あびこ雅浩の日記

仙台市議会議員あびこ雅浩の活動日記。

「地域医療再生への処方箋」議員セミナーを受講

2014-08-11 | 国際・政治

1406281地域医療再生への処方箋」と題する地方議員セミナーを受講しました。
講師は元埼玉県庁職員、城西大学経営学部助教授 伊関友伸氏
著書「まちの病院がなくなる」時事通信社「地域医療再生への処方箋」「自治体病院の歴史」三輪書店など

以下に本日の講演内容を紹介します。

医師不足問題の原因9の理由。患者の感覚変化、コンビニ医療指向、医療の高度化専門化等。

1406282これまでの医学部定員の経緯を追うと、国では6年前から医師数の抑制を緩和し増員へ転換。平成23年までの4年間で1300人も医学部の定員は増えている!! 宮城県で70人の養成とは此れ如何に!
医師数を国際比較すると、人口千人当たりの医師数では、日本はギリシャ、スウェーデン、オランダの半分以下。OECD諸国平均数の3分の2の水準になっているが。

医療の高度専門化により1人の患者に複数名の専門医が担当者している現在。1人の医師で何人も担当していた“赤ひげ先生”時代は今昔物語。
勤務医は劣悪な労働環境にあり、休憩取れない休日なし。心を病む医者が18%もいる厳しいデーターあり。

女性医師が増加している現況に対して、勤務医でありながらも妊娠、出産、育児が可能な女性医師のための労働環境づくりが肝要。女性の医者が勤務医を続けられる環境づくりは自治体病院医師不足解消の有効な方策。

常勤医師の週間勤務時間数は平均66時間。しかし時間外労働時間数が少なくなく、これに加わる。
2004年新臨床研修制度が導入されたことにより大学病院の医局に若手医師が残らなくなり、公立病院の医師確保が困難になった。新制度で都会の大病院に流れるようになっ手から、自治体病院の医師不足が深刻に。

総合病院は現在、悪循環が好循環かの二極化傾向が進んでいる。一旦スタッフ不足になれば悪循環の連鎖から抜け出せなくなる。成長する病院か衰退する病院かの2分離方向。

患者の思いと医師の本音の格差
・患者“いつでも最高水準の医療を。待ち時間は短く、医療費は安く、死なない”
・医師“納得できる仕事、患者からの尊敬、自分の時間がある、眠りたい、技術を向上させたい”

舞鶴市民病院や松原市立松原病院、志木市民病院の事例を紹介。運営環境が急転し経営困難に陥った3事例。
医療施設(20床以上)の自治体病院数は11.5%で医療法人が65.5%を占めるが、自治体病院が、救急センターの39%、災害医療センターの50%前後、へき地医療の69%、周産期母子センターの43%を占め医療機関のセーフティネットになっている。

1406283ガバナンスレベル、マネジメントレベル、オペレーションレベルの課題を分析すると、経営的視点が弱い自治体病院の現状が浮き彫りになる。

地域医療の危機は、実は地域の民主主義のレベルを高めることに!
患者と医療スタッフが相手の立場を考えて、発言し行動することから、地域医療は立ち直る。それは民主主義でないか。
地域医療の再生の過程は民主主義に繋がるものであり、民主主義の再生につながるもの。
しっかりした情報提供と住民間(患者)の議論があれば、人々は節度ある行動を始める可能性あり。それは地域民主主義の再生につながるもの。

以上、1日目。伊関氏は成る程、自治体病院の現状とあり方について前線で研究しているだけに、豊富なデーターと事例を基にしたその内容は深い。


研究フォーラム2日目

2014-08-07 | 国際・政治

第4部課題討議「議会のあり方について」
コーディネーター:横道清孝 政策研究大学院大副学長
報告者:海老原 流山市議会議長・川上 可児市議会議長・高橋 大津市議会前議長の3者

1408071市議会改革ランキング全国第5位の流山市議会の「市民に開かれた議会」改革の経過を説明。
対面式演壇ー本会議のインターネット中継ー一問一答方式の導入ー議会基本条例の制定〔市民に開かれ、議員同士が討論し、執行部と切磋琢磨する議会にする〕により改革を加速。ICT推進決議により積極的な情報発信に取り組み、スマートフォンによる電子採決を導入しフェイスブックの活用まで至っている。
基本条例の策定は、議会内の自由討議を重ね外部学識者から専門的な知見も得た。

