時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

法人申告所得額、過去最高57兆円に

2007年10月31日 | 経済問題
今年6月までの1年間に税務申告した企業などの法人の申告所得総額が、過去最高の57兆828億円(前年比13.3%増)に上ったことが国税庁のまとめでわかった。
好調な企業業績を反映し、申告所得ベースではバブル経済期を超える形となった。
申告税額は14兆4578億円(同14.8%増)で、過去15年間で最も高くなった。18兆円を超えたこともあるバブル期には及ばなかったが、これは現行の法人税の基本税率(30%)がバブル期の税率(42~40%)より低くなっているため。
この1年間の申告件数は、278万7000件で、これも過去最高。このうち累積欠損を差し引いた申告が黒字だった割合は4年連続上昇して32.4%となり、黒字申告1件あたりの所得額は過去最高の6254万円だった。バブル期には申告した法人の半数近くが黒字で、企業間の「格差」が拡大している実態がうかがえる、と報じられている。
以前から本紙で指摘しているように、一般家庭の収入が頭打ちになっている中で、企業はバブル期にも達成できなかったような空前の大もうけをしている。
どこか間違っていないだろうか。
政府の基本的な考え方は、企業が潤えば、庶民もそのおこぼれにあずかれるはずだ、という考えである。こんな発想で庶民の暮らしが改善するはずがない。
しかも、報道されているように、バブル期には企業の税負担(実効税率)は約40%であったが、小泉構造改革の中で、財界、大企業の要望を受け入れ、今や実効税率は30%にまで低下している。
政府は、口を開けば、社会保障の財源がない、消費税率を上げるしかないと宣伝し、マスコミもその論調に乗って政府のお先棒を担いでいるが、これはとんでもないことである。
ボロもうけをしている大企業の実効税率を40%に戻し、企業への各種の補助金を削減すれば、社会保障の費用などは何でもない。
また、何10億もの資産を有する企業経営者や資産家にちょっと税金をかければ済むことである。
法人税率を上げれば、企業や資産家が日本から出て行くとの議論があるがこれもまやかしである。いま企業が海外に工場などの機能を移しているのは、海外の人件費が安いからに他ならない。また、日本の市場が飽和し、日本で生産する意味がないからに他ならない。
法人税率が問題ではないのだ。その証拠に、法人税率の高いヨーロッパなどにも日本企業はどんどん進出しているではないか。
こういう財界や大企業の主張を鵜呑みにして、報道することほど危険なことはない。
いずれにせよ、企業収益が増えても、そこで働く庶民の給料は横ばいである。それどころか、非正規雇用者が増え、全体の平均収入は減るばかりである。申告所得が10%以上も伸びているのなら、正規雇用者を増やし、もうけにふさわしい給料を支払うべきである。
財政再建、社会保障費の捻出など、日本の財政運営には困難が多いと思われているが、それほど難しいことではない。
発想を転換すれば、消費税の増税に頼らなくとも、10兆や20兆の財源確保は簡単なのである。

企業犯罪をどう防ぐか?

