時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

これが美しい国、日本です!

2006年12月31日 | 政治問題
いよいよ今年も終わり。1年の終わりに当たって、日本という国の現状を振り返ってみた。
「美しい国、日本」をつくるというのが、安倍晋三のキャッチフレーズだが、そもそもこの国は戦後60年にわたって、ほぼ自民党が政権を担って作り上げてきた国だ。そして、彼の一族や彼自身も長い間政権の中枢にいて、この日本と言う国づくりに深く関わってきた。その責任を棚上げして、これからは、美しい国をつくりたいと彼はいうのだが…。
・定率減税の廃止など大増税に苦しむ庶民
・年金、健保、介護の保険料も次々アップ
・年金や健康保険給付は次々削減
・大企業、資産家には減税。大銀行は何年も法人税ゼロ
・大企業からの徴税能力を失い、国と地方の借金は1000兆円以上
・耐震偽装やライブドア事件など、規制緩和の害悪が噴出
・生活保護は100万世帯を突破
・ワーキングプアは400万世帯以上。10軒に1件は生活保護基準並みの生活
・雇用者のうち3分の1が不安定な非正規雇用
・違法な「偽装請負」はまだまだ野放し
・失業率は改善したが、完全失業者はまだ250万人以上
・年間の自殺者は、毎年3万人以上
・交通事故による死者は、阪神大震災の死者より多い毎年7千人以上。
・政党助成金という血税はしっかり分け取り
・談合に伴うわいろで知事が次々と逮捕
・教育基本法タウンミーティングでは、官製のやらせが横行。やらせには謝礼まで
・政府税制調査会、本間会長が公務員宿舎に愛人と同居発覚、会長辞任
・愛国心高揚の教育基本法「改正」を強行採決
・所得格差により、教育格差も拡大
・いじめ自殺続発。教員や校長の自殺も
・官邸主導の教育再生会議で委員からも「ヒトラーだ」との批判
・憲法「改正」を公然と主張する政権
・核武装発言を繰り返す閣僚たち
・佐田行政改革担当大臣は虚偽の収支報告書、そして辞任
・防衛庁は防衛省に昇格。いよいよ海外派兵も本格化
・アメリカの言いなりに基地移転、拡充
・米軍への思いやり予算も増額
・拉致問題は進展せず。交渉ルートもなく、米中頼み
・郵便集配局は次々廃止でサービスは切り捨て。次は特定郵便局の廃止も
・造反組も復党。ここだけ「再チャレンジ」が可能なのか!
・振り込め詐欺被害は、200億円超
・刑務所はどこも超満員で増設中
・少年犯罪の増加
……、もうこの辺にしておこう。
これらが解決したら、少しは美しい国になると思うのだが…。
この1年、このブログを訪問して下さった方々に御礼を申し上げます。
来年が良い年になることを祈念致します。

大相撲初場所の番付から

2006年12月29日 | その他
大相撲初場所の番付が先日の新聞に掲載されていた。
力士の出身地をみると、モンゴル、ブルガリア、エストニア、カザフスタン、トンガ、アルゼンチン、アメリカ、韓国、…と実に多彩である。
外国人力士が増えることを快く思わない人もいるかもしれないが、日本の国技と言われる相撲がこのように国際的に認知され、外国人力士が増えていることは、大変望ましいことではないだろうか。外国での相撲興行も大人気だという。彼らに負けずに日本人力士にも頑張ってもらいたいという気持ちも湧いてきて、応援にもついつい熱が入る。
先日まで、アジア大会が開催されていたが、そこで行われていた種目は実に多彩だった。スカッシュ、太極拳、ボディビルやチェスなどまであり、セパタクロー、カバディなどになると、名前はともかくルールまで正確に知っている人はそれほどいないのではなかろうか。
アジア大会には、日本古来の武術である柔道も当然含まれていたが、近いうちに、相撲や剣道も含まれるようになるかもしれない。そして、そこに多くの外国人選手が参加する日が来るようになると思われる。
さて、相撲の例でもわかるが、日本は、諸外国に比べてスポーツ予算が貧困なのではあるまいか。人気のある一部のスポーツ選手を除き、遠征資金や道具などの確保さえできずに苦労する場合が多いのではなかろうか。多くのスポーツ選手は企業チームに所属し、勤務をしながら、厳しい練習を続けている場合が多い。お金も時間も制約を受けながら、厳しいトレーニングを続けているが、最近は企業も経営上の理由からチームを解散するケースも増えている。
以前は、日本といえば、アジアでもっともスポーツが盛んで、優秀な選手を多数輩出してきた。しかし、前述のアジア大会でのメダル獲得数は、中国や韓国に抜かれての3位であった。
フィギュアスケートの荒川静香も自分が練習を続けてきた仙台のスケート場の廃止を嘆き、更なるスポーツ施設の充実を求めていたが、誰もが気軽に、廉価で利用できるようなスポーツ施設の拡充や指導者の育成、配置などに、国、地方自治体が積極的に取り組まない限り、国内のスポーツの空洞化には歯止めがかからないと思われる。
07年度の予算案にどの程度のスポーツ振興予算が含まれているのか、今度調べてみようと思っている。
さて、相撲の番付に話を戻そう。
現在は、日本人力士の出身欄には、出身都道府県が記載されている。しかし、これから外国人力士がどんどん増えてきて、世界各国の国名が出身欄を占めるようになり、日本人力士がどんどん少なくなると、この出身欄には単に「日本」としか書かれなくなる日が来るのではないか、と心配するのは私だけだろうか。

