復興元年から2年目へ、平成27年までの仙台市復興計画の中間年に入るにあたり、復興事業の着実な歩みとともにある被災地の人々の心と体を支える「スポーツと文化の振興」について、震災復興基金の活用の観点から以下に伺います。
本市に本拠地を置くプロチームいずれもの戦いは、被災地の復旧・復興の希望の星になっています。ベガルタ仙台、ベガルタ仙台レディース、楽天イーグルス、仙台89ERS、仙台ベルフィーユそれぞれの活躍は、被災地を元気づけ勇気づけてくれていることは言えます。
なかでもサッカーのべガルタ仙台は、Jリーグ初優勝は惜しくも逃したものの、アジア各国からの代表が競うクラブチームのアジアNo.1決定戦アジアチャンピオンズリーグACLの出場権を獲得しました。日曜日には七北田公園において、雪の舞う中、多くのサポーターが集結して壮行会が開催されました。国内のみならずアジアにおいて大震災の被災地仙台の出場は、試合以前に開催国予定のオーストラリアや韓国、中国など各国で注目されるものと思います。
震災に挫けることなく逞しく戦うチームの姿は、震災時に寄せられたアジア各国からの多くの支援に対して、試合を通じて感謝の気持ちをベガルタが体現する大会になるものと思います。大震災被災地のクラブチームとして勇猛果敢にACLに挑み、そのチームの姿がまた、我々被災地のさらなる希望の輝きになることを願うものです。
ブランメル仙台から始まりクラブチーム創設以来の目標の一つである仙台のACL出場にあたり、ベガルタゴールドのダウンジャケットがお似合いの「ベガルタ仙台ホームタウン協議会」の会長である奥山市長に、今シーズンのベガルタ仙台の活躍ならびにACL出場についてのご所見を伺います。
また先日は、今年の猛暑の夏の夜長を感動の連夜にしてくれた、ロンドンオリンピックで活躍した選手団の街頭パレード報告会が行われました。メダリストを始めとする日本代表選手達と一緒にパレードの中にいたのは、榴ヶ岡小学校の児童たちでした。オリンピックの感動の主役たちが、今後将来の復興の主役となる子ども達と手を繋いで歩くパレードの光景は感動的でした。
このパレードの開催は、東京へのオリンピック誘致を目的とした日本オリンピック委員会の主催によるものであり、パレードに前後して選手たちは仮設住宅を訪問し被災者を激励する姿はまた、スポーツの持つ可能性の深さを感じさせてくれました。
東京オリンピック誘致計画によれば、サッカーの試合は宮城県での開催が予定されています。東京五輪が実現すれば、アジアのみならず全世界に、将来大震災から立ち直った宮城・仙台の復興の姿を伝えられる又とない機会になるものと考えます。議会でも誘致に向けた決議文の準備をしているところですが、本市として東京オリンピックの誘致に宮城県と共に連携を図って取り組むべきと考えます。当局のご所見を伺います。
さて、スポーツ種目は数ある中で、最も手軽に始められるのは走ること、ジョギングやマラソンであると言われています。先月11月25日の日曜日、各地で42.195キロのフルマラソン大会が開催され、実に7万人を超えるランナーがフルマラソンを完走しました。その内訳は、神戸で2万人、大阪で3万人、筑波で1万人、そして河口湖で1万人となっています。
それらの大会の中で、私は夜行バスを往復して「第2回神戸マラソン」に出場してきました。私にとってフルマラソンは15年ぶりの挑戦でしたが、途切れることのない沿道からの声援に背中を押され続け、「被災地頑張れ!東北負けるな!」の温かな激励に包まれては、歩く姿など見せることはできず、最後は両足の痙攣に耐えながらも完走の感動を得ることが叶いました。
私は6月の一般質問では、大規模大会に生まれかわった「仙台国際ハーフマラソン」を取り上げ、市民の健康づくりのシンボル、観光交流事業として、経済波及効果など、都市で開催するマラソン大会の多面的な意義について質疑しています。
阪神大震災の被災地神戸は、、阪神・淡路大震災復興基金から助成を受けて、震災からの確かな復興と再生の象徴として「友情と感謝」の大会スローガンとともに、全国から選手と家族、仲間たちを集めて、神戸の海と空の青の間で紅葉に彩られた六甲の稜線が続き、大会は開催されました。
スタート前のセレモニーでは昨年の第1回は仙台市の八軒中学校が招かれて「あすという日が」を合唱し、今年は岩手県陸前高田市の高田高校が招かれ同じ曲を合唱し、阪神大震災と東日本大震災ならびに世界各地での震災犠牲者へ黙とうを捧げた後にスタートの号砲が鳴りました。
