時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

なぜ、未だに消費税増税が話題になるのか

2008年10月31日 | 政治問題
麻生首相が、3年後に消費税増税を行うことを明言し、新聞の1面を飾った。
テレビ番組での街頭インタビューでは、さまざまな意見を紹介しなければならないせいもあるが、未だに、「財政が厳しいので、・・・」、「若い世代に負担をかけるわけにはいかないので・・・」消費税増税は止むを得ない、という声が紹介されていた。もちろん、「わずかな年金に頼る生活なので、消費税の増税は困る」、「反対だ」という声も多い。
今までに何度も論じてきたが、消費税というのは間接税の一種である。酒やタバコなどの嗜好品は我慢したり、止めたりすれば税金を払わなくても済むが、消費税はそういうわけにはいかない。
本来、納税の義務がない子供や収入のない高齢者や障害者からさえも容赦なく取り立てられる税金である。こういう点で異常な税金である。
「国民に広く負担してもらう」と言うと、いかにも平等に聞こえるが、年収が低く、収入のほとんどを生活費として費やしてしまう低所得者では、収入に占める税負担率は当然高くなる。一方、収入の多い人ほど、貯蓄に回るお金が多くなる分、収入に占める税負担率は低くなる。
果たしてこれで、平等と言えるだろうか?
福祉目的税にするという案もしばしば耳にするが、子供、高齢者、障害者、低収入世帯などの社会的弱者ほど税率負担の重い税金で得た財源を福祉のために使うということは矛盾しているまったく矛盾している。
税金の基本は、たくさんある所から取って、ない所に分配することである。
大企業や資産家などへの課税強化により、福祉のための費用を捻出すべきだ。
なぜ与党はこういう視点に立てないのだろうか?
理由は簡単である。自公両党議員は、私腹を肥やすこと以外に関心を持っていないからに他ならない。
もし、大企業や資産家に課税して、消費税を廃止し、国民へのサービスを充実すれば、国民はこぞって政権を支持するだろう。国会では、7割、8割の議席を獲得できかもしれない。
しかし、国民の圧倒的支持で政権を維持できたとしても、企業からの献金は一銭も入らなくなり、議員報酬だけで暮らさざるを得なくなり、議員のうまみはなくなってしまう。国民の支持などどうでも良いし、国民の暮らしがどうなろうと関係はない。国民の不満をいかに上手にそらしながら、大企業や資産家の支援を受け、政権を維持することが、この甘い利権にありつく唯一の道であるため、彼らは、けっして大企業、資産家をおろそかにしないのである。
国民もそろそろ、消費税増税論議にひそんでいる、こういう政権の本質に気づくべきではあるまいか。