あきれた大阪市職員の市営住宅家賃や保育料の滞納

2006年12月28日 | 社会問題
京都、奈良、神戸など近畿各地で、市職員による市立保育所の保育料や市営住宅の家賃などの滞納が相次いで発覚した問題を受け、今般、大阪市が内部調査の結果を公表した。保育料と家賃の滞納者は延べ82人で、滞納額は計約6400万円に及ぶという。家賃の滞納者の中で最長は7年1ヵ月で計362万円。保育所に勤務する給食作業員が保育料を滞納していた例もあった。7人が保育料、家賃双方を滞納していた。市は支払いに応じない職員には懲戒処分も辞さない構えで、今年度中に給与の差し押さえなどで全額回収を目指すという。
既に4人に対し、家賃の支払いと部屋の明け渡しを求めて提訴しており、1件は支払い命令が確定し、3件が係争中というから、督促をしても支払いの意思を示さない不届きな職員がいることになる。
一般企業であれば、社宅の家賃を長期にわたって滞納したりすれば、即刻、懲戒免職であろう。あるいは退職させて、退職金で支払わせるなどの処置が直ちに取られるだろう。
公務員のモラルはここまで落ちていたのかと暗澹たる思いである。
また、大阪市の対応にも呆れるばかりだ。市営住宅の入居申込書には職業欄があるが、記入は任意のため、市職員かどうかを把握するのは難しいというが、市営住宅の家賃滞納者にきちんと訪問して納付を促していれば、市の職員かどうかはすぐに分かるはずである。保育料を所管する健康福祉局、市営住宅を所管する住宅局ともに「調査するまで、市職員による滞納実態を把握していなかった」というからお粗末なかぎりである。
編集長は、現在マスコミなどで頻繁に行われている公務員攻撃にけっして組みするものではない。むしろ、一部の公務員のせいで、公務員全体に対する攻撃に拍車がかかっていることに対してむしろ同情的である。
一部の不心得な職員の存在が、公務員攻撃を助長する原因になっている。こういう時期だからこそ、公務員としての職務をきちんと行うことによって、市民の信頼が得られるということがなぜわからないのだろうか。
このような身内の不祥事に対しては、特に厳格に対応してこそ、公務員としての信頼回復が可能なのではあるまいか。
なお、こういう事例は、関西地方に多いように思われる。以前にも、奈良県で職員が長期の病休を繰り返していたことが報道されたことがあるが、何のことはない、解放同盟(解同)のメンバーだったという。
差別という日本の歴史にとって不幸な事実を逆手にとって、自治体に対して、「差別の是正」という美名の下に、自治体に対して無理無法な要求を突きつけ、暴力や脅迫などが繰り返される事例がある。自治体では、この脅迫を恐れ、解同のメンバーの行為に対しては、手も足も出せず、黙認するケースも多いと聞いている。タブーを恐れずに、規範意識のない職員については、厳格な処分を要求したい。
それ以外に、公務員に対する信頼回復の道はないのである。

外資系企業の政治献金解禁で、キャノンがさっそく再開

2006年12月27日 | 政治問題
今までは、政治資金規正法の規定により、外国人による持ち株比率が50%を超える企業は政治献金ができなかったが、これが先の国会で「改正」され、外資系企業も政治献金ができるようになった。
国会では、教育基本法や防衛庁の昇格法案などがずいぶんと話題になり、この法案については、新聞などでもあまり話題にもならなかったが、大変な問題である。
経団連会長の御手洗氏が会長を務めるキャノンは、外資系企業であるため、今まで政治献金ができなかったが、今後は大手を振って献金ができるようになり、さっそく、献金を再開することを決定したようだ。
これまでは、経団連会長として政治献金の旗振り、斡旋を推進する立場でありながら、自らが会長を務める企業は献金ができないという「負い目」を抱いていたわけである。しかし、政治的な圧力によって、自民・公明両党に政治資金規正法という法律まで改正させ、献金に道を開いたことは、この国の法律や政治が財界の意向によって動いていることを如実に示している。
もう一つの問題は、今回の「改正」によって、外国資本の政治献金によって、日本の政治が動くことになりかねないということだ。海外の企業が日本に進出する場合に、法的な障害がある場合、政治献金によって、自社に都合の良い法律を作らせることができるようになる。極めて売国的な内容である。
企業は社会的存在である。日本という国において、企業は日本の法律を守り、その社会的責任を果たすことと引き換えに、日本国内において企業活動を行うことが認められている。しかし、企業に参政権は与えられていない。
企業献金というわいろによって、日本の政治が動かされることはあってはならないことである。
参政権は、国民一人一人に、貧富や職業などの違いによらず、均等に与えられている。個々の企業家が自腹を切って支持政党にいくら献金しようと何も異存はない。しかし、個人ではなく、企業として献金を行うことは、参政権の根本に関わる問題である。また、株主に対する背信行為である。
以前にも本紙に書いたことだが、企業献金は、公然たる政党の買収である。これを完全に禁止し、政党への献金は個人献金に限ることなくして、日本は政治的な後進性から抜け出すことはできないだろう。

