時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

ジェネリック医薬品の使用を歓迎する

2007年04月23日 | 医療・社会保障
厚生労働省は、新薬と有効成分は同じだが価格が安いジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及を促進するため、医師が患者に薬を処方する際、これまでは新薬の使用が「標準」だったのを、後発医薬品を「標準」に転換する方針を固めたという。
さて、ここで後発医薬品について少し説明が必要だろう。
新薬は、発売後の一定期間は特許によって守られている。この間は、極めて高い薬価が付き、独占的に販売できるわけだ。特許が切れると、ジェネリック医薬品と呼ばれる後発品が承認される。後発品は、厚生労働省での審査を経て承認され、成分や含有量などが先発品と同じで、効果や安全性についても先発品と変わらないと言われている。後発品が出ると、先発品(新薬)の価格(薬価)は、値下げされるが、それでも後発品よりも高く決められるので、病院への納入の際の値引率などを考えると先発品が圧倒的に有利になっているのが日本の薬価制度の問題点である。
薬価は、たとえば先発品が100円の場合、後発品は50円というように決められている。医療機関は、これらの薬を患者に処方すると、この薬価の金額を保険請求するわけだ。もし、病院が先発品と後発品のそれぞれを薬価の2割引で購入すると、先発品は80円で購入でき、100円を保険請求できるので20円の薬価差益が得られる。これに対して、後発品は40円で購入し50円を保険請求するので、10円の薬価差益しか得られない。したがって、病院は高い薬価の先発品を使いたがり、後発品の使用が進まないのだ。最近は、医薬分業でこの差益は薬局の儲けになってきているが、未だに、院内処方などで薬価差益に頼る病院も存在している。
後発品は、品質に問題があるとか、効果が悪いと言う医者がいるが、欧米では先発品の特許が切れるとあっという間に、高い先発品は市場から駆逐され、後発品ばかりになってしまう。それでも、効果や安全性に問題が生じたという話は伝わってこない。
そういう屁理屈を言って、先発品を使いたがる医者の頭の中には、やはりもうけ第一の姿勢があるためではなかろうか。
安価な後発医薬品を処方することによって、患者の負担はもちろん、保険財政にとっても負担が少なくなることは言うまでもない。
現行の処方せんは新薬の処方を基本にしているが、2006年度の診療報酬改定で、「後発品への変更可」という欄が追加された。この欄に医師の署名があれば、薬局などで後発医薬品の処方が増えると期待されていた。しかし、なかなか後発品の使用が増えないのだ。
今回の措置は、この処方せんの様式を更に改め、医師があえて新薬を選ぶ場合は、処方せんに理由を明記することを求めるという。
後発品の使用が一層進むことを期待したい。