時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

労組としての役割を放棄した電機連合

2010年02月02日 | 経済問題
電機各社の労働組合でつくる電機連合は、中央委員会を開き、統一的な賃上げは要求せず、「現行の賃金体系(定期昇給)の維持に取り組む」とする2010年の春闘方針を提案した。
賃上げ要求については、電機産業を取り巻く環境の厳しさを踏まえ、「全体で取り組むことは困難」と判断したうえ、非正規労働者の問題では、派遣・請負労働者の人数や契約条件、法令順守状況などについて労使協議を徹底する、としている。
中村正武委員長は「定期昇給の維持・確保は至上命題。経営側がその見直しを主張することは、労使の信頼関係を揺るがす問題で到底容認できない」と話したというが、結局は、資本のてのひらの上で踊らされているだけである。
経営側が、「経営が苦しい」と言えば、「はい、そうですか」と納得する。そういう構図が見え見えである。
確かに不況は厳しいが、大手企業にはまだまだ雇用を確保し、賃金の値上げに応ずる体力があるはずである。
個々の企業の実態に配慮しながらも、全体としての日本企業の体力を分析したうえで、方針を決定すべきであろう。
別の記事では、「勤労者世帯のボーナスは11%減」となったと報じられている。
昨年12月の家計調査では、世帯主の賞与を中心に臨時収入が同11.1%減と、12月としては過去最大の減少幅を示し、配偶者や他の世帯員の収入も軒並み大幅減で、賞与の落ち込みが家計全体に影を落としている、という。
こういう、勤労者世帯の実態に目を向けて、経営者の報酬や株主への配当の削減にまで踏み込んで、資本家と対決するのが、労働組合の役目である。
今回の電機労連の方針は、労働組合の自殺行為ともいうべきである。

住宅ローン破たん急増の兆し

2010年01月28日 | 経済問題
景気悪化による失業、ボーナス削減などを受け、金融機関への住宅ローン返済に関する相談が急増しているという。住宅ローン利用者に対する貸し付け条件の見直しなどを金融機関に促す「中小企業等金融円滑化法」も施行され、メガバンクは窓口の担当者を増やすなど体制整備に乗り出したそうだ。
三菱東京UFJ銀行は昨年11月から、ローン返済の相談を呼びかける書面を、変動金利型の住宅ローン利用者に年2回送る通知に同封し始めた。7月までは延滞者への送付に限っていたが、通常の返済者にも対象を広げた。
返済条件の見直しなどの相談件数は昨年12月以降、1日平均100件を超え、11月の5倍に上ったという。
三菱東京UFJでは、相談に対応する本部内の専任窓口の担当者も、10月の約20人から今では70人に増やした。
三井住友銀行は昨年12月、本部に「ローン金融円滑化相談窓口」を新設。専用フリーダイヤルで相談に応じるほか、各支店に課長級の相談責任者を任命した。12月の相談件数は前月の3.5倍になったという。
12月からやはり専用フリーダイヤルを設けたみずほ銀行も、相談は「12月に急増し、1月も高い水準で推移している」そうだ。
国民生活センターによると、住宅ローンをめぐる相談件数は増える傾向にある。2009年度は1月21日時点で2810件と、前年同時期より38.4%多い。
以前にも書いたことだが、そもそも、頭金なしで、取得税などの税金さえローンで賄って自宅を購入する世帯が増えており、さらに、5年後、10年後から返済額が増えるステップ返済型のローンを組ませて、購入しているため、破たんは時間の問題という見方が多かった。これには、無理やり家を売りつけた不動産販売業者やローンを貸し付けた銀行の責任も重い。
こういう物件が多数出てくれば、土地や住宅価格も全体としてさらに下落し、デフレの悪循環に陥ることになるだろう。