子孫に美田を残さず

2006年12月26日 | 思い出/わが家
「子孫に美田を残さず」という言葉がある。中国の故事なのかと思って調べてみると、どうも西郷隆盛の言葉らしい、が定かではない。
さて、編集長には社会人2年目の娘と大学3年になる息子がいるが、先日、娘が冬のボーナスを随分もらったという話をしたので、この言葉を引用して、子供に財産を残すとろくなことはない。2人の子供たちには財産は一切残さないから、無駄使いをせず、自分の生活設計は自分でしっかりと立てて暮らすように、と少々訓辞を垂れておいた。
それを聞いた娘は、芸能人などの金持ちの息子、娘には確かに問題を起こすのが多い。親が金持ちだったり、大金を相続したりするとろくなことはないのかもしれないと、妙に納得した様子であった。
そんな話をした日の午後、妻と娘が一緒に買い物に出かけたのだが、その時の娘の話を妻から聞かされた。
それによると、12月の半ばにあった娘の中学校時代の同窓会で、卒業後の話や仕事の話題になったようだ。同窓生の中で大学に進学した者は少なく、高校あるいは専門学校を卒業して仕事に就いている者が多かったが、折しも、バブル崩壊後の不況期のため、学校を卒業しても就職には大層苦労したようで、正社員は少なく、非正規雇用が多いという。こういう時期に、自分は幸いにも景気の良い業界に就職できた。大学まで出させてもらい、わが家の子供で良かったいう話だったそうだ。
この時代、子孫に美田を残すことはなかなか難しいが、せめて、子供たちが希望する教育や訓練を受けさせることができ、社会人として生きていく力を付けさせることができたことを喜んでいる。
高校全入と言われる時代で、しかも少子化のため、希望者は大学に入れる時代とはいうが、国立大学でさえ、年間の授業料は50万円以上である。ちなみに、編集長が学生の頃は3万6千円だった。私立大学になれば、授業料だけで軽く100万円以上になるだろう。
今のように、生活保護世帯やワーキングプアと呼ばれるような世帯が、全世帯の1割を占めるようになり、生活保護水準ではないにせよ、非正規雇用などで年収が低い場合、子供たちに希望する教育や訓練を受けさせることは難しいのではなかろうか。
国民は等しく教育を受ける権利を有するが、経済的な理由によってこれが阻害されるのは大変悲しいことである。
子供には無限の可能性がある。親から美田を譲り受けなくても、どの家庭の子供たちも社会人として立派に独り立ちできるような社会環境を整えることが政治の責任ではなかろうか。

続、資本という怪物

2006年12月25日 | 財界
イギリスの産業革命の初期に、ロバート・オーエン(1771~1858)という人物がいた。紡績機械を使って成功し、1800年に若くして大工場の支配人となった人物である。
彼は、人間の性格は環境によるものと信じ、自分の工場で労働時間を短縮し、社宅を作り、日用品を安く売る売店を開き、保育園まで作って環境を整えるなど、資本主義の次にあるべき社会のあり方を模索し続けた。そして、労働組合や協同組合の創始者として、後世に大きな影響を残した。
資本主義の草創期に、大企業の一経営者として、人間としての良心を失わずに労働条件の改善などに取り組んだが、当然の、あまりにも当然の帰結として、他の企業との競争にうち勝つことができず、試みは失敗に終わっている。
マルクスとともに社会主義運動の発展に寄与したエンゲルスの言葉を借りれば、オーエンは「空想的」社会主義者だった。企業経営者の良心に訴えても、資本の横暴にストップをかけることはできないのである。その行為は、所詮は絵空事に過ぎなかったのである。
前回の記事で述べたとおり、資本主義社会における資本は、絶えず自己増殖を要求する。労働者、国民が黙っていれば、最大限の利潤の追求が行われ、労働条件は極限まで切り捨てられることになる。
先日も、厚生労働省の労働政策審議会において、ホワイトカラーエグゼプションが提案された時、経営者側委員からは「過労死、長時間労働は各企業で正せばよい」と主張した。
個別の企業に、残業の規制が期待できるわけがない。それは、この現代日本に2人目のロバート・オーエンの登場を期待するものであり、問題の本質はまったく解決しないのである。
個々の企業家の理性や良心に、資本の暴走のストップを期待するのは、200年前のオーエンの愚行を繰り返すだけである。
資本を動かすのは人間であるが、残念ながら、経営者、資本家にそれを委ねることはできないし、また、期待しても意味がないのである。
企業の横暴を規制し、労働条件を守る法律を作り、それを労働者、国民が監視することによってのみ、資本の横暴に歯止めをかけることができるのである。資本の横暴に歯止めをかけられるのは、その直接の被害者である労働者を中心とした国民以外にはないのである。
残念なことに、今の日本は、この資本の論理を後押しする勢力が国会で多数を握っている。
したがって、たとえ遠回りのように見えても、資本の横暴に歯止めをかける法律を作る政党の議員を一人でも多く送り込むことが、資本の横暴を押さえ込む最も近道である。
折しも、来年度の予算案が発表された。朝日新聞によると、07年度に実施される減税の98%は企業向け。安倍政権初の税制改正は極端な「企業偏重」であることが明らかになった、と報じている。個人に対しては1兆円超の所得税増税(定率減税の全廃)が年明けから実施される予定で、「家計増税、企業減税」の色彩が強まっているとも報じている。
この予算案一つとっても、大企業がますます儲けを貯め込むため、財界が政府に要求してきたことであり、まさに資本という怪物の要求なのである。
この怪物を制御し、国民のために役立つようにするためには、法律による規制など様々な制御装置が求められるのである。