全都道府県の雇用協会、裏金2億円超を飲食に流用

2008年10月31日 | 政治問題
独立行政法人「高齢・障害者雇用支援機構」(東京都港区)が昨年度までの8年間に傘下の29県の雇用協会に支払った業務委託費について、会計検査院が調べたところ、飲食への流用やカラ出張など計約1億1000万円の不正が判明したと報じられている。
検査院は昨年度の調査でも他の18都道府県の協会で計約1億1000万円の不正を指摘しており、47都道府県すべてで総額約2億2000万円の不正が確認されたことになる。業務委託費は、厚生労働省が同機構に拠出する交付金が主な原資で、検査院は厚労省と同機構に是正を求める。
検査院は今年度、29県の協会に調査官を派遣して、2000~2007年度の経理書類を調べた結果、すべてで不正が発覚。ほぼ半数の協会が委託費を私的な飲食費に流用していたほか、カラ出張や臨時職員の架空雇用、勤務日数の改ざんなどで裏金を捻出していた協会もあったという。
社会保険庁ばかりでなく、このような独立行政法人でも不正が蔓延しているということは、許しがたいことである。
以前には、警察の裏金が話題になり、最近でも全国の自治体で補助金の不正使用が問題になったばかりであり、こういう事例は後を絶たない。
国民の血税について、どのような意識を持って業務を遂行しているのか、その認識を疑うばかりである。
同時に、この2億2000万円の不正を摘発するために、会計検査院はどれだけの人員と費用を費やしたのかも気になる。
47都道府県に、係員を派遣するのに、多額の旅費や宿泊費がかかるだろう。しかも、8年分の帳簿などを1つ1つ調べるにはそれなりの時間もかかるに違いない。そういう経費をかけて、結果的に2億2000万円の不正使用を摘発しかできないというのは何とも効率が悪いように感じられる。
まぁ、やらないよりやった方がマシなことは確かであるが・・・。
会計検査院も、このような瑣末な事案に時間を費やすよりも、もっと大きな税金の無駄使いに大胆にメスを入れるべきではあるまいか
たとえば、アメリカ軍への思いやり予算だけで毎年2000億円以上支出している。
政党助成金はどうか。私的な結社である政党に対して、毎年300億円もの国民の税金を投入することは、そもそも違法ではないのか。法律で決めさえすれば違法ではないというのもどうも納得できないものがある。
私企業である銀行に税金を投入することに問題はないのだろうか?なぜ銀行だけなのか?
赤字だらけの空港建設、高速道路建設ほど無駄なものはあるまい。
会計検査院は、こういう巨額の税金のムダ使いにこそメスを入れるべきであろう。

民主党のお粗末さが目立つ国会

2008年10月30日 | 政治問題
民主党の鳩山由紀夫幹事長は、和歌山市で開かれた同党の次期衆院選立候補予定者の会合で、麻生太郎首相が早期の衆院解散に慎重な姿勢を示したことを受け「あすからの国会審議は簡単にはいかなくなった。新テロ対策特別措置法改正案も『時間が来たら、はい採決』とはならない」と述べたという。
まったくお粗末な発言である。
要するに、今までの国会では補正予算にも賛成し、インド洋での給油法案についてもろくに審議もせずに採択を進めて、自民党に譲歩し、自民、公明の与党を喜ばせて早期解散を促してきたが、それでも解散しないので、今度は対決姿勢を取るということのようだ。
与党としては、提案した法案がどんどん通るので、それじゃあ、このまま政権を担当させてもらいましょう、ということで、解散する必要性がまったくない。それどころか、(内容はお粗末極まりないものであるが、)定額減税や経済対策を打ち出し、国民生活を守るようなポーズをとっていればどんどん選挙が戦いやすくなってくる。「野党の民主党にも賛成してもらって、経済対策ができる」というポーズを国民に示すことができる。
こう見てくると「補正予算に賛成すれば、早期に解散してやる」というような「密約」が、自民と民主の執行部の間に存在したのではないかと勘ぐりたくなる。
野党第一党として、与党の悪政を国会の場で徹底的に討議して、追及するのは当たり前ではなかろうか?それを今までの国会ではサボタージュし、自民・民主の大連合とも言うべき状態によって、補正予算や給油法案もスイスイと採決されてしまった。
論戦で政府、与党を追い込んで解散に持ち込むという気概は持ち合わせていないのだろうか。
民主党のお粗末さばかりが目立つ国会である。

キヤノンが減収減益で、それが何か?

