時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

悪政にアクセルを踏む公明党

2007年06月30日 | 政治問題
公的年金保険料の納付記録漏れの政治問題化や内閣支持率の急落をきっかけに、公明党が安倍政権の擁護を余儀なくされている。太田昭宏代表はこれまで折に触れ、憲法改正や集団的自衛権の研究などタカ派色の強い安倍晋三首相をけん制してきた。参院選まで1カ月半を切り、本来なら党の独自性を有権者に擦り込みたい時期。政権を揺さぶる年金記録問題に、安倍自民党と「不即不離」を保つ難しさに直面している。という報道があった。
しかし、果たしてそうだろうか?
この報道のように、公明党は、安倍政権をけん制する役割をはたしてきたのだろうか?
一般に、政権に入って、自民党の暴走にブレーキをかけているのが公明党と見られがちであるが、実はそうではない。
この年金問題にしても、「百年安心」などと言って、国民を率先してだましてきたのが公明党である。現在の宙に浮いた年金のことは、もう何十年も前から政権中枢では知られていたことが最近の報道で明らかにされている。坂口氏を厚生労働大臣として送り出していた公明党は、今回の年金問題を当然知っていたはずだ。
しかも、年金保険料は引き上げ、給付時期を遅らせ、給付額を減らした挙句に、「百年安心」の年金制度ができたと自画自賛して、その「成果」を誇示していたのがこの政党である。
また、国民年金の掛け金の国庫負担が2分の1だったものを自民党が3分の1まで減らしたわけだが、これを元の2分の1に戻すために、定率減税の廃止を真っ先に提案し、新聞や週刊誌から「増税戦犯」「定率減税廃止は公明党のおかげです」などと皮肉られているのが、ほかならぬ公明党である。
また、この間の国会で行われた数々の強行採決に、公明党がブレーキをかけたことがあっただろうか。もし、公明党が反対していれば、強行採決などはできなかったはずだ。
自民党政治にブレーキをかけるどころか、悪政のアクセルを踏み続けているのが公明党である。
創価学会の信者も、幹部の言いなりに公明党に投票せず、公明党が国会や地方議会で行ってきた悪政の数々を良く調査し、自分の目でよく確かめて、そろそろこの党の本質に気付くべき時ではなかろうか。
防衛省昇格問題、イラク派兵継続、憲法「改正」手続き法案、そして、社会保険庁解体法案、年金問題、会期延長問題しかりである。
「毒食わば皿まで」という諺があるが、公明党は今では自民党の悪い部分に完全に染まり、国民いじめの先導者にまで成り下がったというべきであろう。

ある殺人事件から

2007年06月29日 | 社会問題
数日前のニュースに、仕事中に同僚を刺殺したという事件が報道されていた。
運送会社の39歳のアルバイトが、職場の同僚で派遣社員の46歳の男性をナイフで10数ヵ所を刺し、数十メートル逃走したが、従業員に取り押さえられたという記事である。
殺人の動機などについて、続報が出るのかと思って待っていたのだが、何もないので、現時点での感想を書いておこう。と言っても、別にそれほど書くこともない。
常日頃から、仕事上のことで被害者から注意を受けていたので、自宅から用意してきたサバイバルナイフで、刺殺したというだけのことであり、どういう動機があるにせよ、殺人という行為そのものは許されないことである。
さて、この記事に接して、編集長は2つの点で驚いた。
1つは、被害者と加害者の境遇である。46歳の派遣社員と38歳のアルバイトということだが、労働現場では、こういう事例が山ほど存在するのだろう。
もし、このニュースで年齢が伏せられていたら、読者諸兄はどのような被害者像、加害者像を思い浮かべただろうか?派遣社員、アルバイトというと、20歳代からせいぜい30歳代前半の若者を思い浮かべるに違いない。未成年かもしれないと思う読者もいるだろう。
そういう点から見ると、加害者も被害者も40歳前後で非正規雇用者であり、日常的に相当鬱屈したものがあったのではなかろうか。こういう観点から、事件の動機をもっと掘り下げて欲しいものである。
2つめは、この2人を含めて6 人で荷物の仕分けなどをしており、加害者はあらかじめサバイバルナイフを用意しており、刺殺後に同僚の従業員に取り押さえられている。
もしそうならば、2人の間の日常的な仕事上のトラブルなどに、監督者や同僚も気づいていたのではなかろうか。
もう少し早く手を打っていれば、このような悲惨な結果は招かなかったのではなかろうか。
現在は、どの職場でもストレスが多く、精神疾患などで長期の休暇を取ったり、病気や人間関係を理由に退職したりする例が後を絶たないのが実情である。
回りから見ると、極めて些細なことでも、当事者は深刻に受け止めていることもある。些細なことと思わず、信頼できる上司や専門家などが早めに相談に乗るなどのケアが求められるのである。この事件が起きた会社は、運送会社としては一流の企業である。従業員の精神的なケアや職場環境の整備がなぜできなかったのだろうか。
最後に、こういう事件の報道に際しては、単純に結果のみを報道せずに、2人の間に具体的にどのようなトラブルややり取りがあったのか、その動機や職場の状況なども含めて追加報道し、それによって、読者に対して職場のあり方などを考えさせることが必要であろう。そうでなければ、さまざまな職場で同じような事件が後を絶たないのではなかろうか。
多くの人たちは、まさか自分の職場や近所、家庭で殺人事件が起きるとは思ってもいないだろうから。