目黒の公明党、政務調査費で領収書偽造!?

2006年12月24日 | 政党
目黒の公明党が、政務調査費の不正使用があったことを理由に区議会議員6人全員が辞職するという不祥事があったが、その後の調査で、区に提出した政務調査費の領収書に偽造の疑いがあるという。
この領収書は、板橋区にある建設資材販売会社のもので、この会社によると、領収書は通し番号で管理しており、同じ番号の領収書は存在しないという。
にもかかわらず、この会社が発行した同じ番号の領収書が2通存在し、1通は「公明党目黒総支部」宛て、もう1通は「公明党目黒区議団」宛てだという。しかも、「総支部」と「区議団」の個所以外は、筆跡も、金額もまったく同じだという。
この会社は「この(番号の)領収書は、公明党目黒総支部宛てに出した。ポスターを張り出すために使う両面テープ代金だ。公明党目黒区議団には領収書を出していない」と明確に証言している。
にもかかわらず、「区議団」宛ての領収書のコピーが区に提出されていたわけだ。
この理由は簡単である。区に提出するのは領収書のコピーでよいので、本来の「総支部」宛ての領収書をコピーし、このコピーのあて先を「区議団」に書き換えて、コピーしたものだ。
こうなると、政務調査費の使用が不適切だったというレベルの問題ではなく、区に提出した領収書の改ざん、すなわち、私文書偽造であり、改ざんした領収書を使って政務調査費を受け取っていたことになるので、公金横領や詐欺に該当する。
明確な犯罪行為だ。
公明党は、真摯にこの疑惑に答える義務があるだろう。また、公明党にもし良心のかけらが残っているのなら、来年のいっせい地方選挙で、少なくとも目黒区では候補者を立てるべきではない。
こういう組織犯罪を平気で犯す政党に良心を期待するのは無駄かもしれないが、これが正常な区民、国民の考えであることをお伝えしておく。