2008年10月29日 | 経済問題
キヤノンは、平成20年12月期の連結業績予想(米国会計基準)を下方修正したと発表した。最終利益は前期比23.2%減の3750億円。従来は5000億円と予想していたが、金融危機を契機とした世界的な景気低迷や販売価格の下落に加え、大幅な円高の進行が直撃する。7月時点の増収増益予想が一転し、9年ぶりの減収減益に陥るそうだ。
本業のもうけを示す営業利益は、通期で5800億円の見通しとなり、前期から1767億円減少する。同社の予測によると、円高に伴う為替差損だけで営業利益が1568億円吹き飛ぶ見通し。キヤノンの営業利益は、1円の円高で対ドルでは26億円、ユーロでは17億円の下振れ要因になるだけに、同日会見した大沢正宏常務は「まさに100年に1度の景気停滞。為替の急激かつ大幅な円高で、業績に多大なマイナス影響を与えた」と急激な円高を嘆いた。
また、現在の為替水準を受けて、10~12月期の想定為替レートをこれまでの1ドル=105円から100円に、1ユーロ=165円から135円にそれぞれ変更したという。
さて、「9年ぶりの減収減益」などと大きな見出しが付いているので、どうしたんだと思って読んでみたがまったくたいした記事ではない。
バブル崩壊以後、国民が塗炭の苦しみを味わっている時に、よく9年間にもわたって、増収増益を続けてきたものだ、と感心することはあっても、別に今回の減収減益など驚きもしない。
これだけ、世界の経済が大きな打撃を受けている時に、減収減益になりながらも、多額の黒字を出したことは、キヤノンが非正規雇用者を大量に雇用して人件費を浮かすだけでなく、労基署から偽装請負という違法行為についてたびたび指摘をされながらもそれを改めずに、労働者を絞り上げてきた結果に他ならない。
したがって、キヤノンの「厚顔無恥」ぶりについて驚くことはあっても、減収減益になったからといって、別にたいしたことはない。しかも、赤字に転落したわけではない。しっかりと利益を確保しているではないか。
それとも企業というのは、毎年、毎年、増収・増益にしなければならないものなのだろうか?もちろん、それが望ましいことは言うまでもないが、たまには、減収したり、減益になったりすることもあるだろう。別に驚くことではない。
いくら良い製品を作っても、キヤノンの労働者自身が、自社製品を買えないような貧困状態に置かれていたのではどうしようもあるまい。
次にキヤノンが取り組むべきことは、非正規雇用を解消し、正規雇用を促進することだ。また、今までにもうけたお金を労働者にきちんと分配し、内需の拡大で日本経済に貢献することである。

石原都知事の末期的な都政運営

2008年10月28日 | 政治問題
新銀行東京(東京都新宿区)の元行員が大阪市の会社会長らとともに、同行から融資金名目で約5000万円をだまし取っていた疑いが強まり、警視庁は、元同行池袋出張所の男性契約社員(56歳)やブローカーなど計7人を詐欺の疑いで逮捕した。
同行の融資を巡っては、ずさんな審査による巨額の焦げ付きやブローカーによる仲介ビジネスが判明しているが、元行員の不正関与が明らかになるのは初めて。青木容疑者は手数料約100万円を受け取るなど積極的に加担したとみられ、同庁は他の融資についても調べる。
元行員は、以前には大手銀行に勤めていた経歴を持っており、2006年1月に新銀行に入り、同年4月から池袋出張所の営業担当だった。優秀な行員に与えられる報奨金(年間最大200万円)も受け取っていたが、2007年3月に退社したという。
詐欺師に報奨金を支払っていたというのだから、どうしようもない。
今回の世界的な金融危機の中で、このような銀行が生き残っていけるわけがない。
1000億円の初期投資ばかりか、追加の400億円が雨散霧消する日も近いのではあるまいか。
また、妊婦が救急病院をたらい回しにされ亡くなった事件も記憶に新しいが、安心して子供も埋めないような一国の首都が、東京以外のどこに存在するというのだろうか。
これでは、まるで過疎地ではないか。
オリンピックの誘致などではしゃいでいる場合ではない。都民が本当に求めているもの、子育て、教育、医療、福祉、雇用の確保、中小企業支援など、日々の生活の安心のために、予算を使うべきではあろう。
都政では、議員の海外視察を巡ってのスキャンダルも発覚している。自民、公明、民主の各党議員が、海外視察の報告書を盗用した問題である。こういう「視察」の経費を削って、都立病院のスタッフの人件費に当てるべきではなかろうか。
議員連中も「無駄をなくす」というのなら、真っ先に視察に名を借りた「観光旅行」は廃止すべきであろう。
普段は偉そうなことを言っている石原都知事なのだから、各党を思いっきり罵倒してはいかがだろうか。
いずれにせよ、末期的な都政運営としか言いようがない。