仙台ハーフマラソンと神戸マラソンは出場選手数も距離もちょうど半分のハーフとフルの大会になります。同じ未曾有の大震災被災地にあって、両都市の大会が復興の確かな歩みを刻む大会として今後の交流と共に、両マラソン大会の交流事業が確立されることを求めるものです。
今年の仙台ハーフマラソンの際には、神戸マラソン大会実行委員会の植月会長が来仙されて、昨年の第1回大会時に募った参加選手約4800人による被災地応援メッセージボードが届けられました。開催時期は仙台が新緑の5月、神戸は紅葉の11月であり、ちょうど半年を隔てた期間となっているのも意味あるものと私は思います。両大会の今後の交流事業の確立に向けて当局のご所見を伺います。
約55万人の沿道の声援の中、コースは国内マラソン大会発祥の地、神戸市役所前をスタートして平家と源氏の合戦の地、須磨公園を通過し明石海峡大橋で折り返し、国道2号線を戻りポートアイランドのゴールまで声援は途切れることがなく、コース沿道では14箇所の場所に約1万2000人が参加して大会を応援するイベントが繰り広げられていました。
地元の研究機関による試算では、大会開催による経済波及効果は神戸市内外を含めて兵庫県内で約100億円、大阪市での大阪マラソンが同日開催となり、神戸と大阪の両大会合わせた選手数は5万人、その家族や帯同者、また競争率約5倍の大会出場抽選に外れた観戦者も多く訪れているなど、両大会合わせての経済波及効果は実に200億円を超えると示されています。
先日の質疑では、国際センターに隣接してコンベンション施設を設置することによりその経済効果は年間30回の開催で100億円と見込んでいると伺いました。マラソン大会の開催はわずか1日で100億円のお金を動かす経済装置であると考えます。
加えて、同時期の京都では紅葉観光客が古都にあふれ、師走に入る前の関西3大都市、神戸、大阪、京都はマラソン大会と紅葉観光客により大繁盛の当に商いの都と化しているのでした。
経済波及効果の最大化については、6月の質疑でも取り上げています。本市の復興を支える上で地元経済の活性化は復興事業とともに重要な取り組みでありますが、その意味においてマラソン大会の開催は、経済循環の観点から考えれば投資と還元率の関係性において極めて効果的な事業と考えるものです。ご所見を伺います。
本市ではプロスポーツチームの活躍、駅伝大会を始めとした全国大会の開催など、スポーツに関連する各種イベントは復興に進む杜の都仙台を一層魅力的で活気溢れるまちにしています。
今後これから復興の歩みとともに、被災地の心を支える「スポーツで彩られる杜の都づくり」を目指して「スポーツコミッション」の設立を求めるものです。私は一昨年の第1回定例議会で取り上げ、昨年10月の震災復興推進特別委員会、今年3月の予算審査委員会で会派の同僚議員が取り上げてきています。しかしながら、これまで当局からの答弁はいずれもスポーツコミッション設立の有用性は認めながらも、他都市の例を研究しながら検討したいとの答弁が繰り返されています。そこであらためて、震災からの確かな復興の足音とともにある本市の「見る、する、支える、広がる」スポーツ施策の振興の観点から、本市においてスポーツコミッションを設立することを再度求め、所見を伺います。
次に、文化振興について伺います。
仙台市博物館ではインカ帝国展に博物館の特別展で過去2番目に多い入館者を集め、一方、宮城県美術館では東山魁夷展があり連日駐車場待ちが続く多くの来館者を記録しています。
本市の博物館と県の美術館が企画内容によるところはさることながらも、これだけ多くの来館者を得ているのには、企画内容以上の理由があるように思えてなりません。
震災により人々は多くのものを失う中にあり、文化と芸術の中に光明を求めるかのように多くの被災者が博物館へ美術館へと足を運ぶ姿に接し、私も観覧者の一人として想うところありました。館の中での時間は、震災の記憶から一時離れられる一服の心の深呼吸の時なのだろうと思います。
インカ展では、南米の緑深い奥地に建設された奇跡の文明の歴史に引き込まれ、また東山魁夷展では、戦後家族を失い絶望の境遇の中で生み落とされた画伯の色彩美に魅せられるひと時は、被災地にあればこそ求める深淵な文化への眼差しなのだと思います。
博物館ならびに美術館の企画展や特別展の充実は、震災からの時間の経過とともに被災地の心を支える拠り所として求められていくものと考えます。そこで、今後の両館の展示の充実にあたっては宮城県との協議をおこない震災復興基金を活用することを求めるものです。国際センターのコンベンション機能が充実するとともに杜の都のシンボルゾーンがさらなる魅力アップとなる観点からも両館の展示の充実は必要なものと考えます。ご所見を伺います。