ホワイトカラーエグゼンプション

2006年12月23日 | 政治問題
財界が切望し、厚生労働省が法制化を検討している労働時間の「規制緩和」策、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションについて、20-40代の会社員の73%が全く知らないと答えていることが、インターネットを使った連合のアンケートで判明したという。
厚労省は、一定の年収などを条件に「1日8時間、週40時間」の労働時間規制を撤廃するホワイトカラー・エグゼンプションの導入を検討中である。これは、今まで本紙でも指摘してきたように、財界から切望されているものである。早ければ、来年の通常国会での法改正を目指しているというから、国民も黙ってはいられない。
さて、今回の連合のアンケートは、10月に全国の正社員の男女約1000人を対象に実施し、「ホワイトカラー・エグゼンプションについて知っていますか」との設問に「内容まで知っていた」はわずかに9%、「名前は聞いたことがある」は18%、「全く知らない」が73%だった。
導入への賛否は「反対」が最多で46%。次いで「よく分からない」が40%、「賛成」が14%だった。「内容まで知っていた」と回答した人では「反対」が73%に上ったという。
賛否の理由では、反対の人は「無制限に残業を強いられる可能性がある」「サービス残業を制度で認めてしまう」など長時間労働を助長することへの懸念が強かった。一方、賛成の人は「人件費の削減につながる」などと答えたという。
反対者の多くが理由に挙げているように、この法律ができると、わずかばかりの給料の増額と引き換えに、無制限の残業が強要されることになりかねず、健康破壊はもちろん、深夜帰宅などで過程崩壊なども更に進むことが容易に予想される。内容が知られれば知られるほど、反対が広がるはずだ。
少し気になったが、「人件費の削減につながる」として賛成した14%は、いったいどういう立場の人間であろうか?管理職や現場労働者だろうか?少々乱暴な言い方だが、人件費の削減に賛成なら、自らの給料を全額返上して、削減に貢献してはいかがだろう。
ホワイトカラーの8時間労働制の崩壊、給与水準の低下などの労働条件の切り下げが進めば進むほど、やがてはそれが管理職や若い労働者、他の労働現場にも波及し、一層の労働条件の切り下げにつながるのは目に見えている。
産業革命後は、18時間、16時間労働などの過酷な労働条件が当たり前だった。その後200年にわたる歴史の中で、労働者や多くの国民の運動によって世界の国々で8時間労働制を確立してきたのである。そして、ヨーロッパなどでは、更なる短時間労働を法律で規制している国もある。
今回の政府・財界の企みは、これらの歴史そのものに逆行する策謀である。
労働者は、毎日何時間分かの労働力を企業に切り売りし、その対価を受け取ることによって暮らしているが、暮らしの目的は働くことにあるわけではなく、職場で過ごすことにあるわけではない。家族とともに食卓を囲み、友人とともにスポーツや趣味に興じるのが人間としての暮らしの目的であるはずだ。この人間としての原点を忘れないでいただきたい。
国民にとって都合の悪いことは、国民の知らないうちに次々と打ち出してくるのが、政府、財界の常であり、しかも、正直に「残業代不払い策」などと言わずに労働時間の規制緩和策、労働ビッグバン、ホワイトカラーエグゼンプションなどとごまかして、法案を作成しようとしていることだ。
先日も、厚生労働省の労働政策審議会において、この残業代ゼロ提案が再び提案され、労働側委員が強く反対し、削除を要求したことが報道されている。
国民と労働者の健康と生活を破壊するこのような法案の提案に対して、国民は瞬時も監視を怠ってはならないし、この企みの本質を理解した人たちが、経団連や厚生労働省に反対のメールやFaxを送ってくれることを期待している。

備前焼の手榴弾

2006年12月22日 | その他
編集長は、実は多趣味である。
ミニSLやコイン収集のことを、本紙の片隅に載せているが、これは編集長の比較的最近の趣味である。
実は、もう20年以上も続けている趣味に、焼き物の収集がある。壷などの大きな物は置く場所もなく、価格も高いので、徳利やぐい呑、湯呑みなど小さくて、比較的廉価なものが多いが、数は相当ある。焼き物に関する図鑑や雑誌なども相当勉強した。全国各地の作家の名前も随分と身近に感じるようになった。江戸時代のそば猪口の図柄に惹かれて、骨董屋や骨董市巡りをして買い込んだ時期もある。デパートの美術品売り場はもちろんのこと、個展や著名な陶器店などにも足繁く通って買い集めたり、出張のたびに、地方の骨董店や窯元などに立ち寄って集めたものだ。
全国各地の焼き物を持っているが、やはりだんだんと自分の好みの焼き物が集まってくるようになる。やはり、惹かれるのは釉薬を掛けていない無釉の焼き物だ。岡山には度々出張する機会があったので、自然と備前焼が増えてしまった。人の力が及ばない、土と炎の不思議を感じさせてくれるのが、備前焼の素晴らしいところだ。
いよいよ置く場所もなくなってきたので、最近はあまり買わないようにしているが、良い物が目に止まると無性に欲しくなり、ついつい手が伸びてしまい、後で悔やむことになる。しかし、いろいろなことに興味を持っていることは大切なことだ。日常生活の中で、見逃していることも、事前に知識や興味を持っていれば、思わぬ発見に繋がることがあるからだ。
先日も「なんでも鑑定団」で、備前焼の手榴弾が鑑定に出されていた。
物資が乏しくなり鉄がなくなった太平洋戦争末期、軍部の命令により日本全国の窯元に対して陶器製の手榴弾の製造が命じられたわけだ。
この手榴弾を見て、ひと目で山本陶秀作の手榴弾だとわかった。当時、この製造に関わった人間国宝の山本陶秀氏(故人)が、ほとんど同一の手榴弾を手にした写真が焼き物の雑誌に掲載されているのを以前に見たことがあったためだ。鑑定団に出されたものも、山本陶秀氏の窯で焼かれたもので、類似のものが、備前陶芸会館に展示してある。
この雑誌の中で、山本陶秀氏は手榴弾を作らされた当時を振り返って「あんな時代は二度と来てほしくない。」と不幸な時代を嘆いていたが、まったくその通りだ。
わざわざ壊すための焼き物を作ることは、1000年を越す備前焼の歴史の中でおそらく最も屈辱に満ちた事件だったのではないだろうか。
これからの1000年は、今のような平和な焼き物の里であるように願わずにはいられない。

難病への補助金削減に待った!