国家による詐欺行為

2007年06月28日 | 政治問題
政府・与党は、約5000万件の該当者不明の年金納付記録を手書き記録と照合する「全件調査」について、民間企業に委託する検討に入ったという。
社会保険庁は、同調査について「約10年かかる」としているが、企業の中には「1年あれば調査可能」との見通しを示す社もあるという。
与党関係者によると、情報処理などが専門の複数の民間企業が、調査受注に向け、すでに名乗りを上げているという。
しかし、5000万件以上の消えた年金の責任を明らかにしないまま、調査を民間委託するというのはいかがなものか。自民党は、年金を統合した菅直人元厚生相に責任をなすり付けるだけで、その後の小泉、坂口元厚生相および柳沢厚労相の責任をウヤムヤにするつもりかもしれないが、菅氏を含めて、現在までの所管大臣および歴代内閣に責任があるのは当たり前ではないか。その間に受けた給料は全額返還してはどうであろうか。
これをアイマイにしたままで、「安かろう、早かろう」で民間委託すれば、国民の秘密保持や情報漏えいの危険性などの新たな問題も生じる危険性がある。また、これらの経費は、結局は国民の税金で支払われることになる。ばかばかしい限りではないか。
まずは、現在判明している全加入者に、加入情報を送付し、確認してもらうこと。
次に、厚生年金については、企業などにも協力を依頼して、加入期間を確認すること。
これと並行して、入力データの再確認作業を直ちに開始することだ。
先日テレビをみていたら、自民党の国会議員が年金問題の調査チームを結成して、社会保険事務所に視察している様子が映し出されていた。担当の管理職を呼び出してテレビの前で、怒鳴りつけていたが、こういうパフォーマンスは大したものだ。
社会保険事務所としても迷惑としか言いようがないだろう。職員が、加入者からの問合せで必死に対応している時に、こういう役にも立たない「視察」は百害あって一利なしだ。
テレビカメラの前での選挙目当てのポーズほど醜いものはない。
また、与党の一角、公明党の責任も重大だ。自らの党から坂口氏を厚労相として出している時に、さんざん「100年安心」などと豪語していた年金がこのザマである。悪政の陰に常に公明あり、といったところか。
政府、与党には猛省を促すとともに、国民には、自公政権を続けることの愚かさを理解して欲しいと思っている。

議会制度はどうあるべきか

2007年06月27日 | 政治問題
1.小選挙区制を批判する
現在の日本では、主権者たる国民が選挙を通じて、国、地方自治体の議会の議員を選ぶことになっている。
いま、2大政党制ということがマスコミでしきりに喧伝されているが、国民の考えを、2つの政党の考えに集約することがはたして可能なのだろうか?
十人十色というが、主な政治問題だけを取り上げても、人にはそれぞれの考え方がある。ましてや、2つのどちらかの選択肢しか与えられなければ、投票所にさえ足を向けなくなるだろう。
国政選挙における小選挙区制の最大の問題点は、得票率に応じた、すなわち国民の支持の比率に応じた議席が配分されない反民主的な制度であることだ。中選挙区制あるいは比例代表制と異なり、死票が多くなり、得票率と議席占有率が一致しなくなる。
地方政治では、政治的にも様々な模索が続いている。これは、多くの政党が地方議会に議席を持ち、様々な意見が存在することも一因であろう。
日本が、民主主義国家を標榜したいのであれば、国民の支持に合わせて議席が得られる、当たり前の選挙制度に直ちに改めるべきであろう。