市民に信頼される議会のあり方を目指した取り組み事例。
市民2000人を対象にしたアンケートを政策調査費を使って実施。回収率48%。アンケート結果をもとに議会基本条例の策定に進み、昨年度制定。
議会報告会を積極的に開催。議会フェイスブックによる能動的発信。
高校生徒へのキャリア教育の一環に議会が積極的に関わり、地域の再生に向けて将来の可児市民となる高校生世代と連携し、地域課題解決型キャリア教育の推進役となっている。

大津市では、市内に設置している大学(龍谷、立命館、同志社)とのバートナーシッブ協定を締結。議会改革の検討に議会が大学研究者を招聘しグループワークを重ねる。
昨年度より通年議会を導入し、電子採決も導入。個別賛否の明確化。
また地方議会初の「議会BCP(災害時の議会機能維持計画)」を策定。今夏にはタブレット端末を導入予定。

議員は必ずしも議員資質の高さと得票数が連動していない。また議会活動に熱心でも票数には反映しないジレンマあり。
議員の期数が若い議会のほうが議会改革を進めやすいのではないか。
議会広報誌の即時性を確保するために印刷会社職員を嘱託員に入れる。

〈質疑応答〉
通年議会の是非?
大津では導入2年目だが迅速性は確保できている。毎月本会議を開く。議会権能の発揮のために通年議会は妥当であり、近年の災害対応の都合上もと考える。

議長マニュフェストは必要か?
立候補制の流山市。会派力学のみに依らない選択肢として必要。
可児市では、議長マニュフェストが議会全体の意思を繋ぐものになっている。

一問一答方式導入の是非?
流山市では1人40分の持ち時間制、答弁含めて最長2時間の質疑になるケースもあり。長時間化が課題。

会派拘束と採決判断?
自由討議によって論議を議員間で行い委員長の差配による処も大きく採決に進める。

請願陳情の取り扱い?
権利を尊重した上で、内容によっては地域の要望合戦にならないよう精査して対応している。

議会事務局の充実強化について?
事務局人事においてより優秀な職員の確保に務めるとともに独立性の確保は経年の課題。

以上、課題討議の内容を紹介しました。

1408073_21408072 閉会式並びに時期開催地への開催旗の引き継ぎ。閉会挨拶は副会長の徳島市議会議長より

政令市であり震災の母都市でもある仙台市議会として西澤・日下正副議長の下、目下は復旧復興に専心第一としつつ、復興計画後これからの仙台市を視座に置いた多面的な展開が仙台市議会に必要である。
現在、議会内に設置している議会検討委員会と政策担当者会議から成果を上げることが先ずもってであり、次の改選後がその方向性へ円滑にスタートしていくための今期任期残り一年の努めとしていきたい。

来年の第10回開催が、改選後にお隣の福島市において盛会に開催されることを祈念します。


第9回市議長会研究フォーラム岡山市

2014-08-06 | 国際・政治

第9回全国市議会議長会研究フォーラム岡山市に出席しました。
1408061_会場の岡山シンフォニーホールには、北は稚内市から南は名護市まで約2000人が出席。東北地方からも時期開催地の福島市を始め各県から打数市議会議員が出席していますが、宮城県からは私の他に名取市議1名。
以下に、1日目の内容を紹介します。

1408062_1408063_先ず、全国市議会議長会会長(横浜市議会議長)が開会挨拶。
続いて、岡山市議会議長と岡山市長から開催地として歓迎の挨拶。

1408065_その後、基調講演として「人口減少時代と地方議会のあり方」と題し講師は増田寛也氏(東大大学院公共政策大学院客員教授)