2007年10月30日 | 社会問題
企業による犯罪行為が目立っている。
食品そのものや賞味期限の改ざんなどは日常茶飯事になってきた。あまりに多すぎて思い出せないが、ざっと記憶をたどるだけで、不二家、白い恋人、ミートホープ、赤福、比内鶏、吉兆、そして御福餅などがある。
食品のみならず、耐震偽装、ガス湯沸かし器、自動車など、欠陥品、不良品であることを知りながら、これを隠蔽していた事実も明らかになっている。原発での事故隠しも次々と明らかにされている。
また、以前から本紙で取り上げてきた偽装請負、残業代の不払い、外国人研修生への低賃金での雇用、不法残留外国人の雇用など不法行為は跡を絶たない。ライブドア、村上ファンド、生保による保険金不払い、NOVAなど経済事犯も増えているのが特徴だ。
さらには、年金問題、薬害問題、給油問題など、企業だけでなく、官公庁での隠蔽や疑惑も明らかにされている。
確かに、人間というものは、組織に身を置いていると、ついつい組織を守るように行動してしまうことが多い。これは、企業を守ることを通じて、自らの生活を守るという一種の自己保身に過ぎないのだが、誰もこのことを責められないだろう。企業の犯罪などが明るみに出るのは、企業内で不満を持つ者、あるいは不満を持って退職した者などがマスコミや監督官公庁などに情報をリークするケースが多いのではなかろうか。
企業は、社会的存在であり、社会の構成部分の1つである。そして、流通などが高度に発達した現代社会においては、1つの偽装、不良品によって、多くの国民に不幸がもたらされることになる。企業はこの点を自覚すべきである。
同時に、拝金主義がはびこる現在では、儲かるためなら何でもするという風潮が、人間の正常な感覚やモラルさえ押し流してしまうことになる。
したがって、企業や組織による犯罪を防止するためには、その社会的影響に応じた罰則を強化することが必要であろう。
また、企業犯罪に関する情報提供者への報奨も制度として整えることが必要だ。もちろん、情報提供者の秘密を守ることにも配慮も必要である。
前述の企業犯罪で、経営者が逮捕されたり、罰金を支払ったり、被害者に補償金を支払ったりしたケースは極めて稀である。
社長などの経営者の交代すらなされていないケースも多い。
不特定多数の被害者が生まれるのが、企業犯罪の特徴である。したがって、これを1日も早く解決することは、被害を最小限度にとどめるうえで極めて重要である。
企業犯罪は、マスコミで随分と取り上げられるようになってきたため、今後は「自分の会社でも賞味期限の改ざんをしている」、「不当表示をしている」といった告発はますます増えてくることは疑いない。
労働者も、自らが働く職場での不法行為を告発するモラルと勇気を持って欲しいと思っているし、企業経営者もこの機会に襟を正して欲しいと思っている。

比内鶏偽装

2007年10月29日 | 社会問題
秋田県大館市の食肉加工・製造会社「比内鶏」(藤原誠一社長)が比内地鶏の製品を偽装していた問題で、藤原社長が同社の正社員15人全員に対し、解雇の方針を伝えたことが報じられていた。
同社の桜井久美営業課長によると、同社に全社員を集めて説明会が行われた。藤原社長は冒頭、偽装問題を起こしたことについて、「迷惑をかけて申し訳なかった」と謝罪した上で、「会社の存続が難しい」と解雇の理由を説明したという。
28日にも同社のグループ会社に社員を集めて説明会が開かれ、藤原社長は「離職状を渡す」と説明したという。
悪質な罪を犯しておきながら、テレビの記者会見で「何とかお許しをいただきたい」などという責任逃れの発言を行っていたが、結局、企業が存続できないという理由で、結局そのツケは労働者に降りかかってくる。とんでもない話だ。
以前から述べているが、企業の犯罪に対する警察や司法の対応は甘すぎる。
今回の場合なども、本人は偽装を認めているのだから、上申書を取り、証拠書類なども提出させ、その内容が犯罪を形成するものであるならば、即刻逮捕すべきである。
また、法律も改正し、経営者や責任者に対して厳罰を規定するとともに、迷惑を及ぼした社会や従業員への補償を何十年かけてでも徹底して行わせるようにすべきである。
さて、この記事を書いているうちに、高級料亭「吉兆」による賞味期限改竄の報道があった。
国民の食の安全がこれほど脅かされている時はない。特別の対策が必要であろう。