次に先日示された、「復興計画期間における行財政改革の方針」について以下に伺います。
7つの経営重点項目のうち、「地域づくりを支援する機能の充実」ならびに、「公共施設のマネジメントの推進」に関して2点伺います。
今後は本方針にもとづき所管各局において具体の実施計画等が策定されると聞いていますが、先ず、区役所が区内の地域の実情を把握しきめ細かく対応していくとすることは地域コミュニティの脆弱性がこれまで指摘されている地域にとって頼もしいものであります。「地域協働拠点」としての区役所の機能の充実は大いに期待するところであります。区役所機能の充実について、また地域での窓口となる各市民センターの職員体制、ならびに官民双方から採用されている館長の採用のあり方や館長の配置ローテーションなどを見直していくことになるのか所見を伺います。運営委託をしている指定管理者との調整が必要であると考えます。
また、今年度から市内全区で各区役所に、地域連携職員が配属されています。震災以降、地域によっては連合町内会単位で地域の小中学校と地域町内会をはじめとする各種行事や危険個所の点検、防災訓練などの取り組みが始まっているのは望ましいことであり、地域連携職員が、これら地域連携の情報を捕まえて、まちづくり支援活動を率先していくよう期待しています。
試行錯誤の途上であるものと思いますが、これまでの地域連携担当職員によるまちづくり支援活動の状況と、人員の拡充も必要であろうと考えます。配置3年目に向けた活動内容をお示しください。
次に、高速道路の天井の崩落事故により、本市にあるトンネル等の緊急点検も行われたところです。本市でも戦後これまで拡大してきた公共施設インフラ全体のトータルな維持管理と計画的な更新事業等が大きな課題になるのは言うまでもありません。本市では下水道の管理において、他に先駆けてマネジメントに着手していることは評価いたします。
行革プラン見直しの本旨は今後の本市の復興事業の財源を捻出するための取り組みでもありますが、長期的に相当の財政負担が強いられる本市が抱える公共施設のマネジメントは、その取り組み方如何によっては市の財政破たんを招くのか、または健全な財政運営に資するものになるのか大きく分かれるものと考えます。
今後、方針に則り「公共施設総合的マネジメントプラン」の策定をおこなうとのことですか、プランの実行を目的にした組織体制が必要と考えます。本市の下水道管理アセットマネージメントを参考として、総合的マネジメントにどのように取り組んでいくのかご所見を伺います。
最後に2点伺います。12月7日の夕刻、夕闇深くなる中、大きな横揺れに襲われました。
東日本の太平洋沿岸に津波注意報、警報が発令され、仙台市内では警報により避難勧告が出され、沿岸地区の住民2200人以上が体育館など23ヵ所に避難しました。小雪が舞い風も冷たい中、テレビ・ラジオから繰り返される「逃げてください。決して戻らないで、海側からできるだけ離れて高い所へ逃げてください」の呼び掛けに、沿岸地区の人々は不安と焦りの中で避難しました。
私は時節柄、仙台駅前の街頭にいましたが、揺れが収まった後の変わらない市内中心街の夜の表情に安堵する一方で、テレビから報じられる津波警報と避難を促す呼びかけのギャップに違和感を覚えました。
津波の発生には注意報、警報、大津波警報があり、避難勧告、避難指示等想定される津波の大きさによって段階的な対応をすることになりますが、しかし避難当事者の立場では、注意報と警報の区別を理解する以前にテレビ・ラジオから繰り返される避難誘導の声かけに反応して行動することは当然なことと思います。地震の震度の大きさによる対応は、避難所開設と鍵の管理、指定動員職員の参集など確認できていますが、しかし今回のように震度の大きさ如何に関わらず、津波警報が発令された場合の沿岸部での避難所の開設と人員派遣は防災計画の見直しの中で、どのような検討がなされているのか伺います。
また、当日は夕方の交通量が増える時間帯と重なり、沿岸部方面からの避難車両により東部道路、国道4号線周辺に交通渋滞が発生していたと聞いています。防災計画の津波編では、避難はできるだけ徒歩となっていますが、今回のように暗くて寒い中では先ず車で避難する行動が認められています。沿岸部からの車両による避難を想定した避難動線のあり方や道路環境について、今度の津波警報発令時の状況をどう検証して、地域防災計画の見直しに反映させられるのかご所見を伺います。
来週、国会は新たな枠組みの下で、被災地の復興を第一として、前に戻ることなく、未来に責任ある政治を前に進めることを切に願い、一般質問といたします。