麻生首相が財界支援発言

2008年10月27日 | 政治問題
麻生首相が、秋葉原での街頭演説で「非正規雇用を正規雇用にする。企業にとっては雇用保険等々が負担になるから、その分はきちんと政府で援助しましょう」と述べ、正規雇用を増やすため、事業主負担を軽減する支援策を講じる考えを示したという。米国発の金融危機を受けて、雇用情勢悪化への不安が広がっていることを踏まえたものだそうだが、おかしいと思わないだろうか。
財界、大企業が、人件費を削減し、自分たちの利益を確保する目的で、正規雇用を非正規雇用に置き換えてきた。この背景には、麻生氏の言うように「企業にとって雇用保険等々が負担になる」という事情もあろう。
しかし、なぜ、企業の身勝手な行動の結果、大幅に増えた非正規雇用者を正規雇用するのに伴って増える「企業の保険料負担」を国民の血税で援助しなければならないのだろうか?まったく理解に苦しむ。
企業は、非正規雇用を広げる一方で、多額の利益を上げてきた。非正規雇用に対する規制を強化して、保険料負担などは、その利益の一部を吐き出させれば良いだけではないか。法人税の定留津減税も直ちに廃止して、相応の負担をさせるのが当然ではないか.
財界、大企業から政治献金を受けている限り、自民党には、この点を是正することは絶対にできない。同様に、企業献金を受けている民主党にもこの点にメスを入れることは不可能である。
与党だけでなく、野党第一党の民主党の、この「二大政党」が財界の顔色を伺いながら政治を進めているところに、日本国民の最大の不幸が存在する。

なぜ根絶できない振り込め詐欺

2008年10月24日 | 社会問題
振り込め詐欺の被害をなかなか根絶できない。
銀行のATMコーナーなどに、警察官を配置して警戒を強めているが、それでも被害は広がっている。
この振り込め詐欺は、実に人間の心理の弱点を突いている。
子供や孫が、会社で失敗した、社会的に問題を起こしたというようなことは、できるだけ内密に処理したいという気持ちが働く。その心理を巧みについているのがこの詐欺の特徴である。
子供や孫から痴漢、事故、仕事での損害などの示談金と言われれば、銀行員や警官などの他人はもちろんのこと、他の家族にすら相談せずに、できるだけ穏便に、内密に済まそうと考えるのが人情である。これをうまく利用しているところが、この種の詐欺が減らない最大の理由であろう。
詐欺事件では、だます方が100%悪いに違いない。しかし、だまされる側も、子供や孫が犯罪(痴漢、事故、横領など)に関わったのならば、きちんと謝罪し、罪の償いをさせなければならないにもかかわわず、こっそりとお金で解決しようという気持ちが働くために、被害が後を絶たないのではなかろうか。
家族の失敗を隠さずに、本人に責任を取らせる厳しい態度があれば、防げる犯罪でもあろう。
そういう気持ちを持つことができれば、こういう類の詐欺の被害に遭うことはないのではなかろうか。

これでも労働組合か!?

