時々新聞社

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消費が堅調でないのは、賃金の伸び悩みのせい

2007年04月19日 | 経済問題
福井日銀総裁は、先日の衆院財務金融委員会における半期報告で、消費が堅調とは言えない背景に「賃金の伸び悩みがある」と指摘したという。
福井総裁と言えば、村上ファンドなどに投資して儲けているので、庶民のわずかばかりの賃金のことなど眼中にないと思っていたが、なかなかどうして卓見ではないか。少し見直したかもしれない。
福井総裁は、個人消費の動向について「底堅いとは言えても堅調だとはなかなか言えない状況は、1人当たりの名目賃金は緩やかな上昇基調にあるものの、ともすれば伸び悩み気味になるということが大きな背景にある」と説明。さらに「団塊世代の退職が昨年後半から増加し始めている。賃金水準の高い世代の退職者が前年対比で増加していることも、賃金の平均的な前年比を押し下げる方向に働いており、これが消費の基調に何がしか影響している」とも付け加えたそうだ。
さらに、総裁は、賃金の上がり方は極めて緩やかなため「個人消費は増えているが、底堅いとはいえない」との認識を示した。それでも「経済が緩やかながらも拡大を続けるなら労働需給はタイト化していくので、賃金についても上向く方向でいい傾向が出るのではないか」と述べた。
要するに、企業の景気はいいが、賃金が上がらないので、消費が伸びていないということだ。
以前から本紙でも指摘しているが、企業はせめてボロもうけの「ボロ」くらいは労働者に吐き出すべきであろう。
また「最近は良質な労働力を求める傾向があり、かつてのように非正規雇用がどんどん増え、正規雇用が減少するという局面は終わった」とし「景気拡大が長期化し、労働需給がタイト化すれば賃金も上がりやすい」との見通しを示したという。
しかし、この見方は正確ではない。雇用環境にも格差が生まれており、全労働者に占める非正規雇用者の割合は決して低下していない。
GDPの約6割を占める個人消費が向上しなければ、真の景気拡大にはつながらないことを肝に命じるべきであろう。


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