サブプライム問題の余波

2007年10月26日 | 経済問題
アメリカの低所得者向け住宅ローン返済の焦げつき、いわゆるサブプライム問題の影響がアメリカのみならず世界の金融各社に広がりつつある。
アメリカでは、大手証券のメリルリンチが、7~9月の決算で9000億円もの損失を出し、赤字に転落したことが報じられていたが、アメリカの大手銀行、証券会社9社だけで、233億ドル(2兆6500億円)もの損失を出している。
FRB(米連邦準備制度理事会)によると、住宅ローン金利は、最初の1、2年間は低く、3年目から上昇するように設計されているため、来年が焦げ付きのピークになるという。
とすれば、前述の金融会社の損失も氷山の一角にすぎないだろう。
さて、この問題の余波が日本にも伝わり始めた。
みずほ証券では、このサブプライムへの投資で、260億円の損失を出し、赤字に転落したことが報じられている。
今後、日本の銀行、証券会社、投資会社などで、次々と損失が明らかにされることになるだろう。
さて、金融会社でのこのような損失のツケはどのように解決されるのだろうか。
アメリカでは、バンク・オブ・アメリカが3000人、リーマン・ブラザーズ証券が1200人、モルガン・スタンレー証券が600人のリストラが計画されている。さらに住宅ローン会社のカントリーワイドでは、何と12000人の人員削減が行われるという。
結局は、企業が生き残るために犠牲になるのは、善良な労働者である。
アメリカがクシャミをすると、日本が風邪を引くと言われるほど、日本の経済はアメリカに依存しているが、前述のとおり日本の金融会社にも影響が出始めている。
日本の経済運営は完全に悪循環に陥っている。
企業が利益を伸ばすために人件費を抑制し、派遣や請負労働を活用すると、労働者の給料は上がらなくなり、国内消費はますます停滞する。これを打開するために、企業はますます人件費を抑制し、売上げは輸出に頼るようになる。こういう悪循環の中で、国民生活はますます疲弊していくのである。
アメリカ頼みの経済ではなく、国民が当たり前の暮らしができるような給料を保証し、国内消費を刺激することこそ、企業の健全な成長の最大の保証ではなかろうか。
しかし、現代のほとんどの経済学は、このような経済の変動に対して極めて無力である。せめて、これ以上、日本やアメリカの一般庶民に悪影響が広がらないことを祈るばかりである。

きかんしゃトーマス運転会のお知らせ

2007年10月25日 | ミニSL
下記要領にて、今年最後の運転会を行います。
ご興味のある方は、是非お越し下さい。

★梅田、関原ふれあいまつり
日時:2007年11月18日(日)、午前10時~午後2時
場所:亀田公園(足立区梅田8-13)
乗車無料。雨の時は走りません。

<11月18日追記>
前日までの寒さがウソのように、気温20度、空も晴れわたり、絶好の運転会日和となった。乗車した子供たちは約150人、大人を含めれば200人以上になっただろう。
何度も並んで乗車する子供たちもいて、今年最後の運転会は無事に終了した。
来年の最初の運転会は、5月連休かな。

防衛省も情報隠し

2007年10月24日 | 政治問題
海上自衛隊の補給艦が2003年2月にインド洋で米補給艦に給油した量をめぐり、防衛省が20万ガロンから80万ガロンに訂正した問題で、海上幕僚監部が2003年当時から誤りに気づいていたにもかかわらず、当時の石破茂防衛庁長官らに報告せず、隠蔽していたことがわかった。
防衛省は当時の担当者を処分する方針という。
問題の給油は2003年2月25日、海自の補給艦「ときわ」が米補給艦ペコスに対して実施。ペコスは同日、米空母キティホークに給油し、同空母がその後ペルシャ湾内に入って対イラク作戦に従事したことから、燃料の転用疑惑が浮上した。
当時の福田康夫官房長官や石破防衛庁長官は、給油量を20万ガロンと説明。キティホークの1日の燃料消費量に過ぎないとして転用疑惑を否定した。しかし、防衛省は今年9月になって、80万ガロンだったと訂正した。
防衛省首脳によると、同省が当時の担当者から聞き取り調査したところ、2003年の福田氏や石破氏の説明直後に、海上幕僚監部の担当部署が実際の補給量は20万ガロンではなく80万ガロンだったことを把握しながら、石破氏や海自トップの海上幕僚長に報告していなかったことが判明したという。情報は佐官クラスでとどまり、上層部には伝えられなかったと報じられている。
さらに、守屋前次官やその家族が、取引先の商社元幹部から飲食やゴルフの接待をはじめ、さまざまな利益供与を受けていた疑惑も発覚しているが、防衛省自らが積極的にこれらの情報を調査し、開示しようという姿勢はまったくない。
これらの問題を棚上げし、給油新法の成立を急ぐことは許されない。これらについては、関係者を国会に招致し、徹底的に真相を究明すべきである。