2008年10月23日 | 経済問題
トヨタ自動車労働組合は、愛知県豊田市で定期大会を開き、米国発の金融危機など経営環境が急激に変化する中、参加者からは生産台数の変動に対する不安や2009年春闘での賃上げ・一時金要求の厳しさを指摘する意見が相次いだという。
トヨタ労使は増収増益基調だった2008年3月期の業績を背景に、同年春闘は1000円の賃金改善と年間一時金満額回答(総額253万円)で妥結したが、2009年3月期は大幅減益が確実な情勢で、同労組執行部は「次の賃上げ要求は大変厳しいものになる。徹底的に(要求に)取り組むことが何より重要だ」と強調したそうだ。
何という情けない姿勢であろう。
トヨタは、バブル期の2倍以上の売り上げを記録しなから、この間にわずか1000円の賃上げしか行っていない。
確かに、今後の実体経済の悪化は十分に予想され、トヨタも減収減益になる可能性は高い。しかし、昨年に比べて、収益が減るだけであって、けっして赤字に転落するわけではない。また、この間にため込んできた巨額な内部留保が底をつくわけでもない。
1万円や2万円の賃上げをしたからと言ってビクともするような財務体質ではない。
にもかかわらず、経営側が何も言わないうちから、労働組合が率先して、賃上げの厳しさを強調するとはどういうことだろうか。
敵前逃亡、戦わずして白旗を掲げるような卑屈な対応ではないか。
このような組合の姿勢こそが、自らの社内に大量の非正規雇用を生みだし、下請けを踏みつけにし、正規雇用者自身の賃金の切り下げにもつながっていることになぜ思い至らないのだろうか。
労働組合運動の基本に立ち返り、労働分配率の向上に貢献することこそ、内需を拡大し、日本の実体経済を改善する最良の方策ではなかろうか。

金融機関への税金投入に、経営責任は問わず

2008年10月22日 | 政治問題
政府は、地域金融機関の経営が悪化する前に公的資金による資本注入を行う金融機能強化法(今年3月に期限切れで失効)の復活に向け、改正案の骨格を固めた。3年程度の時限立法とし、資本注入の申請にあたっては、旧強化法と違って金融再編や経営責任追及を前提とせず、中小企業向け融資の円滑化などを求める。注入の原資となる公的資金枠(政府保証枠)は旧強化法と同じ2兆円とする方向だが、与党内には「大手行の活用も排除すべきでない」との声もあり、5兆円程度になる可能性もあるという。
この国の政治がどこを向いているのかを端的に表わした出来事であろう。
金融機関の責任者として、投機マネーに投資し、最終的に多額の損失を出した経営者をなぜ税金で助けなければならないのだろうか。しかも、経営者の責任は問わないというのだから、開いた口が塞がらない。
中小企業などは、金融機関による貸し渋り、貸しはがしによって、経営が悪化しており、倒産にいたる例も増えている。これらの企業は放置したまま、銀行資本にのみ多額の税金を投入することは常識的に考えて納得できるものではない。なぜ、銀行資本のみを救済する必要があるのだろうか。
ペイオフによって、預金は1行あたり1000万円までしか保護されないため、銀行の倒産を防ぎ、預金者を保護するためだという理由があるが、そもそも、1000万円以上の預金を持っている人自体がわずかであり、もし、1000万円以上の預金があっても、分散して複数の銀行に預けているに違いない。
結局は、分散して預金できないほどの預金を持っている資産家と銀行資本救うだけの法律に過ぎず、一般国民は到底納得できるものではない。
新しい内閣に期待する人もいるが、政府が行っているこういうとんでもない施策の本質を理解し、来るべき総選挙では、自民、公明両党への厳しい審判が下ることを願うものである。

資本論の売上げが急増!?

2008年10月21日 | 経済問題
未曾有の経済危機を反映してか、ドイツでマルクスの古典的な著作「資本論」の売れ行きが大きく伸びているという。
ニュースの記事によると、フランクフルトで開かれている書籍市の会場でマルクスやローザ・ルクセンブルクら共産主義の理論家のポスターを張り出し、共産主義関係の書籍専門の出版社を経営している店主は、2005年ごろから共産主義関係の書物が徐々に売れるようになってきたとして、「マルクスの『資本論』は2005年に500冊、2006年に800冊、2007年に1300冊が売れ、今年はこれまでの9ヵ月で既に1500冊を売ったという。絶対的な部数としてはたいしたことはないが、だんだんに売れ行きがよくなっているそうだ。
この店主によると、ファッション的なサイクルがめぐってきているだけで、買っただけで読み通すことができない若者も多くいるかもしれないと指摘した上で、「しかし私は、マルクスに関する真の読者が戻ってきている傾向を感じている」と述べ、世界経済が未曾有といわれる危機にある中で、再びマルクスの著作を読む必要性が出てきているのでは語ったそうだ。
世界でもっとも多くの言語に訳されている本として、聖書と資本論が挙げられるが、この2冊は、もっとも読まれていない本でもある。
問題は、その分厚さと難しさであろう。
読み進めていくと、突然何かの本からの引用が登場する。経済や哲学書からの引用はもちろん、何かと思うと、シェークスピアやイソップ物語からの引用も飛び出す。とても、経済学の本ではないような印象さえ受けることがある。
しかし、資本主義の終焉が叫ばれる現在、「資本主義」という用語の創始者であるマルクスの著作に注目が集まるのは当然のことであろう。
この秋、編集長も、昔買った資本論をちょっとひも解いてみようと思っている。

