本とし、持続可能なエネルギーを上手に利用して生きていかざるを得ないことに気づくべきであり、同時に、軍事費という浪費に大胆にメスを入れる政治を各国の国民が選択することが急務であることを強調しておきたい。

与党が暴挙、新テロ対策特措法が57年ぶりの衆院再可決で成立

2008年01月11日 | 政治問題
インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開するための新テロ対策特別措置法は、11日午前の参院本会議での法案否決を受け、午後の衆院本会議で、憲法59条の規定に基づき、衆院議席の3分の2以上の多数で再可決、成立した。
まずは、自民党、公明党による歴史的な暴挙を批判しておこう。
同時に、参議院での採決を与党と合意し、これを進めた民主党の態度もいただけない。
そもそも、参議院では審議未了にし、廃案にすべきだった。こういうところが、民主党がふらついていていま一つ信用できないところである。
さて、参院で否決された法案の衆院再可決は、1951年の「モーターボート競走法」以来、57年ぶりのことだという。憲法に規定されているからといって、この再議決がいかに異様なものであるかは、これを見ただけで納得できる。
また、両院協議会を開催せずに、衆議院本会議を開催したことも、民意を無視する暴挙と言うほかはない。
そもそも、この新テロ特措法は、アメリカの戦争行為に協力するためだけに行われているものであり、世論調査の結果を見ても、過半数の国民が反対している内容である。
イラクなどへの米軍の派兵以来、テロ行為は止むどころかますます増えており、米兵はもとより、民間人の死傷者もうなぎのぼりに増えている。
これを「国際貢献」という美名の下に、米軍への給油活動を再開するというのだから呆れる他はない。
ますます国際的な流れから取り残され、日本の外交政策の無策ぶりを国際的に明らかにするだけではないか。一体、いつまでアメリカに追従する制作を続けるつもりだろうか。
日本が採るべき外交のあり方を根本から見直し必要があると思われる。