2.議員任せの弊害
先日、爆笑問題の太田総理の番組の終わりの部分をチラリと目にしたのだが、どうも国民投票をテーマにした議論だったようだ。この国民投票について、視聴者からの賛否が番組の終わりに報じられたが、反対意見の中に、「国会議員は選挙で選ばれているのだから、任せておけばよい」という意見があったことだ。
確かに、国会だけでなく、地方自治体の議員も選挙で選ばれて、国あるいは自治体の運営を任されているのは事実である。
議員もそのことをよく自覚し、常日頃から、選挙民や国民の意見によく耳を傾けて、誠実にその職務を果たすのであれば、何の問題もない。
しかし、そういう議員はあいにく少数ではなかろうか。だからこそ、主権者である国民は、常日ごろから、議会内外での議員の言動をチェックし、公約に反することについては、厳しく批判すべきである。それが主権者としての国民の責務である。
「議員に任せておけばよい」という考えが、政党や政治家への監視を怠る風土を育ててきたのである。こういう考え方は、無関心層以上に始末が悪い。たとえば、政務調査費の不正使用などは、国民の意思とかけ離れていると思うが、いかがだろう。
議会制民主主義とは、単に選挙を通じて議員を選ぶにとどまらず、その時々の問題で、国民の声を議会に届け、議会の内外で、国民が主権者として議会を監視し、議員や政党に公約の実現を迫ることである。
日本は、民主主義国家だと言われているが、それほど風通しの良い政治が行われているとは到底思われない。もう一段高いレベルの民主主義を築くために微力ながら努力したいと思っている。

グッドウィルユニオンに拍手

2007年06月26日 | 格差社会
日雇い派遣大手のグッドウィル(東京都港区)が給料から不透明な天引きをしていた問題で、厚生労働省は、天引きは賃金不払いで労働基準法違反にあたるとみて調査、指導する方針を固めたという。
一方、グッドウィルは、過去2年間の天引き分を返還すると発表した。対象は80万人で総額37億円に上るという。不透明な天引きは業界全体で横行しており、他社にも大きな影響が及びそうだ。
グッドウィルは、派遣1回当たり200円を保険料などとして天引きしていた。派遣労働者でつくるグッドウィルユニオンは「強制的な天引きで使い道も不透明」と返還を要求。今月上旬から組合員ら数十人が、各地の労働基準監督署に労基法違反として申告していた。
グッドウィルは、この問題が明らかになった際に、希望があれば返還するなどというアイマイな態度を取っていたが、世論の盛り上がりと厚労省からの指導により、とりあえず、2年分については全額返還する方針を固めた。大変喜ばしいことである。
同時に、2年以上前の違法な天引きについては、賃金請求権(2年の時効)を参考に支払わないとしていることは極めて不当だ。
労働者がこのピンハネ分を請求する権利があることを知っていたのならともかく、労働者をだまして、ピンハネしておきながら、請求権は時効だなどという言い訳は通用しない。
過去にさかのぼって調査し、全額を返還すべきである。
さて、今回のピンハネ問題であるが、その発端は、派遣労働者が作ったユニオンの追及によるものである。わずか数十人の組合員の行動が会社の違法行為を正し、結果的に、80万人の日雇い労働者に多大な利益をもたらすことになった。
もし、泣き寝入りしていたら、何も変わらないままに時が過ぎ、さらに多くの労働者が被害に遭ったに違いない。
ユニオンの活躍に拍手を送りたい。
労働者の立場は弱い。会社に対して物を言うことは、勇気のいることである。特に、このような日雇い労働者の場合、明日から仕事を回してくれなくなるかもしれないといった不安も生じるに違いない。にもかかわらず、勇気を持って会社の違法行為を告発した行動は賞賛に値する。
このユニオンの組合員はもちろんのこと、80万人の派遣労働者は、今回の件を通じて、ピンハネされた37億円を取り戻したにとどまらず、人間としての尊厳や生き方を取り戻したのではなかろうか。
この動きが、派遣業界全体に広がることを願っている。
また、非正規雇用者も、組合などに加入して、共同して声を上げることを期待している。