スイス政府がUBSに6兆円救済策

2008年10月20日 | 経済問題
スイス政府は、金融大手UBSの財務体質を強化するため、公的資金60億スイスフラン(約5300億円)を投じて資本注入すると発表した。あわせて不良資産の切り離しを進めるため、スイス国立銀行(SNB、中央銀行)が最大540億ドル(約5兆4千億円)の資金支援を実施する。
UBSは投資銀行業務などを手がける世界有数の金融機関。サブプライム関連の損失処理などで財務内容が悪化しており、資本注入と不良資産の切り離しを進め、経営体力を強める。SNBの支援で新設する基金に、最大600億ドルの不良資産を移す。UBSは同日発表した声明で救済策について、「株主と顧客の不安を大幅に軽減し、金融システムの安定につながる」との見解を発表したと報じられている。
何とも驚いた金額である。6兆円あれば、どんな企業でも、どんな銀行でも1から作り上げることができるはずである。UBSは、そのくらいの危機的な状況だということであり、もうまともな銀行の態をなしていない。
今回の資本注入によって、「金融システムの安定につながる」というが、6兆円ものお金を投入しなければ経営が安定しない企業を市場や一般国民はどう見るだろうか?
もはや、資本主義というシステムそのものの欠陥が露呈していることは明らかである。その結果、実質的な国有化、国の管理下に置くという一種の社会主義的な政策を採らざるを得なくなっているということである。
GM(ゼネラルモータース)の破産が近いとの噂もあるが、もし、銀行などの金融資本だけでなく、産業資本にまで、政府が資本注入などの支援を行うようになると、資本主義の終焉も間近いという印象を受ける。
今回の件で最も被害に遭っているのは、リストラや賃金カットで苦しんでいる国民である。今後、経営者や株主への法外な報酬のカット、労働者への分配の増加という当然の要求が広がってくれば、資本主義体制の崩壊、終焉も視野に入ってくる時代になるかもしれない。

「打倒CO2!!」?

2008年10月19日 | 社会問題
公明党が、無知なポスターを張り出している。
何種類かのポスターがあるが、どれもわかりにくい。
わかりにくいだけならまだ許せるが、この「打倒CO2」は根本的な考え方が間違っている。
「打倒」というのは、文字通り、打ち倒してしまう、無くしてしまうという意味だろう。
確かに現在は、空気中のCO2が増えすぎて、温暖化の原因になっているのであるが、もし、この世から、CO2がなくなってしまったら、植物の光合成ができなくなり、死滅してしまうだろう。だから、「打倒CO2!!」は「打倒植物!!」の意味に他ならない。
公明党が、こういうスローガンを掲げる背景には、やはり、支持母体である創価学会の「邪宗撲滅!」のスローガンの影響があるのではないか、と編集長は分析している。
とにかく、自分の気に入らないものは、この世から抹殺する、消し去ってしまうという根本思想が、こういうスローガンを生み出す元になっている。
今日までに、さまざまな宗教がこの世に存在したが、他の宗教や団体を「撲滅」する、存在そのものを抹殺することを掲げた宗教は、創価学会だけであり、こういう点から見ても、異常な集団であることは明らかである。
「暴力団撲滅」なら賛成できるが、宗教を撲滅することは、人間の信仰心を踏みにじる行為に他ならない。
さて、「打倒CO2!!」という、公明党のスローガンに、創価学会の宗教団体にあるまじき異常な体質の陰が浮かんで見えないだろうか?

