時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

夕張の再建:前途多難

2007年04月13日 | 国家破綻
財政再建団体になって初めての市長選が22日にある北海道夕張市で、市長を選ぶ際に「国や道とのパイプ」の役割を一番重視するとした市民が43%もいることが、朝日新聞社の世論調査で明らかになったという。62%が再建計画を「厳しすぎる」ととらえ、財政再建が市の計画に沿って進むかについて、「そうは思わない」とする回答が73%に上ったそうだ。
「市長選の投票で何を一番重視するか」を聞いたところ、「国や道とのパイプ」に次いで「政策やアイデア」が28%、「リーダーシップ」が22%だった。また、地元の人かどうかを重視するかについては、64%が「重視しない」と答え、候補者本位で選ぶ考えを示したという。
「再生に向けて最も重要なもの」についても、約半数の45%が「国や道の支援」と回答。「市の行政努力」は28%、「市民自身の努力」は21%にとどまったという。
この調査結果を見て、率直に夕張の再生は前途多難だなと感じている。
市民そのものにまったく危機感がなく、国や道を頼って、できるだけ援助を引き出そう、そのためには、道や国とパイプの強い人物を市長に据えようという他力本願で無気力な市民像を思い描くのは編集長ばかりではあるまい。
一部の市民は、再生に向けて、必死に取り組み始めているのだろうが、どうも、今回の世論調査結果を見ると、こういう他力本願で無気力な市民が多いことは残念だ。しかし一方で、市民がこういう意識だからこそ、市政がこういう事態に立ち至ったのではないかと妙に納得する側面もある。
こういう事態になっているからこそ、主権者として責任ある行動を取ることが、今まで以上に重要になる。
合併しない宣言で有名になった福島県の矢祭町では、町長のリーダーシップとともに、議会や職員、また町民も一丸となって、様々なアイデアも出して、行政の無駄を省き、財政の再建や町づくりに取り組んでおり、全国的にも注目を集めている。最近の「もったいない図書館」作りも素晴らしいアイデアではないか。
夕張市民自身が、自分たちの夕張を何とか再生しようという気持ち持つことなくして、再生は覚束ないであろう。
また、「これからも夕張に住み続けたいか」については、78%が「住み続けたい」と答える一方で、「夕張が活気を取り戻す期待を持っているか」という質問には49%が「持っていない」と回答。多くの市民が街の将来にも強い不安を感じていることがわかったという。
前途多難だが、財政破綻の道を歩んだ市長や議会を選んだのは、夕張市民自身である。これを教訓に、一つ一つの政策に市民としてのはっきりした意思表示が大切になってくるだろう。
来るべきいっせい地方選挙後半戦では、ぜひとも、そういう視点で市長や議員を選んで欲しいと願っている。


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