図々しい御手洗の要求

2010年01月26日 | 経済問題
今年の春闘の課題について労使が意見を交わす経団連の「労使フォーラム」が25日、都内のホテルで2日間の日程で始まった。
この中で、御手洗冨士夫会長は基調講演で「賃金より雇用を優先した交渉・協議が求められる」と述べ、雇用確保に重点を置く経営側の基本姿勢を強調したという。
とんでもない詭弁である。
バブル崩壊後に、リストラ景気とも呼ばれるような首切りや、正社員の非正規雇用への置き換えで、多額の利潤をため込んできたのが大企業である。
キヤノンなどは、違法な偽装請負までしてがめつくため込んできたではないか。
そして、世間から雇用の安定を要求されたら、今度は、「雇用を守りたいのなら、賃金はがまんせよ」というわけだ。とんでもない主張である。
この間にため込んだ内部留保を取り崩せば、雇用も賃上げも、楽々とできるだけの力を日本の大企業は有している。
さらに 御手洗会長は「企業が雇用を大切にする方針を明確にすることは、従業員の生活面での安心や働く意欲の維持・向上をもたらす」と指摘し、時間外労働削減や無給休日の実施など経営実態に応じた雇用確保の取り組みを求めたという。はぁ?という感じだ。無給休日って一体なんだ?自宅待機と同じではないか。雇用を保証し、給料の確保によってこそ、生活面での安心や働く意欲が向上するということは、御手洗氏のぼけた頭で考えてもすぐにわかるはずである。
こういう無能な指導者が、日本の経済界をリードしているということは、日本の経済界にとっての不幸であるだけでなく、労働者、国民にとっても極めて不幸なことと言わなければならない。
御手洗氏も、いよいよ経団連の会長を降りるという。御手洗氏に合掌!

早期退職者を募る企業

2009年12月21日 | 経済問題
慌しい毎日が続いていて、記事の更新もままならなかったため、久しぶりの更新である。
明るいニュースがなく、記事を書く気力も失せそうな毎日である。
企業情報調査会社の東京商工リサーチによると、2009年に入って希望・早期退職者を募った上場企業が少なくとも186社に達し、募集または応募の人数は22,713人にのぼった。2万人の大台を超えたのは7年ぶりだそうだ。
12月4日までに募集を発表し、具体的な内容を確認できる上場企業について集計した。2008年は68社、8979人で、2009年の人数はすでにその2.5倍以上になっているという。
募集が最も多かったのは、9月に私的整理手続きに入った消費者金融大手アイフル(単体)と、音響・映像メーカーのパイオニアのそれぞれ1,300人。186社を業種別に見ると、電機が最多の27社。卸売り、機械、サービス、不動産が続いた。
人員削減を発表しない企業や募集人数を定めない企業もあるため、実際の退職者数はさらに多いはずである。大手百貨店の三越が募った早期退職には正社員の2割超の約1,500人が応募したが、上場持ち株会社の子会社扱いなので、今回の集計からは漏れている。アイフルの子会社ライフも700人の退職を募り、グループ正社員はほぼ半減する。こういう企業を加えれば、実際はもっと多いということだろう。
バブル崩壊後、日本でも欧米並みのリストラの嵐が吹きあれ、企業は人件費を徹底的に切り詰めて、収益を確保してきた。
その後、やや景気が持ち直してきた時、この景気は「リストラ景気」とさえ呼ばれた。
リストラで収益を確保し、これに味をしめた企業は、ここぞとばかりに、再びリストラを敢行しようとしている。
しかし、こういう動きが、企業の質の低下を招き、結果的には体力を奪うことになりかねない。また、リストラされた社員だけでなく、リストラと関係のない社員も消費を控え、デフレはますます深刻になり、景気の底が抜けかねない。
日本全体にカネがないわけではない。富が偏在していることが問題であろう。
カネのある者からカネのない者へおカネを流すことが、不況を克服する最短の道であることは間違いない。