2006年12月21日 | 医療・社会保障
難病のうち、患者数が増えているとの理由で、パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の患者のうち、比較的軽症な患者に対する補助金削減の動きがあった。この件については、本紙でも反対を表明しておいたが、今回、厚生労働省がこの補助金削減を行う法改正の提案を見送ったことが判明した。
医療保険団体、患者団体などからも短期間に多数の反対の声や署名が寄せられたことが、今回の撤回の理由であろう。
大多数の国民は、与党である自民、公明の支持者であるか否かにかかわらず、現在の政治のあり方に対しては多くの不満を持っていることだろう。野党支持者や無党派層は、なおさらである。
これを具体的に声にして政府や関連省庁、各政党などに届けることが個々の政策決定にとっては大変重要だ。
ともかくも、今回の世論の勝利を率直に喜びたい。

大手銀行をめぐる2つの話題

2006年12月20日 | 財界
三菱東京UFJ銀行とみずほフィナンシャルグループが年内にも政治献金を再開することに対し、批判が噴出し、とうとう献金を断念したと報じられている。不良債権処理が終わった大手銀行は巨額の利益を上げているのに、過去の赤字を理由に法人税を払っていないし、超低金利の預金金利や手数料など利用者への還元も不十分だ。それにもかかわらず、政治献金だけは「黒字企業だから当然」と特別視している姿勢には、「大手銀行のご都合主義」との厳しい指摘があり、今回の見送りが決定した。受け手の自民党も献金を辞退すると表明した。
本紙でも、この件は厳しく批判してきたが、世論の盛り上がりが献金にストップをかけたことは喜ばしい限りである。
もう一つは、大手銀行の自民党への融資の問題だ。
自民党に対する大手銀行の融資残高が05年末で約80億円に達し、3年間で倍増したことがわかったという。03年春に実質上国有化されたりそな銀行が同期間に自民党に対する融資残高を10倍に急増させたためだが、三菱東京UFJなど3大銀行は融資を圧縮しており、自民党から3大銀行への返済をりそなが肩代わりし、その残高は54億円に達している。
自民党本部の毎年の政治資金収支報告書によると、05年末の銀行の融資残高はりそなが約54億円と突出。大手銀行は旧東京三菱(現三菱東京UFJ)銀行が3億7500万円、旧UFJ(同)、みずほ、三井住友各銀行が7億5000万円だそうだ。
この記事を見て、つくづく自民党と銀行との癒着を再確認した。
そもそも、返済が必ずしも確実とは言えない政党への融資に大手銀行は当時から慎重だったらしい。政党は営利企業、営利団体ではない。にもかかわらず、何を担保にこれほど多額の資金を貸し出すのだろうか。もちろん、自民党にも資産があり、収入もあるだろうが、それはあくまでも使うための資産であり、収入であって、利潤を生む性格のものではない。結局のところ、銀行にすれば政策的な優遇などを期待しての融資(事実上のわいろ)であろう。
銀行は前述のとおり、政治献金の再開を中止したが、もし再開すれば自民党への融資の返済原資を今度は、銀行自身が穴埋めすることになる。利益を受けるのがお金を借りている自民党というのはとんでもない話だ。元は公的資金という名の血税であり、顧客サービスを徹底的に切り捨てて溜め込んだお金が、自民党に還流されるという典型的なわいろ政治である。
大手銀行は93年の総選挙の際、当時の都銀8行が自民党に総額100億円の協調融資を実施した。将来の企業献金を返済にあてることが融資条件で、当時の経団連の平岩外四会長が「経団連が返済に協力する」との念書を銀行側に示したと言われている。
このように、自民党は銀行からの献金を含む将来の企業献金を担保にして、銀行からお金を引き出し、その見返りに公的資金の投入、ゼロ金利政策による預金金利の引き下げなど、徹底した銀行支援策を行ってきたのだ。こういう政党と財界・大銀行との癒着を根本から断ち切るのが、企業献金の禁止である。
企業献金にストップをかけることは、日本の腐敗した政治構造を是正するうえで特に重要な課題であり、今回のように大銀行が献金をストップすることになれば、日本の政治を浄化するうえで大きな一歩になるに違いない。