経団連が移民の受け入れを提言

2008年10月18日 | 経済問題
日本経団連が、少子高齢化に伴う人口減少対策として、定住移民の受け入れを提言する。労働力不足や内需の縮小などが、日本の経済社会を不安定にする恐れがあると判断して「期間を限定した外国人労働者の受け入れ」という従来の方針を転換する。
国立社会保障・人口問題研究所によると、2055年の総人口は現在より約30%減の8993万人で、15歳以上65歳未満の生産年齢人口はほぼ半減の4595万人になると推計される。その場合、高齢者1人を働き手1.3人で支える計算となり、若い世代の負担増で社会保障制度は破綻し、医療や介護、教育、治安などの経済社会システムが脆弱化する。また、個人消費の長期低迷も懸念されると報じられている。
経団連は「人口減対策に早急に取り組まなければ、若い世代の将来不安は解消しない」として、移民による人口の維持が必要と判断したという。
ちなみに、自民党も「移民1000万人受け入れ」を提唱している。経団連の今回の提案は、これに呼応したものである。
しかし、現在、国内に非正規雇用や請負などの不安定雇用を大量に生み出しているもとで、なぜ性急に移民を受け入れられなくてはならないのだろうか?
財界、大企業の経営努力でこういう不安定雇用の労働者を根絶することの方が先決であろう。それによって、生活の不安が解消すれば、若い人たちも安心して結婚して、子供も作ることができ、少子化も解決の方向に向かうだろう。
若年雇用者のうち。3分の1が非正規雇用と言われているが、こういう状況を放置して、移民を受け入れればどういうことになるだろうか。
不安定雇用はますます広がり、賃金はますます低下するのは目に見えている。「俺は非正規雇用でなくて良かった」などと、くだらない優越感に浸っている間に、正規雇用者の賃金もどんどん切り縮められていくのは明らかではないか。
経団連は、いかにも将来の労働人口のことを心配しているような口調であるが、彼らの本音ははっきりしている。より安く、より従順な単純労働者を「移民」に求めているに過ぎない。現在も研修制度に名を借りた中国人労働者の使い捨てが社会問題になっているではないか。彼らは、日本の非正規雇用者の何分の1の賃金でこき使われているのが実態である。
国内で吸い尽くせる労働者がいなくなれば、海外にそれを求める。こういうやり方が日本のまともな発展に寄与するはずがない。
この本質を見抜いて、経団連のこの企てを中止させることが必要である。
ところで、外国人労働者や移民が増えると、治安が悪化するという議論がある。
確かに、言葉が通じない、生活や風習が異なることなどによる外国人のストレスは大きく、これが犯罪を誘発する可能性は否定できない。しかし、犯罪の増加は、何も外国人の増加のみによるものではない。若い世代が働き口もないような社会に犯罪の温床がある。治安悪化の原因を外国人の増加に結びつける議論は短絡に過ぎることも付け加えておこう。