地価下落

2009年10月07日 | 経済問題
バブル崩壊後に地価は下落傾向を続けてきたが、その後、都心部や開発が進んだ特定の地域では再び上昇を示してきた。ところが、リーマンショック後、再び下落傾向が明確になった。
さて、先日新聞記事を見ていたら、「政策の後押しで、地価下落に歯止めをかけよ」という記事が掲載されていた。
本当にそうなのだろうか?
今の地価では、普通のサラリーマンでは、都心に一戸建てを買うことはまず不可能だろう。そういう意味では、地価はまだまだ高すぎる。
そもそも地価が高くて、庶民は何か得をすることがあるのだろうか?
土地・家屋を持っている人にとっては、確かに「資産価値」が上がることになり、いざという時に売却すれば、心強いことは間違いないが、自分が住んで生活している限り、高い固定資産税を払わなければならないだけであり、何のメリットもない。資産デフレによって、消費者の心理を冷え込ませるとの意見もあるが、それはあくまでも「心理的」なものであり、地価が下がっている時には、固定資産税は確実に安くなっており、実質上はメリットは大きい。
また、土地を持っていない庶民にとっては、地価が高いことは、住宅取得の夢が遠のくということであり、地価の上昇は何のメリットもなく、地価下落は望むところである。
地価が上がって喜ぶのは、自宅以外にも土地を所有している人たちだけではなかろうか。こういう人たちは、それこそ、値上がりすれば売り、値下がりすれば買い戻せば良いのであり、いわゆる土地ころがしで多少は儲けることもできるだろう。しかし、不要な土地を持っていることにより、やはり、固定資産税はバカにならないし、売却時の税金も半端な金額ではない。また、地価が安いほど、相続税も安くなる。
新しく事業を起こそうと思っている人たちが、土地やビルを借りようとする場合、地価が安いほど地代や家賃は安くなり、新しい事業者が育つことになる。
このように考えると、地価の上昇というのはほとんどメリットがない。
むしろ、地価が安ければ安いほど、メリットが大きく、土地取引は活発になるだろう。もっとも、取引が活発になると、地価は上昇するのだが、・・・。
土地が動かない、土地が売れないということは、現時点では、まだまだ土地は高すぎるということである。
もっともっと下落しなければ、土地の流動性はなくなってしまうだろう。
そもそも、これからは日本の人口はどんどん減っていき、年収が200万円に満たない人が1000万人を超えているような時代である。非正規労働者が、3分の1を占める時代である。こんな状態でいったい誰が、こんな高い土地を買えるだろうか。
適正な価格への地価下落こそ、日本の経済と国民生活にとってプラスになると確信している。

三菱自動車、製造現場は直接雇用に

2009年08月29日 | 経済問題
三菱自動車は今後、製造現場で必要となる非正社員は、直接雇用の期間従業員で確保し、派遣従業員は使わない方針を固めた。昨秋以降の不況で「派遣切り」が社会問題になったことを受けて、派遣会社を通じず、直接非正社員と契約することで雇用責任を明確にするという。
まぁ、一歩前進ではあるが、直接雇用と言っても、雇用期間の上限がある期間雇用であり、期間が過ぎれば、住むところもなくなり、途端に生活に困るようになる。この点では、いわゆる「不安定雇用」であることに変わりはない。
三菱自動車は、今後採用する期間従業員は本人の希望に応じて正社員への登用制度に応募できるようにして、正社員への道を用意する方針というが、雇用は、正社員が当たり前という世論を広げて、企業に対して、その社会的責任を果たさせていくことが必要である。

日本郵政と日本通運の事業統合には反対?

2009年08月14日 | 経済問題
佐藤勉総務相は、日本郵政長と会談し、10月に予定している日本通運と郵便事業会社の宅配便事業統合について「統合時期を再検討してもらいたい」と述べ、延期を求めた。統合で利用者が混乱したり、サービスが低下したりする懸念があるため、としている。
延期要請は、郵政民営化の見直しを掲げる民主党を意識した選挙対策との見方が多い。郵政側はあくまで10月の統合を目指す考えだが、民主党政権が誕生した場合、統合そのものが修正される可能性も否定できないという。
ゆうパックを扱う郵便事業会社とペリカン便の日通は昨年6月に共同で「JPエクスプレス」を設立し、新ブランドに統合して一体運営する計画だった。
しかし、3月末に提出した事業計画に対し、当時の鳩山総務相が計画の見直しを要請し、郵便事業会社が7月末に修正計画を提出していた。
総務相は会談で、統合後の社員配置などの心配が解消されていないと指摘。計画は認可できないとの考えを示し、郵便事業に影響が及ばないようにする対応策の検討などを指示した。
しかし、おかしな話ではなかろうか?
民営化したのなら、経営は経営陣に任せればよいではないか?会社を潰そうが、合併しようが同でもよい。
民営化すれば、事業統合も当然あり得るだろう。
市場での競争に勝ち抜く手段として、合併を繰り返し、「独占」を形成することは市場の常識である。
もし、事業統合を阻止したければ、もう一度国営企業に戻せば良いだけの話である。
それを拒否しておきながら、事業統合には反対する姿勢は、国民にはわかりにくい。
結局は、自民党の連中も、民営化なんかしたくなかった。無能な小泉が郵政民営化をぶち上げ、マスコミが騒ぎ立てたので、お祭り騒ぎで、ついついやる気のなかった郵政民営化を進めてしまったというのが本音であろう。今頃になって、「統合で利用者が混乱したり、サービスが低下したりする懸念があるため」などということは理由にはならないだろう。
国民の立場で、何が一番望ましいのかを改めて考えるべきであろう。

給料は減少。で、株主配当は?