自動車販売高から見た日本の進む道

2007年06月25日 | 社会問題
日本自動車販売協会連合会によると、今年5月の中古車登録台数は37万3082台で、前年同月比4.6%減となった。5月としては平成に入って2番目に低い水準となり、「反転を期待しているが、なかなか数字には表れない」(業界関係者)と失望感も出ている。
中古車登録台数は17年度に5年ぶりに前年度実績を上回り、低価格志向のユーザーが中古車にシフトしているとの分析もあった。しかし、実際には、18年4月以降は一度も前年水準に比べてプラスを達成できていない。18年度の登録台数は7.5%減の188万台となり、元年度以来、17年ぶりの低水準となった。
中古車販売の低迷の背景には、新車販売の不振があるとされる。自販連は「新車が売れないために、良質な中古車の下取りができなくなっている」としており、新車販売の不振が中古車に響く悪循環に陥っている。
このため、自動車各社は新車販売とともに、中古車市場の活性化にも力を注いでいる。中古車人気が高まれば、消費者は保有している自動車を高い価格で下取りに出すことができ、新車の購入負担を軽減するからだ。また、買い替え需要を促す効果も期待できるとしている。
しかし、これから少子高齢化社会に突入し、人口が減少することが確実である。しかも、若者の3割が非正規雇用という現状の中で、年収が300万円にも満たない労働者が増えている。このような状況の中で、果たして自動車の販売台数が伸びる余地があるのだろうか?
トヨタや日産、ホンダなどの大企業がボロ儲けを吐き出し、国民のふところが潤ってこそ、新車販売も増える余地が生まれるのではなかろうか。
さらに、人口減少の中で、そもそも自動車の販売台数を伸ばす必要があるのだろうか?
大都市部だけでなく、地方の県庁所在地などでは、街の中心部に向かう車のために、混雑が続くことが多い。これ以上、車が必要なのだろうか。
付け加えて言えば、地球環境問題がこれほど騒がれている時に、販売台数さえ伸ばせばよいという考え方そのものを見直す必要があるのではなかろうか。
ぜんそく患者への補償を巡って、国や自動車業界もその責任を認めているのだから、そもそも、脱自動車社会をめざして方向転換を図る必要があるのではなかろうか。
自動車がなくても、便利に異動できる公共交通網の整備などに取り組むべきである。
低廉なバス路線の拡充、マイクロバスの活用、自転車・バイクの専用レーンの設置など、国や自治体ができることは多い。
自動車会社も、売上げの減少に悩む前に、公共交通の中に占める自動車の役割など新たな生き残り策を考えるべき時である。

格差の源泉

2007年06月24日 | 格差社会
以前に、富の源泉や労働力商品のことについての記事を書いておいたが、ざっとおさらいしておこう。
アダム・スミスが着目し、マルクスがその仕組みを明らかにしたように、富の源泉は労働にほかならない。
たとえば、1000万円の資金を元手に会社を作ったとする。200万円は当初の人件費であり、800万円が工場や事務所、備品、機械、原材料などに当てられたとする。
何年か会社経営を行ううちに、経営が軌道に乗り、会社の金庫には、2000万円、3000万円という現金が積まれたとしよう。
800万円の設備投資は、ただ原価償却するのみで、何物をも生み出すわけではない。労働力の使用によって、原料が加工され、新たな商品を生み出すことによってのみ、会社は利益を上げることができたわけである。その際、労働力という商品は、労働者の生命に付随しているため、この価格は労働者の生命を維持し、労働力を再生させるための経費(生活費、賃金)として計算されるわけであるが、労働力は、その使用によって、この賃金分だけでなく、余剰の価値を生み出す。マルクスはこれを剰余価値と名づけた。
労働者は、自らの労働力を維持するための費用を賃金として受け取るわけだが、実際にはその5倍、10倍もの剰余価値を生み出しているわけである。
こうして生み出された剰余価値は労働者の物とはならず、工場や原材料を提供した会社の持ち主の物となる。これが合法的な搾取の仕組みであり、貧富の差の根源である。
しかし、現在の経済格差を仔細に眺めると、こういう合法的な搾取による富の蓄積だけでなく、不法な事例が数多く認められる。
たとえば、サービス残業がそれである。労働者を規定の時間以上に働かせておきながら、賃金を支払わないという、もっとも原始的な搾取方法の一つである。
また、そもそも労働力の再生産ができないような低賃金での雇用が横行していることである。
地方では最低賃金が610円というところがある。1日8時間、月に22日間働いても、額面でわずか107,360円である。ここから、税金、社会保険料などを差し引いて、まともな暮らしができるだろうか。
さらに、大企業による中小零細企業への単価切り下げなども、もう限界に達しているのではなかろうか。乾いたタオルを絞ると言われた大企業もあるが、中小零細の下請け企業の経営者も、命を縮めながら経営を維持しているのが実情であろう。
これでは、労働力が宿っている人間の生命すら維持することはできない。
まさに、生命の維持すら難しいような状態で労働者を長時間、低賃金で働かせる一方で、企業は富を蓄積し、一部の経営者のみがその分配に与(あず)かっているのが現在の格差の根源なのである。
誰にでも大企業の経営者になれる、大金持ちになれるチャンスがあるのだから、そうなればよいではないか、という議論があるが、誰が資産を形成するかを論じているわけではない。
誰が頂点に立つかということに、編集長はまったく興味はない。結局は、一握りの資産家と多くの貧困者という根本的な図式は、まったく変わらない。適切な富の分配によって、あるいは、この貧富が発生する図式そのものを解消しなければ、格差も根絶できないのである。

