時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

公営住宅はどうあるべきか

2007年04月08日 | 政治問題
入居倍率が上昇し、入居が難しくなっている公営住宅で、入居の権利を親から子へ引き継がせないように運用を見直す自治体が増えている。47都道府県15政令指定都市のうち、21自治体にのぼっているという。
「真に住宅に困窮する人に支給するため」と自治体は説明するが、誰が真に困窮する人かを調べる方法は確立されていない。
東京都は2006年度に、これまで3親等まで認めていた入居承継基準(入居権の引き継ぎ)を1親等に変更し、本人死亡後、配偶者または子供が、入居収入基準(月額20万円)を超える場合は承継ができないようになった。さらに、今年8月からは子供への承継を認めず、配偶者だけに限るようになる。このような動きが全国に広がっている。
この背景には、国土交通省が2005年12月に出した「公営住宅の適正管理について」というガイドラインの内容、すなわち「承継が認められるのは原則として同居している配偶者、高齢者、障害者など特に居住の安定を図る必要がある者」という規定によるものだ。
確かに、民間のアパートなどに比べて家賃が安い公営住宅に子々孫々まで自動的に住むことができるというのは不平等と思われる。子供もそれほど年収がなく、引き続き公営住宅に住みたいと思う人もいるだろうが、この人よりももっと困窮しているにもかかわらず公営住宅に入居できない人も存在するだろう。
なぜ、こういう事態になっているのか、都営住宅の実態について調べてみたら、驚くべき数字が明らかになった。
応募倍率は、2000年度の16.2%から、毎年上昇し続け、2001年以降2006年度のまでそれぞれ27.3、36.4、38.7、42.3、43.4、57.4倍とほとんど入居できない状態になっている。そしてこの7年間、建設戸数は何とゼロである。
要するに、自治体が新たに公営住宅を作らなくなって、戸数に限りがあるので、住宅に困っているのはよくわかっているが、もっと困っている人に譲って欲しい、というやり方だ。
この問題を解決する方法は、公営住宅をもっと建設することだ。
また、各家庭の生活実態に合わせて、若年者や高齢者などの1人世帯、2人世帯、大家族など、世帯の実態に合わせた住宅を供給することや家族構成や年収の変化に伴って、住宅の移動なども比較的簡単にできるようにするなどの便宜を図り、流動性を高めることも重要だろう。
配偶者が亡くなり、子供も独立すれば3DKの住宅から単身向けに移動できる。ネットカフェで寝泊りする若者が入居でき、結婚すれば2DKの住宅に移動できる。そんな公営住宅をなぜもっとたくさん建設しないのだろうか?
憲法で保障された生存権を保証するうえで、住環境の整備はけっして個人任せでは解決しない。そのため国、地方自治体である。
豪華な議員宿舎を建設するだけのお金(元々は、我々の税金だが)があるのなら、良質で廉価な公営住宅をもっと建設すべきではなかろうか。こういう税金の使い方こそ、生きたお金の使い方ではないだろうか。