2009年08月06日 | 経済問題
厚生労働省が発表した6月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、現金給与総額(平均賃金)は前年同月比7.1%減の43万620円で、マイナス幅は過去最悪になった。6月は多くの企業で賞与の支給月に当たり、不況で賞与の削減が進んでいることを裏付けた形だ。
賞与をめぐっては夏と冬の支給額を春に一括して決定する企業が多く、昨年9月の「リーマン・ショック」で本格化する業績悪化の影響は昨冬に反映されず、今夏から表面化することになる。
現金給与総額の減少は13カ月連続。内訳は賞与など「特別に支払われた給与」が14.5%減の16万7044円、残業代など所定外給与が17.7%減の1万5725円。これに対し、所定内給与は0.5%減の24万7851円だったという。
惨憺たる有様である。
価格が上昇している物もあるが、全体としては、デフレが進行し、物価は低下している。したがって、同じ貨幣額で、以前よりたくさんの買い物ができるようになっており、貨幣価値は増大している。だから、多少の賃金の低下は許せるとしても、これだけ低下すると、家計を支えようがない。現在の事態はそれほど深刻だ。
一方、大手企業も軒並み赤字決算だったが、多くの企業は内部留保を取り崩してまで、しっかりと株主に配当を行っている。
この発想はどこからくるのだろうか?
昔なら、従業員の生活を守るということが大切にされたものだが、最近は、株主の利益を優先する発想が広がってきたのだろうか。
しかし、株主といっても、実際に多数の株を握っているのは、銀行、証券、保険などの金融機関であり、個人株主で大きな比率を占めるのは、創業者とその一族などごく一部の株主である。結局、創業者などは、赤字であろうが何であろうが、濡れ手に粟で、数億、数10億という所得を手に入れるわけである。
一般庶民の給与収入が減ったという情報を発表するのなら、儲けている人間の存在についても、しっかり発表すべきであろう。

経済財政白書で、失業「予備軍」は607万人?

2009年07月27日 | 経済問題
日本企業が実際の生産に見合った水準を超えて抱えている「過剰雇用者」の数が2009年1~3月期に過去最多の607万人に達したとの政府推計が発表された。
林経済財政相が同日の閣議に提出した2009年度年次経済財政報告(経済財政白書)で示された。
白書によると、過剰雇用者数は、金融機関の大型破綻が相次いだ後の1999年1~3月期(359万人)をピークに減少傾向にあったが、昨秋以降の急激な景気後退に伴う生産縮小で、最近になって急増したとしている。
政府は、ついこの間まで、少子高齢化で労働人口が減少に転じるので、移民を促進して労働力を確保しなければならないと主張していたではないか。それが一転して、過剰雇用になっているとはどういうことだろうか。少子高齢化には、歯止めがかかったとでも言うのだろうか?しかも、職場では相変わらず、残業時間も多く、人手不足の職場はたくさんある。
要するに、人手が余っていますよということを国民に強引に理解させることによって、企業によるリストラもやむを得ないという「偽りの世論」、「風潮」を作りだすためのものでしかない。財界が泣いて喜びそうな白書になっている。
各企業は、大量の非正規雇用者との契約を打ち切ってきたが、今後は、正規雇用者の解雇に踏み出すための口実を、政府が国民に「洗脳」を始めたということだ。けっしてこういう宣伝にけっして騙されてはいけない。
また、白書では、個人消費の主役となるはずの30~40歳代で貯蓄率が上昇傾向にあり内需を下押ししている可能性を指摘している。当たり前である。雇用や社会保障制度に対する不安があり、しかも、600万人もの過剰労働者が存在すると言われて、誰が消費を拡大しようとするだろうか?頭がおかしいとしか言いようがない。
企業業績がどうなっているか?企業業績を回復させるために何が必要か?
このように、企業業績にのみ焦点を当てて、対策を取ろうとするところに、政府の経済対策の最大の弱点がある。
経済に対する評価は、国民生活に視点を当てて、これを打開するために何が必要かを明らかにする必要があると思われる。