人口減少のメカニズムは20代から30代までの女性人口数から推計。
全国の半数の自治体は減少し続けて消滅可能性がある。
人口増加は実は近代この100年に起こったことだか、今後は急減社会に社会システムが耐えられるかどうか。
2040年に2000万人の人口減少がその後の減少(4000万人減へ)を加速させることになる。
また高齢者人口も20年後以降は減っていく。
昨年の新生児は102万人に。団塊ジュニア世代以降急減。
出生率2.0以上の確保は先進国では困難になっている近年。
首都圏への一極集中化の加速と地方の過疎加速化の問題。
欧州の先進国では首都に集中せず分散化してきている。しかも昨年よりも今年はより20代人口が移動している。
一方で東京の2040年は超高齢人口問題を抱えることになる。
2020年東京五輪開催以降から老人超過大都市を歩むことになる。
出生率1.8を目指す。国民の希望出生率の目標値。そのための社会的な阻害要因を取り除くことが行政・政治の役目。
晩婚、晩産化の要因を社会環境の観点から分析し改善して行く努力が必要。
企業も棲み分ける時代に。グローバル企業かローカル企業かの二極化の世界経済の中で、ローカル企業の雇用環境のあり方が出生率に影響する。
全国の基礎自治体の規模を20万人程度に集約化する試み。自治体の
かつては国土の均衡ある発展。拡大する人口と都市の膨張対策であったが、今後は都市計画法も市街化開発法も転換の必要。
地方自治体も転換点に立つ時代に議会の新陳代謝も必要であり自治力を発揮する地方議会に期待するとして了。

第2部パネルディスカッション
テーマ「分権改革20年と地方議会のあり方」
1408064_コーディネーターは牛山 明大教授。
パネラー 林宜嗣 関学教授、穂坂邦夫 元志木市長、土山希美枝 龍大準教授、城本勝 NHK解説副委員長、則武宣弘 岡山市議会議長の5氏

地方議会の役目があらためて問われる時代
議員定数削減を求める世論へ一考。首長と議会との緊張関係のあり方。提案議案の原案通過率の高さ。今、議会は多様な住民の本当の代表になり得ているか。地域の再生の時代における議会の役割。人口減少による財政力の低下。公立病院の運営困難と医療機関の自治体間格差の拡大。

コンパクトシティのあり方も自治体次第で異なるもの。
政策を提言することが議会の役目でありチェック機能のみに甘んぜず。
執行部に対して議会意思の発揮こそ。国の政策の承認機関にあらざれ。

質問力研修。地域課題の解決に取り組む機関としての自治体議会。
機関委任事務の全廃。無限の課題に有限な資源でどう解決できるのかが問われる議会像。

住民から遠い議会の印象。住民からの期待が下がる傾向に。
議会への負のスパイラルとして、歳費や政活費や定数が三大関心。
一方で強いリーダー首長への期待感の高まりあり。

首長と市民との対話機会づくりの一方で議会と市民の間はどうか。
オール議会力の涵養。議会全体の意思で政策を進める力を。
岡山市議会では家庭ゴミの有料化導入に際して議案を継続審査をした。

市民への議会報告会の開催ができるかどうかが一つのハードル。会派拘束と個人判断のあり方。
合意形成のあり方、住民意思の集約への議会の取り組みはどうか。
地域再生と自治体経営の時代だからこその地方議会の役割あり。
住民の合意形成が難しい時代環境になっている上での議会の意思とは。
公共施設を縮減して行く時代に市民との間に立つ議会の立場が問われる。負担増の理解を求める役目を担い合意形成すること。
議会の議員構成が変わり始め、新しい顔ぶれが並ぶ議会が増えているが、来春の統一選挙は加速する機会に。
執行部の組織の論理に対して全体論で対応できるのが議会の役割。
変わらざる得ない地方議会と共に住民有権者の意識も変わるべし。
選んだ側の責任を考えさせた某兵庫県議員問題。また劇場型選挙の負の結果もあり。
議員の力を議会の力にできるようにする。住民への発信力をあらためて高めるべし。
選挙対策は大切だが目先の視点でなく10年単位の視点で議論し選挙に臨み議員となる時代になるベキするベキ時が今!

1408066_本日の研修閉会後に、時期開催地【福島市】挨拶
佐藤議長とともに30名の市議が壇上に上がり、復興支援への御礼とともに次回開催地をアピール。開催の成功へ頑張れ福島!