資本という怪物

2006年12月19日 | 財界
本紙上で、財界や大企業をずいぶんと批判してきたが、なにも特定の企業や個人に恨みがあるわけではない。(個人的な好き嫌いはもちろんあるが…。)
経団連の会長や大企業の経営者も、その人物がいなくなれば、第2、第3の会長や経営者が現れて、結局同じことをやるのだから、頭が変わっても同じことだ。
彼らも、所詮は資本という怪物に踊らされている哀れなピエロにほかならない。
資本というのは、まるで生き物のように絶えず増殖することを要求する。
そうしなければ、個々の企業は、グローバル化した企業間競争に勝ち残ることができず、結局は社員全員を路頭に迷わせることになる。したがって、個々の企業には、このくらい儲ければ十分という基準はまったくない。全てを徹底的に飲み尽くすまで、資本の増殖は止まらない。それが資本主義の宿命である。
もし私が大会社の社長になったら、…、
多くの社長とは異なり、尊大ぶった態度を取らず、社用車も使わず、満員電車で通勤し、謙虚に明るく社員に接するだろうが、おそらく、労働者の首切りや賃金の切り下げ、下請けいじめなどの徹底したコストダウンは、他の経営者と同じように行わざるを得ないだろう。
偽装請負、環境破壊、残業代の不払いなど、違法行為に踏み込むことはしないだろうが、儲けを積み上げるためには、合法的なありとあらゆる行動を取るだろう。
それは、私の意志ではない。資本の意志の為せる業だ。
だからこそ、雇用や労働条件の改善などを個々の企業に「お願い」しても、問題は本質的には解決しない。また、企業倫理を期待してもほとんど前進はしないのである。
日本は、資本主義国家であり、企業に対する規制がとりわけ甘い資本主義国家である。
企業間の競争に一定の(この「一定の」という言葉が重要だ)歯止めをかけるためには、企業経営者の意識を変えても意味はない。経営者でさえ資本の意志に従って行動しているのだから、法的に、あるいは世論の力によって「資本」の横暴や暴走に歯止めをかける以外に方法はない。
大企業のボロ儲け、その根底にある労働者への締めつけ、派遣・請負労働、下請けいじめ、偽装請負などの違法行為、…これらに法的な規制を行い、違法行為を行った企業名を公表し、世論で包囲することによってのみ、フリーターやワーキングプアの多くが解消され、労働者の賃金水準は上がるだろう。また、大企業の製造工場がある地方の経済をも潤すことになるだろう。
ところが、逆に、企業に対する法規制を緩和し、雇用や労働条件を悪化させてきたのが現在の自民・公明政権である。やれば簡単にできることだが、やる気のない政党が政権を握っていることがこの国の最大の不幸なのである。

犯罪検挙率は、わずか3割

2006年12月18日 | 社会問題
全国の警察が今年1~11月に認知した刑法犯件数は189万4677件(前年同期比9.9%減)で、4年連続で減少したらしい。
犯罪罪種別では、凶悪犯9345件(同10.9%減)▽知能犯7万7115件(同14.3%減)▽窃盗犯141万7311件(同11.4%減)で、いずれも前年より減少したが、暴行などの粗暴犯は7万108件で3.7%増加した。
検挙率は31.5%(前年同期比2.1ポイント増)で1999年以来7年ぶりに30%台に戻ったという。
刑法犯が4年連続で減少し、検挙率も7年ぶりに30%台に上昇したというが、わずか3割である。しかも検挙率上昇とは言うものの、体感治安はますます悪化しているように思われる。
私の身近でも、犯罪もしくはそれに類する出来事を目撃することが多く、単に、自転車やバイクの盗難程度では、警察に通報しなくなっただけではないのかという印象を持っている。また、検挙率が上がったというが、7割は逃げ得を決め込んでいる。とんでもない話だ。
犯罪の増加には、種々の原因があろう。
一部に言われているように、格差が広がり、生活苦や借金苦から窃盗や強盗に走るケースも増えていることも一因であろう。
さらに、最近の「拝金主義」の影響も否定できないだろう。働かないで、手っ取り早くお金を稼ぐ方法として、非合法的な手段に走るということは十分にあり得ることである。犯行の動機が「遊ぶ金が欲しかった」というのはこういう背景によるものではなかろうか。
また、報道にもあったように、「ささいなことでキレる大人が増えている」との分析もある。特に検挙者のうち30代が多いという。30代といえば、ちょうどテレビゲームの普及とともに育ってきた世代だ。部屋にこもって仮想社会と向き合っていると、当然のことながらコミュニケーション能力が育たず、良好な対人関係を築くことができなくなる可能性も否定できない。テレビゲーム、コンピューターゲームの功罪については、様々な論者が見解を述べているが、引き続き、今後の研究が必要であろう。
もう一つ注目すべきは、詐欺事件は件数こそ減っている(13.5%減少)ものの、振り込め詐欺だけで今年も200億円を超える被害がでている。
何でもそうであるが、ある一定の臨界点を超えると、収拾がつかなくなるのが普通である。
犯罪認知件数のうち、3分の1しか犯人を検挙できていないという数字は、社会不安を増大させ、更なる犯罪を生み出すことにならないだろうか。罪を犯せば、ほぼ確実に捕まる、犯罪は割に合わないという背景があってこそ抑止力になるのである。7割が逃げ得では、犯罪を助長するだけであろう。
警察の努力や警察官の増員だけで、犯罪を抑止、減少させることはできないと思われるが、地域の居住者の協力などを得たとしても、現行の警察力で検挙率の向上は困難と思われる。
最近は、一部に交番の廃止も行われているが、自衛隊のイラク派遣に無駄金を使うくらいなら、交番の設置や警察官の増員による地域パトロールの強化こそ行うべきであろう。