薬害肝炎、厚労省が情報隠し

2007年10月23日 | 政治問題
肝炎ウイルスに汚染された血液製剤フィブリノゲンによる薬害肝炎問題で、製造販売元の旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)が、2002年に厚生労働省に報告した418人の感染者のうち、197人の氏名を把握していたことが判明し、そのうち40人は住所も把握していた。同社が同日、厚労省に報告した。
舛添要一厚労相は同日、同社の葉山夏樹社長らを呼び、報告を受けた。その後の記者会見で「(厚労省が把握している)2人と197人の乖離はあまりに大きい。私自身驚いている」と述べ、投薬された人が分かり次第、本人のプライバシーに配慮し、連絡するよう同社に指示した。これを受け、葉山社長は「誠実、迅速に対応したい」と話したという。
厚生労働省も、報告を得ていながら情報を隠し、さらに、製薬会社も厚労省に報告したことを知っていながら今まで隠していたことになる。
極めて悪質な組織犯罪である。
この情報隠蔽は、患者にとっては文字通り死活問題である。
肝炎に感染していることが早くわかっていれば、早めに治療を受けることもでき、重症化する前に対処できた可能性もあり、また2次感染を予防することもできたはずである。
一般企業がこれだけの問題を引き起こせば、業務が成り立たず、廃業、倒産せざるを得ないのが普通である。にもかかわらず、他社と合併を繰り返しながら、企業を存続させることができるのが、この国の不思議の一つである。
いついかなる時も企業の利益を代弁する、政府のこの姿勢がこういう事態を生んでいることは明らかである。自民党は、薬業政治連盟から多額の政治献金を受け取っている。その見返りが、こういう行為になって現れてくるのである。
薬というのは、ヒトの健康に多大な貢献をしてきたが、一方で、スモン、HIVなど残念な薬害を生み出してきた。もっと早い時点で情報を公開し、対処していれば、被害は最小限に抑えられたはずである。
厚労省や製薬会社には、国民の健康、長寿に貢献するという原点に立ち返った行動を望みたい。

米軍への「思いやり予算」を100億円削減

2007年10月22日 | 政治問題
政府は、来年3月末に期限が切れる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の特別協定改定に合わせ、思いやり予算のうち、在日米軍基地に勤める日本人従業員の給与・手当を初めて削減し、来年度予算で約100億円の減額を目指す方針を固めたと報じられている。
政府のあげた理由は財政難によるものだが、日米関係は、インド洋での海上自衛隊の給油活動の中断問題などで不安定になっており、政府としては、米側の反発の少ない日本人従業員の労務費削減に踏み切ることにしたものと思われる。
「思いやり予算」とは、日米の地位協定上も日本政府が負担する義務のないものであり、その内容は、労務費、水光熱費、訓練移転費、施設建設費に分かれており、2006年度予算で総額は2300億円にも達している。
今回削減の対象としているものは、この2300億円のわずか5%にも満たない金額である。
政府は財政難を理由にしているが、インド洋での米軍などへの給油活動に対する国民の批判をかわそうとの狙いがあることは明らかである。
財政難と言うのなら、そもそも日本が負担する必要がないお金なのだから、すべてを削減すればよいことである。なぜ、そんな簡単なことができないのだろうか。
以前から本紙で主張しているように、財政上の無駄な支出の最大のものは軍事費である。我々の日常生活にまったく関係がなく、公務員の半数を占める防衛省職員や自衛隊員をちょっと削減するだけで、大幅な人件費の削減につながるのである。
郵政の民営化の前に行って然るべきことである。
また、自衛隊の不要な装備をちょっと削るだけで、医療や福祉、教育のための予算を大幅に上乗せすることができるのである。
思いやり予算を削減するとのニュースを見て、多くの国民が軍事費の無駄遣いに目を向けて欲しいと思っている。