予測できないこと

2007年06月23日 | 政治問題
消えた年金問題で国会では相変わらずのゴタゴタが続いている。次々と、社会保険庁の不祥事が明るみになっている。
国民も、年金がもらえるのか、自分の年金は消えていないのか、・・・いろいろと不安になるのも当然である。
しかし、何と言っても、自分の人生、寿命がいつまであるのかがわからないからこそ、将来の年金が気にかかるわけである。
もし、自分が年金受給年齢までに死亡することがわかっていたら、誰も年金を払わないだろうし、逆に、平均寿命を大幅に超えて長生きするようなら、年金だけでなく老後の資金計画をしっかり持って人生設計をしなければなるまい。
要するに、人生というもっとも漠然としたものに備えるものであるだけに、政府にはきっちりしてもらわなくては困るのだ。
長生きするかもしれないが、早くに呆けてしまうかもしれないし、寝たきりになって、ズルズルと長い闘病生活を送るかもしれない。
人生には、そのような不安が絶えず付きまとうからこそ、誰もがお金の心配をしないで安心して老後の生活を送れるように、年金制度を充実しなければならないのだ。
あるいは、それほどお金の心配をせずに、医療や介護が安心して受けられるような諸制度を作る必要があるのだ。
自らの寿命がいつまで続くのかは、誰にもわからない。資産家にも、貧乏人にも平等にわからないことだ。
しかし、年金にせよ、医療や介護にせよ、多くの国民が世話になる制度なのだから、国民の税金をこういう分野にこそつぎ込むことが必要なことは言うまでもない。
つい先日もイラクへの自衛隊派兵期間を延長する法案がまたしても強行採決で決定したが、そんなことをしている場合ではない。こんな無駄なことにお金を使う余裕があったら、年金問題で国民の不安を解消するために使うべきであろう。あるいは、少子化対策や若者の雇用対策に使うべきだ。
国民一人一人の人生の予測できないが、今のような政府の対応では、間違いなく国民の年金不安は解消できないだろう。

揺らぐ食の安全

2007年06月21日 | 環境・食料問題
食の安全を揺るがす事件がまた起きた。
食品加工卸会社ミートホープ(北海道苫小牧市)で作られた豚肉を牛肉に見せかけた「偽装ミンチ」は、加ト吉(香川県観音寺市)の子会社などで製品化され、生協などを通じて全国に流通していたという。食の信頼に影を落とす事件がまた一つ、明らかになった。
7、8年前ごろ、様々な仕入れ先から、賞味期限ぎりぎりの食肉をできるだけ安く購入し始めたという。「牛ひき肉に豚肉を混ぜる」「豚や牛の内臓を混ぜる」「豚のひき肉だけを出荷する」といった手法がとられたとされている。
豚の心臓は赤みが強く、混ぜると牛肉と見分けできない。「混ぜてしまえばわからない」との心理から不正を続行。「本当に牛肉か」との問いは、「あまりにシンプルで問いかけられたことはなかった」という。
ミート社の田中稔社長は 「うちの冷凍庫にはたくさんの肉があり、何かの間違いで牛に豚が混ざったのかもしれない」などと述べているそうだが、会社の幹部が不正を認めていることを勘案すると、社長も当然知っていたと思われる。
偽装を行っていた会社の幹部も大変なことをしてしまったと、良心の呵責に苛まれて、詳細を公にしたようだが、企業の社員として過ごしているうちに、良心の欠片すら失い、偽装に加担し、これを長期にわたって隠蔽し、企業の利益を優先するようになってしまったのだろう。
儲けることが至上命令の企業にとって、安全対策は、どんどん後方に追いやられてしまうのが常である。
雪印、不二家など、食の安全を揺るがす事件が続いているが、今回の事件なども氷山の一角であろう。
個々の企業や業界の自主性に任せるだけでなく、国や地方自治体も商品の抜き取り検査なども随時行い、食の安全の確保に努めるべきである。