詐欺事件はなぜ後を絶たないのか

2006年12月17日 | 社会問題
最近は、本当に詐欺事件が多くなっている。
振り込め詐欺の被害も昨年に続いて200億円を超えたと言われているし、近未来通信の中継局オーナー話やエイワンの株式詐欺も新たに話題になっている。つい先日も、セブ島での不動産詐欺がテレビで報道されていた。ライブドアなども、一種の詐欺事件だろう。
詐欺事件が増えた背景には、犯人の側にはもちろんのこと、不幸にも被害者の側にも、汗を流すことなく手っ取り早くお金を儲けたいという思惑があることは間違いない。要するに、現在の「拝金主義」がもたらした社会現象の典型の一つであろう。
たとえば、近未来通信の投資話では、「働かなくても副収入が得られる」「月500~600万円の収入がある人もいる」と宣伝していたようだ。まともな頭で考えればありえない話だ。
エイワンの株投資話も、「新株割り当ての権利を持っている」「運用で出資金の1割上乗せが見込める」などと勧誘していたようだが、こういううまい話はそうそうあるはずがない。
この低金利の時代だ。「うまく行けば5~10%くらいの配当は期待できる」と言われれば、「その程度は可能かな」と騙されることもあるだろうが、働かなくても良い、500万の副収入などと言われて信じる方もどうかしている。
まもなく締め切る、早くしないとチャンスを逃す、などと契約を急がせたりするのも詐欺の常套手段だ。
常識的に考えてありえない話にはくれぐれも乗らないことと投資する前に自分でよく調査することだ。
また、振り込め詐欺の被害者も後を絶たない。なぜ騙されるのだろうか、大変不思議だが、たとえば痴漢や交通事故などの示談話では、騙される方にも「トラブルが表沙汰になるよりも、お金で解決してしまおう」という発想が根底にあるからではないか。
もし家族が他人に危害を与えてしまったら、相手に直接会って謝罪することや相手の健康を気遣うのが普通ではないだろうか。そして、家族に非があれば、法律に従ってできる限り罪を償うのが良識ある人間としての行為であろう。ところが、何はともあれ、とにかくお金で解決してしまおうという浅はかな発想が頭をよぎるために、騙されてしまうのではないだろうか。
また、税金還付詐欺も増えているらしい。お金が返ってくるのならと、飛びつきたくなるのが人情かもしれないが、うまい話はそんなにないのである。
どのような形の詐欺事件でも、もちろん騙すほうが悪いに決まっている。これははっきりしている。しかし、残念なことに、騙される側にも「拝金主義」という現代日本の歪んだ姿が反映しているように思われてならないのである。

労働者のたたかいと世論の勝利

2006年12月16日 | 格差社会
以前にも、松下電器の関連会社が、「偽装請負」を中止し、請負労働者を直接雇用に切り替えたとの記事が出ていたが、今度は、いすゞ自動車が、派遣労働者のほぼ全員1361人を3ヵ月間の期間従業員として直接雇用したとの報に接した。製造業では、1年以上働いた派遣労働者を直接雇用する義務があり、10月からほぼ全員を期間従業員に切り替えたそうだ。藤沢工場(神奈川県藤沢市)の954人、栃木工場(栃木県大平町)の407人が対象になるらしい。
しかし、雇用の契約期間が3ヵ月間と短く、期限切れの来年1月に、延長の再雇用契約を締結することになるという。
直接雇用によって、今まで派遣会社や請負会社にピンはねされていた給料の一部(おそらく5割以上)が労働者に直接支払われることになるため、給料は倍以上になるだろう。ワーキングプアからの脱却の一歩にまずは祝福を送りたい。
しかし、直接雇用とはいうのも名ばかりで、来年1月には早々に契約が切れ、その後の雇用の保証はない。当事者たる労働者たちは、とても安らかに新年を迎えるという心境ではあるまい。いすゞは「契約延長をお願いしていく方針」と表明しているが、この言葉を100%信用するわけにはいかない。
大企業は、長い間「偽装請負」という違法行為を犯しながら、請負労働者を食い物にして、儲けを積み上げてきた。けっして企業の「良心」に期待してはならない。
労働者は、会社に気に入られて契約を延長してもらおうなどと考えてはいけない。会社に媚を売っても、生活は守れない。とは言っても、別にケンカ腰になる必要はない。
法律や社会的道義に基づいて、勇気を奮って、堂々と自らの権利を主張しない限り、どん底の苦しみを味わうことになるのが、今の日本社会の現実である。また、それが人間として後悔のない人生を歩む唯一の道である。
契約を延長させ、更に「契約」社員ではなく、文字通りの直接雇用を実現するためには、労働者自身の雇用を守るたたかいと世論の後押しが不可欠なのである。