社会面の記事から

2007年10月21日 | 社会問題
19日朝、鹿児島市の会社役員(65歳)から「町内の路上で男からいきなり刃物のようなもので刺された」と110番通報があったという。会社役員は左尻部を刺され、約10日間のけが。
この会社役員は、近くの山下小学校区の安心・安全まちづくり推進連絡協議会の会長で、今年7月に現場から約150メートルのビルに指定暴力団山口組系の組事務所が移転してきたのに対し、今月9日に組事務所追放決起大会を開き、暴力追放運動宣言をした住民らのリーダーのひとりだそうだ。鹿児島県警はこの運動の報復の可能性があるとみて捜査しているという。
9日の追放決起大会では、住民ら約300人が事務所の入るビルの前で「暴力団はいらない。自分たちの町は自分たちで守ろう」と声を上げながら行進した。刺された会社役員はこのとき「彼らには出ていってもらわないといけない。今後も繰り返し運動を続けていく」と意気込みを語っていたと報道されている。
犯人がこの暴力団の関係者かどうかは定かではないが、そもそも「暴力団」などという団体やその構成員が社会に存在しているということ自体が、法治国家として許されないことである。
「いかなる場所にも暴力団が事務所を構えてはならない」という法律を作り、暴力団や相の構成員そのものを社会から追放、撲滅する必要がある。
警察だけでなく、社会的にも彼らを包囲して、その存在そのものを許さないような取り組みが必要である。
暴力団同士の抗争など、殺人や傷害などの暴力行為だけでなく、麻薬や覚醒剤はもちろん、ヤミ金融や振り込め詐欺などを資金源とし、全国にその勢力を伸ばしている。一般市民が抗争に巻き込まれたり、詐欺被害に遭ったりすることも珍しくなくなっている。一般庶民としても「触らぬ神に祟りなし」では済まないのが実情である。
叩けば埃の出る構成員が多いだろう。この機会に暴力団の撲滅のために、国や地方自治体も力を尽くして欲しいと思っている。

<公営住宅>親子間継承、20道府県は容認

2007年10月20日 | 社会問題
国土交通省が2005年に、公営住宅の入居継承資格を「原則、配偶者のみ」と通知したのを受け、親子間継承を認めない資格の厳格化を実施または実施予定の自治体は、全国で27都府県に上ることがわかったという。逆に20道府県は導入に慎重で、通知を巡り自治体間の対応に差が出ている。また、通知は障害者など住宅困窮者の特例扱いを認めているが、特例の範囲も自治体によって判断が分かれているという。
10月現在、入居資格を「原則、配偶者」に限定しているのは、22都府県で、埼玉、長崎など5県は来年4月の実施を予定している。これに対し、20道府県は現時点で「厳格化の予定はない」と答えている。
通知は、応募倍率が高い公営住宅の長期入居者と入居希望者間の公平化を図るのが目的としているという。国交省の2005年度調査で全国の平均倍率9.9倍を上回った8都府県のうち、厳格化したのは東京、大阪、神奈川、埼玉、宮城の5都府県だった。残る福岡、千葉、広島の3県は、従来通り親子間継承を認めている。
厳格化に消極的な自治体は、「入居条件を満たす人(入居者の子供)を、資格の観点だけで追い出すのは問題」(茨城)、「住宅困窮の理由はさまざま。個別事情への配慮を欠く厳格化は逆に不公平」(新潟)など、公営住宅のセーフティーネット機能を重視する意見が多かった。愛知県の担当者は「強制退去は一種の居住権侵害。行政の権限がどこまで認められるのか不透明」と、法的根拠に疑問を呈したという。
特例範囲については、大阪、山口など11府県は障害者手帳の交付者すべてを対象にしている。一方、16都県は基準を定め、比較的軽度の障害者には特例を認めていない。東京都と岐阜県は身体障害の程度が2級までと基準がより厳しかった。こうした中で、東京、八王子市議会は先月27日に「(厳格化は)都営住宅居住者の人権と生活にかかわる重大問題で、都の規定が最も対象を狭めている」と、条件の緩和を求める意見書を可決したと報じられている。
公営住宅は、家賃が安く、民間アパートに比べて管理もしっかりしている。できれば長く住み続けたいという気持ちは十分に理解できる。
したがって、入居者の親が死亡した際に、子供が入居条件を満たすのであれば、引き続きその権利を継承できれば入居者にとって望ましいことである。
一方、新たに入居したいと願う人たちも多い。この中には、収入が少なく、住居に困窮している人も多く、公営住宅への入居を応募しても、数倍から、時には数百倍という競争率のため、なかなか入居できないのが現実である。このような人たちと親の代から入居している人たちとの間に不平等が生じているので、親から子供への入居の継承ができないようにして、改めて抽選で決めようというのが、国土交通省の通知の意味である。
一応もっともな意見のように思われるが、これでは本質的な解決にはならないだろう。
親が亡くなって、入居条件を満たす子供が放り出され、代わりの人が入居するだけで、住宅困窮者が減るわけではなく何の解決にもならない。
住居に困る人たちがなくなるまで、公営住宅の建設を増やし、入居条件を満たす人ならば誰でも入居できるように、公営住宅の建設を進めることこそ抜本的な解決策である。
東京では、石原知事になって都営住宅は1戸も建設されておらず、空き部屋の募集があるだけだ。これでは、住宅困窮者は増えるばかりだ。
また、家族が亡くなって一人暮らしになっても、3DKや2LDKのような広い住居に住んでいるような例もある。入居者の家族構成も年とともに変化するのだから、その時々の家族構成に合わせた広さの住居を提供するなど、効率的で、きめ細かい施策が必要と思われる。