自衛隊による国民監視は直ちに中止せよ

2007年06月20日 | 政治問題
参院外交防衛委員会で、自衛隊のイラク派遣に反対する市民運動などの情報を陸上自衛隊の情報保全隊が収集していた問題について、民主党の増子氏が「国会議員を監視しても構わないのか」と質問したのに対し、久間防衛相はと述べたという。
この問題は、10日ほど前に、共産党への情報提供(自衛隊による内部告発)によって明らかになったことであるが、この名簿に名前が掲載されていた民主党の増子氏は、衆院議員時代に「イラク派遣は違憲であり、派遣に反対」と発言したことを、情報保全隊から「反自衛隊活動」と分類されたらしい。
久間防衛相の発言は、根本において間違っている。
国会議員であろうが、国民であろうが、情報収集の対象とすること事態があり得ないことだ。
少なくとも「民主主義」を標榜する国であるならば、このようなスパイまがいの行動は国家として行うべきではない。
以前に、社会主義を名乗っていた国々での国民監視、スパイ活動の実態が明らかになり、編集長も含めて、多くの国民がその内実にあきれ、怒りさえ覚えたが、何のことはない、いま日本がやっていることは、これらの国々とまったく同じことである。呆れるほかはない。
しかも、自衛隊のイラク派遣に反対する市民運動などの情報と主張しているが、ここにもごまかしがある。自衛隊のイラク派兵反対の市民運動のみならず、核兵器廃絶などの平和運動、消費税反対、年金・介護問題などありとあらゆる国民運動、労働運動などを調査対象とし、マスコミやジャーナリスト、果ては高校生までもが調査対象となっている。
久間防衛相はこうした分類については、「冷戦構造の中からやっているもので、ある意味で惰性だった。『反自衛隊』という分類は間違っている。分類の仕方について検討させている」と述べ、分類方法が誤りであったことを認めているが、引き続き国民を監視する行動については、これを止めるつもりはないようだ。
また、増子氏の追及もお粗末である。国会議員でなければ情報収集、監視の対象としてもよいとでも言うのだろうか。事の本質を捉えないお粗末な追及と言うほかはない。
日本が本当に民主主義国家だというのなら、国家権力によるこのような情報収集、監視は直ちに中止すべきである。

投資の危うさ

2007年06月19日 | 経済問題
東証マザーズ上場の電気検査装置メーカー株の取引をめぐり、証券会社10社以上に、顧客から代金が支払われず、総額数十億円の損害が出ていることがわかったという。
委託保証金(担保)の約3倍の株の売買ができる信用取引を行っていた顧客が大半で、同社株の急落で多額の損失を抱えたことが原因とみられる。
同社は2003年4月、東証マザーズに上場。株価は当初、主に10万~20万円台だったが、2005年秋から上昇し始め、翌2006年末には100万円を突破した。今年に入ってからも100万~150万円台で推移していたが、先月、大量の売り注文が入って急落、今月14日の終値は14万8000円だった。関係者によると、株の信用取引では通常、顧客が30%の委託保証金を証券会社に担保として差し入れ、株価が値下がりした分だけ支払う損失分も膨らむことになる。
今回の事態は、株価の急落で、支払いができない顧客が相次いだことが原因とみられ、東京や大阪などの10社以上の証券会社で、代金の未払いが大量に発生した。なかには約10億円の損害が出た証券会社もあるという。
各社は、弁護士を通じるなどして顧客に支払いを求めているが、複数の証券会社と取引し、未払いになっている顧客もいるという。
本来、株というのは、その企業の事業を応援するために出資し、その収益を配当という形で受け取るものである。また、株主優待などを通じて、その企業のサービスを享受することもある。
しかし、現在はそのような株取引をする人はほとんどいない。
株価の値上がりを通じて、売買益を得ることを目的に、ただ投機だけを目的に売買されることが、このような悲劇を生むことになる。
今、世界中を莫大な投機資金が駆け巡っている。
およそすべての商品が投機の対象になっている。株、国債などの債券はもちろんのこと、土地、建物、貴金属、宝石、美術品、エネルギー資源、穀物、・・・、人が欲しがるものであれば、何でもかんでも投機の対象になり得る。
商品の価格は、単純に需要と供給の関係によってのみ決まる。欲しい人がいれば、それを買い占めれば価格は必ず上昇する。
資金力のあるファンドなどが、いわゆる買占めに近いことを行うと、価格は一気に上昇し、反転して、大量の売りに回れば、価格は見るも無残な暴落を見る。
今回の株取引もまさにそのような現象の一つに過ぎない。儲かった者と損した者、帳尻はきちんと合うことになっている。
さて、冷静に考えてみよう。富の源泉は労働である。
このような投機によって新たに生まれるものは何もない。実に無駄な行動ではないか。
このような無駄な行為のために、貴重な時間を無駄にするくらいなら、もう少し汗水流して生産的な仕事をしてはどうだろうか。
しかしながら、これが資本主義という社会の仕組みであり、多くのまじめな投資家は、この波にもまれて消えていくことになるのだろう。