GMのCEO、退職金6割削減でも7億円

2009年07月17日 | 経済問題
ゼネラル・モーターズ(GM)のリチャード・ワゴナー前最高経営責任者(CEO)が退職金を6割削減することに合意し、8月1日付で退職することがわかった。
3月末に米政府からCEO職を追われたワゴナー氏は雇用契約に基づき2020万ドル(約18億8000万円)の退職金を受け取る権利があったが、経営破綻の責任を明確化するため820万ドルに減額される。
GMが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかになった。
ワゴナー氏は他の経営幹部と同様、5年にわたり年164万ドルの退職金を受け取るほか、管理職を対象とした年金(年約7万4000ドル)を生涯受領するという。
米政府とGMは、巨額の退職金を支給すれば世論の強い反発を招きかねないとして本人と調整を続けていたというが、その結果がこれだ。
会社を事実上の倒産に追い込んでおいても、報酬がもらえるというのはどういうことだろう。
社長などの経営陣は、経営を管理する役割を担っており、この結果に基づいて報酬を受け取るのが普通だろう。
契約によると、おそらく結果がどうであれ、いくらの退職金を受け取るということになっていたから、会社が潰れようがどうしようが、もらうべきものはもらうといったことである。
使いきれないほどの退職金のほかに、年金も受給できるし、至れり尽くせりである。リストラに遭い、現在失業している社員のことを何とも思わないのだろうか。
自分さえよければ、それで良し! 所詮は資本主義国だな、という結末である。

派遣労働をめぐり、日産が謝罪

2009年06月12日 | 経済問題
日産自動車が労働者派遣法で認められた3年の派遣期間を超えて一般事務の派遣労働者を受け入れていたとして、東京労働局が日産と派遣会社に是正を指導し、日産側が「行政指導を真摯に受け止め、今後は指導を受けることがないよう、適切に対応したい」と謝罪していたことが明らかになった。
期間制限の規制対象にならない専門職種として派遣労働者を受け入れていたが、実際には庶務的な仕事が大半で、専門業務に当たらないと判断されて、今回の行政指導になった。
労働局に申し立てていたのは、「首都圏青年ユニオン」に加入する派遣労働者2人で、このうち女性1人が厚生労働省で会見した。
女性は大手派遣会社に登録し、2003年10月から日産で働き始めた。就業条件では、26ある専門業務の一つの「事務用機器操作」とされたが、実際には会議室の予約やお茶出しなど庶務的業務が大半を占めたという。勤務開始から5年8カ月たった今年5月末、契約期間満了で退職した。
労働局の是正指導は5月28日付だという。申し立てた2人について、過去に専門業務以外の業務をさせた事実を指摘した上で、具体的な改善を求めた。指導を踏まえ、同ユニオンは日産に「2人を直接雇用する義務がある」として団体交渉を申し入れたが、日産は「直接の雇用関係にない」として応じていないという。
企業が法令を遵守して、その社会的責任を果たせば、別に何の問題もない話なのだが、今回の件などは、行政指導には従いながら、本人たちとの交渉には応じていないというから、日産としては、ほとんど反省していないのだろう。
黙って泣き寝入りしていたのでは、雇用問題は解決しない。なかなか勇気ある行動であり、拍手を送りたい。
「派遣切り」などと一律に扱われているが、違法派遣や偽装請負のようなケースは全国に腐るほどあるのだろう。
声を上げれば、正規雇用への未知が開けるケースはたくさんある。多くの非正規雇用者が、この2人の労働者の後に続いてほしいと思っている。
もちろん、企業も収益が落ち、人件費を削減したいという要求もあるだろうが、今まで散々稼いできたのだから、このくらいの出費はどうということはない。企業が社会的な責任を果たし、雇用を守るうえでも必要最低限の役割を果たすべきである。