大規模な消費税増税?

2007年10月19日 | 政治問題
経済財政諮問会議は、将来の社会保障給付費の増大と国民負担について議論した。この中で、内閣府は平成37年度までの年金を除く社会保障(医療・介護)給付と負担の中長期的な姿を提示した。経済が低成長で推移した場合は、最大28.7兆円の増税が必要になるとの試算を示した。与野党から歳出増の圧力が強まる中、国民に、増税を受け入れるかどうかの「選択肢」を示した形であると報じられている。
この試算によると、
(1)現行の給付水準を維持し、負担を増やす
(2)給付を削減し、負担を維持する
という2つのシミュレーションをもとに作成。最大で28.7兆円が必要となる増税をすべて消費税で賄うと、37年度までにほぼ11.5%分の税率引き上げが必要となるという。
この場合、所得に占める租税や社会保障費も含めた公的な支払い割合(潜在国民負担率)は51%と過半に達し、消費低下など経済環境の悪化を招く懸念が出そうだ。
ただ、負担水準を維持しても、名目経済成長率が3.2%と高水準を実現すれば、増税必要額は8.2兆円にとどまるとしている。
太田弘子経済財政担当相は「歳出を削減して財政規律を守ることが大事」と繰り返してきただけに、安易な増税、歳出拡大に歯止めをかけたいとの思いが強い。だが、先の参院選での大敗を受け、与党は歳出拡大に躍起となっている。
来年4月に実施予定の高齢者医療費の負担増も、政府・与党内で凍結に向けた議論が本格化するなど、社会保障の充実を求める声も強まる一方だ。
安倍前政権が掲げた高い経済成長を元にした「増税なき財政再建」の道筋は、今後の議論によって早期に軌道修正される可能性もありそうだと報じられている。
しかし、この分析は正しくない。
財政再建か、景気回復かという二者択一を国民に迫るやり方には反対である。
景気のカギを握るのは、GDPの約6割を占める個人消費である。この個人消費に陰りが出ているのが、今の日本経済の実態である。
この間、マスコミでも報じられてきたように、バブル崩壊以来、庶民の収入、所得は頭打ちとなり、むしろ低下しているのが現状である。ワーキングプアなども生み出している。その一方で、資本金10億円以上のいわゆる大企業は、バブル期の2倍もの収益を上げているが、税負担はむしろ低下している。
ここに大胆にメスを入れ、法人税の定率減税の廃止、税率引き上げを直ちに行い、企業が労働者に支払わずに溜め込んだカネを、企業に代わって国や地方自治体が、医療や福祉、教育などのために使い、所得税や住民税の減税を行うことによって、景気を下支えすることが重要である。
また、本紙でたびたび指摘してきたように、米軍への思いやり予算や無駄な軍事費、大型公共事業費の削減こそ急務である。
国民の暮らしを応援する方向に舵を切り替えてこそ、歳出削減と景気回復による財政再建も可能になるのである。