赤城農水相も事務所費疑惑

2007年06月17日 | 政治問題
家賃のかからない議員会館に事務所を置く赤城徳彦農水相の資金管理団体で、「事務所費」支出が年によって大きく変動していることがわかったと報じられている。
自殺した(自殺させられた)松岡農水相に続いて、またか、という感じである。
19万円と少額の年があれば1000万円を超える年もある。赤城農水相のカネをめぐっては、同法に違反した形で補助金交付団体からの献金も発覚している。
資金管理団体は「徳友会」。1995年に設立されて以降、議員会館に「主たる事務所」を置いている。同法施行規則では事務所費は、家賃、税金、保険料、電話代など「事務所の維持に通常必要とされるもの」と規定されており、本来はそれほど変動するものではないはずだ。
徳友会の収支報告書で経常経費を見ると「事務所費」として設立時に84万円を計上。その後、100万円台で推移したが、2000年は19万円に激減。2002年には1017万円にはね上がっている。
また「備品・消耗品費」は2002年から2004年の間はゼロ。「備品・消耗品がゼロなら、事実上の休眠団体」とされるが、徳友会はその間も政治資金パーティーを開くなど活動していたという。
赤城農水相をめぐっては国の補助金交付団体2法人から計30万円の献金を受けていたことが発覚。同法では、国から補助金を受けた法人は交付後1年間、政治活動への寄付が禁じられている。農水相側は20万円分は個人献金だったとして収支報告書を訂正した。
お金に汚い人間は、政治家になるべきではない。
代議士を数期務めると、身代が傾くとまで言われていたのは過去の話であるが、今は、代議士を数期務めると、蔵の1つや2つ建つくらいの資産ができるのではなかろうか。
前の農水相もカネまみれ、そして今度の農水相もこの有り様だ。
安倍首相の任命責任も極めて重いと言わざるを得ない。

新銀行東京の格付けダウン

2007年06月16日 | 経済問題
アメリカの格付け会社のスタンダード&プアーズは、東京都が出資する新銀行東京の長期格付けを「シングルA」から2段階低い「トリプルB+」へ引き下げたと発表した。
トリプルB+は、S&P社が投資適格とする10段階の格付けの下から3番目に当たる。しかも今後の見通しも、さらに引き下げの可能性がある「ネガティブ」とした。
新銀行東京は、石原都知事の肝いりで作られた銀行で、2007年3月期決算で547億円の税引き後赤字になるなど業績不振が続いている。今月、中核業務である中小企業への貸し出し目標を大幅に引き下げ、2010年3月期での黒字化を目指す新中期経営計画をまとめた。ただ、S&P社は「経営刷新の方向はプラスだが、新計画の達成も容易ではない」と指摘している。
そもそも、自治体が税金を投入して銀行を作る必要がどこにあるのだろうか。現状のままでは、投入した税金が返ってこなくなる可能性は極めて高い。場合によっては、更なる税金投入の可能性すら存在する。
中小企業や都民向けの無担保無保証人融資などは、別に都が銀行を作らなくても、市中の金融機関と提携し、都が利子補給や保証人を代行すれば済む話である。
未だに、多くの都民が石原都政に様々な幻想を抱いている。都民は、この銀行が破綻して初めて石原都政の愚かさに気付くのだろうが、その時には石原は表舞台から既に引退しているに違いない。
何とも、やり切れない結末が見えるようである。

ミスユニバースってなに?

