時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

「真珠」投資の果てに

2007年04月25日 | 社会問題
真珠販売会社「キュート」(愛媛県)の投資トラブルで、愛媛、宮城、福島、山形、山梨、長野の6県警合同捜査本部は、出資法違反などの疑いで、同社本店や幹部宅などを一斉に家宅捜索した。捜査本部は同社が39都道府県の約2500人から数10億円を違法に集めたとみて、詐欺容疑での立件も視野に、同社の資金集めの実態解明を急ぐという。
同社は真珠養殖事業への投資名目で、不特定多数から1口100万-105万円の出資を募ることを計画し、2003年11月-2005年7月、甲府市の男性ら計12人に元本保証と利息の支払いを約束した上で、1人当たり100万-500万円、計約2300万円を集めた疑い。
捜査本部によると、東北6県の被害者は約800人。うち宮城県内の被害者は全国で最多の約500人、被害額は計10億円近くに上るという。
真珠のほか「マダイ養殖に投資すれば資金が倍になる」と、全国で出資を募っていたことも判明している。
宮城県内では50代の主婦が昨年3月、同社と同社幹部ら2人に約6700万円の損害賠償を求めて提訴。仙台地裁は今年1月、「詐欺商法に当たる」として、約6700万円の支払いを命じる判決を言い渡しているという。
さて、この種の詐欺商法は絶えることがない。
景気が回復したとはいえ、銀行利息はスズメの涙ほどであり、株式なども相場は相変わらず不安定となると、せめてもう少し有利に運用できるものはないかと考えるのは庶民の素直な気持ちの表われである。
そこにつけ込むのが詐欺集団である。
こういう事件の場合は、間違いなくだますほうが悪い。しかし、被害者の側にも、「必ずもうかる」、「2倍になる」などと言葉巧みに勧誘されると、当初の警戒心も薄れて、ついつい投資してしまうという弱点がある。
そもそも、投資額が2倍になるのが確実なら、銀行も積極的にお金を貸すだろう。銀行から借りずに、個人からお金を借り集めること自体がおかしなことだと気づくべきである。
一部では、既に裁判も終了し、損害賠償の判決が出されてそうだが、これが判決通り支払われる保証は何もない。加害者の側に、差し押さえ可能な財産が残っているかどうかも疑わしい。結局泣き寝入りになるのではなかろうか。
ライブドア事件と同様に、昨今の拝金主義がもたらした典型的な事件の一つであろう。
この機会に、読者諸兄も、人として何が一番大切なのかをもう一度考えてみてはいかがだろうか。