母子世帯の平均年収、213万円で全世帯の4割未満

2007年10月18日 | 社会問題
先日、厚生労働省が発表した「2006年度全国母子世帯等調査結果」によると、全国の母子世帯の平均年間就労収入(2005年)は171万円と、2003年度の前回調査より9万円増えたという。
ただ、児童扶養手当などを含めた平均年収は前回より1万円増の213万円で、全世帯の平均年収564万円の4割未満という厳しい状況であることもわかった。
調査は昨年11月、無作為に抽出した1517の母子世帯、199の父子世帯などを対象に実施した。
母子世帯の母親の就労率は前回より1.5ポイント増え、84.5%だった。雇用形態別では常用雇用者が3.3ポイント増えて42.5%、臨時・パートは5.4ポイント減の46.6%だった。平均年間就労収入は常用雇用者が前回比5万円増の257万円、臨時・パートが3万円増の113万円だったという。
「全世帯の平均年収の4割未満という厳しい状況」が、調査をしなければわからないのだろうか。何を今さらという感じの調査結果ではないか。
マスコミなどで取り上げられるセレブな生活を送っている日本人がどれほど存在するだろうか。
一般家庭でも子供の進学などに要する教育費を捻出するのに苦労しているのが実態である。ましてや、一人親家庭では、子供を高校や大学に進学させることは容易ではあるまい。
にもかかわらず、自公政権が行ってきたことは、この児童扶養手当の段階的削減である。福田内閣になって、「格差是正」などと言い出し、この削減を凍結する案も浮上しているようだが、低所得者層に限られるようだ。
どのような経済環境にある子供たちも、せめて高校までは安心して卒業できるような制度を作ることが政治の役割ではないのか。
ノコノコとインド洋まで出かけていってアメリカ軍などに燃料を補給することよりも、格差社会の底辺にいる人たちの生活を応援することこそ急務と思うのだが、読者諸兄はどのように感じられるだろうか。

神奈川県、知事の多選禁止条例の是非

2007年10月17日 | 政治問題
神奈川県知事の任期を連続3期までとする全国初の多選禁止条例が、県議会で賛成多数で可決、成立したと報じられている。しかし、施行については「別に条例で定める日」と議員提案で修正され、自治体独自の多選制限が可能になる法的環境が整うまで先送りされた。また、首長の在任期間の制限が条例に委ねられるよう、法改正の早期実現を強く求める決議も可決されたという。
多選禁止は松沢成文知事の選挙公約で、知事は2005年12月に自分にだけ適用される多選自粛条例案、2006年12月には誰にでも適用できる多選禁止条例案をそれぞれ提出。だが、自民、公明両党など野党優勢のなか、「職業選択の自由を保障した憲法に違反する恐れがある」と否決されてきた。
しかし、総務省の首長の多選問題に関する調査研究会が5月、「法律での首長の多選制限は必ずしも憲法に反するとは言えない」とする見解をまとめた。自民党も夏の参院選の公約で、知事や政令指定都市市長が連続4選を目指して立候補することを禁ずる法整備を盛り込んだ。こうした状況の変化が松沢知事にとって追い風となった。
議会後、松沢知事は「大きな改革の一歩を踏み出せた。施行日が決まらず残念だが、議会と力を合わせて法改正を勝ち取りたい」と語ったという。
確かに、多選はさまざまな癒着やマンネリ化を生み、弊害があるかもしれない。
しかし、もしそういうマンネリ知事が現れれば、県民の批判が強まり、通常は次回の知事選で政党の推薦を受けられず、県民からもそっぽを向かれ、当選できないであろう。
一方、多選ではあっても、たえず斬新な政策提言を行い、優れた業績を残す知事も存在するだろう。
したがって、多選を認めるかどうかということを、条例で決めてしまうのは大変危険な行為である。多選を認めるかどうかは、主権者である県民が決めればよいことである。
それが民主主義のあり方だ。
ただ、はっきりしていることは、他にやるべきことも多いはずなのに、こういうくだらない条例を提案し、しかもこれが「改革」と主張するような知事に多選は無用であるということである。3選どころか、直ちに辞職したほうが県民にとって最良であると思われる。