みにくい自民、民主の泥仕合

2008年10月17日 | 政治問題
民主党の前田議員がマルチ商法業者から講演料などを受け取った問題の責任をとって離党したことを受け、自民、公明両党は、問題を徹底追及する構えを見せた。特に、公明党は矢野元委員長の国会招致などで民主党に揺さぶられてきただけに「倍返しにしてやる」(幹部)とし、国会審議の場で反転攻勢を仕掛けている。
参院予算委員会では、自民党の森参院議員が民主党とマルチ商法業界との関係をただした。
民主党が平成2004年にマルチ商法業界の政治団体に計100万円分のパーティー券を購入してもらいながら政治資金収支報告書に記載していなかったことを暴露するとともに、マルチ業界から資金提供を受けたとして山岡国対委員長、石井副代表らの名前を次々に挙げ、「前田氏のクビを切っただけで終わりにしてはいけない」と訴えた。
さらに、仙谷元政調会長についても、巨額詐欺事件に発展した抵当証券会社「大和都市管財」との関係を指摘し、「民主党は国民生活第一ではなく、政局第一、選挙第一ではないか」とまくしたてた。
しかし、最新のニュースでは、消費者行政担当大臣の野田議員も、マルチ業界から献金を受けていたという報道があった。
汚い話で恐縮だが、まさに「目くそ鼻くそを笑う」ようなうす汚い議論ではないか。
読者諸兄は、この国会の「論戦」をどのように感じているだろうか?
国際的な金融危機が進む中で、日本の実体経済にも、徐々に影響が出始めている。国民は、将来不安を抱え、消費を控えている。こんな時に、このような「論戦」が何の役に立つというのだろうか。
まさに、与党も民主党も、党利党略、私利私欲の争いに他ならない。
自民、民主の両党とも、企業や団体から献金を受けているが、その中には、怪しい企業が含まれているのは常識だ。また、現在は問題がなくとも、近い将来その企業が社会的に問題を起こす可能性もある。要するに、企業や団体から献金を受けるのを止めれば済む簡単な問題であるにも関わらず、お互いに、その点を追及できずに、みにくい争いをしているだけである。
そもそも、政党助成金を導入する際に、「将来、企業・団体からの献金は禁止する」ことに合意していたはずだ。それを反故にして、一方の手で献金を受けながら、もう片方の手で政党助成金を受け取っている。まさに、濡れ手に粟ではないか。
仲良く企業献金を受け、政党助成金という名の国民の税金を分け取りしながら、国会やマスメディアでは、精一杯の対決姿勢を披露するこれらの政党のどこに、国民は良心を感じることができ、未来を託すことができるだろうか。
二大政党と言われるこれらの政党のいずれにも、政権は託せない、この点を国民は見抜くべきであろう。

G8が規制強化の認識で一致?

2008年10月16日 | 経済問題
G8の首脳が、緊急声明を発表し、金融危機に対応するため、近くG8と新興市場国などの首脳による会合を開催する意向を表明した。
G8首脳は「現下の危機によって明らかになった欠陥」を改善するために、「世界の金融セクターについて、規制的、制度的な変更の必要がある」と表明。金融全般に関する新たな規制や監督体制の構築など、一定の規制強化が必要との認識で一致したと報じられている。
先進諸国は、一斉を風靡した「新自由主義」路線、市場の意のままに任せておけばすべてがうまくいくといった幻想を捨てようとしている。
日本でも、小泉政権が「官から民へ」、「民間にできることは民間に」と規制緩和を進めてきたが、「民」、「民間」といっても、これは「民間企業」の意味に他ならない。
民間企業は、当然のことながら、もうかるところ、おいしいところだけをつまみ食いして、不要な部分は切り捨てるため、国民が望んでいるサービスは、どんどん切り縮められていった。
多くの国民が、郵政民営化に踊ったが、結局は、地方の集配局や簡易郵便局がどんどん廃止されただけだった。
「官から民へ」と言っても、けっして「国民」が潤うわけではない。
先進諸国が歩んできた「新自由主義」路線には、もう未来がないことが今回の金融危機で明瞭になった。
民間企業任せでは、結局は、国民に混乱と負担を増すだけの結果になることを、各国政府は猛省すべきであり、その反省に立って、投機資金に対する規制、投機マネーへの課税、国民への利益の再配分などを国の制度として強化すべきであろう。
もう1つ注目すべきは、G8だけでは、この金融危機を解決できなくなっているということだ。自分たちだけが「先進国」だと思っているうちに、どんどん遅れた国になっていることを、先進国の首脳たちに、今回の金融危機は教えたようだ。
アメリカの支配力、経済力は確実に低下し、新興国にお伺いを立てる時代に突入している。
G8あるいは新興諸国の今後の動きに注目したい。