日本でも、住宅ローン破綻が急増

2009年06月04日 | 経済問題
不況のため住宅ローンの返済に行き詰まり、マイホームを競売で失う人が増えている。住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が2008年度に競売にかけた住宅は記録のある2002年度以降で最多となり、東京、大阪、名古屋の各地裁の競売件数も急増していると報じられている。夏のボーナス大幅カットでローン破綻が続出する「6月危機説」もささやかれているそうだ。
住宅金融支援機構によると2008年度の競売件数は、前年度より35%多い1万6577件だった。とくに昨秋から競売件数は急増し、今年3月には昨年9月の約2倍の1830件になった。不況で収入が大きく減ったり、勤務先の倒産で失業したりした借り手が増えたためとみられるという。
日本版サブプライム問題とでも呼ぶべき辞退が進行している。
以前に書いておいたが、そもそも、頭金さえ準備できない世帯に、家賃並みの返済などとマンションなどを売りつけてきた結果ではなかろうか。住宅取得時の税金や頭金さえ計画的に準備できない世帯に、余裕を持ってローンを返済し続けることはそもそも不可能である。
子供が生まれ、お金がかかるようになると、ローンを払うだけで精一杯の世帯が、継続してローンを払い続けることができなくなることは、火を見るより明らかだったはずだ。
しかも、当初は家賃並みの返済で済むが、5年後、10年後には返済額が跳ね上がるようなローンを組ませた住宅販売会社の責任も大きい。5年、10年すれば、バブルの時期ほどではないにしても、多少は給料も上がって余裕も出るだろうと思っていたら、この不景気による賃金やボーナスカット、果てはリストラ騒ぎである。5年前、10年前に住宅を購入した世帯では、返済額が上がる時期でもあるが、そこにこういった経済状況が重なったものである。
返済が1回や2回滞ったからといって、突然、競売が始まるわけではない。したがって、競売にかかる物件は、まだ氷山の一角である。
一度手に入れた家を失いたくない、世間体が悪い、任意売却しても物件の値下がりで借金だけが残るといった理由で、親戚などから援助を受けるなどして、返済を続けているような世帯も多いはずだ。あるいは、高利のカネに手を出して、何とかほころびを繕っている世帯もあろう。しかし、こういうやり方が長続きするはずもない。
返済が滞ったら、まずは、金融機関に返済方法の変更(月々の返済額の減額、返済期間の延長など)を申し出ることだ。金融機関も、競売にかけても全額回収できるかどうかわからないから、可能な限り、少しずつでも返済してもらう方がよい。応じてくれる金融機関もあるはずだ。また、弁護士などに相談することも重要である。傷口が広がらない間に、最善の解決策を示してくれることだろう。
競売物件が増えて、日本版サブプライム問題が深刻化することがないように祈っているが・・・。

1世帯の平均所得が19年前に逆戻り

2009年05月26日 | 経済問題
厚生労働省が【国民生活基礎調査】を発表し、2007年時点の1世帯あたりの平均所得額(控除後の金額)が2006年に比べ1.9%減少の556万2000円(過去最高は1994年の664万円)となり、1988年以来19年ぶりの低水準になったと発表した。
また、労働者1人あたりの所得は、313万2000円となり、過去最低になったと報告している。
313万円という所得では、都会では、生活するのにギリギリの収入であり、以前に話題になった森永氏の「年収300万円時代」という言葉が現実味を帯びてきたということになる。
もっとも、森永氏の主張は、格差の広がりと固定化を告発しつつも、たとえ年収が300万円になっても、心豊かに暮らす方法はあるという「慰め」のような側面もある本であったが・・・。実際に、この所得では、満足に子育てや教育にもお金を使えず、老後の見通しも立たないであろう。
今では、非正規労働者が3分の1以上を占めており、平均年収を押し下げているという側面もあるが、正規労働者の給与も10%、20%の減少は当たり前になってきており、また、リストラもまだ続いている。
所得という結果だけを見れば、この20年間の我々の努力(企業活動、社会活動などの全生活)というのは、結局何だったのだろうかということになる。
この19年間、多くの国民は、逆方向に歩き続けていただけだったのだろうか?という疑問さえ湧いてくる。
しかし、結局のところは、庶民の努力に報いるだけの給与が支払われず、格差が広がり、小泉氏が「予告」したように、庶民に「痛み」を押し付けた結果であろう。
一方では、一生かかっても使い切れないほどのカネを溜め込む一部の人間と多くの貧しい庶民を生み出してきたことが、今回の調査結果に現れているということだろう。
国民所得が低下するということは、内需が冷え込むことにほかならない。
輸出頼みの経済から内需拡大へという「掛け声」にも逆行するものであり、日本の景気を負のスパイラルに陥れることになる。
先の国会で、衆院で可決された補正予算も一時的なバラマキに過ぎず、将来不安の解消や国民の懐を根本から暖める政策にはなっていないことは言うまでもない。