ミートホープ社長、やっと逮捕

2007年10月16日 | 社会問題
マスコミで話題にならないので、読者諸兄もこの事件のことをほとんど忘れかけていたに違いない。
世間を騒がせた、あのミートホープ社の社長がやっと逮捕されるようだ。
食品の偽装や賞味期限の偽装などは、このミートホープ社の事件以外にも、不二家、白い恋人、赤福までいろいろと取りざたされているが、こういう経済事犯、企業犯罪に対する警察の対応は大変生ぬるい。
社長などの経営者が記者会見で謝罪して幕引きというのが常だ。
公の場で、罪を認めているのだから、さっさと上申書を提出させ、証拠が揃ったら、調書を作って詐欺や食品衛生法などを適用して、懲役や罰金刑を課せば良いと思うのだが、どうもモタモタしている。
ミートホープの問題では、発覚から4カ月もかかっている。
以前にも、指摘しておいたことだが、国の機構が企業の過失や犯罪に大変甘いことに根本的な問題がある。食品だけでなく、欠陥自動車や原発事故、マンションの耐震偽装、エレベーター事故なども同じである。こういう事件や事故でも現場の担当者やその監督者のみが罪に問われ、会社の経営者が処分を受けた例は極めて少ない。
これは、政府が国民の安全や健康、福祉を擁護するという確固とした立場に立っていないことに最大の問題がある。
企業による犯罪を抑止するために、巨額の罰金や経営者に対する処罰の厳格化によって、このような行為が会社経営を根本から揺るがすものであることを企業に認識させ、組織ぐるみの犯罪の隠蔽を防止するとともに、早急な捜査や司法判断が行われることを希望するものである。

給油に反対するのはテロリスト?

2007年10月15日 | 政治問題
自民党の中谷元・安全保障調査会長(元防衛庁長官)はが、テレビ番組で、民主党がインド洋での海上自衛隊の給油活動継続に反対していることに関し「(給油活動は)国際社会の中で非常に評価され、ぜひ続けてくれと要望されている。反対するのはテロリストしかいない」と批判した。さらに「民主党はテロリスト集団か」との質問にも「(反対するのは)僕には理解できない」と語ったという。
信じられない暴言である。
こういう決め付けは、歴史の中でもたびたび繰り返されてきた。
戦前には、天皇制反対、戦争反対を唱えた者には、国賊あるいは非国民といったレッテルが張られ、それだけではなく、治安維持法によって過酷な弾圧まで行われた。
勇気ある行動も、このような憂き目をみたのが歴史の真実である。
つい2年前にも、郵政民営化反対を口にすると、造反組などと呼ばれ、まるで「改革」に逆行する人物のようにマスコミに叩かれた。その郵政民営化も、1000局以上にも及ぶ集配局の廃止、ますます増えつつある官位郵便局の廃止によって、その「改革」の内容が明らかになりつつある。
今回の給油活動もそうだ。
単なる給油活動のように思われるが、結局はアフガニスタンやイラクへの作戦に使われているものだ。そして、これらの国々で犠牲になっているヒトの多くが民間人や子供である。
テロリストの町だという理由で爆撃を受けた町は、生産活動がストップし、ただでさえ荒廃した地域がますます荒廃の度を強め、貧困が深刻化し、家族を殺された民間人やその子供が、新たなテロリストになってゆくという完全な悪循環を生み出している。
貧困に喘ぐこれらの国々で、日本がなすべきことは、国民の衣食住を保証し、医療や教育などへの強力な支援を行い、テロや軍事行動では、まともな国づくりはできないことを多くの国民に理解してもらうことだ。それによって、民間人の中に潜むテロリストを孤立させ、テロリストを生まない社会が構築できるのである。
現在日本が行っている給油活動は、それこそテロリストの思う壺だ。
世界からテロを撲滅したいと心から願うのであれば、テロを生まない土壌を社会に打ち立てることである。