2007年06月15日 | 社会問題
日本人がミスユニバースに選ばれたというので、ずいぶん話題になっている。
最近は、大学などでもミスキャンパスを選ぶコンテストなどが行われているし、地方のミス○○が観光地のキャンペーンガールなどになって特産品のアピールに一役買っていたりする。
しかし、そもそも女性の顔かたちや体型に優劣をつけようという考え方に、編集長は賛成ではない。
もう5、6年前のことになるが、朝のワイド番組に出てきたミス日本の女性が、チャームポイントを聞かれて、「鎖骨」を指差しながら、「この肩甲骨の・・・」と応えていたのを聞いて、ミス日本の審査には常識テストもないのか、とがっかりしたことがある。
さて、ネットのアンケート調査で、「ミスユニバースの選び方って私の美意識と?」という質問に対して、かなり違う:86%、けっこう近い:14%というのが掲載されていた。
ミスユニバースには、どんな審査があるのか知らないが、受賞のインタビューや挨拶では、緊張の中にも、しっかりと英語で応えていたし、社会に貢献した生き方がしたいと応えていた。留学経験もあるというが、なかなかたいしたものである。
編集長などは、日本語でさえ、なかなかあのようにしっかりとした受け答えはできないのではないかと思ったぐらいだ。
20歳の女性で、これだけしっかりした考えの女性は少ないのではないだろうか。
もっとも、この受賞を踏み台にしてモデルになりたい、女優になりたい、金持ちになりたいなどと、自らの欲望をあからさまに言う人は少ないと思われるので、こういうインタビューに対する答えもあらかじめ用意されていたのかもしれない。
いずれにせよ、この女性が社会に貢献できる道を見つけて、そういう道を歩むかどうか、これからの5年、10年を注目したいと思っている。
ところで、ミスユニバースというと宇宙一の美女ということになるが、どうも編集長の美意識とは2億光年くらいは離れているようだ。

年金不祥事、続々

2007年06月14日 | 政治問題
5000万件の記録紛失の他に、1400万件以上の不明が明らかになっているが、その数も日を追うごとに増え続けている。
3年前に、公明党は「百年安心」などと豪語し、デカデカとポスターまで張り出していたが、明日はどうなるかさえわからないお粗末さである。
さて、この年金記録紛失問題で、年金記録が大量に不明になった主要因とされる手書きデータの入力ミスが、何と昭和30年代から起きていたことが、社会保険庁の資料から明らかになった。これまで政府・与党は問題の原因が平成9年の基礎年金番号統合にあったとみて、統合を閣議決定した当時の厚相だった菅直人民主党代表代行に批判の矛先を向け、与党に対する批判をかわそうとしていたが、そううまくは行かないようだ。
年金記録はかつては手書き台帳で管理されてきたが、将来的な電算処理を可能にするため昭和32年から段階的に、手書き台帳での管理とともに磁気ファイルへの入力作業を開始した。
作業は社会保険業務センターが担当し、全国の社会保険事務所から送られてくる手書き記録をもとに入力した。
この時、手書き記録の氏名は漢字のみだったのに対し、当時の磁気ファイルはカタカナ入力しかできなかったため、氏名の漢字の読みを不正確に入力。さらに、保険料納付期間を未納期間や免除と打ち間違えたケースもあったという。ずさん極まりない対応である。
一方、社保庁は昭和50年代に磁気ファイルのデータをオンラインシステムに移行する作業を始めたが、この移行作業はコンピューター上で機械的に行われたため「誤入力は起きない仕組み」だというが、元々の入力データが間違っていたわけだからどうしようもない。
したがって、5000万件もの記録が基礎年金番号に統合されず宙に浮いたままになっている背景には、データ入力におけるミスが指摘されているが、データ入力ミスはオンライン化を進める前の昭和30、40年代時点で、すでに相当数あったと考えられる。
国民の財産に対する扱いを一体どのように考えているのだろうか。
先日、NHKのテレビ討論を見ていたら、自民、公明は、この作業を行った社会保険庁の「職員の怠慢」をしきりに非難していたが、これはとんでもない誤りである。
人間の作業には、多少のミスはつきものである。
しかし、現在の年金加入者は、約7000万人であるが、5000万件+1400万件以上の不明年金の存在は、個々の職員のミスなどに原因を求めることは不可能である。
問題は、そのミスを最小限度に抑えるためには、たとえば2人の人間で別々に入力して、食い違いを照合し、それをさらに第三者が確認し、その結果を早い段階で、企業や加入者に確認を求めるなどのシステムを構築することが重要なのである。このシステムの決定は、職員が決められるものではない。
厚生省、社会保険庁のお偉方がこういうシステムを決めていなかったことに問題があることは明らかである。にもかかわらず、この社会保険庁幹部の責任を不問に付すかのように、与党は社会保険庁の解体法案を提出し、その責任をウヤムヤにしようとしているわけである。
言語道断と言わざるを得ない。