大失業減給時代

2009年05月14日 | 経済問題
5月16日付の週刊ダイヤモンドが【大失業減給時代】という特集を組んでいる。
「大企業でもリストラの嵐、大手メーカー正社員1,300人を襲った退職強要」
「ソニー、パイオニア、NEC工場閉鎖で途方に暮れる人々」
「ボーナス60%減に困惑するトヨタ管理職」
「正社員が派遣に移籍させられ、年収300万円カット」
といったタイトルが並んでいる。
確かに、外需依存で、貿易で稼いできた日本にとって、アメリカ発の経済危機は、大きな打撃だろう。
貿易黒字ということは、単純に言えば、富を他国から吸い上げて、国内に溜め込んできたことに他ならない。ところが、今やこれが赤字になろうとしているわけだから、これからは、国内の富が徐々に海外に流出していくということだ。
これからは、少子高齢化で、労働力人口は減少し、今までのように生産性の向上は望めないだろう。企業では、非正規労働者の比率が高まり、技術の継承もなされず、職場の規律やモラルの低下に伴い、企業への「忠誠心」も低下する一方になるだろう。こうなると、国際的な競争に勝ち抜くなどということもできなくなる。
今までのように、輸出頼みの経済大国ではなく、内需を拡大し、国内の地場産業の育成、第一次産業の復興などの政策転換が必要であろう。
こういう観点から、上記のタイトルを見ると、国民の購買力は一層低下し、内需はますます冷え込むことになる。
どこかで悪循環にピリオドを打たなければならないが、その方法は難しい。
どの企業も、率先して、正規雇用者を増やし、給料を上げようなどとは思わない。
税金という方法での政府による内部留保の強制的な召し上げや労働者のたたかいによって、お金のある所から、ない所にお金を回す以外に方法はない。
漫然とリストラや賃下げに応じないで、団結して抵抗することをお勧めするとともに、来るべき総選挙では、財界、大企業からカネをもらい、注文を付けられるような政党には投票しないことが賢明であろう。

たたかえば、展望は切り開かれる

2009年05月07日 | 経済問題
大分キヤノン(大分県国東市)の減産に伴い、雇用契約を打ち切られた元請負社員たちでつくる労働組合「日研総業ユニオン」は、契約残り期間の賃金相当分などの解決金支払いで請負会社の「日研総業」(東京)と合意したと発表した。解決金の総額は約2億円で、うち半分は大分キヤノンが日研総業を通して負担するという。一連の非正規雇用労働者の大量解雇問題で、直接雇用関係のないメーカーが間接的ながらも金銭的な負担をするのは異例、と報じられている。
支払い対象者は昨年12月10日から今年6月25日までに大分キヤノンの職場を離れる約700人。解決金の内訳は、契約期間内の賃金のほか、一律5万円の生活支援金、残った有給休暇の買い上げなどだという。1人当たりの解決金は同ユニオン組合員の場合、3~4カ月分の賃金に相当し、5月末まで社員寮に住むことも認めるという。
不景気だからといって、簡単に首を切れる社会はどう考えてもまともではない。
会社の言いなりを許せば、気に入らない社員はいつでも簡単に首を切れることになる。
圧倒的に強い立場にある企業の横暴を野放しにしてしまうことになる。だからこそ、労働基準法などの法律によって、労働者の人権を守るよう定められているわけである。
泣き寝入りすれば、済む所を奪われ、無一文で追い出されるだけだった労働者が、団結して企業の譲歩を引き出したことは重要だ。
企業も、一斉に非正規雇用者の首を切ったが、解決金などの支払いに応じたということは、企業の側も、これが理不尽な行為であることを十分に認識していたということを意味するものである。
たたかうことなしに、展望はけっして切り開かれない。
大いに声を上げる必要があるだろう。